知っておきたい経済用語 GNI(国民総所得) ―経済活動の大きさを測る指標― 1 1. .G GN NI( I(国 国民 民総 総所 所得 得) )と と G GD DP P( (国 国内 内総 総生 生産 産) )の の違 違い い 国全体の経済活動の大きさを測る指標とし で、2 0 0 0年 か ら9 3SNA(1 9 9 3年 か ら 採 用 さ れている現在の国民経済計算システム)への 移行に伴って、それまでの GNP を GNI(国 民総所得)と定義し直したのです。 て現在ではGDP (Gross Domestic Product: 国内総生産)が最も一般的に使われています が、最近では GNI (Gross National Income: 国民総所得)という指標も注目されています。 3 3. .G GD DP Pと とG GN NII の の差 差が が拡 拡大 大 図表1をみると、GNI の規模は GDP を上 これは GDP が「海外」を除き「国内」に 回っています。それは前述のように GNI が 限定された経済活動で一年間に新たに生み出 GDP に「海外からの所得の純受取」を加え された生産物やサービスの付加価値の合計を たものに相当し、それがプラスとなっている 表すことに対して、GNI は「国内」だけに限 からです。 定せずに「海外」も含めた経済活動の大きさ を測る指標となっているからです。 図表2をみると「海外からの所得の純受 取」は年々拡大傾向にあり、1 9 9 4年度で3. 7 兆円でしたが2 0 0 6年度ではとうとう1 5. 0兆円 2 2. .G GN NII の の定 定義 義と と G GN NII が が生 生ま まれ れた た経 経緯 緯 ま で と な り、GDP は5 1 1. 9兆 円 で す が GNI は5 2 6. 9兆円と差が拡大しています。 これは近年のわが国から海外の債券や株式 そもそも以前の国民経済計算システム(6 8 に投資する投資信託の拡大に加え、海外にお SNA という)では、国全体の経済活動の大き ける直接投資の累増により対外純資産が伸び さを測る指標は GNP (Gross National Prod- ていることが背景にあるからです。 uct:国民総生産)が使われていました。そ して GNP は次のように定義されていました。 4 4. .注 注目 目さ され れる るG GN NII GNP=国内総生産(現在の GDP に相当) 国内の生産活動や雇用情勢等の国内経済の +海外からの所得の純受取 !!!!!!!!!!!!!!!!!! 規模や動向を見るには GDP が適しています。 海外からの所得の純受取=海外から受取 しかしながら、出生率の低下・高齢化が経済 る利子・配当等−海外へ支払う利 成長の制約要因となる中で、経済成長を実現 子・配当等 するためには、海外投資で得られる所得の拡 !!!!!!!!!!!!!!!!!! 大にも目を向けることが必要になってきてい この定義からもわかるとおり GNP という ます。このような観点から GDP だけでなく 指標は生産活動によって生み出される付加価 海外投資等で得られる所得を加えた GNI に 値というよりも、生産活動によって稼ぎ出さ も目配りする必要があります。 れる所得として捉えるべき指標でした。そこ 20 ぶぎんレポート No. 1 0 9 2 0 0 8年3月号 図表1.GNI と GDP の推移(名目) (兆円) 530 526.9 525 GNI GDP 520.1 520 515 511.1 510 511.9 513.3 505 497.9 500 495 504.1 490.7 490 489.9 487.0 485 480 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 (年度) (資料)内閣府「国民経済計算」 図表2.拡大する海外からの所得の純受取 年 度 1 9 9 4 1 9 9 5 1 9 9 6 1 9 9 7 1 9 9 8 1 9 9 9 2 0 0 0 2 0 0 1 2 0 0 2 2 0 0 3 2 0 0 4 2 0 0 5 2 0 0 6 (単位:兆円) GDP 海外からの受取 海外への支払 海外からの 所得の純受取 A 4 8 7. 0 4 9 6. 5 5 0 8. 4 5 1 3. 3 5 0 3. 3 4 9 9. 5 5 0 4. 1 4 9 3. 6 4 8 9. 9 4 9 3. 7 4 9 8. 5 5 0 3. 8 5 1 1. 9 B 1 6. 7 1 7. 4 1 3. 4 1 4. 4 1 3. 6 1 1. 1 1 2. 2 1 3. 7 1 2. 5 1 2. 8 1 4. 7 1 9. 2 2 2. 7 C 1 3. 0 1 3. 3 7. 3 7. 6 6. 7 4. 8 5. 2 5. 2 4. 5 4. 0 4. 7 6. 0 7. 7 D=B−C 3. 7 4. 1 6. 1 6. 8 6. 9 6. 3 7. 0 8. 5 8. 0 8. 8 1 0. 0 1 3. 2 1 5. 0 GNI A+D 4 9 0. 7 5 0 0. 6 5 1 4. 5 5 2 0. 1 5 1 0. 2 5 0 5. 9 5 1 1. 1 5 0 2. 2 4 9 7. 9 5 0 2. 5 5 0 8. 5 5 1 7. 0 5 2 6. 9 (資料)内閣府「国民経済計算」 図表3.海外からの受取・支払額と対外純資産 (兆円) 25 (兆円) 250 22.7 対外純資産(右目盛) 海外からの受取額(左目盛) 海外への支払額(左目盛) 20 200 対外純資産 150 215.1 15 13.4 180.7 133.3 10 7.3 5 103.4 133.0 179.3 175.3 172.8 100 185.8 7.7 124.6 50 84.7 0 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 0 (年度) (資料)内閣府「国民経済計算」 、財務省「本邦対外資産負債残高」 (注)対外純資産は暦年値 ぶぎんレポート No. 10 9 20 08年3月号 21
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