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古記録に基づく東海・南海地震の余震研究
小山研究室
30216032
谷田竜一
発表の流れ
1.
2.
3.
4.
5.
東海・南海地震
研究目的
研究方法
結果と考察
今後の課題
東海・南海地震
震源域と歴史


震源域(右図上段)
東海地震= C・D・E
南海地震= A・B
100~150年の周期で東
海・南海地震は起こる。
康安~明応 137年
明応~慶長 107年
慶長~宝永 102年
宝永~安政 147年
安政~昭和 90年
石橋(2003)
東海・南海地震
宝永型と安政型
宝永型
東海地震と南海地震が同時に発生した地震
・887年仁和地震 ・1498年明応地震 ・1707宝永地震
 安政型
東海地震が発生した後、南海地震が発生する
・上記の三つ以外のすべての地震(異説あり)
【例】・永長・康和地震
1096年東海地震、1099年南海地震
・昭和地震
1944年東海地震、1946年南海地震

研究目的
余震の起き方は地震によって
さまざまである。極端に多い
場合や少ない場合などある。
またM8クラスの地震ともな
れば、M7の余震が発生する
場合があり、防災上深刻であ
る。
【参考】スマトラ沖地震
2004年12月 M8.9
2005年 3月 M8.7
6月 M6.8
7月 M6.7

M8が想定されている
東海・南海地震にも余
震防災のために、余震
の起き方を調査する必
要がある。
研究目的

東海・南海地震の余震に対する備えから、その起こり方
を調査するは大切であるが、そのような研究がこれまで
ほとんど行われていないため、本研究では、東海・南海
地震の余震の起き方を古記録に基づいて調査する。
研究方法





古記録の地震に関する記述をまとめた地震記録のイン
デックスである、武者金吉著作「増訂大日本地震史料」
(以下武者史料)から基本となるデータを収集する。
武者史料はもとの古記録からの誤植や欠損があるため、
もとの古記録からさらに詳しいデータを収集する。
余震はおおよそ本震1ヶ月前から、本震後1年間の記述
を収集する。どの地震を本震とするかは石橋(1997)を
参考にした。
集めたデータから、各年代の東海・南海地震の余震の
起き方を比較し、分析して行く。
データ処理には Microsoft Excel 2002 Home Edition
を使用する。
調査した史料
 武者史料 第1巻
 日本三大實録
 扶桑略記
 日本紀略
 大日本史料
第3之3・4・5編
第6之23編
 殿暦
 後二条師通記
中右記
本朝世紀
親長卿記
後法興院記
言国卿記
宣胤卿記
鹿苑日録
研究結果
データ作成
887 仁和地震
887/6/24
仁和3年5月29日
京都
京都
地震フ
三大實録
新訂増補国史大系日本
地震
録後編
大地震
三大實録 越後年代記
新訂増補国史大系日本
地震。
録後編
新訂増補国史大系日本
夜。地震。
録後編
新訂増補国史大系第十
是夜。地震。
桑略記
地大二震ウ 廬舎顚倒ス 壓死セルモノ衆 三大實録 越後年代記 シ
紀
地大震動 廬舎往々顚覆。壓死者衆。五
新訂増補国史大系日本
畿七道諸国同日大震。海潮張陸。溺死者
録後編
不可勝可。其中摂津国尤甚
地大震動 及東西京廬舎往々顚覆。壓殺
者衆。或有失神頓死者。又地震三度。五
畿七道諸国。同日大振。官舎タ損。海潮張 新訂増補国史大系第十
陸。溺死者不可勝可。其中摂津国尤甚。 桑略記
信乃国大山親頽崩。巨河溢流六郡城廬。
拂地漂流。牛馬男女流死成丘。
新訂増補国史大系日本
昼夜地震二度。
録後編 新訂増補国史大
十二巻扶桑略記
新訂増補国史大系第十
昼夜地震二度。
史料から、地震の日時、震動の程度、地震のあった場所
仁和3年7月2日
京都
等を示す記述、を抜き出し、データを作成。
京都

887/7/25
887/7/29
仁和3年7月6日
京都
京都
887/8/22
仁和3年7月30日
五畿七道
887/8/22
仁和3年7月30日
五畿七道
五畿七道
887/8/23
仁和3年8月1日
京都
京都
研究結果
グラフ作成
余震の起き方を分析するため、データから余震の記述
の回数を時系列で示したグラフを作成した。
 地震の震度を考慮して、被害の記述があった地震を被
害地震。その他の地震のうちで「大地震」「強震」等の記
述があるが被害の記述がないものを大地震。残りのも
のを地震とした。
 大地震の震度については、被害がないが大きな地震
だったと人が感じられる程度であるから、震度3~4程
度と推定した。
*震度4といえども大震災後の崩れかかった建物には危
険な震動であるため、余震による被害の可能性がある。

研究結果
887年 仁和の地震
887 仁和の地震
被害地震
大地震
地震
887
6月20日



888
8月19日
10月18日
12月17日
2月15日
4月16日
6月15日
8月14日
被害地震 887.8.22
大地震
887.8.27
日本三大實録 扶桑略記 日本紀略には887.11.30 以
降地震に関する記述がなかった。
研究結果
1096・1099年 永長・康和の地震
1096.1099 永長・康和の地震
被害地震
大地震
地震
1097
1098
1099
1100
10月 12月 2月12 4月13 6月12 8月11 10月 12月9 2月7 4月8 6月7 8月6 10月5 12月4 2月2 4月2 6月1 7月31 9月29 11月 1月27
15日 14日
日
日
日
日 10日
日
日
日
日
日
日
日
日
日
日
日
日 28日
日

被害地震 1096.12.11
1099.2.16
大地震
1096.12.24
1099.3.18
1099.12.10
1097.12.26
1099.9.14
1097.8.15 1097.8.16
1099.10.28 1099.11.3
1100.1.28 1100.1.31
研究結果
1361年 康安(正平)の地震
1361 康安(正平)の地震
被害地震
大地震
地震
6月3日


8月2日
10月1日
11月30日
1月29日
3月30日
5月29日
被害地震 1361.7.21 1361.7.24 1361.7.26
1361.8.12
大地震
1361.7.20 1361.7.23 1361.7.25
1361.8.5 1361.8.10 1361.8.25
1361.12.11 1362.6.9 1361.6.12
7月28日
研究結果
1489年 明応の地震
1498 明応の地震
被害地震
大地震
地震
5月28日


9月5日
被害地震
大地震
12月14日
3月24日
7月2日
10月10日
1498.6.30 1498.9.11
1498.9.17 1498.10.31 1498.11.30
1498.12.1 1499.4.8
1499.9.22
1499.9.30
1月18日
考察

被害地震の後2、3日は、「地震二度」「今日又午刻、酉刻両
度小地震」といったような小さな地震が二度三度くるといった
記述が多い。
→過去の東海・南海地震においても、巨大地震の直後は小
さな余震が多いことがわかった。

地震の記述は被害地震後何ヶ月を経てもときおり書かれて
おり、1年後に被害地震が再び現れることさえある。
永長地震 1096.12.11(被害地震)→1097.12.26(被害地
震)
→被害地震から1年たっても油断はできない。
今後の課題



仁和地震の887.11.30以降の地震に関する記述
がある史料を探す。
康安地震のデータを、戦前に作成された大日本
史料(同年代の古記録の記述を集めた本)以外
からも収集する。
データの比較、分析をさらに進め余震の起き方
を研究する。