イオン吸着による亀裂進展の制御を利用した硬脆材料の - 東京電機大学

Annual Report
the Research Institute for Science and Technology
Tokyo Denki University
東京電機大学
総合研究所年報
イオン吸着による亀裂進展の制御を利用した硬脆材料の無損傷
機械加工に関する研究
Defect Free Machining of Brittle Materials by Controlling Crack Generation and
Propagation Assist with Ion Adsorption
白樫
高洋、後藤
東京電機大学 工学研究科
敬、山田
崇広
精密システム工学専攻
SHIRAKASHI Takahiro, GOTOU Takashi, YMADA Takahiro
Tokyo Denki University, Department of Machinery System Engineering
An effect of cutting fluids on fracture stress of brittle materials― soda lime glass
and aluminum ceramics―is discussed. In water the stress is greatly decreased and
many uncontrollable cracks are easily generated and propagate. The other hand, in
spindle oil the stress is greater than other fluids, because of restrain of absorption of
OH ion on the crack tip. In order to obtain a defect free surface in machining of these
materials, the generation and propagation of cracks should be controlled or
restrained. Since the generation is greatly affected by a surface energy or fracture
toughness of the surface region, some increasing methods of the toughness are
discussed. For restrain of decrease of surface energy by an absorption of OH ion,
OH ion free environment is prepared, such as spindle oil. And the special ion which
will increase the surface energy by adsorption, should be adsorbed on a crack tip by
some methods such as applying high electric potential or laser radiation, etc. For the
increasing, a metal is plated and a high electric field is applied. The methods can
increase the toughness of brittle materials. Finally the proposed methods are applied
for machining process of a soda lime glass and aluminum ceramic. A defect free
machining condition can be greatly expanded by the methods.
1. はじめに
新機能材料の多くは硬脆材料であり、多くの場合イ
オン結合または共有結合された物質が溶融または燒結
等の方法で所定の大きさの素材として製造されている。
これ等の材料を実用に供するためには、所要の形状お
よび精度を実現するための加工が不可欠である。しか
しこれらの材料は表面エネルギーが小さく、加工に際
して容易に表面に制御が困難な亀裂や破壊が発生・伝
播しやすく、所要の形状精度の実現は勿論、材料の機
能そのものを維持することが困難となる。このためこ
れら材料を実用に供するためにはこれらの欠陥を発生
させない、かつ高能率な加工法の開発が不可欠である。
硬脆材料の加工には多くの場合脆性破壊を加工原理と
する砥粒加工が用いられる[1,2] 。この方法では硬い砥
粒により限られた範囲に脆性破壊を生じさせ、砥粒サ
イズを徐々に小さくすることによりその破壊規模を縮
小させ所要の形状お呼び表面粗さを実現する。しかし
この方法では加工の可能な形状に制約があると同時に
加工能率の向上が極めて困難である。これに対して切
削加工は加工形状の多様性、加工能率、コスト等の点
で極めて優れた特性を有している。一般に切削加工で
は破壊の発生進展を切削予定線上に制御することによ
って、加工面に欠陥の無い加工を実現している。しか
し多くの場合このように破壊の制御が可能であるのは
表面エネルギーの比較的大きい金属を主とするいわゆ
る延性材料に限られている。硬脆材料は表面エネルギ
ーが小さいため、切削加工時には容易に破壊が発生・
伝播し、これを制御することが極めて困難であり、加
工表面に欠陥が残存する。したがって亀裂発生に必要
なエネルギーよりも小さいエネルギーで切削が実施で
きれば亀裂が生じない切削、いわゆる延性モード切削
が実現しそうである。事実切削体積―一般には切削厚
さ―を減少すれば加工表面に亀裂の無い無欠陥加工が
実現する。しかしこの条件は極めて厳しく、切削厚さ
が非常に小な場合にしか実現せず、加工能率の向上が
困難である。
本研究は高機能ではあるが硬脆であるため機械加工
が極めて困難な高機能硬脆材料をその機能を劣化する
ことなく高能率で切削加工するための方法について検
討する。代表的な均質硬脆材料としてガラス、また不
均質材料の代表例としてアルミナセラミックスを対象
とし、まず亀裂の発生伝播に大きな影響を与えると考
えられる材料の表面エネルギーに与える環境の影響に
ついて検討する。つぃで表面エネルギーを制御または
増大するための方法を検討する。最後これらの結果を
基礎にガラスおよびアルミナセラミックの機械加工を
行い切削性の改善の程度を検証する。
2. 硬脆材料の破壊応力に及ぼす環境の影響
硬脆材料に限らず多くの場合機械加工時には切削油
剤が用いられる。切削油剤の効果は主として工具損傷
の低減を期待し、工具―工作物接触面の潤滑をとおし
て加工力の減少、加工温度の低下、工具寿命の延伸が
主となり、一般に製品そのもの効果の検討は殆んどな
せれていない。そこでまず切削油剤が硬脆材料の機械
的性質に及ぼす効果について検討した。
硬脆材料の破壊強度は確率的性質を示し、次式の
Weibull 分布で評価できることが知られている。
G(σ)=1-exp{-V(σ/σ0
(1)
)m}
ここで G、σ、V, σ0、mはそれぞれ破壊応力σま
でに破壊する確率、破壊応力、体積または面積、Weibull
定数および Weibull 係数である。
まず処女材料を Fig.1 に示す要領で 4 点曲げ試験に
より折断し、その時材料に働く最大曲げ応力σを測定
した。
L
l
Fracture probability [%]
白樫高洋、後藤敬、山田崇広
.
Fracture stress [MPa]
(b)
アルミナ
Fig. 2 環境選択による破壊応力
同図より明らかなように両材料とも破壊応力は水中
で最も小さく、スピンドル油中で最も大となる。硬脆
材料の破壊は表面に分布する微小亀裂を起点として生
じ、これに必要な応力は亀裂先端での表面エネルギー
に左右され、さらにこのエネルギーは環境によってお
おきな影響を受ける。すなわち一般に環境に含まれる
イオンが亀裂先端に吸着することによって表面エネル
ギーは減少し、亀裂の発生進行がより低い応力で実現
する。Fig.2 の結果は水中に存在する OH-イオンが亀
裂先端に吸着しこの点のエネルギーを減少させたため
と考えられる。
Test specimen (φD)
3.表面の破壊と破壊靱性に及ぼす環境の影響
8P(L − l)
πD
(2)
3
P
Fig. 1 4 点曲げ試験
Fracture pobabilistion[%]
Fracture probability [%]
Fig.2 に水、大気、スピンドル油中で測定した a)ガ
ラス、b)アルミナセラミックスの破壊応力の結果を
示す。
99
96
90
50
20
Atmosphere
Water
Spindle oil
5
60 70 80 90100
200
Fracture
stress [MPa]
Fracture stress[MPa]
(a) ガラス
300
25
Crack length [µm]
σf =
均質硬脆材料の代表であるガラスおよび不均質材料
材であるアルミナセラミックスを対象に環境が表面の
脆性破壊発生状況に及ぼす影響を検討した。
表面の破壊状況を検討する方法としてはマイクロビ
ッカース試験法が多用されており、本検討等でもこれ
を利用した。硬脆材料表面にビッカース圧子を押し込
む時、一般に圧痕の 4 角から亀裂が発生する。この圧
痕と亀裂の大きさから表面破壊に対する特性を知るこ
とが出来る。Fig.3.は添え図に示す角に発生した亀裂長
さと負荷荷重の関係への環境の影響を示す。
Atmosphere
Water
Spindle oil
20
15
10
a
5
c
0
0
5
10
Diagonal length [µm]
(a) ガラス
15
イオン吸着による亀裂進展の制御を利用した硬脆材料の無欠陥機械加工に関する研究
1/2
Crack length(µm)
10
Water 300
Water 200
Water 100
Water 50
8
6
4
2
0
0
2
4
6
Diagonal length(µm)
Fracture toughness K IC [Nm ]
ここで Hv、E、c、a はそれぞれ Vickers 硬さ、ヤン
グ率、亀裂長さ、圧痕長さである。Fig 4.に破壊靱性お
よび硬さの環境による影響を示す。
12
8
10
20000
12000
8000
4000
0
0
(b1) アルミナ(水中)
3500
10
3000
15
2500
8
Atmosp here 300
Atmosp here 200
Atmosp here 100
Atmosp here 50
6
4
2000
HV
Crack length(µm)
5
10
Diagonal length [µm]
(a) ガラス
12
1500
Water 300
Water 200
Water 100
Water 50
1000
2
500
0
0
0
2
4
6
Diagonal length(µm)
8
10
0
100
200
Load
300
400
(b1) アルミナ(水中)
(b2) アルミナ(大気中)
3500
12
3000
10
2500
2000
8
HV
Crack length(µm)
Atmosphere
Water
Spindle oil
16000
Sp indle oil 300
Sp indle oil 200
Sp indle oil 100
Sp indle oil 50
6
4
1500
Atmosp here 300
Atmosp here 200
Atmosp here 100
Atmosp here 50
1000
500
2
0
0
0
0
2
4
6
Diagonal length(µm)
8
10
(b3) アルミナ(スピンドル油中)
Fig. 3 環境選択による亀裂長さ
100
200
Load
300
400
(b2) アルミナ(大気中)
3500
3000
2500
HV
2000
圧痕のみで亀裂画発生が見られない荷重領域があり、
ガラスやセラミックスのような脆性材料でも塑性変形
が可能ことを示している。また大荷重時には亀裂長さ
は環境によりほとんど影響を受けない。しかし亀裂の
発生限界は環境により大きな変化が見られる。すなわ
ち、亀裂発生は水中でもっとも容易であり、スピンド
ル油中で最も抑制される。Fig.3.の結果から破壊靱性を
具体的に知ることが出来る。破壊靱性 K1c はマイクロ
Vickers 圧子を押し込む時に生じた亀裂長さより次式
で示される[3]。
(2)
K1c=0.028E0.5Hv0.5a2/c1.5
1500
Sp indle oil 300
Sp indle oil 200
Sp indle oil 100
Sp indle oil 50
1000
500
0
0
100
200
Load
300
(b3) アルミナ(スピンドル油中)
Fig. 4 環境選択による破壊靭性
400
白樫高洋、後藤敬、山田崇広
4.硬脆材料表面の機械的特性の制御
15
10
5
0
5
10
Diagonal length [µm]
15
(a) ガラス
12
10
Gold 300
Gold 200
Gold 100
Gold 50
8
6
4
2
99
96
90
0
0
2
50
4
6
Diagonal length(µm)
(b)
20
gold
Gold
5
200
Fracture stress[MPa]
(a) ガラス
Fig. 5
(a) Fracture stress
Fracture stress [MPa]
(b) アルミナ
Fig. 5 スパッタリングよる破壊応力の変化
300
8
10
アルミナ
Fig. 6 スパッタリングよる亀裂長さの変化
Atmosphere
60 70 80 90 100
Fracture probability [%]
Atmosphere
Gold
20
0
同図 a)に示すガラスにあっては金スパッタによって
亀裂が発生しない対角寸法、言い換えれば変形領域、
が大きく増大していることがわかる。一方同図b)の
アルミナセラミックでは金スパッタの効果は殆ど見ら
れない。この両者の差はアルミナセラミックが微粒子
の焼結材料であるため表面には常にかなり大きな欠陥
に相当するものが存在しているためと想定される。
Fig.7.はガラスの表面近傍の破壊靱性の金スッパタに
よる影響を示したものである。
Fracture toughnesss K IC[Nm1/2]
Fracture
probability [%]
Fracture pobabilistion[%]
硬脆材料の亀裂発生状況および表面の破壊靱性が環境
により大きな影響を受けることは、半面これらを制御
できる可能性を示していることになる。硬脆材料を無
欠陥で機械加工するためには、脆性亀裂の発生を出来
るだけ抑制する必要があり、このためには亀裂先端で
の表面エネルギーを大きくすることが要点となる。前
節でも示したように硬脆材料は環境によってその機械
的性質が異なる。この理由は亀裂先端に何らかのイオ
ンが吸着し、その点の表面エネルギーを変化させるた
めと考えられる。したがって表面エネルギーが増大す
るようなイオンを積極的に亀裂発生近傍に吸着できれ
ば、亀裂発生をより容易に抑制できることになる。ま
た逆に表面エネルギーを減少させるイオンの吸着を抑
制することによっても消極的ではあるが亀裂発生を抑
制することが出来る。
そこでまず硬脆材料の表面に金属、具体的には“金”
をスパッタリングすることによる機械的性質の変化を
検討した。
Fig.5 に金を約 50A0 の厚さでイオンスパッタしたガラ
ス(a)およびアルミナセラミックス(b)の 4 点曲げ試
験により測定した破壊応力を示す。
図示のように破壊応力自体の大きさは大気中のものと
大きな差異はないが、その強度分散は減少し、信頼性
が向上している。この結果は材料表面に存在した破壊
の起点となる微小クラックが金属により埋め込まれた
ためと想定される。また破壊応力自体に大きな改善が
見られない理由は全体の破壊応力が必ずしも表面のみ
のクラックのみによって決まらないためと想定される。
そこで表面のみの機械的性質を検討するため、マイク
ロビッカースの押し込み試験を利用した。
Fig.6.は金をスパッタが圧痕の周りに生じる亀裂長さ
への影響を示したものである。
25
Crack length(µm)
圧痕が大きく広い範囲にまで変形が生じた時には、破
壊靱性は環境の影響を殆んど受けないが、この領域が
狭く変形が表面層に限られる場合には、環境の影響が
大きい。破壊靱性はスピンドル油中では水中に比して
広範囲にわたって大きな値となる。これらの結果は環
境、すなわち切削油剤、の選択により、脆性破壊の発
生をある程度抑制することが可能であることを示して
いる。
Crack length [μm]
.
20000
Atmosphere
Gold
16000
12000
8000
4000
0
0
5
10
Diagonal length [µm]
(a) ガラス
15
イオン吸着による亀裂進展の制御を利用した硬脆材料の無欠陥機械加工に関する研究
3500
2000
1/2
HV
2500
Fracture toughness K IC[Nm ]
金スパッタのみに比較してマイナスの電場を付与した
時にはさらに亀裂が発生しない領域が拡大しているこ
とがわかる。Fig.10.は高電場付与の破壊靱性への効果
を示す。
3000
1500
Gold 300
Gold 200
Gold 100
Gold 50
1000
500
Fig. 70 Effect of gold plating on fracture toughness
0
100
(b)
200
Load
アルミナ
300
400
20000
Gold
Voltage(+)
Voltage(-)
16000
12000
8000
4000
0
0
Fig. 7 スパッタリングよる破壊靭性の変化
5
10
15
Diagonal length [µm]
図示のようにガラスにあっては金スパッタの効果は大
きく、かなり広い領域まで破壊靭性が増大しているこ
とが判る。これらの結果より少なくとも均質材料であ
るガラスに対しては金を表面にスパッタすることによ
って、表面近傍の破壊靱性の向上と、延性の増大が可
能となる。しかしアルミナセラミックに対してはこれ
らの効果は明確ではない。しかしアルミナセラミック
に金スッパタを行うことにより Fig.7.に示すように表
面の硬度が明らかに低下し、表面層が加工しやすくな
る傾向がある。金スパッタの効果が単に表面亀裂を埋
めたための効果にあるのか、または金による表面エネ
ルギーの変化のためかは不明である。そこで効果の顕
著なガラスを対象に金イオンを積極的に亀裂に吸着さ
せる目的で、金スッパタの後に高電場を付与した。
Fig.8.に電場装置概要を示し、Fi.g.9.に電場付与による
亀裂発生への効果を示す。
Fig. 10
電場付与による破壊靭性の変化
高電場を付与することにより広い領域まで破壊靱性を
大きくすることが可能であることがわかる。
5.環境と機械的特性制御による切削特性の改善
これまでの検討によって、硬脆材料の表面の機械的特
性が環境によって大きな影響を受けること、さらに表
面処理を行うことによってこの特性を或る程度改善さ
せることが可能なことが判明し、その具体的な方法を
示した。
硬脆材料の無欠陥切削加工の可能性とこれに及ぼす
前章までに示した硬脆材料の機械的特性の制御につい
て実際の機械加工を実施することによって検討した。
Fig.11は試作した微小切削試験機を用いて V 型単結
晶ダイヤモンド工具を用いて大気中でアルミナセラミ
ックを切削したときの切削痕を示したものである。
+6000 Voltage
Surface plated with gold
Glass
10μm
Ground (0 Voltage)
(a)
Fig. 8 電場装置概要
Fig. 11
Crack length [µm]
25
15
(c)
微小切削痕図(アルミナ)
同図に示すように切削痕は通常の脆性破壊を伴う状
態 a)から、全くこれが見られ無欠陥状態 c)までが実現
することがわかる。Fig.12.は切削断面を AFM(Atomic
Force Microscope)で詳細に観察した結果である。
Gold
Voltage(+)
Voltage(-)
20
(b)
10
5
0
0
5
10
Diagnoal length [µm]
Fig. 9 電場付与による亀裂長さの変化
15
Fig. 12
AFM 観察図(アルミナ)
白樫高洋、後藤敬、山田崇広
.
図示のように不均一硬脆材料であるアルミナセラミ
ックスにおいても、切削痕の両側には塑性変形によっ
て生じた盛り上がり、また切削痕の中にも欠陥の見ら
れない部分が見られ、塑性変形を伴う無欠陥切削が可
能なことを示している。また既述のように環境や金ス
パッタが機械的性質に大きな変効果を示さなかったこ
とからも、これによる切削状態への効果は明確ではな
かった。
均一硬脆材料であるガラスの切削ではすでに無欠陥
切削の可能性が示されているので[4]、ミリング加工に
及ぼす環境と材質制御の効果を検討した。
直径 0.2mm の超硬ミリングカッターを用いて回転
数 30000rpm、送り速度 15mm/min でガラス表面の
切削を行った。
Fig.13.はガラスをわずか傾斜し、切削深さを徐徐に
増加させ切削した時の環境が切削痕の状態に及ぼす効
果の検討を示したものである。
でも、破壊の発生はわずかである。e)金スパッタ後-
6KV の電場を 10 分間負荷したガラスでは破壊の発生
は全く認められず、さらに大きな切り込み深さでも破
壊は認められない。
ガラスの切削では切削油剤の選択だけでなく、表面
を金でスパッタしさらに高電場を負荷することにより、
無欠陥切削の領域を拡大することが可能である。
6.おわりに
本研究は環境の選択と材料の加工表面の処理を行う
ことにより硬脆材料を無欠陥で切削するため指針につ
いて検討した。
無欠陥切削のためには脆性破壊の発生と伝播を抑制
するためには表面エネルギーまたは破壊靱性の減少の
抑制、さらに積極的にはこれらを増大することが有効
である。このためにまず環境が破壊応力および破壊靭
性に及ぼす影響について検討した。次いで材料表面に
金をスパッタしさらに高電場を付与することにより、
表面の破壊靱性が増大し、かつ硬脆材料にもかかわら
ず塑性的延性特性の拡大が実現することを確認した。
最後にこれらの検討を基礎に硬脆材料の切削加工を
実施し、環境の選択、表面処理によって無欠陥切削が
実現する条件が拡大することを確認した。
参考文献
1mm
10
Fig. 13 切削痕図(ガラス)
いずれの環境でも、切削深さが小である(切削幅が
小)である条件では脆性破壊の痕跡は見られない。し
かし切削深さが増大するに従って、加工溝の縁に脆性
的な破壊が認められる。Fig.14 は切削痕に脆性破壊が
認められ始める切込み深さ、約 42μm近傍の様子を環
境ごとに示したものである。
10μm
(a)
(d)
(b)
(c)
(e)
Fig. 14 切削痕拡大図(ガラス)
同図 a)大気中では脆性破壊は殆ど認められない。こ
れに対してb)水中では明らかに微細な破壊が溝周辺
に認められる。またc)スピンドル油中では破壊が認め
られるものの、その規模は水中のものに比較して大き
く、かつその数は少ない。さらに d)金スパッタでは、
破壊はまったく認められずさらに大きな切り込み深さ
[1] Fielder K.H.,: Precision Grinding of Brittle
Materials, Ultra precision in Manufacturing
Engineering,
Springer-Verlag,
Berlin,
Germany, (1988) 72~77.
[2] Donaldson R.D.,* Large Optics Diamond
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National Laboratory Report UCRL-52812(,
Vol.1,(1979)
[3] Marshall D.B., Lawn B.R., Evans A.G.,.:
Elastic/Plastic
Indentation
Dmage
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Ceramics,
J.
Amer.
Cer.,
65,
11,(1982)561~566.
[4] Shirakashi T., Obikawa T.,: Feasibility os
Gentle Mode Machining of Brittle Materials
and Its Condition, J. Material Processing
Technology 138 (2003) 522~526.
公表論文
1.SHIRAKSHI T., GOTO T., : Cotrol of Fracture
Toughness of Glass Surface for Defect Free
Machining, 7th ICPMT, (2004)62~67.
2.SHIRAKASHI T., YAMADA T.,: Improvement of
Machinability of AluminaCeramic, 7th ICPMT,
(2004)68~73.
3.後藤 敬、白樫 高洋:ガラスの無血管機械加工
実現お為の表面破壊靱性の制御、精密工学会山梨
講演会論文集、(2004)
4.山田 崇弘、白樫 高洋:アルミナセラミックス
の機械加工特性の改善、精密工学会山梨講演会論
文集(2004)
なお、本研究は東京電機大学総合研究所研究Q0
3―M02として行ったものである。