1 測量学実習∼地図表現と座標系、共用空間データ、メタデータ等∼ 1. 紙

測量学実習∼地図表現と座標系、共用空間データ、メタデータ等∼
1.
紙地図
(1) 地図の種類
非近代測量図
・
絵図
・
絵地図(イラストマップ)
・
認知地図(メンタルマップ)
近代測量図
・
基本図
・
主題図
その他の地図
・
立体地図(レリーフマップ)
・
鳥瞰図
・
触地図(点字地図)
・
デジタル地図(DM)
(2) 測量地図の縮尺・精度・コード
大縮尺と小縮尺
ユニバーサル横メルカトール図法(UTM)と地形図の番号
平面直角座標系(19 座標系)と地形図の図葉番号
地域メッシュ 図葉番号
市町村 JIS コード <総務省発行> http://www.tt.rim.or.jp/~ishato/tiri/code/code.htm
平面直角座標系(19 座標系)
平面直角座標系(19 座標系)は、日本独自の規格でガウスの等角投影法によって表示させ、座標を決
めたものである。経度の幅を約 2 度以内として日本列島を 19 の区域に分け、各区域ごとに、19 個の座
標系(plane right coordinates)を設けている。この座標系は、国土地理院発行の縮尺 1/2,500 及び
1/5,000 国土基本地図、そして縮尺 1/10,000 地系図に用いられている。また、縮尺 1/500、1/1,000、
1/2,500 の地形図作成等の公共測量に広く用いられている。この座標系は UTM 座標系と比較して、位置
的に 4 倍精度の高い地図投影変換が可能となっている。
この座標系の原点は、都府県及び支庁(北海道) の行政界を考慮して設定されている為、実用的であ
っても経度、緯度に統一性がないのは欠点といえる。
投影距離の誤差を相対的に±1/10,000 以内
に収めるよう座標原点に縮率 0.9999 を与え、
かつ座標原点より東西 130km 以内を適用範囲
とした座標系を設けている。
1
19 座標系 図葉番号
図葉番号は、その図の位置が平面直角座標系上の位置として判別できるように、系統的な数字によっ
て表したものである。
また、平面直角座標系の基本図の画郭は、地形図のように地球の経緯度を用いないで、平面直角座標
(19 系)の原点を通る XY 座標線に平行な線を図郭としている。以下にこれらの例を示す。
Ex.)1/2500 基本図 ⇒ Ⅵ−PC−52−3
Ⅵ…日本全土を 19 系に分けた座標系の番号。
【Ⅵ】は第 6 系(近畿地方)、座標原点は緯度 36°00′00″N、経度 136°00′00″E
Ⅵの範囲…X=0km、Y=0km
縦軸距離 600km、横軸距離 320km
面積 192,000km2
PC…座標原点から X および Y 方向へとった範囲(±300km×±160km)の縦 X を+-とも 10 等分、
横 Y を+-とも 4 等分し、左上より順番をつけた A,B,C…を行と列で組み合わせた記号。
【PC】は最上より 16 行目の P と、左端から 3 列目の C を示す。
Ⅵ−PC の範囲…X=-150km∼-180km、Y=-80km∼-40km
縦軸距離 30km、横軸距離 40km、面積 1200km2
52…PC の範囲(30km×40km)の縦横をそれぞれ 10 等分し、左上より順番につけた 0,1,2,3…を行
と列で組み合わせた番号。
【52】は最上より 6 行目の 5 と、左端から 3
列目の 2 を示す。
Ⅵ−PC-52 の範囲…X=-165km∼-168k
m、Y=-88km∼-92km
縦軸距離 3km、横軸距離 4km、面積 12
km2
1/5000 基本図の図郭に相当。
3 …52 の範囲(3km×4km)を縦横それぞれ
2 等分し、左上より順番につけた番号。
【3】はその 3 番目を示す。
Ⅵ−PC-52-3 の範囲…X=-166.5km∼
-168km、Y=-88km∼-92km
縦軸距離 1.5km、横軸距離 2km、
面積 3km2
1/2500 基本図の図郭に相当。
〈参考文献 『測量学Ⅱ』 松井啓之輔 共立出版 1986〉
2
UTM座標系
平面直角座標としては他にも、UTM(Universal Transverse Mervator Projection) 座標がある。投影法
は日本の平面直角座標と同じガウス・クリューゲルの投影法であって、日本の平面直角座標とは縮率が
違うだけである。現在、国際的に共通して広く用いられていて、日本では、国土地理院が全国整備した、
縮尺 1/25,000 及び 1/50,000 地形図、そして縮尺 1/200,000 地勢図等に用いられており、市町村の面積
調べ等がこの座標系の基に行われている。
西経 180°を基準経線として、6°ごとの経度帯に区分し、全世界を 60 系とする。投影距離の誤差を相
対的に±4/10,000 以内に収めるよう座標原点に縮率 0.9996 を与え、かつ座標原点より東西 270km 以内
を適用範囲とした座標系を設けている。
十進緯経度座標系
測地緯度はその点における楕円体の法線が赤道面となす角度で表わ
される。赤道から北を北緯何度、南を南緯何度とそれぞれ 90 度まで数え
る。下の図では φ が緯度。
測地経度は、その点を通る子午線が、英国グリニッジを通る子午線とな
す角度で表わされる。グリニッジ子午線を基準にして東側に東経何度、西
側に西経何度とそれぞれ 180 度まで数える。右の図では λ が経度。
地域メッシュ
地域メッシュとは、地図上の情報をデジタル化したり各種統計情報をとるために地図上の経緯度方眼
として定められたものである。
主なメッシュ区画
区 画 の 種 区分方法
緯 度 の 経 度 の 一 辺 の 長 地図との関係
類
間隔
間隔
さ
1 次 メ ッ シ 東経 100 度、北緯 0 度を基 40 分
1度
約 80km
ュ区画
準とし、各度の経線と、偶数
20 万分の 1 地勢
図の 1 図葉
緯度及びその間隔を3等分
した緯線とで縦横に分割し
た区域
3
2 次 メ ッ シ 1次メッシュ区画を緯線方向 5 分
ュ区画
7 分 30 秒 約 10km
及び経線方向に 8 等分して
2 万 5 千分の 1 地
形図の 1 図葉
できる区域
3 次 メ ッ シ 標準(基準)地域メッシュとも 30 秒
ュ区画
45 秒
約 1km
4.5 秒
約 100m
呼ばれ、2次メッシュ区画を
緯 線 方 向 及び 経 線 方 向に
10 等分してできる区域
1/10 細分 3次メッシュ区画を緯線方向 3 秒
メッ区画シ 及び経線方向に 10 等分して
ュ
できる区域
地域メッシュ 図葉番号
図葉番号と図郭を以下の例により示す。
Ex.) 図葉番号 → 5235-4537 の場合
52…1/200,000 地勢図の 1 図郭における「下端緯度」を 1.5 倍した数字。
【52】は 1/200,000 地勢図の下端緯度 34°40′の 1.5 倍。
すなわち 34°40′×1.5=52 で「京都及び大阪」地区を表す。
35…1/200,000 地勢図の 1 図郭における「左端緯度」から 100°を引いた数字。
【35】は 1/200,000 地勢図の左端緯度 135°から
100°を引く。
すなわち 135°-100°=35 で「京都及び大阪」地
区を表す。
45…5235 の範囲(緯度差 40′×経度差 1°)を縦横と
も 8 等分し、左下より上と右方向に 0∼7 の番号を
つけたときの行・列の組み合わせ番号。
【45】は下より 5 行目の 4 と左より 6 列目の 5。
37…5235−45 の範囲(緯度差 5′×経度差 7′30″)
を縦横とも 10 等分し、左下より上と右方向に 0∼9
の番号をつけたときの行・列の組み合わせ番号。
【37】は下より 4 行目の 3 と、左より 8 列目の 7。
〈参考文献 『測量学Ⅱ』 松井啓之輔 共立出版 1986〉
(3) 1/2500 基本図
「土木製図基準」土木学会 参照
(4) 1/25000 地形図とその図式
「地形図の手引き」 地形図の図式 参照
4
2.
GIS の種類と動向
(1) ベクタ GIS とラスタ GIS
GIS におけるデータ形式は、大別すれば、ラスタ型とベクタ型とに分類できる。
ラスタ型は、メッシュ型あるいはグリッド型と呼ばれることもあり、地図を(通常は同形同大の)小さな領
域に区分し、その領域内の事象を数値データ化したものを画素(ピクセル)の並びによって地図の画像そ
のものを表現したものである。
ベクタ型は、ポリゴン型とも呼ばれ、点や線、多角形といった図形情報を二次元、ないしは三次元の座
標値によって表現するものである。
(2) スタンドアロン GIS
スタンドアロン GIS
以下の図 1 のように、「A課」、「B課」、「C課」それぞれが、専用端末上でGIS(スタンドアロン)を構築、
利用して業務を遂行している。
この場合、専用端末上のみでの利用のため、GISエンジンやフォーマットを考慮する必要がないため、
他システムとの連携もちろん、課内でのスムーズなデータ共有までも困難な状態となっている場合があ
る。
図 1 スタンドアロンGIS
(3) WebGIS(インターネット GIS とイントラネット GIS)
イントラネット GIS
イントラネットは、WWWサーバーやブラウザ(閲覧ソフト)
、
電子メールなどインターネット基本技術の仕組みを利用し
た社内(または企業グループ間)情報システム。
この場合、複数のクライアントからサーバ上のデータを共有(社
内のみ)することが可能となり、各課の業務用GIS間でもデータフ
ォーマットを共通化することで、お互いが必要とする情報の補完や
積極的な情報の提供が可能となり、業務の効率化、データの重複
投資の縮減が実現できる。
図 2 イントラネットGIS
5
インターネット GIS
以下の図 3 のような、インターネット技術の長
所を活かしたWebGISが最近のGISの主流と
なってきている。WebGISにより、業務用GISを
持たない所属や民間企業、県民等までもが、イ
ンターネットブラウザを使った簡単な操作により、
空間データを参照することが可能になる。
図 3 インターネットGIS
(4) 2.5 次元 GIS と 3 次元 GIS と 4 次元 GIS
2.5 次元 GIS
1/2500 図を2次元図形情報化した上で、用途・階数・構造等の建物情報を、建物平面図形に対応づ
けたものである。情報の内容としては従来の 1/2500 図上に用途・階数・構造等を色塗りしたものと特に
変るところはない。単なる2次元データに建物階数や地盤高などが付帯しているという意味で 2.5 次元
GIS と呼ぶべきものである。
3 次元 GIS
XYZ の座標データから TIN を発生させることにより 3 次元の地形図を作成し、航空写真と重ね合せる
ことにより、またアニメーションで表現することにより、リアルな地形情報を把握することができる。また、
最近の空中レーザー計測システムの技術向上により、天候の影響を受けずに地形データをダイレクトに
採取することが可能。
4 次元 GIS
3 次元 GIS に地理空間データの時間的変化(過去∼現在)を付加したものが「4 次元 GIS(TimeGIS)」
である。
(5) モバイル GIS
サイバースペースとリアルタイムスペースを融合し、同期をとる次世代地理情報システムと、サイバー
スペースにおける地図というコンテンツの作成取り扱いに関わるシステム(いわゆる地理情報システム)
全体を総称した概念。
6
図 4 モバイル GIS イメージ図
3.
GIS の規格
(1) ISO/TC211 と ISO19100 シリーズ
① ISO/TC211 について
ISO に設置された技術委員会(Technical Committee)であり、地理情報に関する標準を作成する。
ここで作成している標準が完成すると”ISO15046”という国際標準となる。
② 目的
⇒地球上の位置と直接または間接に関連付けられている対象物または現象に関する情報について
の構造化された標準体系を確立すること。地理情報について、デ−タ管理のための方法、ツ−ルお
よびサ−ビス(定義と記述法を含む)や、異なるユ−ザ−、システムおよび場所の間での数値的/
電子的形態でのデ−タの取得、加工、解析、アクセス、表現および変換を規定する。
③ 作業項目
1
参照モデル
標準作成作業の位置付けを定義し、標準を構築するための基本原則を設
定する。
2
概覧
標準体系の概要を説明。
3
概念スキーマ言語
地理情報のデータ構成や機能を説明する際に使用する言語を決定する。
新たな言語は作らず、既存の標準から採用すべきものを決定する。
4
用語法
標準体系で使われる言語について、各作業部会での使われ方を調整しな
がら意味を定義する。地理情報に関する用語の標準を作るのではなく、あ
くまでこの標準の中で使われる用語の統一と説明が目的である。
5
適合性と検証
この標準体系に準拠していると主張するほかの標準が、本当に準拠して
いるか否かを確かめる際の検査概念や方法を規定する。
6
プロファイル
標準全体ではなく、一部だけを取り入れた別のローカルな標準体系を指
す。プロファイルを作成するときのガイドラインを定義する。
7
空間サブスキーマ
空間データの位置と相互関係に関する情報の構成を定義し、更に取得・
検索・管理・変形の演算子を定義する。
7
8
時間サブスキーマ
空間データの時間と時間的な相互関係及び時間参照系に関する情報の
構成と時間の表記方法を定義する。標準で定める空間データでは必ず時
間に関する情報を持つのではなく、時間に関する情報をもつ場合の規則
が示されている。
9
アプリケーション・スキーマ
空間データの管理方法を検討する。
のための規則
10
地物カタログ作成
地理的オブジェクト、属性及び関係のカタログの作成の方法論の定義と、
単一の国際的な複数言語カタログの整備と運用性に関する実現可能性の
決定
11
測地参照系
測地参照系の記述のためのガイドラインと概念スキ−マの定義。
12
間接参照系
間接的な空間(座標を持たない)参照系を記述するための概念スキ−マと
ガイドラインの定義
13
品質
地理デ−タに適用可能な品質のためのスキ−マの定義
14
品質評価手順
デ−タの品質を仕様化/評価する手法のためのガイドラインの開発
15
メタデータ
地理情報及びサ−ビスを記述するために要求されるスキ−マの定義
16
測位サービス
GPSのための標準インタ−フェイス・プロトコルの定義
17
地理情報の描画
人間によって理解できる形式での地理情報の描画を記述するスキ−マの
定義で、シンボルの記述及びアプリケ−ション・スキ−マへのスキ−マの
写像のための方法論を含む。この作業には地図学のシンボルの標準化を
含めない
18
コード化法
地理情報に適用する概念スキ−マ群と互換性のあるコ−ド化法の選択
と、概念スキ−マ言語とコ−ド化規則の間の写像の定義
19
サービス
地理的情報のために使われるサ−ビスインタ−フェイスの定義と識別、及
び、オ−プンシステム環境(OSE)との関係の定義
20
空間演算子
検索、問い合わせ、管理、処理のための演算子の定義
21
画像とグリッドデータ
既存の画像やグリッドデータを調査し、この標準体系を作成する際に参考
となる報告書を作成する。この作業項目は直接には標準を作成しない。
特徴
・
ISO19100 シリーズ、個別国際標準の集合体
・
標準化対象範囲が広い
・
自由度の高い概念モデルを定義している
・
プロファイルを定義することにより、既存概念・各国標準を取り込む
・
最先端の IT 技術を利用しており、オブジェクト指向設計、UML、XML を採用
・
通常業務設計の一環として空間データ特有の情報を付加することが可能
8
ISO19100 シリーズ
ISO19100 シリーズは地理情報の標準化を行なうことにより異なるコンピュータ環境間の相互運用性を
高めることを目的としている。参照モデルは、ISO 19100 シリーズの全体的な枠組みを示すと共に、地理
情報の標準化を実施するために利用する基本原理を提示するもので、それぞれの規格の位置付けは
以下の通り。
・枠組みと参照モデル(19101、19102、19103、19104、19105)
ISO19100 シリーズの一般的な全体像
各規格に、共通に関係する規格
・地理情報サービス(19116、19117、19118、19119)
転送に用いるフォーマットの符号化を定義
地理情報の図表現の規則を定義
人工衛星測位等とのインターフェース
・データ管理(19110、19111、19112、19113、19114、19115)
データの品質、品質評価の方法の定義
カタログ、メタデータの記述法の定義
空間参照
・データモデルと演算子(19107、19108、19109)
幾何的な関係
空間オブジェクトのモデル化
空間的特徴の定義とそれらの相互関係の定義
時間の表現法の定義
・プロファイルと既存規格(19106、19120)
プロファイル化の方法
<国土地理院> http://www.gsi.go.jp/REPORT/GIS-ISO/ISOGIS/youyaku.html
(2) 地理情報標準
△△業務地理情
報標準運用指針
○○業務地理情
報標準運用指針
重点。
××業務地理情
報標準運用指針
ISO/TC211 に準拠した国内標準。特にデータ作成・データ交換に
都市計画
ガイドライン
① 地理情報標準とは
1996年 国土地理院と民間企業 53 社による共同研究「GIS の標準
化に関する研究」を開始。
1998年 地理情報標準第 1 版を公表
統合型 GIS 共用空間データ基本仕様
地理情報標準のガイドライン
GIS 関係省庁連絡会議で地理情報標準を政府の技術標
準として認定。
図 5 地理情報標準運用イメージ
その後、共同開発「地理情報標準の運用に関する研究」として改訂等を実施。
2000 年 7 月
地理情報標準第 1.1 版を公表
9
2000 年 10 月
GIS 関係省庁連絡会議で、地理情報標準で規定しているメタデータ標準に準拠して各省
庁の空間データのメタデータを作成し、国土地理院のクリアリングハウスに連係するこ
とが決定された。
② 標準化された項目
1
空間データ構造
空間データがどのように構成されているかについて定義するしくみ。
・空間データの内容を分類・整理するための視点を示す。
・さまざまな特性をもった空間データを表現できるオブジェクト指向データ・モデル
・3 次元幾何、3 次元位相も表現可能
・複数の座標系にもとづいたデータを統一管理可能
・スプライン、クロソイド、TIN など、多様な幾何要素を使用できる
・時間属性も表現できる
・多様な地物間関係も表現可能
・空間データ構造の記述に UML クラス図を使用
・通常の業務システム設計の中に空間データとしての特性を付加
2
空間データ構 造の
記述
3
UML クラス図
4
地物
空間データを構成するもの
・位置情報を持ち、GIS で直接の管理対象とされる、個々の「物」
・現実世界に実在する物・現象・環境や、実存はしないが適用業務上仮想的に存
在させるものを地物と呼ぶ。
・複数の地物の集合体を別の地物として管理することもできる。
5
地物属性
個々の地物が独自に持っている特性や情報
⇒視点を変えると、地物特性の違いが地物クラスを分類・定義するための基準に
6
空間属性
地物の空間的な位置や形状、位相に関する情報
⇒空間スキーマで定義された要素、データ型を使用して記述する。
⇒空間属性は、幾何学情報を表現する要素と位相的情報を表現する要素に大別
できる。
7
時間属性
地物の時間的な位置や位相に関する情報
⇒時間スキーマで定義された要素、データ型を使用して記述する。
⇒時間属性は、幾何学的情報を表現する要素に大別できる
8
主題属性
アプリケーション要件に応じて管理される主題的な情報
⇒主題属性値:位置や形状に無関係の情報
⇒主題図形:位置や形状に関わる情報
9
品質属性
地物インスタンスの品質に関する情報
⇒「空間データの品質」で定義されたデータ品質要素を使用して記述する
10
10
地理識別子
地物インスタンスと地理識別子を関係付ける
⇒「空間参照」で定義された地理識別子を使用して記述する。
⇒2 種類の記述法
・この地物インスタンスの空間属性はつけないで、その代替として指定する。
・この地物インスタンスに空間属性も付加し、地名集作成の元データとする。
11
地物間関係
⇒集約関係:集合体として定義された地物と、構成要素として定義された地物との
関係
⇒汎化・継承関係:汎化クラスとして定義された地物と、継承クラスとして定義され
た地物との関係
⇒空間位相関係:地物を空間的な位相関係で整理したとき、相互に存在する関係
⇒時間位相関係:地物を時間的な位相関係で整理したとき、相互に存在する関係
⇒論理関係:上記に該当しない地物間の論理的な関係
12
コード化の基本概
⇒コード化:空間データを電子媒体に記憶し交換するための方法を規定する
念
⇒XML をベースとしたコード化サービス
・概念スキーマ言語として UML、出力形式に XML を採用したときのコード化サービ
スを規定。
・データ転送フォーマット(DTD と XML 文書の仕様)は、応用スキーマから導出され
る。
13
空間参照
位置を特定するためのメカニズムを提供する
⇒座標による空間参照
座標参照系の定義方法を規定
空間データ構造の空間属性で位置を特定する際に参照する
⇒地理識別子による空間参照
住所、郵便番号などの地理識別子を用いて位置を特定する方法を規定
地物が空間属性を持たないとき、地理識別子を持っていれば位置が特定できる
地理識別子の集合が地名集となる
14
空間データの品質
品質の定義と品質評価手順を規定
⇒品質とは、製品仕様書に適合しているかどうかの評価であり、現実との差異で
はない
15
品質を構成 する要
素
16
地物カタログ化法
地物カタログ:与えられた空間データに含まれる地物タイプの内容を説明。
地物カタログ化法は、地物カタログの定義方法について規定している。
17
描画法
空間データに対して、状況に応じた描画方法が定義できるようにするための規定
11
(3) 共用空間データ
「共用空間データ」とは、道路データや建物データといった、地方公共団体の庁内の複数部署におい
て多目的な利用を行うことが可能で、かつ一定の品質が確保されている空間データであり、統合型 GIS
の核となるデータである。データの品質確保に関しては、初期調達時の品質確保と運用時の品質確保
がある。
⇔「個別データ」とは共用外の地物項目、台帳データ、主題データ等、個別システム(業務)のみにおい
て、共用空間データと合わせて利用する空間データであり、共用空間データと区別するために個別空間
データと呼ぶ。
(4) オープン GIS コンソーシアム(OGC)と GML
オープン GIS コンソーシアム
① OpenGIS とは
⇒米国を中心に政府、大学、企業が参加している非営利団体 OGC(Open GIS Consortium, Inc)が作成
中の OpenGIS(Open Geodata Interoperability Specification)は、空間データの相互運用を目指した
オブジェクト指向型仕様。
② OGC の概要
⇒地理情報処理の相互運用性の実現を目指した非営利組織で、1994 年 8 月に米国で設立された。
現在までに 50 を超える会員を集め、更に世界規模で拡大しつつあり、その内訳はソフトウェアベン
ダーやコンピュータメーカー、システムインテグレィター、電話会社や大学、データ提供会社、政府機
関等となっている。
③ OpenGIS の特徴
⇒これまで、データ交換を単一の地理情報システムの中だけで行うことは簡単に行うことができた。し
かし、これからは OpenGIS により複数の既存システムをデータ変換のために多大な投資をすること
なく、別のシステムで取り扱えることができる。
④ 構成要素
⇒オープンジオデータ(空間データ)モデル
現実世界にある地物をどのようにソフトウェア上で記述するかの標準的な考え方を示すもの。デー
タモデルの共通化により、地理情報処理のプログラミング環境における相互運用性を確保する。こ
れが実現できれば、ある GIS のソフトウェアで作られたデ一夕がサーバーに保存されている時、別
の GIS のソフトウェアでネットワーク環境からそのデータへのアクセスが可能となる。このアクセスは、
これまでのようなデータの変換標準フォーマットによるものではなく、オブジェクト指向のミドルウェア
によって可能となるものである。
⇒OpenGIS の情報コミュニティモデル
異なる情報コミュニティとの意味表現の手法を標準化するとともに、異なるコミュニティ間の意味変
換を行なう標準的な手法を定めるものである。
12
⇒OpenGIS サービスアーキテクチュア
上述のようなコミュニティモデルを支援し、多様な地理情報にネットワークを介して遠隔アクセスでき
るような処理体系を示している。このような環境が実現すると、異なる情報コミュニティ間の地理情
報のやりとりが可能となる。このような抽象仕様の構築作業を通じ、最終的に多様なユーザーによ
ってその恩恵が共有されることになる。
④ OpenGIS の現状
⇒既に多くの関係者やベンダーがこの OpenGIS 対応の市販ソフトウェア作成を表明したり、アカデミッ
クな研究機関で広く採用されることで、共通運用可能な地理情報処理のためのデファクトスタンダー
ド(事実上の規格)になりつつある。
⑤ OGC(Open GIS Consortium)の動向
⇒これまでの OGC <ジオメトリ主体の地理情報の計算処理>
地理情報の標準化を目指す ISO/TC211(後述)で検討されている技術と肉薄。
⇒最近の OGC <非 GIS、一般の IT 領域と連携>
エンジニアリング指向の GIS から GIS の周辺にある情報の取り込みや新しいビジネスの創出
Start
システム/サービスにおいて
GIS の占める比率
空間データ作成
資源管理
防災/危機管理システム
エリアマーケティング
設備管理
プレゼンテーションツールとしての GIS
資源管理
「全庁型 GIS」
図 6 GIS 市場のトレンド
GML(Geography Markup Language)とは
XML を基盤として OGC が開発。新しい地理データ記述言語で、「どこか」を標準ベース、テキスト・ベ
ースで表す手段である。
⇒2 人のユーザが異なる地図整形(マップ・スタイラ)ソフトウェアを使用した場合、同じ GML データから
見掛けがまったく異なる地図を作成する可能性がある。これは、GML が地理データを記述するので
あり、データの表示方法を記述するものではないため。
⇒ユーザは高価な地図作成ソフトウェアを購入する必要がない。ベクタ・グラフィックス(形状をビットの
集まりではなく絵として表す)をサポートする Web ブラウザがあればいい。
⇒パンやズームが即座。オンラインで GIF または JPEG 形式の地図のパンやズームを行おうとしたこ
とがある人は、サーバが新しいビューを読み込む間待たされたはずである。だが、GML ベースの地
13
図には、すでに、すべてのデータ(したがって、すべてのビュー)が含まれている。
⇒1 形式で多用途に対応。GML データは、PDA、携帯電話、デスクトップ PC など、XML に対応してい
るデバイスであればどれでも表示できる。
⇒GML では地物へのリンク埋め込みが容易。地図上のオペラハウスをクリックするだけで、自動的に
そのオペラハウスの Web ページに跳べる。
XML(eXtensible Markup Language)
W3C が制定した拡張可能なマーク付け言語。インターネット用の言語として用いることにより、文
字をwwwからダウンロードしてブラウザで読むだけでなく、データをダウンロードしてクライアント
側のアプリケーションで処理することが可能になる。データをタグセットで挟むだけであらゆる形式
のデータを同一のプロトコルで処理することも可能となるため、クライアント側の機種や OS に関係
なく種々のデータをインターネット上で自由に交換することができるようになる。
(5) G-XML
G-XML (Geographic XML)
1999年 通産省が先導し Web 上で空間データを総合活用するための仕様を開発
⇒XMLをGIS向けに拡張して、GISコンテンツの相互流通用のプロトコル(仮称:「G−XML」)を制定。
これによって、GIS関連情報が、利用者側の電子地図やGISエンジン等に左右されず自由にインタ
ーネット上を流通し、さらにデータの検索や加工等も容易に行えるようになる。
⇒G-XML は、四つの仕様、Real World G-XML(地図)、Point & Direction based G-XML(地点情報)、
Semantic G- XML(簡略図)、Graphics based G-XML(グラフィック情報)から成る。Graphics based
G-XML は、XML ベースの世界のグラフィック標準 SVG(Scalable Vector Graphics)と互換性が取ら
れている。
特徴…クライアントにおける多種 GIS コンテンツの総合活用
クライアント−サーバー間の双方向通信
ネットワークワイドでの GIS コンテンツの相互利用
4.
GIS データ
(1) クリアリングハウスとメタデータ
クリアリングハウス
空間データについて内容、制度、更新時
期、対象地域、作成者、入手方法といった属
性データを収録したデータベースを検索する
ためのシステム。
図 7 クリアリングハウスイメージ
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メタデータ
・空間データ・データセットのものに関する情報
・データ整備における二重投資の回避とデータ相互利用を進める鍵
⇒空間データの所在・所有者・利用条件・内容・品質などに関する情報を含んでいる。現在、JMP(日本
メタデータ・プロファイル)第 1.1a 版が公表されており、これにもとづいたメタデータ作成が各省庁で行わ
れている。
<国土地理院クリアリングハウス>
http://zgate.gsi.go.jp/
<国土数値情報クリアリングハウス> http://www.nla.go.jp/keisei/ksj_ch/
<CSIC クリアリングハウス> http://chouse.csis.u-tokyo.ac.jp/gcat/basicform.jsp
(2) 国土地理院と数値地図
数値地図
1.数値地図2500(空間データ基盤)
この数値地図は、縮尺 2 千 5 百分1図(一般に都市計画基図と呼ばれている)に表示されている、行政
区域・海岸線、道路中心線、鉄道、内水面、建物、基準点等の項目をディジタル化したもの。
このデータは、地理情報システム(GIS)の利用において必要なディジタル地図で、GISに適したデータ
形態をしている。
GISは、防災、都市計画、施設管理、環境、教育、観光、不動産等の幅広い分野での利用が考えられ、
この数値地図は、わが国におけるGIS普及への第一歩になるものと期待されている。
2.数値地図25000(空間データ基盤)
この数値地図は、縮尺 2 万 5 千分1地形図に表示されている、道路中心線、鉄道中心線、河川中心線、
水涯線、海岸線、行政界、基準点、地名、公共施設、標高の項目をディジタル化したもの。
これらのデータは、地理情報システム(GIS)での利用を想定したデータとなっている。
3.数値地図25000(地図画像)
この数値地図は、2万5千分1地形図をパソコンで扱うことができるように、ディジタル画像に変換したも
の。画像データは、印刷図に用いる黒色版(道路、鉄道、建物、行政界等)、茶色版(等高線、崖等)、青
色版(水部、等深線等)、注記版(居住地名、人工物及び自然物等の名称、建物記号等)の4種類のデ
ータが項目別に収録されている。
<国土地理院 地形図閲覧システム> http://mapbrowse.gsi.go.jp/
4.数値地図50000(地図画像)
この数値地図は、国土地理院発行の5万分の1地形図を、254dpi のラスタ形式(TIFF形式)で数値化し
たもの。
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5.数値地図200000(地図画像)
この数値地図は、国土地理院が発行している20万分1地勢図をパソコンで扱うことができるように、デ
ィジタル画像に変換したもの。
画像データは、地名、行政界・鉄道、道路・建物、市街地、地形、河川、水表面を各レイヤーに分けてTI
FF形式のファイルで収録した「図葉ファイル」と陰影図(くんせん版)をJPEG形式のファイルで収録した
「陰影図ファイル」とで構成されている。
6.数値地図25000(行政界・海岸線)
この数値地図は、2万5千分1地形図に描かれている情報のうち、行政界・海岸線についてベクトル形
式で数値化したもの。数値化したデータは、2万5千分1地形図の精度を保持している。
このデータの特徴は、市区町村や島が領域として認識でき、市区町村毎に色塗り図等の作成ができ白
地図として利用することができる。
7.数値地図25000(地名・公共施設)
この数値地図は、2 万 5 千分の1地形図から注記及び公共施設の記号を取得し、代表点や属性等を付
加した地名及び公共施設データである。このデータは、注記テーブル、注記座標テーブル、注記所属テ
ーブル、記号テーブル、公共施設テーブルの 5 種類のテーブルで構成されている。
このデータは、地名・公共施設といった地理情報システム(GIS)において必要なもっとも基本的な情報
であり、幅広い分野での利用が期待される。
8.数値地図 10m メッシュ(火山標高)
この数値地図は、国土地理院発行の 5,000 分の1及び 10,000 分1火山基本図に描かれている等高線
を数値化し、この数値データを基にして作成した数値標高モデル(DEM)である。火山基本図を南北及び
東西方向に、それぞれ 10m 間隔で分割して得られる各方眼の中心の標高が記録されている。13 火山
(「雌阿寒岳」、「岩木山」、「岩手山」、「秋田駒ヶ岳」、「鳥海山」、「蔵王山」、「安達太良山」、「那須岳」、
「草津白根山」、「鶴見岳(鶴見岳・由布岳)」、 「くじゅう連山」、「阿蘇山(中岳)」、「霧島山」)の全データを
収録。
9.数値地図50mメッシュ(標高)
この標高データは、地表約 50m間隔に区切った方眼(メッシュ)中心点の標高を、2万5千分1地形図
から計測したもの。
このデータは、地形を三次元表現する鳥瞰図等のほか、電波到達域や視通の確認、傾斜分類等の地
形解析などに利用される。
10.数値地図250mメッシュ(標高)
この標高データは、地表約 250m間隔に区切った方眼中心点の標高を、2万5千分1地形図から計測し
たもの。
このデータの利用は 50m標高とほぼ同じだが、データ量が少ないだけ、コンピュータでの処理が容易と
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なるが、地形解析等の場合は精度が粗くなる。
なお、これには1km メッシュ(標高)・(平均標高)も加えられている。
11.数値データ 5kmメッシュ(ジオイド高)
日本国内のジオイド高を 20cm以内の精度で計算したデータ。任意の場所の緯度、経度から即座にジ
オイド高を得ることができる。
12.細密数値情報(10m メッシュ土地利用)
このデータは、宅地利用動向調査で得られた 10m メッシュの土地利用データと行政区域データが含ま
れている。
宅地利用動向調査は三大都市圏(首都圏、中部圏、近畿圏)について行われ、15 項目の土地利用項目
(山林・荒地等、田、畑・その他の農地、造成中地、空地、一般低層住宅地、密集低層住宅地、中高層住
宅地、工業用地、商業・業務用地、道路用地、公園・緑地等、その他の公共公益施設用地、河川・湖沼
等、その他)に分類されている。
このデータは国土利用の現状及び変化状況を表しているので、主に土地利用計画や防災計画等の策
定等幅広い用途に利用することができる。
13.細密数値情報
首都圏、近畿圏、中部圏の 3 大都市圏のデータを数値化したもの。
14.国土数値情報
各種の地理情報(道路、鉄道、土地分類、河川・湖沼など)別に数値データ化したもの。
<国土交通省 国土数値情報> http://nlftp.mlit.go.jp/ksj/
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(3) 民間のデジタル地図、タウンページデータベース
<株式会社ダイケイ> http://www.daikei.co.jp/
<東急不動産株式会社> http://www.tokyu-land.co.jp/gis/index.htm
<株式会社アルプス社> http://www.alpsmap.co.jp/index.html
<日本スペースイメージング社> http://www.spaceimaging.co.jp/main.html
<タウンページデータベース>
http://www.nttbis.co.jp/
(4) ダウンロードできる GIS データ
<NSDIPA GIS サイバー見本市> http://www.nsdipa.jp/index.jsp
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