平成18年10月期 - 巴工業

Vol.
13
Tomoe Report
株主、投資家のみなさまへ
第77期 決算のご報告
2005年11月1日から2006年10月31日まで
売上高
2007年10月期は機械事業の海外
45,551
46,935
47,331
(百万円)
分野が大幅増収となり、化学品事業
では合成樹脂関連が落ち込むことか
ら減収となりますので、全体では僅
連結決算
ハイライト
かながら前期を上回る見込みです。
04/10
経常利益
05/10
06/10
2007年10月期予想
前期比 1.4% 480億円
2,222
1,720
1,955
(百万円)
両事業での新たなマーケット攻略と
ともに、機械事業では継続的なコス
トダウン体制を確立し、化学品事業
04/10
05/10
06/10
では高付加価値商材を拡大すること
により、中期経営計画の目標数値達
成に向け、注力します。
当期
純利益
1,139
1,267
745
(百万円)
04/10
一株当たり
当期純利益
05/10
06/10
当期純利益
前期比 2.6% 13億円
127.02
109.99
一株当たり当期純利益
前期比 2.6% 130.27円
70.48
(円)
1
2007年10月期予想
経常利益
前期比 8.0% 24億円
04/10
05/10
06/10
会長
インタビュー
Q
当期の業績についてお聞かせください。
画の効果が増益につながっていることを実
また、中期経営計画は残りあと1年ですが、
感しています。機械事業では、巴グループ
順調に進んでいますか?
が一体となったコスト低減体制が確立され、
当期の業績については、売上高は微増に留
まりましたが、利益面では機械、化学品両
連結子会社の業績貢献度が上がっています。
(詳しくは両事業の営業の概況「業績」をご
事業とも健闘し、グループ全体で過去最高
参照下さい。)
を達成することができました。この要因は
中期経営計画については、機械事業は海外
化学品事業にあり、海外の中国向け合成樹
マーケットの深耕を戦略として掲げており、
脂関連が順調で、国内でも輸入品販売が全
アジアでは中国、インド、欧米では米国に
般に好調でした。輸入品は建材用途向け鉱
焦点を当てています。上海にサービス拠点
物類や、半導体業界の好調に支えられたIC
と生産拠点を設けた中国では、従来化学工
トレイなどが牽引し、売上高だけでなく利
業分野を中心に収益をあげてきましたが、
益面にも大きく貢献しました。機械事業は、
新分野として取り組んでいる下水処理分野
海外向けの売上高が低調でしたが、国内の
が徐々に成果を出し始めており、今後の業
下水処理場向けなどが好調で、売上高、利
績貢献に期待しています。インドでは、三
益とも計画を下回ったものの、高い収益水
菱化学様が新製造プロセスによるテレフタ
準を維持できたことも大きな要因でした。
ル酸プラントの建設を進めていますが、こ
社長就任以来取り組んできた収益構造の改
のプラント向けに遠心分離機の大型受注を
善や、昨年度から実施している中期経営計
しました。米国は、直販が可能となったこ
2
とで代理店を置き、販売体制を強化してい
により、機械事業の戦略面は着実に進展し
ます。国内の官需分野、民需分野でも堅調
ている印象を強く持っています。
な見通しです。一方、生産体制については、
化学品事業は、5つの事業グループ(合成樹
子会社群が重要な役割を着実に果たすよう
脂関連、工業材料関連、化成品関連、機能
になったことから、機械事業全体の利益に
材料関連、電子材料関連)が、いかに迅速に
貢献できるようになりました。また、子会
ユーザーのニーズに対応した新商材の提供
社の巴マシナリーで、懸案であった遠心分
ができるかがキーファクターであり、それ
離機の重要部品であるコンベアの組み立て
ぞれ独自の方法で日夜取り組んでいます。
の一貫工程が確立するとともに、主力のサ
最近では、ナノ加工技術に関する国内代理
ガミ工場での内製化も進んでいます。これ
権の獲得や、中国華南地区を中心に合成樹
中期経営計画(TBC25)
●経営体質の強化
コーポレートガバナンス
コンプライアンス
環境マネジメントシステム
●企業体質の転換
マンパワーの活性化と有効利用
経営基盤の強化(常に安定した経常利益を確保できる)
財務体質の強化(キャッシュ・フロー経営の確立)
機械事業戦略
①継続的コストダウン体制の確立
②海外マーケットの販売強化、体制確立
化学品事業戦略
①集中と選択によるコア事業強化
②新ビジネスモデル、事業機会にチャレンジ
3
企業価値向上
株主への還元
脂原料や合成樹脂成形品などをOA、IT機器
進捗状況下にあると見ています。(詳しく
分野、さらには発展著しい自動車産業に納
は両事業の営業の概況「展望」をご参照下
入するなど、確実に収穫につながっていま
さい。)
す。これにより、化学品事業でも来期も当
私が経営を任されてから6年が経ちました
期並みの業績が可能の見込みであり、ほぼ
が、この間次世代のために成長発展の基盤
中期経営計画どおりに進行しています。
をなんとしても確立したいとの思いから、
このように、第7回の中期経営計画を概観
経営に心血を注いできました。そのために
しますと、化学品事業の売上高でマイナス
巴工業の透明性を高めるとともに、危機感
要因はありましたが、利益面については機
の共有を優先事項とし意識改革に取り組ん
械、化学品両事業とも、概ね計画どおりの
できました。その結果、確実に改革の成果
が実り、お陰様でこの5年間は増益を継続
できる見通しです。また、コンプライアン
経常利益/売上高経常利益率
経常利益(百万円)
売上高経常利益率(%)
4.2
1,955
4.7
5.0
2,222
2,400
スやリスクマネジメントを主導する「業務
監査室」の設置や『行動規範』の制定によ
る内部管理体制の強化、ISO14001の審査
登録の完了など、ガバナンスにも注力し、
経営体質の強化を図ってきました。3カ年
05/10
06/10
の中期経営計画はあと1年となりましたが、
07/10
具体的な目標を掲げ、全社一丸となって
(予想)
取り組むことの意義を改めて痛感しており
配当金/配当性向
配当金(円)
29.5
31.4
23.0
配当性向(%)
ます。
これからも、企業価値を一層向上させるた
めに、両事業が改善すべき点はまだまだあ
25
(10)
05/10
30
(10)
ると思います。今後も決して気を緩めるこ
30
となく、恒常的なコスト低減の基盤を定着
06/10
させ、安定成長の継続を追求していかなけ
07/10
(予想)
( )は記念配当及び内数
4
ればなりません。
部上場を達成したのです。
なお、当期(2006年10月期)の業績に鑑
新社長以下の経営振りに期待したいと思い
み、配当金は、普通配当を一株当たり前期
ますが、次の中期経営計画において、新社
の15円から20円、さらに創業65周年の記
長色の強いビジョンが打ち出されることで
念配当として一株当たり10円を加えて、
しょう。そして、やはり新たな成長戦略が
30円とさせていただきました。
不可欠になると思います。これは、私が取
り組んできたことよりも、はるかに難しい
Q
新社長となる本間常務に期待するのは
経営課題だと思いますが、新社長のもと、
どのようなことでしょうか。
新たな経営陣のバイタリティーを以って力
強く取り組んでもらいたいと希望します。
巴工業は、メーカー機能と専門商社機能を
また、現状に甘んじることなく、
「油断大敵」
併せ持った特徴的な業態です。二つのエン
を戒めとして今後に臨んでもらいたいと思
ジンが正常に機能してこそ、当社は安定成
います。
長が可能であり、片肺飛行ともなれば墜落
最後になりましたが、私がここまでやって
の危機もありえます。そこで私は社長に就
こられましたのは、ひとえに、当社株式を
任すると、当時先行き不透明であった機械
保有し、支援して下さる株主の皆さまのご
事業の収益構造の再構築に取り組みました。
理解があったからこそであります。改めて
その成果が3年目くらいから出始め、これ
感謝申し上げますとともに、変わらぬご理
ならという手ごたえを感じた4年目に、二
解とご支援のほど、よろしくお願い申しあ
部上場にチャレンジすることにしました。
げます。
しかし、一流企業の仲間入りをするにはま
だまだの状況であり、東証の審査という厳
しい関門をくぐることで、問題解決をしな
がらステップアップを目指しました。機械
5
事業の業績も飛躍的に改善され、巴グルー
プとして増益を重ねる中、念願であった一
2007年1月
取締役会長 福間
英昭
社長ごあいさつ
の偽らざる心境であります。2007年10月
期につきましては、前社長による第7回の
中期経営計画の最終年度であり、今回ご報
2007年1月30日の株主総会後に代表取締
告申しあげました計画の実現に向けて最善
役社長に就任しました本間實でございます。
を尽くすというのが、私に課せられた当面
入社以来、化学品事業一筋でございまして、
の目標であります。2008年10月期以降に
社長就任前は化学品事業の本部長を拝命し
つきましては、新たな中期経営計画の策定
ておりました。このたび図らずも社長の大
を通じて、私なりの新機軸を打ち出したい
役を引き継ぐことになりましたが、日夜思
と考えております。
い悩む日々が続いております。
巴工業の成長発展に向けて全力を傾注し、
前社長の福間はこの6年間に大きな成果を
株主、投資家の皆さまにご満足いただける
あげてきました。特に機械事業の再構築を
結果を残してまいる所存でございます。今
断行し、業績の安定成長の基礎を築きまし
後も前社長同様、社長主導のIR活動を実施
た。昨年(2005年)には目標としていた東
してまいりたいと思いますので、よろしく
証一部上場企業まで上り詰め、集大成とい
お願い申しあげます。
うべき2007年10月期の業績も、5期連続
の増益で締めくくる計画を樹立できました。
こうした実績の後を引き継ぐわけですから、
2007年1月
代表取締役社長 本間
實
大役以上に大変であるというのが、今の私
社長
プロフィール
生年月日
1947年(昭和22年)10月15日
血 液 型
O型
リラックス法
週末のテニス
愛 読 書
特になし(ビジネス雑誌を複数講読)
最近読んで感動した本
「ドラッカー入門」
最近気になったニュース 自治体首長の不祥事
尊敬する経営者
ヤマト運輸 元社長 小倉昌男氏
6
巴工業は、2つの事業体を持つ、
ユニークな企業です。
それぞれが異なるエンジンで
活動しています。
今回は、それぞれの事業を
セグメント別にご説明し、
各事業への理解を深めて
いただくことにしました。
メーカー機能を有しているのは、
機械製造販売事業
その他機械
2%
です。主な製品は工業用の遠心
事業活動で分けると……
分離機で、中でも高速回転に
ワインを置いておくと滓が下に沈んで液体
よる遠心力で処理物の比重差を
と分離しますが、この現象を自然沈降とい
利用して分離するデカンタ型遠
心分離機では日本のトップメー
機械
37%
部品・修理
41%
装置・工事
います。この原理を応用し、機械的な遠心
20%
力により液体と固形物のように比重差のある処理物
を連続的に分離する遠心分離機を、デカンタ型遠心分離機とい
カーです。遠心分離機の用途は
います。処理物に応じて、遠心分離機の回転数(遠心力)を変え
きわめて広範に及びます。取扱
ることにより、広範な用途に対応できます。
い製品は遠心分離機の他、ロー
タリー・プレス・フィルタ、高速
連続炭化装置などが
あります。
機械事業は
メーカー
なんだね
機械
デカンタ型などの遠心分離機が中心ですが、ユー
ザーニーズに対応するため、遠心力方式によらない分離機器の製造
も手掛けています。また、炭化装置、シャフトレス・コンベア、破
砕機などの遠心分離機器以外の製品も数多く手掛けています。
装置・工事
下水処理場などに納入する機械回りの工事を行ってい
ます。最近ではリサイクル関連で、遠心分離機を組み込んだ半導体
分野砥粒回収装置、廃プラスチック処理装置なども納入しています。
部品・修理
遠心分離機の販売台数は、累計で2万台を超えており、
機械には修理や部品の交換は付き物です。
グラフは全て
06/10の売上高比率
その他機械
自社製造・加工を伴わない商品です。
その他
食品・水産
用途で分けると……
8%
2%
機械事業
遠心分離機の最近の3大用途は下水処理、化学工業、食品です。産業別では実
化学・石油化学
24%
に様々な分野で使用されており、皆さんの生活と密接につながっています。遠
下水・し尿
心分離機は1970年代から環境分野にも貢献してきており、環境保全において
66%
も重要な役割を果たしてきました。
下水・し尿関連
主に下水処理場で使用されており、日本の47都道府県に
くまなく設置実績があります。
化学・石油化学関連
様々な合成樹脂の製造工程で使用されており、ペットボトルや合成繊維の原
料となる高純度テレフタル酸、建材やフィルムなどに使用される塩化ビニール樹脂などが主な対象です。
食品・医薬品関連
エキス、すり身、でんぷん、特に皆さんの身近な商品として
知られているグルタミン酸ソーダ(味の素)の製造プロセスで使用されています。
環境関連
下水・し尿関連以外にも、廃プラスチックの再生利用システムに遠
心分離機が使用されています。また、下水汚泥を炭化して補助燃料などに再利用する連続高速
炭化装置などがあります。
紙パルプ・電力・他関連
デカンタ型遠心分離機の特徴は処理対象を選ばないことであり、様々
な分野で使用されています。また、遠心分離機以外の装置のニーズに応じて様々な機械・装置を投
入しています。
需要で分けると……
海外分野
22%
国内のマーケットに比べると、海外の潜在需要はきわめて大きく、最近は海外展開
に注力しており、海外分野の売上高比率も伸長しています。アジアでは中国、
インド、欧米では米国を主戦場として、業績の維持拡大を目指しています。
官需分野
都道府県、市町村の下水処理場の汚泥脱水処理が中心で、廃棄汚泥の炭化や河
官需分野
民需分野
56%
22%
(その他機械を除く)
川汚濁防止用のスクリーンなど、環境保全に対応した機器も提供しています。
民需分野
海外分野
国内の化学工業、食品など、ターゲットとなる産業は多岐に亘ります。
海外では、石油化学、食品、下水処理を主体に日本と同様の需要分野を対象としています。
製品群で分けると……
電子材料
2%
10%
直接皆様の手に届くような商材は取扱っ
ていませんので、皆様には馴染みの薄
その他
機能材料
11%
い商品ばかりです。納入先はメーカーが
化成品
中心であり、対象とする業界も多岐に
17%
亘っており、特定分野に偏ることがない
合成樹脂
45%
工業材料
15%
ため、様々な業績変動要因による影響を受け
もう一つのエンジンは、専門商社
販売事業 です。日本に初め
ポリエチレンを輸入したのは巴工
を日本に輸入し続けており、これ
にくいのが特徴です。
合成樹脂関連 プラスチック原料とそれを加工した製品などが
中心で、活動領域は国内と海外に分かれております。国内では
プラスチック原料を日用雑貨や電線向けなどに販売しています。
プラスチック製品としては、フィルム、シートなどの各種合成
樹脂製品、リサイクルPETなどを販売しています。海外では、
OA、IT機器、自動車分野を対象として合成樹脂の加工原料や成
形部品を供給しています。
工業材料関連
す。永年に亘り、国内産業の発展
基本方針を「Profit to Customers
味するところは、お客様の利益に
て巴工業の利益につながるという
応を求められるケースが多く、お
的、組織的能力があることも強味
世界各地から輸入するシリカフューム、
セノライトなど鉱産物や鉱物類が中心で、これらをフィラー(充填剤、添加剤)と
して建材、塗料・接着剤、肥料・農薬向けなどに販売しています。
化成品関連
塗料・接着剤・インキなどに使用される合成樹脂や添加剤な
どの輸入販売が中心です。
機能材料関連 半導体製造装置に使用されるセラミック部品やナノテクノロジー関連製
品、電極、燃料電池などに使用される炭素・黒鉛製品、半導体用の金属材料などを輸入し
販売しています。
電子材料関連 国内では半導体製造後工程に関係する商品が主体であり、半導体のマイクロ接
合用のツール、半導体の搬送用のトレイなどが主要商品です。海外では、中国華南地区のOA、
IT機器メーカーなどを対象として、実装基板の販売を行っています。
その他
洋酒の輸入を行っています。
化学品事業
機能を持つ 化学工業製品
て米国ユニオンカーバイド社から
業でした。以来、欧米の先端商品
海外to
海外
が化学品事業の根幹をなしていま
17%
55%
28%
& Tomoe」としており、これの意
分けると……
海外to
国内
国内to
国内
を陰で支え続けてきたといえます。
仕入・販売別で
「海外to国内」は化学品事業の伝統的な
ビジネスであり、創業時から業績を牽引
つながる商材の提供が、結果とし
してきたといえます。ニッチで高付加価値
ものです。高度でテクニカルな対
商品の取扱いが多く、非常に収益力に富んでい
客様のニーズに的確に対応する人
るのが特徴です。「国内to国内」は合成樹脂原料や合成樹脂製品
の販売が中心です。合成樹脂関連も輸入からスタートしており、
です。
海外to国内のグループから派生したものです。
化学品事業は
専門商社なのね
「海外to海外」は、合成樹脂関連が付加価値向上を図るため、合
成樹脂の加工機能を保有することを目指していましたが、国内では
なく海外展開の方がメリットがあることから、1989年に中国広東
省の深 経済特別区に合成樹脂の加工を目的として進出したことに
始まります。当地では現地進出の先駆け企業となりました。
海外to国内
海外からの輸入が主体で、工業材料関連、化成品関
連、機能材料関連、電子材料関連の国内が該当します。
国内to国内
国内仕入が主体で、合成樹脂関連の国内がこれ
にあたります。
海外to海外
グラフは全て06/10の売上高比率
化学品事業の海外展開が主体で、中国華
南地区を中心に活動を行っており、これには合成樹脂関
連と電子材料関連の海外が該当します。
25.6%
機械事業
売上高比率
(06/10)
常務取締役
機械本部長
富田 恭平
営業の
概況
11
■業 績
■展 望
2006年10月期の売上高は、前期を3.8%下
2007年10月期売上高は、前期を20.5%上
回る121億17百万円となりました。これは、
回る146億円、営業利益は同じく39.8%上回
国内の官需分野が前期を13.0%上回りました
る11億90百万円とする計画です。これは、
が、海外分野が前期を33.4%下回ったためで
海外分野で前年度に受注した、三菱化学インド
す。
のテレフタル酸プラント向け大型案件が寄与す
官需分野は、ここ数年更新や部品・修理需要が
るもので、海外分野の売上高は前期比97.4%
堅調で、当期も大都市向けの大型機が好調、特
増と、ほぼ倍増の51億10百万円の計画です。
に装置・工事が伸長したことが要因です。
国内は、官需分野の売上高は前期を4.9%下回
民需分野は、鉄鋼会社の脱硫設備向け大型案件
りますが、民需分野は13.0%上回る計画と
の延期が響き機械販売は低調でしたが、部品・
なっています。
修理は順調で、前期並みを維持しました。
官需分野は、大都市汚泥処理設備の再構築需要
海外分野が低調だったことが、機械事業のマイ
に支えられ63億70百万円と、機械事業の収
ナス成長の要因です。プラント向けの納入が多
益維持に貢献するものと見ています。
い海外では工事納期の関係もあり、端境期現象
民需分野は、廃プラスチック処理や半導体砥粒
が時々見られますが、当期がそれにあたります。
回収装置などリサイクル関連が前期に引き続き
これに加え大型案件の納期延期や失注などの
貢献し、28億90百万円の計画です。
要因があり、特に機械の販売が大幅に落ち込み
当期は中国上海に設立した生産子会社 巴栄工
ました。
業機械(上海)有限公司が、生産を開始します。
半導体砥粒回収装置が貢献した装置・工事や販
業績貢献にはもう少し時間がかかりますが、前
売強化に注力した部品・修理は堅調に推移しま
期スタートしたサービス拠点とともに重要な役
した。
割を担う予定です。
営業利益は、販管費などを節減しましたが、
生産子会社については、コストダウン機の製造
前期を12.5%下回る8億51百万円となりま
を目指しており、中国国内、日本、韓国などへ
した。
の供給を目指しています。
■中期展望
せん。今後も引き続き努力を傾注します。
2007年度は大型案件の受注もあり、売上高
これまでお客様のニーズに遠心分離機を通じて
は目標を上回り、営業利益面も目標に近い計画
ご協力することにより、多くの需要につなげて
です。
まいりました。最近では、三菱インドのテレフ
販売戦略では、国内の伸び悩みを海外によりカ
タル酸プラント向けの遠心分離機がそれにあた
バーし、業績の向上を図るとしていましたが、
ります。同社のテレフタル酸の市場のシェア拡
アジアでは中国やインドにおいて化学工業分野
大戦略はプラントプロセスの合理化によるプラ
を中心に成果が出つつあり、米国でも2代理店
ントコストの低減によるものであり、当社では
による当社主導の販売体制を確立し、今後の業
遠心分離機の機能拡大により、同社の意図の実
績への貢献が期待できる見込みです。
現に貢献した結果、大型受注につながったもの
中国でも、サービス拠点や生産拠点を設けるこ
です。こうした機能はこの例に始まったわけで
とで、コストダウンにつながるなど多くのメ
はなく、当事業の優れた対応力の産物だといえ
リットに期待しています。ただ、大きな戦略
ます。
テーマであった中国国内の下水処理市場の攻略
地球温暖化やエネルギー問題から、新たな市場
がやや遅れ気味であり、地道な営業活動を継続
が出てきていますが、当事業でも新たな需要分
して、しっかりと地歩を固めていきたいと考え
野としてエタノールや石炭改質などエネルギー
ています。
分野に注目しており、今後重点的に取り組んで
生産体制の再構築によるコスト削減は、メー
いきたいと考えています。このような事例を、
カーとして常に取り組まなければならないテー
そのつどご紹介してまいります。
マであり、これで終わりというものではありま
売上高(百万円)
12,600
11,185
259
4,534
1,187
5,205
04/10
12,117
240
273
4,710
4,976
1,587
2,470
6,063
(百万円)
営業利益率(%)
機械
装置・
工事
部品・
修理
その他
機械
7.7
7.0
5.8
4,398
05/10
06/10
海外売上高(百万円)
(%)
04/10
05/10
06/10
(百万円)
3,334
41
412
445
453
3,887
733
253
528
362
1,983
2,011
04/10
05/10
2,589
247
221
524
256
1,341
06/10
中国
台湾
韓国
その他
アジア
アジア
以外
12
74.4%
化学品事業
売上高比率
(06/10)
常務取締役
化学品本部長
(新任)
住岡 進
■業 績
しました。
2006年10月期の売上高は、前期比2.6%増
13
の352億14百万円でした。これは、中国向け
■展 望
合成樹脂原料や合成樹脂製品の売上増、国内の
2007年10月期は、売上高は334億円で、前
工業材料関連や電子材料関連の売上が伸びたこ
期に対して5.2%の減収を計画しています。国
とから、若干ながら前期実績を上回ったことに
内の輸入品を中心とした販売は引き続き堅調を
よるものです。基板実装の取引中断により売上
見込んでいますが、海外の合成樹脂関連が落ち
高は大きく減少したものの、利益面への影響は
込む見通しであり、これが売上高マイナスの要
軽微でした。
因です。中国深
中国向け合成樹脂関連については、合成樹脂原
生産を国外に移管することから、当社香港現地
料が中国のOA機器に加え自動車向けが伸びた
法人の売上高が大きく減少することに起因しま
ことや、リサイクル原料の伸長が要因です。
す。国内は、前期好調だった工業材料関連(鉱
国内では輸入品が全般的に順調で、元来利益率
物類)、電子材料関連(電子部品)に加え、前期
が高いため、売上高の伸長とともに、利益面に
やや低調だった機能材料関連(高機能セラミッ
大きく貢献しました。
ク部材)の巻き返しなど輸入品の国内販売が伸
工業材料関連は、シリカフュームや水酸化アル
びる見込みです。国内販売において売上増を牽
ミなどの建材向け鉱物類が牽引し、売上高は前
引する具体的要因は、工業材料関連においては、
期比20%超となりました。
シリカフュームなどの土木・建材用鉱物類、機
電子材料関連は半導体需要が全般に旺盛で、当
能材料関連では高機能半田材料、また電子材料
事業取扱いのICトレイなどが牽引し、電子部品
関連ではICトレイなどであります。このように
及び材料の売上高は、前期比30%超の大幅な
売上総利益率の高い商品の伸びが大きく、減収
伸びとなりました。
にもかかわらず売上総利益は前期を上回る見込
営業利益面は、利益率の高い輸入商材が全般的
みですが、営業利益については本社移転などで
に順調でり、販管費の伸びを当初計画以下に抑
販管費が増加することにより、前期比3.1%減
えたため、33.4%増の12億59百万円を達成
の12億20百万円を計画しました。
の日系OA機器メーカーが
■中期展望
伸びをすべて吸収することはできませんが、高
当事業の基本方針は、「Profit to Customers
付加価値の輸入商材の拡大により、利益面では
& Tomoe」であり、常に新たな商材開発が成
大幅な落込みもなく推移するものと見ており、
功の鍵であります。来期は「ナノテク・ハイテ
2007年をゴールとする中期経営計画の目標
ク、環境、天産物」をキーワードとして、従来
数値の達成に向けて、一層の経営努力に傾注す
通り高付加価値商品の開発を継続させていきま
る所存です。
す。一方でハイリスク・ローリターンビジネス
からの撤退をさらに進めます。国内では、国内
合成樹脂原料から輸入合成樹脂原料へのウエー
米国Primet社と同社製品の
日本における総販売代理店契約を締結
トシフト、高利益率が期待できるナノ分野の開
発と拡販、またシリカフュームをはじめ、各部
2006年10月に米国Primet社と同社製品の日本における総
門で日本一となる商材を探求し育成していきた
販売代理店契約を締結いたしました。Primet社は、ナノ
いと考えています。海外では、成長著しい中国
セッション法により、いろいろな物質をナノサイズにまで
で新たなマーケット攻略の基礎作りを目指すと
ともに、香港、中国深
微細化する技術を持っている会社です。この技術は、ナノ
の子会社を核として、
粒子の粒径だけでなく形状までコントロールが可能で、多
中国華南地域のOA、IT、自動車関連メーカー
くの特許に守られています。化粧品業界、インクジェット、
を対象に合成樹脂原料や合成樹脂製品の拡販を
燃料電池分野を対象に、酸化チタン、GaN(化合物半導体材
図る予定です。こうした国内外の対応により、
料)、ITO(酸化インジウム)、各種顔料のナノ製品化を紹介
引き続き高い売上総利益率を維持していきたい
してまいります。
と考えております。2007年度は、販管費の
売上高(百万円)
営業利益率(%)
(百万円)
34,366
723
5,445
3,707
4,126
4,555
15,809
04/10
34,334
708
4,895
3,962
5,493
4,412
35,214
857
3,572
3,770
5,766
14,864
15,953
05/10
5,296
06/10
(%)
合成樹脂
工業材料
化成品
機能材料
電子材料
輸入洋酒
海外売上高(百万円)
9,011
280
160
(百万円)
7,938
486
157
3.1
04/10
3.6
05/10
06/10
194
5,898
5,542
2.8
中国
6,862
436
4,951
2,673
1,753
1,281
04/10
05/10
06/10
香港
その他
アジア
アジア
以外
14
貸借対照表
自己資本/自己資本利益率
自己資本(百万円)
自己資本利益率(%)
要約
財務諸表
(連結)
13,273
14,336
目
前期末(05/10)
目 前期(99/10)
8.5
5.8
05/10
06/10
総資産/総資産利益率
総資産(百万円)
総資産利益率(%)
28,721
27,208
4.2
22,082
23,252
1,169
24,410
固定資産
5,126
5,556
429
5,082
有形固定資産 2,963
2,929
△33
2,878
無形固定資産 14
11
△3
12
投資その他の資産 2,148
2,615
466
2,191
27,208
28,808
1,599
29,493
11,947
12,304
356
13,516
固定負債 810
786
△24
750
負債合計 12,758
13,090
332
14,266
株主資本
14,045
15,021
975
14,741
資本金
1,061
1,061
―
1,061
資本剰余金
1,483
1,483
―
1,483
利益剰余金
11,863
12,839
976
12,559
△362
△362
△0
△362
評価・換算差額等
290
537
247
349
少数株主持分
114
158
44
136
純資産合計
14,450
15,717
1,267
15,227
負債及び純資産合計
27,208
28,808
1,599
29,493
【負債の部】
流動負債 【純資産の部】
28,808
4.5
2.8
自己株式
04/10
05/10
当中間期末(06/4)
流動資産
資産合計 04/10
(06/10)
増減額
当期末
当期(00/10)
【資産の部】
15,559
8.3
科
科
(百万円/単位未満切捨て)
06/10
※前期末、当中間期末の純資産の部は当期末の表示区分に組替えて表示しております。
Check Point 1
15
流動資産は機械事業の仕掛品増によるたな卸資産が増加し、流動負債では支払手形
及び買掛金などが増加しました。また、利益剰余金が増加したことで総資本が増加
しました。自己資本比率は前期末の52.7%から当期は54.0%と上昇し、財務体質
が一層強化されました。
損益計算書
(百万円/単位未満切捨て)
前期
当期
(04/11∼05/10)
(05/11∼06/10)
46,935
47,331
395
営業利益
1,917
2,110
193
経常利益
1,955
2,222
267
税金等調整前当期純利益
1,954
2,252
298
当期純利益 1,139
1,267
128
科
科
目
目 売上高
キャッシュ・フロー計算書
科
科
Check Point 2
増減額
化学品事業の売上増とそれに伴う売上総
利益率の上昇により、営業利益率は前期
から0.4ポイント増加しました。また、
営業外収益として為替差益の増加や特別
利益として当期に発生した貸倒引当金
戻入益などを計上したことにより、当期
純利益は128百万円増加の1,267百万
円となりました。
(百万円/単位未満切捨て)
目
目 前期
当期
(04/11∼05/10)
(05/11∼06/10)
Check Point 3
税金等調整前当期純利益の増加や仕入債
務の増加などが要因となり、883百万
円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フロー
468
883
投資活動によるキャッシュ・フロー
△257
△336
財務活動によるキャッシュ・フロー
△459
△838
現金及び現金同等物に係る換算差額
25
15
現金及び現金同等物の減少額
△223
△275
売上高
1.14
現金及び現金同等物の期首残高
1,735
1,511
経常利益
1.24
現金及び現金同等物の期末残高
1,511
1,235
当期純利益
1.33
連単倍率
株主資本等変動計算書 (05/11∼06/10)
(百万円/単位未満切捨て)
株主資本
資本金
資本剰余金
利益剰余金
評価・換算差額等
自己株式
株主資本合計
その他有価証
券評価差額金
繰越ヘッジ
損益
為替換算
調整勘定
評価・換算
差額等合計
少数株主持分
純資産合計
1,061
1,483
11,863
△362
14,045
295
―
△5
290
114
14,450
剰余金の配当
―
―
△249
―
△249
―
―
―
―
―
△249
役員賞与
―
―
△41
―
△41
―
―
―
―
―
△41
当期純利益
―
―
1,267
―
1,267
―
―
―
―
―
1,267
自己株式の取得
―
―
―
△0
△0
―
―
―
―
―
△0
5
205
36
247
44
291
2005年10月31日残高
連結会計年度中の変動額
株主資本以外の項目の連結
会計年度中の変動額(純額)
連結会計年度中の
変動額合計
2006年10月31日残高
―
―
976
△235
975
5
205
36
247
44
1,267
1,061
1,483
12,839
△362
15,021
301
205
30
537
158
15,717
16
■発行する株式
株式の
状況
(2006年10月31日現在)
発行可能株式総数
24,550,000株
発行済株式の総数 10,533,200株
資本金 10億6,121万円
株主数 2,779名
■所有者・所有株数別状況
外国法人等
1,016,800株
9.65%
その他の国内法人
761,072株 7.23%
金融機関
1,529,450株 14.53%
個人・その他
7,164,525株
68.01%
証券会社
61,353株 0.58%
所有者別
状況
個人・その他には自己名義株式
554,008株を含んでおります
100単元以上
102名
3.69%
50単元以上
90名 3.25%
10単元以上
646名 23.34%
1単元以上
1,642名
59.32%
5単元以上
288名 10.40%
注) 単元未満株主は
含まず
所有株数別
状況
100単元以上には自己名義株式
5,540単元を含んでおります
■株価チャート
(円)
3200
2400
1600
800
0
17
11月 12
2004年
1
2
3
4
5
6
7
2005年
8
9
10 11 12
1
2
3
4
5
6
2006年
7
8
9
10
商号
所在地 巴工業株式会社
東京都品川区大崎一丁目2番2号
(2007年1月15日の本社移転により上記に変更)
設立年月日
1941年(昭和16年)5月29日
資本金
10億6,121万円
従業員数
638名(連結) 353名(単体)
主要な事業内容
〈機 械 事 業〉遠心分離機はじめ各種分離機および応用装置・関連機器の
製造・販売ならびに一般機器・装置類の販売
〈化学品事業〉合成樹脂、化学工業薬品、無機材料、電子材料、洋酒類
ならびにこれらの関連製品・加工品の輸出入および販売
会社の
概況
(2006年10月31日現在)
ホームページURL http://www.tomo-e.co.jp
■役 員(2007年1月30日現在)
代表取締役社長
本間 實
取 締 役
白石 均
取 締 役 会 長
福間 英昭
取 締 役 小長井 博
常 務 取 締 役
富田 恭平
取 締 役 山本 仁
常 務 取 締 役
住岡 進
常任・常勤監査役
木曽 正勝
取 締 役
苅田 鉱一
常 勤 監 査 役
伊藤 健一
取 締 役 塩野 昇
社 外 監 査 役
柴田 敏之
取 締 役 池
社 外 監 査 役
吉田 延白
取 締 役
畠山 計收
健介
■事業所
■関係会社
本 社
東京
巴マシナリー株式会社
支 店
大阪・ソウル
巴機械サービス株式会社
営業所
福岡・札幌・名古屋・仙台・沖縄
巴物流株式会社
工 場
サガミ・湘南
巴ワイン・アンド・スピリッツ株式会社
事務所
ニューヨーク・ジャカルタ・上海
星際化工有限公司
星際塑料(深
)有限公司
巴工業(香港)有限公司
巴栄工業機械(上海)有限公司
18
株主メモ
■決算期
毎年10月31日(年1回)
■1単元の株式数
100株
■配当
期末配当は、毎年10月31日の最終の株主名簿および実質株主名簿によって行
います。中間配当をする場合は、4月30日の最終の株主名簿および実質株
主名簿によって中間配当を行います。
■公告方法
当社の公示方法は、電子公告といたします。
■決算公告掲載アドレス
http://www.tomo-e.co.j p
■株主名簿管理人
〒103-0028
東京都中央区八重洲一丁目2番1号
みずほ信託銀行株式会社
■事務取扱場所
〒103-0028
東京都中央区八重洲一丁目2番1号
みずほ信託銀行株式会社 本店証券代行部
■事務取次所
みずほ信託銀行株式会社全国各支店
みずほインベスターズ証券株式会社本店および全国各支店
■お問合せ先(郵便物送付先・電話問合せ先)
〒135-8722
東京都江東区佐賀一丁目17番7号
みずほ信託銀行株式会社 証券代行部
電話 0120-288-324(フリーダイヤル)
本報告書には、業績予想等に関する記述が含まれておりますが、
実際の業績は様々な要因により予想数値と異なる可能性があります。
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