モキシフロキサシン投与により肺内多発結節影の 縮小 - 日本呼吸器学会

日呼吸会誌
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537
●症 例
モキシフロキサシン投与により肺内多発結節影の
縮小を認めた肺ノカルジア症の 1 例
北村 淳史1)2) 櫻井 隆之1)
三木 良浩1) 中村
徹3)
冨田 和宏1)
豊田
太3)
藤田 哲雄1)
中村 秀範1)
要旨:症例は 18 歳,男性.生来健康.発熱を主訴に当院紹介受診.胸部レントゲン,CT にて両側肺野に
多発の結節影を認めた.市中肺炎と敗血症性肺塞栓症を考慮し,メロペネムとミノサイクリンを投与したと
ころ,解熱し肺結節影も縮小傾向であった.入院時の喀痰培養にてノカルジアを疑う糸状菌が一時的に生育
したため,ST 合剤の内服に変更して外来治療とした.sulfamethoxazole・trimethoprim(ST 合剤)投与 13
日後,副作用として無顆粒球症が出現したため,ミノサイクリンの経口投与に変更したところ,肺野の多発
結節は再増大した.確定診断目的に胸腔鏡下肺生検を施行し,肺組織の細菌学的検索にて肺ノカルジア症と
診断した.以後モキシフロキサシンにて加療し,結節は著明に縮小している.肺ノカルジア症の治療におい
て,新規抗菌薬であるモキシフロキサシンは有効性の高い薬剤の一つと考えられた.
キーワード:肺ノカルジア症,モキシフロキサシン,多発結節影
Pulmonary Nocardiosis,Moxifloxacin,Multiple lung nodules
緒
間を中心とした発熱が出現.自宅にて様子をみていたが,
言
軽快しないため,9 月 12 日近医受診.胸部単純レント
肺ノカルジア症は日和見感染症としてのみならず,健
1)
ゲンにて右下肺に浸潤影と両側肺野の多発結節影を指摘
常成人にも発症することが知られている .今回我々は
され,同日当院紹介され,9 月 14 日当科第 1 回入院と
胸部 CT 上多発肺内結節影を呈し,胸腔鏡下肺生検によ
なった.
り確定診断した肺ノカルジア症を経験した.肺ノカルジ
入院時現症:意識清明,身長 175cm,体重 65kg,体
ア 症 の 治 療 に は sulfamethoxazole・trimethoprim(ST
温 38.3℃,血 圧 120!
85mmHg,心 拍 数 66!
分(整)
,心
合剤)が第一選択とされるが1),ST 合剤はその重篤な
音異常なし,前胸部に coarse crackles 聴取,その他理
副作用にて継続投与が困難となる場合も多い.ST 合剤
学的所見に異常を認めなかった.
の投与により無顆粒球症を認めたため,モキシフロキサ
入院時検査所見(Table 1)
:好中球優位の白血球総数
シンの経口投与に変更し,肺内結節影の縮小を示した肺
の上昇を認めた.CRP は 10.8mg!
dl と上昇していた.
ノカルジア症を経験したので報告する.
マイコプラズマ Ig-M 抗体定性法は陽性であったが,マ
症
例
症例:18 歳,男性.
イコプラズマ抗体(CF 法)は 40 倍未満であった.喀
痰のグラム染色,血液培養では有意な菌を認めなかった.
胸部単純レントゲン写真(Fig. 1)及び胸部 CT(Fig.
主訴:発熱.
2a,
b)
:入院時の胸部単純レントゲン写真にて左右上肺
既往歴:特記すべきことなし.
に多数の結節影を認め,右 2 弓シルエットサイン陰性の
生活歴:喫煙歴なし,飲酒歴なし.
浸潤影を認めた.胸部 CT では左右両側肺野に多発する
現病歴:生来健康.2007 年 9 月 1 日から咽頭痛と夜
大小不同の最大 10mm の結節影を認めた.右 S5 に consolidation を認めた.明らかな縦隔リンパ節腫大や胸水
〒430―8558 浜松市中区住吉 2―12―12
1)
聖隷浜松病院呼吸器内科
〒260―8670 千葉市中央区亥鼻 1―8―1
2)
千葉大学医学部加齢呼吸器病態学
3)
聖隷浜松病院呼吸器外科
(受付日平成 20 年 11 月 14 日)
は認められなかった.
臨 床 経 過:入 院 後 市 中 肺 炎 と し て メ ロ ペ ネ ム 1g!
day+ミノサイクリン 200mg!
day にて加療.翌日より
解熱し,徐々に S5 の浸潤影と炎症所見,全身状態は改
善した.入院時の喀痰グラム染色にて糸状菌は同定しえ
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る白血球減少を疑い,直ちに ST 合剤を中止した.白血
球の自然回復を確認し 10 月 19 日からミノサイクリン
200mg の内服を開始,10 月 22 日に再度退院とした.そ
ず,培養にてノカルジアを疑わせる糸状菌が一時的に培
の後発熱はなく自覚症状も消失しており,血液検査上も
養されたが,その後菌は死滅し同定できなかった.9 月
白血球増多や CRP 上昇も認めていなかったが,11 月 22
25 の胸部 CT にて S5 の浸潤影は消退するも多発肺野結
日の経過観察の胸部 CT にて多発の結節影はやや増大し
節影の縮小はごくわずかであり,診断目的に 9 月 26 日
ていた.転移性肺腫瘍や真菌感染症の合併も否定できず,
気管支鏡施行.右 B5 より気管支吸引物の細菌学的検査
11 月 19 日に PET-CT 施行(Fig. 3)
.CT にて肺野に同
と経気管支肺生検を施行するも有意な所見は得られな
定された結節の部位に一致して集積を認め,なんらかの
かった.なお 9 月 25 日頭部 MRI 検査では異常所見を認
活動性のある肺病変の存在が示唆された.多臓器への集
めなかった.喀痰所見や画像所見から肺ノカルジア症を
積は認められなかった.確定診断目的に 11 月 27 日胸腔
強く疑ったものの,学生であるため患者が早期退院を希
鏡下肺生検(video-assisted thoracic surgery,VATS)
望したため,10 月 1 日より ST 合剤 6g!
day を内服とし
を実施した.PET-CT にて集積のみられた,左 S1+2 の結
退院となった.
節を生検した.
退院後の 10 月 13 日より発熱あり,10 月 14 日当院救
VATS 生検所見(Fig. 4a)
:組織の滑面の辺縁は平滑
急外来受診.白血球 1,775!
µl(好中球数 510)と減少を
であり,白色調であった.HE 染色にて少数の巨細胞と
認め,同日第 2 回入院となった.ST 合剤の副作用によ
肉芽組織で取り囲まれた壊死巣を中心に認め,周囲肺組
肺ノカルジア症の 1 例
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サシン 400mg にて外来加療開始,治療開始 3 カ月後の
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CT(Fig. 6)にて結節の縮小を認めており,外来加療を
継続としている.
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察
織には小型の肉芽腫,膿瘍もみられた.悪性腫瘍の合併
ノカルジアは土壌や水などに広く分布するグラム陽性
は否定的であった(Fig. 4b)
.生検の組織培養にて培養
の好気性抗酸性の糸状菌である.通常は人―人感染はな
されたコロニーをスライドに塗付し,グラム染色したと
く2),環境中の菌を吸い込むか接触することにより発症
ころ,陽性の糸状菌を認めた(Fig. 5a)
.また千葉大学
する.副腎皮質ホルモンや免疫抑制剤等の内服や担癌状
真菌医学センターに PCR にての同定を依頼するも結果
態を背景とした日和見感染症として発症することが多い
は陰性であった.しかしグロコット染色とチールニール
が,ノカルジア症と診断された症例のうち 38% に基礎
セン染色(Fig. 5b,c)ともに陽性の糸状菌を組織内に認
疾患が認められなかったとされ3),本症例のような基礎
め,染色による形態等から肺ノカルジア症と診断した.
疾患のない若年者に発症することはまれではない.また
通院加療を希望したため,12 月 12 日よりモキシフロキ
2:1 で男性に多い傾向がある4).
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潤影と結節影はともに改善傾向であったことから,両者
ノカルジア症は(i)肺ノカルジア症,(ii)播種ノカ
ともにノカルジア症による病変と考えた.
ルジア症,(iii)脳ノカルジア症,(iv)皮膚ノカルジア
確定診断のためには菌の同定が必要である.本菌はグ
症の 4 つの病型に分類される.肺ノカルジア症は上記の
ラム染色陽性,チールニールセン法では弱抗酸性,グロ
中で最も多い病型で,慢性の経過で発症することもある
コット染色では陽性に染まる.また培養には数週間を要
が5),本症例のように発熱,咳嗽を主訴に急性の経過で
し,検査室との連携は重要である.本菌は通常はヒトの
4)
発症することもある .また脳ノカルジア症を合併した
常在菌ではないが,悪性腫瘍や,陳旧性結核を有する患
場合は予後不良であるが,肺ノカルジア症は治癒率 90%
者の気道に一時的に定着することが知られ1),検体が喀
とされる4)6).
痰の場合は起炎菌かどうか慎重な判断を要する.本症例
肺ノカルジア症は多彩な画像所見をとり,病変は上葉
も入院時の喀痰培養にて,ノカルジアを疑わせる菌糸が
に 優 位 で あ る.代 表 的 な 胸 部 CT 所 見 は,空 洞 病 変
発育し,肺ノカルジア症を疑ったものの,確定には至ら
(33%)
,胸膜直下の多発や単発の結節状病変(24∼58%)
,
ず,転移性肺腫瘍や真菌症との鑑別目的に VATS 生検
胸水貯留(13%)であり,その他に浸潤影やスリガラス
を要した.VATS 検体の各種の組織染色や組織培養に
影が認められる.縦隔リンパ節腫大を認めることは少な
て培養されたコロニーのグラム染色にて肺ノカルジア症
6)
い .本症例にように多発結節影や浸潤影を呈すること
と診断した.なおノカルジア種においては Nocaridia as-
はまれではないと思われた6).またメロペネムとミノサ
teroides グループが多数を占め,従来,種の同定は主に
イクリンによる治療により,第一回入院時に出現した浸
形態学的性状や生化学的性状に基づき行われていたが.
肺ノカルジア症の 1 例
近年 16S rDNA 塩基配列による系統樹による分類が試
引用文献
みられている7)9).本症例において PCR にての同定に至
らなかった理由として,菌の検体量が極めて少なかった
ことが可能性として考えられた.
病理所見上は本症例のように,中心壊死と好中球浸潤
を伴う膿瘍形成が特徴であり,乾酪変性をみることはま
れである4).
肺ノカルジア症の治療は,一般的にはサルファ剤を含
んだ ST 合剤が第一選択である1)4)6).重症例にはイミペ
ネム+ミノサイクリンを用いて治療することもある1)4)6).
541
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8―10.
またリネゾリドが有効とする報告もある11).本症例は当
5)工藤恭子,池亀 聡,猪島一郎,他.喀血後 5 年の
初は確定診断がえられておらず,メロペネム+ミノサイ
経過を経て診断に至った肺ノカルジア症の 1 例.日
クリンにて加療し,浸潤影の消退と若干の結節影の縮小
呼吸会 2007 ; 45 : 952―956.
を得た.しかし全加療期間は 3∼6 カ月とされ4)6),本症
6)Lederman ER, Crum NF. A case series and focused
例のように若年者で早期退院を希望する場合は,退院後
review of Nocardiosis clinical and microbiologic as-
も外来にて内服加療に切り替える必要がある.当初は
ST 合剤内服にて外来加療としたが,副作用にて中止せ
ざるをえなかった.第 2 選択としてミノサイクリンが有
4)
6)
10)
効とされるが
,定まったものは報告されていない.
本症例はミノサイクリン内服にて加療するも画像上結節
は増大した.スパフロキサシンが有効とする報告がある
ことから10)患者の同意を得て,同系統のニューキノロン
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剤であるモキシフロキサシンを選択した.現在モキシフ
cies in clinical samples and their routine rapid iden-
ロキサシン内服後 3 カ月経過しているが結節の縮小を認
tification in the laboratory. Journal of Clinical Mi-
め,明らかな副作用はみられず,外来加療を継続として
いる.
謝辞:本症例につきご指導を賜りました千葉大学真菌医学
センター三上嚢先生,当院病理科 小林寛先生,清水進一先
生に深謝致します.
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542
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Abstract
A case of primary pulmonary nocardiosis with multiple pulmonary nodules
successfully treated with moxifloxacin
Atsushi Kitamura1)2), Takayuki Sakurai1), Kazuhiro Tomita1), Tetsuo Fujita1), Yoshihiro Miki1),
Tooru Nakamura3), Futoru Toyoda3)and Hidenori Nakamura1)
1)
Department of Respiratory Medicine, Seirei Hamamatsu General Hospital
Department of Respiratory Medicine, Graduate School of Medecine, Chiba University
3)
Department of Thoracic Surgery, Seirei Hamamatsu General Hospital
2)
A 18-year-old man was admitted with fever. His chest radiograph and CT scan showed consolidation shadow
in the right middle lobe and multiple nodules in both lungs. He was treated with meropenem and minocycline. After this antibiotic therapy, the consolidation shadow disappeared and the multiple nodules were slightly reduced
in their size. Since filamentous bacteria suspicious of Nocardia grew transiently in the initial sputum culture, we
started to treat him with oral sulfametoxazole-trimethoprim. However, because agranulocytosis was caused by
sulfametoxazole-trimethoprim therapy, we had to change the anti-bacterial therapy to minocycline. Minocycline
was not effective, and the nodules enlarged. For accurate diagnosis, we employed video-assisted thoracic surgery
(VATS) to investigate the histological and bacterial analyses of the pulmonary nodules. Histological findings of the
pulmonary nodule obtained by VATS revealed granuloma with central necrosis associated with neutrophilic
micro-abscess. Filamentous gram-positive bacteria in pulmonary nodule tissue was stained positively with both
Grocott and Ziehl-Neelsen staining. Taking these findings together, we diagnosed primary pulmonary nocardiosis.
Three months after initiating moxifloxacin, the size of the multiple pulmonary nodules was markedly reduced.
Our experience with this case suggests that moxifloxacin can be recommended for the treatment of pulmonary
nocardiosis.