免疫抑制療法下の リウマチ性疾患患者における 肺感染症の

第59回日本リウマチ学会総会・学術集会
ランチョンセミナー16
免疫抑制療法下の
リウマチ性疾患患者における
肺感染症のスクリーニングと予防
座長:羽生
忠正 先生
長岡赤十字病院 リウマチ科
演者:針谷
正祥 先生
東京医科歯科大学大学院
医歯学総合研究科薬害監視学講座
日時
2015年4月24日(金)11:45∼12:45(予定)
会場
第6会場(名古屋国際会議場2号館2階 会議室224)
(予定)
共催
第59回日本リウマチ学会総会・学術集会
オックスフォード・イムノテック株式会社
第59回日本リウマチ学会総会・学術集会 ランチョンセミナー
免疫抑制療法下のリウマチ性疾患患者における
肺感染症のスクリーニングと予防
針谷 正祥1;2先生
1 東京医科歯科大学大学院薬害監視学講座,
2 東京医科歯科大学医学部附属病院 膠原病・リウマチ内科
節リウマチ(RA)、全身性エリテマトーデスなどの全
ある。我が国は結 核の中等度 蔓 延 地 域(2012年度罹患率
まな肺感染症を発現する。肺感染症は原疾患の治療を妨げる
ニングと治療中のモニタリングが必要である。結核のスクリー
関
身性リウマチ性疾患患者は、免疫抑制療法中にさまざ
のみならず、患者の生命予後に強い影響をおよぼすことが知
られている。全国11施設と共同で実施した「膠原病における
免 疫 抑 制 療 法 下の 肺 感 染 症 に 関 する前 向き研 究
(PREVENT研 究)」では膠原病治療のために入院し、免疫
抑制療法を開始した763例を前向きに1年間観察し、肺感染
症リスク因子を同定した。1年間の観察期間中に61 例(8.0%)
が肺感染症を発症した。Cox 回帰分析の結果、年齢 65歳、
20 pack-yearsの喫煙歴、血清Cr 濃度、免疫抑制療法開始
後2週間以内のプレドニゾロン(PSL) 最大量が肺感染症発症
の有意なリスク因子として同定された。全身性リウマチ性疾患
に対する免疫抑制療法中は通常の細菌感染症に加え、抗酸
菌感染症、ニューモシスチス肺炎、サイトメガロウイルス感染症、
深在性真菌感染症などの日和見感染症に対する注意が必要で
16.7/10万人)に当り、免疫抑制治療開始前の適切なスクリー
ニングには、結核の既往歴・家族歴・曝露歴に関する問診、
胸 部 画 像、Interferon-releasing assay (IGRA)またはツベ
ルクリン反 応(TST)の3者を併用し、総合 的に判 断する。
結核発症に関するIGRAとTSTの陽性・陰性予測率を比較し
た研 究のメタ解 析では、IGRAはTSTよりも高い陽 性・陰性
予測率を示し、特に結核発症ハイリスク群では予測能が優れ
ていた。また、TNF 阻害薬使用予定患者のスクリーニングに
IGRAとTSTを併用し、いずれか陽性の場合に潜在性結核の
治療を行った結果、低い結核発症率が得られたと報告されて
いる。TNF阻害薬投与中のTST、IGRAの陽転に関しては複
数の報告があり、必要に応じて治療経過中の反復測定を考
慮する。本セミナーでは、全身性リウマチ性疾患における肺
感染症とIGRAに関するエビデンスついて議論したい。
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