第17号 - 城山病院

市民公開講座を開催しました
第17号
平成20年8月30日
発行元:城山病院
発行
企画室
今月のトピックス
・市民公開講座を開催しました
・ちょっとした豆知識
・腹囲が必須条件から外れる!
・中学生労働体験
・保健所の立入検査
・私たち呼吸療法士です!
経営理念
城山病院は患者さまの
ために存在します
さる7月12日(土)LICはびきのにて「わかりやすい排尿のお話」
と題し市民公開講座が開かれました。この公開講座は今年で第3回目
となり、毎年羽曳野、藤井寺、松原、富田林、各市の泌尿器科医の
持ち回りで開催されており今年は羽曳野市の担当でした。市内の泌
尿器科医は「ぼく泌尿器科クリニック」の朴 英哲先生、「倉岡医
院」の倉岡 哲郎先生と筆者の3人でそれぞれ司会やコメンテーター
などを担当させていただきました。当日の会場は盛況で羽曳野市を
中心に250人の参加がありました。講座のメインは近辺の泌尿器科専
門医の先生をお招きし講演していただく形をとりました。
一題目は「男性の方へ 前立腺の
病 気」と 題 し 妻 谷 ク リ ニ ッ ク 院 長
妻谷 憲一先生に前立腺肥大症につ
いてお話いただきました。男性臓器
である前立腺が腫大することによっ
て尿道が圧迫され排尿障害を起こす
前立腺肥大症の原因、検査、治療に
ついて説明されました。現在はα-1ブ
ロッカーという前立腺部尿道を開い
て前立腺の尿道への圧迫を軽減する薬剤があり広く使われていると
のことでした。薬剤によっても排尿障害が改善されない場合の外科
的な治療として経尿道的前立腺切除術(TUR-P)という内視鏡(膀
胱鏡)を使用した前立腺を切除する方法などが紹介されました。
二題目は「女性の方へ 尿が漏れる、尿が近い」と題し、済生会
富田林病院泌尿器科部長 今西正昭先生にお話いただきました。頻
尿や尿失禁の定義や原因についての説明がありました。主な疾患と
して過活動性膀胱(OAB)、神経因性膀胱(NB)、切迫性尿失禁、
腹圧性尿失禁が取り上げられました。OAB、NB、切迫性尿失禁に対
する治療として抗コリン剤により膀胱の活動を下げてやり頻尿を改
善する薬物療法が効果的とのことでした。腹圧性尿失禁とは、主に
女性の骨盤底筋群の無力化により膀胱が骨盤内からやや下降し起こ
るもので、骨盤底筋群体操や薬物による保存的治療や外科的に尿道
をつり上げるTVTスリングを使用した手術などの紹介がありまし
た。
講演の後は、参加者から寄せられた質問に我々が答えるコーナーとなりま
した。質問はやはりOABに関連した質問が多くありました。これは以前あ
まり注目されなかった分野でしたが、学会の啓発や新聞などの取り上げに
より人々の関心が高まったことによるものだと思われます。今回の公開講
座では、排尿に関することがテーマだったのですが前立腺癌に関する質問
も多く寄せられました。これも最近話題となることが多く、前立腺癌検診
からその検査治療に関する質問が主でした。前立腺癌検診は、一部の地方
ではすでに市民検診に組み込まれているところもありますが、羽曳野市で
は個人の希望でかかりつけ医で検診されているのが現状です。検診内容は
いたって簡単で、腫瘍マーカーである前立腺特異抗原(PSA)の採血だけです。対象は50歳以上の男性で家
族に前立腺癌の方がおられる場合は40∼45歳からの検診が勧められています。PSA値が4ng/mL以上(年齢
別PSA正常値を採用している施設もあります)の場合は泌尿器科専門医を受診し専門的に診察してもらうこ
とをお勧めします。
この公開講座が盛会であったことからも高齢化社会を迎え老年人口が増え、ますます排尿や泌尿器科疾患に
関して悩んでいる方が増えると思われます。泌尿器科と言えば、以前は受診するのが恥しいというような間
違った認識がありましたが、このような会を通じて泌尿器科疾患への関心が高まるのは大変良いことだと思
いました。来年の市民公開講座は夏に富田林市で行われる予定です。ぜひ御参加ください。
文責:泌尿器科
木山
賢
「えっ!?鼻のなかにもカビがはえるの?」
この企画は、画像を通じ、医療従事者のみならず、多くの人が、さまざまな病気に触れ、関心をもち、健
康に注意していただくことを目的とします。
今回の症例は・・・・・・・
図1A:CT
60歳代、女性。悪性腫瘍の治療中、よく鼻汁がでるということで、耳鼻科を
受診した。鼻をのぞくと腫瘍と思われる病変を認め、CT,MRIを撮ることに
なった。CT(図1A)では右上顎洞(じょうがくどう)から鼻の中に進展する
病変を認め、内部に石灰化(矢印:白い部分)を認めた。またMRI (図1B)で
は副鼻腔炎を認め、さらに鼻の中に進展する著明な低信号域(矢印:真っ黒
の部分)が指摘され、真菌(いわゆる“カビ”)の塊(かたまり)が強く疑
われた。以上より、内視鏡下で鼻内手術が行われ、鼻腔、右上顎洞の腫瘤
(しゅりゅう)を取り除き、粘膜の清掃を行って、症状は改善した。病理検
査にて、真菌であるアスペルギルスの塊が確認され、真菌性副鼻腔炎と診断
された。
真菌性副鼻腔炎とは・・・・・・
自然環境にみられるさまざまな真菌(いわゆる“カビ”)は、健康な人の
鼻や副鼻腔にも存在します。これらの真菌は通常は悪さをしませんが、時に
は菌が増殖し、塊(かたまり)を作って、強い炎症を引き起こすことがあり 図1B:MRI:T2強調画像
ます。特に糖尿病、悪性腫瘍などの基礎疾患がある方に起こりやすく、最近
では抗生剤、副腎皮質ホルモン(ステロイド)薬、免疫抑制薬の頻繁な使用
が誘因になります。真菌のなかでもアスペルギルスによることが最も多く、
続いてムコールやカンジダが原因になります。症状は、主に膿性または粘性
の鼻汁(びじゅう)で、悪臭を伴い、それ以外に鼻閉や痛み、鼻出血を引き
起こすことがあります。さらに炎症が眼や脳のなかに進展すると、激しい頭
痛、眼球突出、視力障害などを起こし、重篤な症状をもたらします。治療
は、早期に内視鏡下で鼻内手術が行われ、副鼻腔の真菌塊を取り除き、病的
粘膜の清掃を行います。よって、真菌性副鼻腔炎は早期診断が重要であり、
画像診断の担う役割は非常に大きい。CTでは真菌の代謝よって生じたカルシ
ウムによって高吸収(=白く映ること)として描出され、中心部の壊死部分
(=腐った部分)がカルシウム沈着によって石灰化を起こすと、強い高吸収部
分を伴います。またMRIでは真菌の代謝によって生じたマンガン、鉄イオンに
よって、著明な低信号(=真っ黒に映ること)として描出されます。今回は、
これらの典型的な画像より、早期に診断し、処置することができた。
文責:放射線科
松木
充
入院時の唯一の楽しみともいえる食事…栄養科では入院中に少しでも行事の気
分を味わっていただこうと、栄養価を考えながら日々の食事を提供していま
す。また、どのようにして献立を考えているかなどの一言も載せています。
平成20年7月7日
☆七夕献立☆
・ちらし寿司
・冷やしそうめん
・夏野菜の炊き合わせ
・すいか
エネルギー
たんぱく質
脂質
塩分
644kcal
18.9g
7.8g
3.9g
☆献立一言メモ☆
*七夕献立について*
七夕といえば、織姫と彦星の物語が有名ですが、地
方によって様々な言い伝えがあります。
中国のある地方では、七夕にそうめんを供えて祀
り、この日にそうめんを食べれば疫病から免れると言
わ れ て い ま す。日 本 の 東 北 地 方 の 伝 説 で は、女 夫 星
(七夕星)になった夫婦の魂を供養するために、そう
めんを食べると言われています。
当院でも、献立にそうめんをとり入れ、涼しげに仕
上げました。
メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の診断基準が国際的に統一され、腹囲が
診断の必須条件から外れることが分かった。年内にも暫定基準が公表され、今後、世界の
メタボ診断や治療・研究は、統一基準に基づいて行われる。一方、日本が今年度から始め
た特定健診・保健指導(メタボ健診)では、腹囲測定が必須でシンボル的存在。今回の統
一は、国際的に日本の特異さを際立たせることになる。
世界には複数のメタボ診断基準があり、混乱が生じている。このため、約150カ国の
専門家が参加する国際糖尿病連合(IDF)と、米国コレステロール教育プログラム(N
CEP)が中心となって、診断基準の統一を呼び掛け、今年2月から協議を進めた。
IDF基準は、腹囲が基準値以上で、中性脂肪など血液検査の結果の4項目のうち2項
目に異常があればメタボと診断する。腹囲は人種別に定めている。一方、NCEPと米心
臓協会・米国心肺血液研究所は、腹囲など5項目のうち3項目に異常があればメタボとする。腹囲は必須条件で
はなく、基準値は1種類しかない。日本はIDFと同じ考え方に基づく。
統一基準はNCEPを基本とし、腹囲は必須条件から外れるが、人種別に定める。NCEP基準は肥満でなく
ても他の項目に異常があればメタボと診断される。日本では、肥満ではない生活習慣病患者も多く、腹囲を必須
にした場合、「見落とし」を懸念する声が出ていた。
米国心肺血液研究所のジェームズ・クリーマン博士によると、同研究所などが今後、暫
定基準に合致する人とそうでない人を対象に、心血管疾患発症や死亡率の違いを分析し、
診断基準としての科学的妥当性を検討する。
日本基準の腹囲については、これまでも科学的根拠に疑問が出されている。基準策定で
中心になった日本肥満学会理事長で松澤佑次・住友病院長は「日本の基準は、内臓脂肪が
メタボの原因にあるとの考え方から、腹囲によって対象者をNCEPよりも絞り込んでい
る。効率的な対策を実施するという意味では日本基準は正しく、変える必要はない」と話
している。
参考文献:毎日新聞(H20.8.20)
羽曳野市立羽曳野中学校より
6月10日∼12日の3日間にわたり、羽曳野中学校から1名の中学生が城山病院へ労働
体験学習に来られました。今回の3日間の労働体験学習では、病棟で看護師に付き添いバイ
タルサインの測定や観察、日常生活援助などを体験されました。その他には、リハビリテー
ション科で理学療法士・作業療法士のリハビリ訓練の見学をされ、薬局では、内服薬の袋詰
めを行ったり処方窓口の体験をされました。また、労働体験学習最終日には、当院で行った
消防訓練にも特別に参加していただき、避難誘導訓練や消火栓(中は水ですが・・・)での
消火訓練も体験していただきました。今回、当院に来ていただいた中学生にとって良い労働
体験学習になったのではないでしょうか。
地域社会体験学習を終えて
職場体験の3日間、本当にお世話になりました。
学校や日常の生活ではできないことを、たくさん体験させてもらって、すごくワクワクして楽しかったで
す。看護師さんの体験では、患者さんの体を拭いたりお茶をあげたりして、最初は体験全部に戸惑ったけれ
ど、慣れてくると楽しくて「できた!!」と思えて嬉しかったです。看護助手さんは、、おしぼりを巻いた
り、シーツ・枕カバー・布団のシーツを巻いたり、器具を運んだりと看護師さんのお手伝いをしていることが
わかりました。看護師さんを見ていて、ドクターさんや看護助手さんなど、皆がいる
から病院は成り立っているんだなと思いました。また病院は、いつも清潔じゃないと
いけないということがわかりました。それから、今カルテはコ
ンピュータで記入しているということを初めて知ってビックリ
しました。今の病院は、たくさんのコンピュータが導入されて
いるということがわかりました。
3日間、ありがとうございました。
(I.Iさん)
保
健
所
の
立
入
検
査
例年よりも約1ヶ月から2ヶ月早い今回の藤井寺保険所の立入検査が8月11日(月曜日)に実施されました。関係各
位の皆様方のご協力本当に有難う御座いました。皆様方のご協力で特に大きな指摘事項もなく無事に検査を終え
ることが出来ました。具体的には、8月8日(金曜日)の午後からの立会検査スタートとなりました。当日は、栄養
部・総務部の資料調査に始まり検査員の方が過去・現在の資料をつぶさに検分され初日が終了となりました。
2日目は、週明けの検査本番です。立会検査員の方々12名に対し病院からも院長先生始め担当者・関係者が十
数人で対応に当りました。
今年の立入検査のテーマは、「①医療従事者の確保」、「②無資格者による医療行為の防止」、「③医療安全
及び院内感染防止の為の体制の確保と対策の推進」、「④医薬品及び医療機器の安全管理の
ための体制の確保」、「⑤診療用放射線に関する安全管理の徹底」の5項目を中心として建
物の改造・部屋名(掲示)等の変更が無いか徹底した検査となりました。
結果、医療法違反・その他法令違反等は該当なしの通知を頂く事が出来ました。職員・関
係各位の皆様方のご協力本当に有難う御座いました。今回の経験が将来に十分に生かせるよ
うお互いに切磋琢磨し良い病院、地域の方々に頼りにされる病院を目指して行こうでは有り
ませんか来年も宜しくお願い致します。
文責:髙
英次
ICUに勤務している、藤原輝美と中家弘恵です。私たち
2人は呼吸に興味があり各自で勉強していたところ、呼
吸療法認定士という資格があることを知り、勉強会等に
参加し資格を取得しました。合格したときは本当に嬉し
かったのですが、この資格をどう活用したらいいのか考
え、看護部長から「自分の持てる知識をみんなへ伝え、
そして自分も共に成長する」と言うことから勉強会を行
うことになり、「第一回呼吸セミナー」を7月4日に開催しました。当日は音声の
トラブルがあったりしてスムーズに行えなかった反省点もあるものの、自分たちで
頑張ったことは、参加してくださった皆さんに何か伝わったと思っています。38
名の参加者が来ていただいたことに驚きと緊張、そして、みんな呼吸に関心がある
んだと、再確認させてもらうことができました。次回は「代表的な疾患の画像を読
影する」の予定です。年間を通してシリーズで開催していきます。いろいろな方の
助言をいただき2人で力を合わせて頑張りますので、興味のある方はどんどん参加
していただき、また試験に挑戦してみてください。新たな呼吸療法士の方が誕生す
るのを心待ちにしています。そして、来年は一緒に活動できることを楽しみにして
います 。
文責:看護師
医療法人春秋会
城山病院
〒583-0872 大阪府羽曳野市はびきの2−8−1
Tel 072-958-1000(代表)
Fax
072-958-8814
http://www.shiroyama-hsp.or.jp/
E-mail:[email protected]
<関連病院・施設>
医療法人春秋会 西大阪病院
医療法人春秋会 介護老人保健施設 きし
脳神経外科
脊髄外科
脳血管内治療科
神経内科
循環器科
心臓血管外科
一般内科
消化器外科
消化器内科
乳腺外科
整形外科
放射線科
中家
弘恵
救急救命科
総合診療科
ペインクリニック
腎臓 血液内科
泌尿器科
形成外科 美容外科
皮膚科
検診科
眼科
耳鼻咽喉科(休診中)
麻酔科
リハビリテーション科