YASKAWA NEWS 292号 - 安川電機

・モータ特徴の比較 誘導モータ
シリーズ
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(第 回)
原理
電源周波数と同じ周期の回転磁界を作っています。回転子はこの磁界に引っ張られて回りますが、実際
にはわずかの遅れ(スリップ)が発生します。
回転子の表面に
磁石を貼り付ける
回転子の中に
磁石を埋め込む
回転子に電流が流れ、回
転磁界速度よりスリップ
速度だけ遅れて回転。
磁石トルクだけが発生
し、回転子は回転磁界
と同一速度で回転。
磁石トルクとリラクタンストルク
が発生し、回転子は回転
磁界と同一速度で回転。
同期モータより2∼3枠以上大
超小
小
効率・力率
○
◎
◎
誘導モータは壊れにくく、温度や振動、衝撃といった悪環境に強みを発揮します。容量範囲が広いの
高速
◎
○
◎
で、大形を必要とされる場合でも簡単に対応できます。
最大トルク
◎
○(サーボの場合は◎)
○
同期モータは、モータの発生ロスが小さいので、機械の高効率化を実現します。また、温度変化など
トルク成分
誘導
磁石
磁石とリラクタンス
以上小さいので、近年高まる機械の小形・軽量化ニーズにお応えできます。
当社例:
汎用モータ
シリーズ名 (200W∼5000kW)
と容量範囲
Σ-Vシリーズサーボモータ
(50W∼15kW)
(400W∼300kW)
同期モータの場合、誘導モータと同じ回転磁界の中に、永久磁石を取り付けた回転子を入れています。
永久磁石が回転磁界に引かれ、その回転磁界の回転数に同期して同じ速度で回転します。
環境変化に強いので、高精度を必要とされる機械に適しています。しかも、誘導モータと比較して2∼3枠
Permanent
体積
Magnet)モータとIPM(Interior Permanent Magnet)モータがあります。SPMモータはIPMモータに比べ、
更に小形となりますが、IPMモータのほうが高速回転に適しています。
9
V1000picoモータ
ECOiPMモータ
(100W∼15kW)
三次元形状計測ユニットをロボットの目として使用
光を用いたレーザ照射部、その反射光を読み取る
し、不規則に積まれたボルトの山からボルトを1本
画像処理部、対象物までの距離を計測し、位置・姿
ずつ取り出す例を紹介します。
ボルトの山にレーザスリット光を照射してボルト
つまり、製造業分野では、複雑な形状部品の組立作業や不規則
三次元形状計測ユニットは、ミラーで反射させた
の三次元形状・位置を計測します。このとき、把持
に積まれた部品の取り出し作業などに、生活支援分野では、生活
レーザスリット光を対象物に照射し、その反射光を
しようとするボルト周辺の状態も把握し、ロボット
高速CMOSセンサで読み取り、三角測量の原理を
移送場所
環境における様々な物体の位置・姿勢の把握に三次元形状の
手先が、他のボルト及びボルトの入った箱と干渉
システム構成
計測・認識が必要となります。
用いて対象物までの距離を計測する光切断方式
するかも同時にチェックしています。
三次元形状計測装置は、従来から各種の構成が提案されて
を採用しています。ミラーを回転させ、
レーザスリット
三次元形状計測ユニットは、ボルトの山から最も
います。なかでも、カメラを複数台用いたステレオビジョン方式
光を対象物に向けてスキャンすることで、対象物
把持しやすく、かつ周囲との干渉のないボルトの
の装置が、既に市場投入されています。しかし、照明装置が必要
の三次元形状を得ることができます。
位置・姿勢データをロボットコントローラに伝えます。
課題があります。
レーザ
発信器
画像処理部
ミラー
当社が開発した三次元形状計測ユニットは、このような課題
画像
合った対象物の計測・認識を可能にしました。今回、
このユニット
モータ/
エンコーダ
角度情報
ができるのです。
また、把持したボルトを所定の場所に移送すると
処理を並行して行うため、作業効率を向上する
ことができます。
Ethernet*
このように三次元形状計測ユニットにより、従来
または
RS232C
計測・認識処理部
レーザ照射部
*:富士ゼロックス(株)の登録商標です。
10 YASKAWA NEWS No. 292
ボルトの山から確実に1本のボルトを取り出すこと
同時に、次に把持するボルトの形状計測及び認識
をクリアし、従来では困難とされていた複雑な形状や重なり
の構成、原理、及び適用例などについてご紹介します。
レーザ
スリット光
では困難とされていた複雑な形状の部品や重なった
機械損・鉄損・一次銅損
二次銅損
三次元
形状計測
ユニット
ロボット
実用化していくうえで、作業対象物の認識が不可欠となります。
が困難であるなど、本格的な採用までには解決すべき問題・
モータ出力
モータ入力電力 = モータ出力 + 機械損 + 鉄損 + 一次銅損
勢を認識する計測・認識処理部で構成され、これ
そのデータにより、ロボットは不規則に積まれた
モータ
入力
電力
*630kWまで開発予定
らを一つのユニットの中に収めています。
三次元形状計測ユニット
機械損・鉄損・一次銅損・二次銅損
永久磁石があるので、回転子に 2 次電流が流れない。
このため、回転子にロスが発生しない。
SS5モータ
産業用ロボットの用途拡大や生活支援用の次世代ロボットを
なため装置が大きくなることや、曲面で構成された対象物の計測
モータ出力
・永久磁石形同期モータ(IPM モータ/ SPM モータ)
適用例・・・
「ロボットの目」
当社の三次元形状計測装置は、レーザスリット
モータ
入力
電力
モータ入力電力 = モータ出力 + 機械損 + 鉄損 + 一次銅損 + 二次銅損
*V1000picoモータは3.7kWまで
三次元形状計測ユニット構成と原理
(第 回)
回転子に 2 次電流が流れることでトルクが発生する。
この 2 次電流によりロスが発生し、発熱する。
生まれる回転磁界で回るモータにおいて、回転原理の違いからみた誘導モータと同期モータの違いに
三次元形状計測
モータの 発 生ロスはモータ入 力 電 力と
モータ出力の差です。このロスが小さいほど
高効率モータです。
磁石
・誘導モータ
ついてご説明します。
発生し、
この誘導電流によって生じる磁界が回転磁界に引かれて回り出します。誘導モータの磁界は、
現在の技術
モータの発生ロスメカニズムの違いを比較します。
IPMモータ
モータは電気エネルギーを機械エネルギーに変換する電気機器です。今回は、交流電源によって
そして、同期モータには、回転子への永久磁石の取り付け方によって更にSPM(Surface
・どうして同期モータは効率が良いか?
回転子構造
(断面図)
誘導モータの場合、回転磁界の中に、金属コイルで形成した回転子を入れると、
コイルに誘導電流が
安川電機
SPMモータ
磁石
誘導モータと同期モータの違いは?
「・・の違い」
○:良い ◎:非常に良い
同期モータ
レーザスリット光
計測対象物
(ばら積みボルト)
特長
1. 高速
高速画像処理チップの採用により画像データを4ms周期、三次元形状
計測を1s周期で更新可能。
2. 高精度
静止した対象物までの距離を精度良く計測可能(測定距離400mmで
±1.0mm以下)。
3. レーザスリット光を照射するので、特別な照明装置は不要。
4. ロボットアームなどにも容易に搭載できるよう、小形・軽量を実現。
(W192×H157×D125mm、約1.9kg)
5. 光学機器、画像処理部、計測・認識処理部が一体形であるため、
省配線化を実現。
部品などを認識し把持することが可能となります。
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