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古記録に基づく東海・南海地震の余震研究
小山研究室
30216032
谷田竜一
発表の流れ
1.
2.
3.
4.
研究目的
研究方法
研究結果
考察と今後の課題
研究目的


余震の起き方は地震によってさまざまで、極端
に多い場合や少ない場合などある。またM8クラ
スの地震ともなれば、M7の余震が発生する場
合があり、防災上深刻である。
東海・南海地震の余震が過去どんなものであっ
たかを古記録から押さえることは重要である。し
かしそのような研究がこれまでほとんど行われ
ていないため、本研究では、東海・南海地震の
余震の起き方を古記録に基づいて調査する。
研究目的②


古記録の記述をもとに、
過去おおよそ100~150年
の周期で何度も東海・南
海地震が起こっていたこ
とがわかった。(右図)
本研究では、右図の地震
のうち、記録の乏しい684
年白鳳の地震以外の、8
つの地震について、その
余震の起き方を研究して
行く。
研究方法




古記録の地震に関する記述をまとめた地震記録の
インデックスである、武者金吉著作「増訂大日本地
震史料」(以下武者史料)から基本となるデータを収
集する。
武者史料はもとの史料からの誤植や欠損があるた
め、もとの史料からさらに詳しいデータを収集する。
余震は本震前2ヶ月間、本震後1年間の記述を収集
する。
集めたデータから、各年代の東海・南海地震の余震
の起き方を比較し、分析して行く。
研究結果①

武者史料から、地震の日時、記録場所と震動の程度を示
す記述、武者史料が参考とした古記録を抜き出し、基本
データを作成。
887 仁和地震
前震
西暦(ユリウス暦)
887/6/28
887/7/29
887/8/26
887/9/23
887/30
887/10/8
887/10/29
887/11/7
887/11/30
場所
京都
京都
五畿七道
京都
京都
京都
京都
京都
京都
程度
地震フ
大地震
地大二震ウ 廬舎顚倒ス 壓死セルモノ衆シ
地震ス
地震フ
地再震フ
地震フ
地震フ
陽成天皇ノ新陵鳴動ス
1096・1099 永長・康和地震
前震
永長元年10月1日
永長元年10月20日
1096/10/25
1096/11/13
京都
京都
地震フ
地少シク震フ
本震(東南海)
1096/12/17
畿内
本震
余震
旧暦
仁和3年5月29日
仁和3年7月2日
仁和3年7月30日
仁和3年8月28日
仁和3年9月6日
仁和3年9月14日
仁和3年10月5日
仁和3年10月14日
仁和3年10月27日
永長元年11月24日
書籍
三大實録
三大實録 越後年代記
三大實録 越後年代記 扶桑略
日本紀略
日本紀略
日本紀略
日本紀略
日本紀略
日本紀略
中右記
中右記
百錬抄 百錬抄治承元年頭書
康富記 後二條師通記 中右記
畿内地大イニ震イ、東大寺ノ巨鐘又落ツ、伊 長秋記 元亨三年具注暦裏書
勢駿河ハ共二洪水二襲ワレ、被害アリ
京都帝国大学所蔵文書 十三代
要略 太子傅古金目録抄 阿波
国太龍寺縁起 醍醐寺雑事記
研究結果②



余震の起き方を分析するため、基本データから
余震の回数を時系列で示したグラフを作成した。
武者史料から作成した基本データは、887年仁
和の地震、1096・1099年の永長・康和の地震、
1361年康安(正平)の地震、の3つ完成している
ため、それら3つのグラフを作成した。
地震の震度を考慮して、被害の記述があった地
震を被害地震とし、その他の地震とで分けた。
研究結果②
887年 仁和の地震


本震周辺に余震が点在
している。
887年11月30日以降、本
震から、1年以内で、武者
資料には地震の記録が
ない。
887 仁和の地震
被害地震
地震
6月28
日
8月27
日
10月26 12月25
日
日
◆・・・本震
2月23
日
4月24
日
6月23
日
8月22
日
研究結果②
1096・1099年 永長・康和の地震
1096.1099 永長・康和の地震
被害地震
1097
10月
15日



地震
1099
1098
12月 2月12 4月13 6月12 8月11 10月 12月9 2月7
14日
日
日
日
日
10日
日
日
4月8
日
6月7
日
8月6 10月5 12月4 2月2
日
日
日
日
1100
4月2
日
6月1 7月31 9月29 11月 1月27
日
日
日
28日
日
全体を通して余震が点在。
1098年7月26日から、1099年2月22日の本震まで余震
がない。
本震以外にも1098年1月1日と1099年9月20に被害地
震がある。
◆・・・本震
研究結果②
1361年 康安(正平)の地震


1361年7月28日から本
震を過ぎて8月20日まで
余震が集中している。
8月20日以降かなり余震
が少ない。
1361 康安(正平)の地震
被害地震
地震
6月3日 8月2日
10月1
日
11月30
日
1月29
日
3月30
日
5月29
日
7月28
日
◆・・・本震
171~180日
151~160日
161~170日
131~140日
141~150日
111~120日
121~130日
91~100日
101~110日
81~90日
61~70日
71~80日
41~50日
51~60日
21~30日
31~40日
地震から地震までの日数 (1096・1099 永長・康和地震)
14
12
10
8
6
4
2
0
171~180日
151~160日
161~170日
131~140日
141~150日
111~120日
121~130日
91~100日
101~110日
81~90日
61~70日
71~80日
41~50日
51~60日
21~30日
31~40日
地震から地震までの日数 (887年 仁和の地震)
1~10日
11~20日
14
12
10
8
6
4
2
0
0日
171~180日
151~160日
161~170日
131~140日
141~150日
111~120日
121~130日
91~100日
101~110日
81~90日
61~70日
71~80日
41~50日
51~60日
21~30日
31~40日
1~10日
11~20日
0日

1~10日
11~20日
0日
研究結果③
前出の3つのグラフの、地震から地震までの間の日数を調
べ、余震の起き方の分析を試みた。
地震から地震までの日数 (1361 康安(正平)の地震)
14
12
10
8
6
4
2
0
887と1096・1099のグラフでは
地震の記録から次の地震の記録ま
で、20~30日間ある場合が多い。
しかし1361では連日地震の記録が
続いている。
考察と今後の課題



1096・1099の地震で、本震以外に二回の被害地震がお
こっていたことが分かった。この被害地震について詳しく
調べ、被害の程度などを調査する。
「887年仁和の地震」の8月20日以降と、「1096・1099年
永長・康和の地震」の1098年7月26日~1099年2月22
日の地震記録の少ない部分は原本の古記録を調査す
る必要がある。
研究結果③のグラフにおいて、20~30日が多いのは
なぜか、データ不足である可能性を含め、詳しく調査す
る必要がある。