市販直後調査 平 成 2 2 年 7月∼ 平 成 2 3 年1月 夜 間 頻 尿 例 に お け る 不 眠 症 治 療 ※ ※本剤の効能・効果は不眠症における入眠困難の改善です。 メラトニン受容体アゴニスト 薬価基準収載 処方せん医薬品 注) ラメルテオン錠 注)注意─医師等の処方せんにより使用すること 禁 忌(次の患者には投与しないこと) 1. 本剤の成分に対する過敏症の既往歴のある患者 2. 高度な肝機能障害のある患者 3. フルボキサミンマレイン酸塩を投与中の患者 本剤の効能・効果、用法・用量、禁忌を含む使用上の注意及び取扱い上の 注意等については、 「概要」 をご参照ください。 2010 年 10 月作成 ロゼレムの効果は、24 週後まで維持されました。 ロゼレムは、 「自覚的睡眠潜時(sSL):寝つきの良さ」を観察期と比較して、24 週間の全投与期間で改善しました。 このことより、長期間投与に伴う耐性を形成しないことが示唆されました。 注意 本剤の投与にあたっては、患者に対して生活習慣の改善を指導するとともに、投与開始 2 週間後を目処に入眠困難に対する有効性及び安全性を評価し、有用性が認められ ない場合には、投与中止を考慮し、漫然と投与しないでください。またその後も定期的に本剤の有効性および安全性を評価した上で投与継続の要否を検討してください。 自覚的睡眠潜時(sSL):睡眠日誌による寝つきの良さの推移 (分) 70.51 ロゼレム 8mg 群 (n=74) 70 自覚的睡眠潜時 60 54.35 (n=74) 50 43.04 42.38 (n=70) (n=69) (sSL) 37.42 40 (n=66) 39.06 38.83 (n=62) (n=60) 33.81 37.14 (n=60) (n=61) 服薬期間 30 観察期 1 4 8 12 16 20 24(週) 後観察期 【長期投与試験】 対 象:慢性不眠症患者(21 歳以上 81 歳以下) 方 法:単盲検多施設共同試験により、ロゼレム 8mg を 1 日 1 回就寝前に 24 週間経口投与し、睡眠日誌による自覚的睡眠潜時 (sSL)を測定した(承認用量のみを抜粋)。 有害事象:因果関係が否定できない有害事象は、10.8%(8/74 例) に認められた。 承認時資料 高齢の不眠症患者における平衡機能(ふらつき)への影響〈海外データ〉 高齢の不眠症患者におけるロゼレムの平衡機能への影響をSensory Organization Testにより評価したところ、投与 前と投与後のスコアの変化量はプラセボ群との間に有意な差はみられず、平衡機能への影響は認められませんでした。 Sensory Organization Test の総合平衡スコア (点) 0.0 プラセボ群 ロゼレム 8mg 群 −1.0 投与前からの変化量 −2.0 −2.02 −2.54 LS Mean±SE 共分散分析 −3.0 −4.0 −5.0 p=0.837 −6.0 (n=33) (n=33) [Sensory Organization Test] 姿勢制御の異常と転倒の危険度を測定する検査で、6 種類の状態で測定を行った。 【海外データ:高齢者に対する平衡機能試験】 対 象:慢性不眠症患者(65 歳以上) 方 法:無作為化プラセボ対照二重盲検クロスオーバー試験により、ロゼレム 8mg 又はプラセボを就寝前に単回経口投与した。 有害事象:プラセボと同等であった。 Zammit G., et al.:J Clin Sleep Mad, 5(1):34-40, 2009. より作図 夜間頻尿例における 不眠症治療の意義 久留米大学医学部 神経精神医学講座 教授 内村 直尚 就寝中の排尿回数は、加齢とともに多くなり、3 回以上でみると男女とも 60 歳以降で急激に上昇してくる(図 1) 。また 加齢とともに不眠の有症率も高くなってくるが(図 2)、この有症率上昇の原因の一つとして、夜間頻尿が考えられる。一方 で不眠が夜間頻尿を悪化させることも示唆されている。 夜間頻尿の成因の一つに 「夜間膀胱容量の低下」 があるが、特に高齢者は睡眠が浅く、分断されるために覚醒しやすくなり、 膀胱容量が低下するため、夜間頻尿につながると考えられる 1)。 このように、不眠と夜間頻尿は互いに影響し合っているため、夜間頻尿に不眠が伴う場合には、夜間頻尿の治療だけでは なく、不眠の改善も重要になってくる。 2010 年 7 月に発売されたメラトニン受容体アゴニスト「ロゼレム」は、鎮静作用によらない睡眠を導入し、睡眠と覚醒の リズムを整える全く新しい作用機序の薬剤である。またロゼレムは、高齢の不眠症患者においてふらつきが認められていな いため、夜間にトイレへ行く際の転倒の危険性を抑えられると期待される。夜間頻尿は、特に転倒のリスクが高い高齢者に おいて多く認められる症状であるため、不眠症治療薬を選択する際には、転倒予防についても考慮することが望ましい。 ※本剤の効能・効果は、不眠症における入眠困難の改善です。 図 1 夜間排尿の年齢・性別有症状率 2) (%) 100 男性1回以上 女性1回以上 80 男性 3 回以上 女性 3 回以上 60 40 対象・方法 全 国 75 地 点 か ら、40 歳 以 上 の 男 女 を 含 む 一 般 世 帯 を 無 作 為 に 選 び、 そ の 世 帯 の 40 歳 以 上 の 男 女 10,096 名を抽出して調査対象とした。 20 0 40∼49 50∼59 60∼69 70∼79 ≧80 歳 図 2 不眠の有症率 3) (%) 50 男性平均 17.3% 女性平均 21.5% 40.3 40 30.5 30 26.3 23.8 19.6 19.0 20 12.6 14.9 21.9 20.3 20.5 17.0 16.8 13.7 対象・方法 20 歳以上の日本人成人 1,871 名(男性 920 名、女 性 951 名)を対象に、睡眠障害の実態と睡眠薬の使用 率を調査した。 10 0 20∼29 30∼39 40∼49 50∼59 60∼69 70∼79 80∼ 年齢(歳) 1) 白川 修一郎ほか:泌尿器外科 ,16:15-20,2003 2) 本間 之夫 ほか:日本排尿機能学会誌 ,14 :266-277, 2003 3)Doi Y, et al.: J Epidemiology, 10(2): 79-86, 2000. より作図
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