「柏原延行」のMarket View

情報提供資料
投資のヒントをお届けします。
コラム
「柏原延行」のMarket View
2016年12月5日
#36 いつの間にかやってきた(月刊バージョン)
皆さま こんにちは。
アセットマネジメントOneで調査グループ長を務めます柏原延行です。
いよいよ本格的な寒さが関東地方にもやってきそうです。11月の初旬は、寒い日と暖かい日が入れ替わりで訪れ、
個人的にはむしろ過ごしにくかったように思います。寒い日々をなんとか楽しみたいと考えています。
今回のコラムは月刊バージョンとして、写真付きでお届けします。
【色付く木々】(筆者撮影)
街路樹なども、色付きを増し、町の雰囲気も随分と
変わりました。写真が好きな私は、週末に(できれ
ば)紅葉の名所、あるいは近所の色付いた木々を巡
り、写真に納めることを毎年の恒例としていますが、今
年は写真の撮り方に大きな変化がありました。
写真は、「ボケ」のコントロールによって大きく印象が
変わります。ただ、この際に問題なのは、「ボケ」を強調
するとピントの合う範囲が狭くなり、カメラに付属する小
さいディスプレイでは、どこにピントが合っているかを正
確には判別しづらいことです。
しかしながら、今年はカメラのソフトウェア(正確には
ファームウェア)の更新により、後からピントの位置の
選択が可能となり、ピントに気を遣わずに、構図に専
念できるようになりました。
後からピントを合わせる位置の選択が可能であると聞くと、奇異な印象を持ちますが、カメラが自動的に画面の中の
異なる位置にピントを合わせた写真を大量に撮って、その中から残す写真を(後から)選択するとの仕組みです。高
価な銀塩フィルム(24枚まで撮れるフィルムを良く使っていました)で一枚一枚を慎重に撮っていた時代には考えられ
ない発想であり、いつの間にかやってきた素晴らしい機能です。
※巻末の投資信託に係るリスクと費用およびご注意事項を必ずお読みください。
商 号 等 / アセットマネジメントOne株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第324号
加入協会/ 一般社団法人投資信託協会
一般社団法人日本投資顧問業協会
1
さて、過去のコラム「#31 お金を使う理由」や「#32 お金を使わない理由(企業編)」では、GDPとの経済指標
の仕組みも簡単にご説明したのですが、今回のコラムでは、GDPと(昔懐かしい)GNPの違いについてお話したいと
考えます。
かつて、私が中学か高校で経済について学んだ時には、経済成長を計測する指標としては、GNP(Gross
National Product:国民総生産)が重要であると教わった記憶があります。しかし、昨今の報道等で見かける数字
は、圧倒的にGDP(Gross Domestic Product:国内総生産)が多いように思います。
それでは、D(国内)、N(国民)の違いはどこにあるのでしょうか。
内閣府ホームページでは、「93SNAの導入に伴い、GNPの概念はなくなり、同様の概念として“GNI(Gross
National Income)=国民総所得”が新たに導入された」と記載されています(93SNAとは1993年に勧告された
国民経済計算のための国際的なルールです)。
まず、最初の素朴な疑問として、Gross(総) National(国民)までは同じですが、「Product (生産)」と
「Income(所得)」、すなわち、GNPとGNIがなぜ「同様の概念」とされるのでしょうか?
また、過去のコラムでも、複雑になるのを避けるために、「使ったお金(国内総支出)」が国内総生産(GDP)で
あるとの、随分端折った表現を使わせていただきました(支出面からのGDPとご説明しました)。
実は上記表現が許される理由は、生産された価値などは分配(所得)され、かつ所得は支出されるため、「生産
と分配(所得)と支出」は、原則として一致すると考えるためです。
すなわち、GDPを考える上では、「国内総生産」と「国内総所得」と「国内総支出」は一致し、この原則は、「三面
等価の原則」と経済学では呼ばれます。
それでは次に、本日の本題であるD(国内)とN(国民)の違いです。
GDP(国内総生産)は、「国内で一定期間内に生産された物などの付加価値の合計額」であり、 国内での生
産に限定されます。一方、GNP(国民総生産)は、国民が海外で得る所得も含んでいます。
ここで、国民が海外で得る所得の例としては、企業の海外支店等の所得が挙げられます。日本では多くの企業が
海外の支店等を持ち、その支店からも所得を得ています。
※巻末の投資信託に係るリスクと費用およびご注意事項を必ずお読みください。
2
それでは、GDPとGNI(GNP)の違いを各国毎に見てみましょう(図表1)。
我が国は、自動車産業等が輸出で国際優位にありますので、 GNI (GNP)> GDP との関係が成立します。
他の先進国では、同じく自動車産業が強いドイツは、 GNI (GNP)> GDP との関係にある一方、ロンドンを中
心に海外金融機関を受け入れている英国では、逆のGNI (GNP) <
GDPの関係が成立します。そして、
BRIC’s各国は英国と同様にGDP がGNI(GNP) がより大きいとの共通した特徴を持ちます。英国は米国、日本、
ドイツと比較すると、独自の構造を持つことがよくわかります。
図表1:2015年におけるGDPとGNIの比較
106
104
GDPを100としたGNIの規模
102
100
98
96
94
92
90
米国
日本
ドイツ
英国
ブラジル
ロシア
インド
中国
出所:世界銀行のデータを基にアセットマネジメントOneが作成。
※2015年ベース。GDPはGDP,PPP (current international $)、GNIはGNI,PPP (current international $)。
なおPPPとは購買力平価を指す。
内向き志向が強まるといわれる米国でも、2015年は GNI (GNP)> GDP となっており、海外からの所得(企
業の海外進出など)が重要性を増していることが分かります(図表2)。
図表2:米国のGDP及びGNIの推移
1994年~2014年:年次
(10億米ドル)
19,000
名目GDP
17,000
名目GNI
15,000
13,000
11,000
9,000
7,000
94
96
98
00
02
04
06
08
10
12
14 (年)
出所:OECDのデータを基にアセットマネジメントOneが作成。
※GDPおよびGNIは名目、米ドル表示。
※GNIは市場価格表示。
※上記図表は、将来におけるGDP、GNIの推移を示唆、保証するものではありません。
※巻末の投資信託に係るリスクと費用およびご注意事項を必ずお読みください。
3
内閣府のホームページでは、「以前は日本の景気を測る指標として、主としてGNPが用いられていたが、現在は国
内の景気をより正確に反映する指標としてGDPが重視されている。」との記述があり、たしかに純粋な国内景気を計
測する上では、GDPが適していると思われます。
したがって、国内債券金利の動向を予測する上では、GDPが重要です。
一方で、国内株式市場に上場している会社には、海外で所得を得る輸出企業が数多く含まれます。
このように考えると、「景況感が改善傾向にあり12月の利上げが視野に入った米国」と「経済の低迷が続く我が国」
等、地域による景況感格差が鮮明になる場合は、国内株式をGDPのみで解釈することの問題は大きくなり、 GNIを
含め、他の要素や経済指標も勘案する重要性が高まるとの思いを、昨今の堅調な国内株式市場を見るにつれ感じ
ます。
従来、投資判断において、重要であった指標や概念を変更する必要性が、いつの間にかやってきたように思います。
アセットマネジメントOneでは、業界No1の質と量を実現する積極的な情報発信に努めたいと考えます。
是非、弊社の新しいホームページ等をご覧いただければと考えます。
なお、コラムの過去分に関しては、以下をご参照ください。
・2016年10月以降
http://www.am-one.co.jp/report/marketreport/3/
・上記以前
http://www.mizuho-am.co.jp/report/column-list/ctg/041
(2016年12月2日 9:00執筆)
※巻末の投資信託に係るリスクと費用およびご注意事項を必ずお読みください。
4
投資信託に係るリスクと費用およびご注意事項
【投資信託に係るリスクと費用】
● 投資信託に係るリスクについて
投資信託は、株式、債券および不動産投資信託証券(リート)などの値動きのある有価証券等(外貨建資産には為替リ
スクもあります。)に投資をしますので、市場環境、組入有価証券の発行者に係る信用状況等の変化により基準価額は
変動します。このため、購入金額について元本保証および利回り保証のいずれもありません。
● 投資信託に係る費用について
[ご投資いただくお客さまには以下の費用をご負担いただきます。]
■お客さまが直接的に負担する費用
購入時手数料 :上限4.104%(税込)
信託財産留保額:上限0.5%
公社債投信およびグリーン公社債投信の換金時手数料:取得年月日により、1万口につき上限108円(税込)
その他の投資信託の換金時手数料:ありません
■お客さまが信託財産で間接的に負担する費用
運用管理費用(信託報酬):上限 年率2.6824%(税込)
※ 上記は基本的な料率の状況を示したものであり、成功報酬制を採用するファンドについては、成功報酬額の加算
によってご負担いただく費用が上記の上限を超過する場合があります。成功報酬額は基準価額の水準等により変
動するため、あらかじめ上限の額等を示すことができません。
■その他費用・手数料
上記以外に保有期間等に応じてご負担いただく費用があります。投資信託説明書(交付目論見書)等でご確認ください。
※上記に記載しているリスクや費用項目につきましては、一般的な投資信託を想定しております。
費用の料率につきましては、アセットマネジメントOne株式会社が運用するすべての投資信託のうち、徴収するそれぞれ
の費用における最高の料率を記載しております。
※税法が改正された場合等には、税込手数料等が変更となることがあります。
【ご注意事項】
●当資料は、アセットマネジメントOne株式会社が作成したものです。
●当資料は、情報提供を目的とするものであり、投資家に対する投資勧誘を目的とするものではありません。
●当資料は、アセットマネジメントOne株式会社が信頼できると判断したデータにより作成しておりますが、その内容の完
全性、正確性について、同社が保証するものではありません。また掲載データは過去の実績であり、将来の運用成果を保
証するものではありません。
●当資料における内容は作成時点のものであり、今後予告なく変更される場合があります。
●投資信託は、
1.預金等や保険契約ではありません。また、預金保険機構および保険契約者保護機構の保護の対象ではありません。加
えて、証券会社を通して購入していない場合には投資者保護基金の対象ではありません。
2.購入金額について元本保証および利回り保証のいずれもありません。
3.投資した資産の価値が減少して購入金額を下回る場合がありますが、これによる損失は購入者が負担することとなり
ます。
【当資料で使用している指数について】
ございません。
5