PowerPoint プレゼンテーション

電気伝導性の理 論
1. 固体の電気伝導率
荷電子粒子 i の電気伝導率 s i はオームの法則
si =
Ii
E
(1)
で与えられる。ここで I i は粒子 i による電流密度、E はその固体に印加した電場。
電流密度は
I i = qi c i v i
(2)
により平行移動速度 v i と関係づけられる。 q i 、 c i はそれぞれ電荷坦体 i の電荷と
濃度。 v i は E に比例するので電荷移動度 m i を単位電場あたりの速度として
mi =
により定義。
vi
E
(3)
2. 酸化物中の荷電単体
酸化物 MaOb 中の電荷坦体は、原理的には陽イオン、陰イオン、電子、正孔であ
る。全電気伝導率 s t は
(7)
st =sc +sa +sn +s p
ここで、 s c 、 s a 、 s n 、 s p はそれぞれ陽イオン、陰イオン、電子、正孔の電気伝
導。全電気伝導率はイオン伝導率 s ion と電子的伝導率 s el の和で表されるので
(8)
s t = s ion + s el
と書くことも出来る。
一般的に1種類の電荷坦体が電荷輸送を支配しており、それ以外の坦体は無視で
きる。酸化物では電子や正孔の移動度はイオンの移動度の約 103-106 倍。このため、
電子や正孔の濃度が低くても p 型や n 型の半導体となりやすい。
特 定の酸素分圧領域では、酸化物 で陰イオン伝導性が優勢になることがある。
他の酸素分圧、温度領域では同じ酸化物 がイオン的電荷坦体と電子的電荷坦体の
両者が寄与する混合導電体となることもある。
3. 酸化物におけるイオン導電性
0Kより高い任意の温度において、実在の結晶は必ず格子の不完全性あるいは欠
陥を含む。結晶中でのイオンの移動は、格子の不完全性の移動によってのみ生 じ
る。
点欠陥が 2 価の酸素空孔 V ××O である酸化物 MaOb を考える。 V ××O は+ 2の酸素空孔。酸
素イオンが正規の格子位置 O´O から気体状態へ移ったために生じる。理 想結晶を基
準とすると正規の格子位置を占めている陽イオンと陰イオンは有効電荷 0 である。
。
理想結晶を考えると M ´M および O´O である( ´ は有効電荷 0)
MaOb の実在結晶中ではイオンはその平衡位置を中心に熱運動している。酸素イオ
ンが平均よりも大きなエネルギーを持つとそのサイトから隣の空いたサイト
( V ××O )へジャンプする。イオンがジャンプすると元のサイトに空孔が生成。
→イオン伝導は V ××O が逆方向へ移動とも考えられる。
酸化物における電子的導電性
大部分の酸化物の電気伝導率は温度の上昇に伴い増大。
電荷坦体が電子かイオンかにより半導体及び固体電解質と呼ばれる。
電子、イオンの両者が寄与する場合は混合伝導体と呼ばれる。
いくつかの酸化物 は金属的導電性を示す。
→温度の上昇に伴い電気伝導率 が減少
(金属的導電体は今回の授業範囲外)
半導体酸化物 の電子伝導率 は
s el = s n + s p = en m n + ep m p
(17)
金 属 酸 化 物 では n 型 半 導 体 で は s el = s n = en m n あ る いは p 型 半 導 体 では
s el = s p = ep m p のいずれかである。
不定比半導体
(通常の金属などの半導体はここでは取り扱わない)
不定比酸化物の電子伝導性の研究は可能な欠陥構造を組み立てたり、考えてい
る欠陥平衡の様々なエンタルピー値を決定するのに役立つ。
欠 陥 が2 価の酸素空孔 V ××O と電子 e¢の酸素欠陥酸化物 MO1 - xを考える。
酸素空孔の生成は(22)で与えられている。対応する質量作用の式は
K V ××O = [
××
VO
] n (P O 2)
2
12
(37)
となる。 K V ××O は 2 価の酸素空孔の生成に対する平衡定数、 P O 2 は MO1 - xと平衡に
ある酸素の分圧、 [V ××O ] は酸素空孔濃度。
欠陥の濃度が低く、ヘンリーの法則が成立するとき活量係数 g i は一定で欠陥の活
量 a i は欠陥の濃度に比例する。格子点上の化学種 O´O および M ´M の濃度はほぼ一
定であるため通常は1 とされる。
注意:この場合は表面が存在しないとして考えているので、実際の 物 質と
異 なってしまう。
全ての原子がバルク状 態にあると考え、不定比酸化物 MO1 - xは電気的に中性であ
ると仮定する。2価の酸素空孔とそれを補う“自由 電子”がMO1-x 中の主な欠陥
であれば、電気的中性の原理 より
n = 2[V ××O ]
(38)
が必要となる。(37)(38)より欠陥濃度は
n = 2[
V ××O
(
] = 2 K V ××O
で与えられ、 n も [V ××O ] も ( P O 2)
-1 6
) (P )
13
O2
16
(39)
に比例し、ル・シャトリエの原理(22)からも予
想されるとおり、酸素分圧の定価により欠陥濃度が増大する。
MO1 - xの全電気伝導率 は
s t = 2e[V ××O ] m V ××O + en m n
(40)
で与えられる。 m V ×× は酸素空孔の移動度。 2e[V ××O ] m V ×× は酸素空孔の存在によるイ
O
O
オン伝導度を表す。
しかし、電子の移動度は酸素空孔の移動度より大きい。定比組成からのずれは
通常、混合伝導性をもたらすことはなく、MO1- xは n 型半導体となる。つまり
(
s t = s n = en m n = e 2 K V ××O
である。
) (P O 2)
13
-1 6
mn
(41)