課題名:長期どりトマトの高軒高ハウス・炭酸ガス施用等を活用した先進的増収技術の開発 (平成26~28年度) 農業総合センター園芸研究所野菜研究室 背 目 景 ○ 本県のトマトは、作付面積892ha、産出額が142億円(H24)の重要な 園芸品目である。 ○ 冬~春に収穫する促成トマト栽培において、高軒高ハウスの利用や高度環 境制御による増収技術が注目されているが、技術確立に至っていない。 高度環境制御に必要な施設・機材 ←高軒高ハウス 受光体勢と 作業性向上 ←炭酸ガス施用装置 ヒートポンプ→ 炭酸ガス同化速度 の増大 炭酸ガスの日中施用1)による増収効 果が知られているが、効果を高める ための施用条件は明らかになってい ない。 増収には、ソースとシンク2)のバラン スが重要。果実シンク量に着目したオ ランダ式管理3)が注目されているが国 内では技術が確立されていない。 温度・湿度・日射量等の環境条件の組 合せと炭酸ガス同化速度との関係を 解明し、効率的で実用性の高い炭酸 ガス施用方法を確立する必要がある。 温度管理や整枝管理の違いが果実シン ク量に与える効果を解明し、本県の気 象条件や栽培品種に適した増収・品質向 上技術を開発する必要がある。 的 効率的な炭酸ガス施用技術を確立するとともに、果実シンク量の増大が果実生産量 と品質向上に与える効果を解明することで、先進的なトマトの増収技術を開発する。 研究内容 1.効率的炭酸ガス施用技術の確立(H26~28) ○ 増収のための温湿度・炭酸ガス濃度・日射量と炭酸ガス同化速度との関係解明 (園芸研究所、工業技術センター) ○ 効果的・効率的な炭酸ガス施用装置の開発((株)ユードム、カンプロ(株)) 光合成蒸散測定装置 (備品申請中) 秋葉式炭酸ガス発生 装置(カンプロ(株)) 2.果実シンク量に着目した温度・整枝管理技術の開発(H26~28) ○ 温度管理の違いと果実シンク量との関係解明(園芸研究所) ○ 整枝管理の違いと果実シンク量との関係解明(園芸研究所) ○ 開発した技術が実際の果実収量・品質に与える効果の検証 期待される効果 トマトの生産性が向上(30t/10a 以上)するとともに、高品質なトマト(糖度 5~6%、A品率30~40% → 50%)の生産が可能になる。 1)炭酸ガスの日中施用 ハウスの換気を伴う日中(ガスが拡散しやすい条件下)に炭酸ガス施用を行うため、炭酸ガス濃度や温度・日射量に応じた効率的な施用方法の確立が必要とされる。 2)ソースとシンク 植物には、光合成を行うソース器官(主に葉)と 、光合成産物を取り込むシンク器官(生長点、果実など)がある。果実の生産量はソース器官の生産能力に加えて、シンク器官 が光合成産物を取込む能力によっても左右される。高軒高ハウス栽培による受光体制の改善や炭酸ガス施用技術は、ソース器官の生産性向上技術にあたる。 3)果実シンク量に着目したオランダ式管理 温度管理 : 午前中は徐々に温度を上昇させ、午後に高温、日没後一気に温度を下げる。(従来の日本式は午前中高温、午後やや低温に管理する方法。) 整枝管理 : 冬から春にかけての日射量の増大に伴い、仕立て本数を増加させ、葉面積や着果数を多くすることで生産性を高める。
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