P30.帯磁率からみた上総層群海底扇状地堆積物の物質供給と運搬様式 Sediment supply and transport pass inferred from magnetic susceptibilityof submarine fan deposits of the Kazusa Group 杉山直也(開発設計コンサルタント)・宮田雄一郎(山口大・理) Naoya SUGIYAMA(JP Design Co.,Ltd) ,Yuichiro MIYATA (Yamaguchi Univ.) はじめに これまで 本研究 帯磁率測定 帯磁率をもちいて… ・効率化 ・定量化 Tokyo Bay R.Yoro R.Obitsu 1000000 石炭 粘土 石灰岩 砂岩 珪岩 頁岩 花崗岩 流紋岩 玄武岩 かんらん岩 1% 0 0 5 5 10 10 15 15 20 20 25 25 30 cm 30 10% 100% 平野 山地 陸棚−浅海域 磁鉄鉱% 帯磁率 斜面 サンドリッジ 海底扇状地 Yo 海底谷 深海 0 細粒磁鉄鉱に富む 20km 4 phi 10 2 100 1000 渡部ほか(1987)を一部改 帯磁率 (x10-5SI) 粒度分布 a us az K ①∼④+ 察 考 . p Gr s a g . F i a d a Ot Um R.koito Tt Tt Ot Ez Kazusa Grp. Yo Ss Is,Mn Nk TR3 大田代層 10 km 地質図と層序区分表は伊藤(1997)を一部改変 笠森層 鮮新 世 砂岩層最大帯磁率 ×10 100 0 10 砂岩層厚 cm 1000 0 0 100 200 Yo#4 MIS31 MIS32 O7 60 O9 60 O11 斜面 Ss 陸棚 Ez 27 10 Yo 28 20 Yo#4 Yo#3 Yo#4 Yo#3 40 m 0m 29 30 Yo#2 O7 80 40 MIS30 O11 50 O16 100 MIS33 120 砂岩の堆積量 低海面期に帯磁率は高く,砂岩層が厚い. TR-3 δ18O PDB‰ 2.5 3.3 3.7 低海面期に砂岩の堆積量は増加する 泥岩1mあたりの砂岩層厚 泥岩1mあたりの砂岩層数 砂岩層最大帯磁率 100 1000 ×10-5SI 0 5 10 m 0 5 10 15 0 20 年代 (Ma) 29 30 O11 O12 O16 31 80 32 90 O16 O18 100 O18 1.11 泥岩中の炭酸塩(生物遺骸(ココリス,有効虫)よりも砂岩・泥岩帯磁率のほうが、海水準に大きく反応する. O7 1.05 →本調査地域は,浅海域に近く,陸源からの供給物によって海の中の証拠は希釈され,堆積物として 残りにくかった. 60 31 O11 →海面変動に対応して,陸域の砕屑物が海底扇状地に供給され,帯磁率の大きな変化を示した. 32 MIS32 80 本調査地域では 海面変動とそれをもたらした気候変動の指標として,帯磁率が有効である。 O16 1.11 0 100 級化タイプ (最大粒径部が最大帯磁率になる層) 1000 ×10 -5SI 層厚 20 MIS30 O7 帯磁率の 最大値 帯磁率 fmc 濃集面を持つタイプ (最小粒径部が最大帯磁率になる層) 層厚 60O11 100 MIS33 100 700 10 帯磁率の 最大値 1000 30 100 3.0 3.5 U6 150 細粒砂の 濃集した面 fmc 帯磁率 堆積構造や見た目の粒度によって、 帯磁率の最大値は制限されない Om セクション 200 *泥岩中炭酸塩として求めた炭酸塩は生物遺骸(ココリス,有効虫)のCaCO3 がそのほとんどを担っている. 4.5 5.0 0.90 MIS23 24 25 0.95 U8 陸 棚 相 4.0 1000 U5.1 Ot セクション 泥 岩 Yo2 積 セクション 算 層 100 厚 (m) 100 2.5 18 δ O(‰PDB) 26 27 U9 U11 28 1.00 29 ニセンバン 30 O7 O11 1.05 31 MIS32 O16 MIS32 O16 10 砂岩平均帯磁率 ×10-5SI U4 Yo1 セクション MIS31 80 50 1 50 豆石 MIS29 40 10 砂岩層厚 (cm) 大田代|梅ヶ瀬 砂岩層最大帯磁率 40 30 20 10 0 1 泥岩の含砂率 (wt%) 泥岩帯磁率 ×10-5SI セクション 帯磁率と堆積構造(砂岩の見た目の粒度)の関係 0 泥岩中炭酸塩(wt%) (TR-3は辻ほか1999を一部改変) 100 3 70 帯磁率を用いた海水準変動の検討 MIS30 40 60 O9 調査セクションの岩相柱状図 宮田ほか2005一部改変 凝灰岩鍵層によって,酸素同位 体比の得られたTR3コアとそれぞ れ対比できる. 28 Yo#4 泥岩積算層厚(m) 火山灰鍵層 砂岩 互層 シルト質砂岩 泥岩 生物擾乱 スランプ (TR-3は辻ほか1999を一部改変) 低海面期に混濁流が海底扇状地へ頻繁に到達する 泥岩層の積算層厚 (m) 2 120 1.05 O7 100 1.11 100 0.99 0 海底扇状地 60 m 31 32 80 1.05 2.5 2.9 3.3 3.7 (Ma) 泥岩積算層厚(m) 80 40 δ18O PDB‰ TR3 の繰り返し 100 m 40 斜面相には砂岩層がほとんど見られない→タービダイト砂岩は海底谷から供給された →泥岩優勢層と砂岩優勢層 29 30 MIS30 40 斜面相→泥岩優勢 20 砂の供給運搬経路 海底扇状地相にのみ周期的に砂岩優勢層が現れる 海底扇状地相 20 60 堆積相の比較 陸棚相→生物擾乱が激しい 28 300 MIS29 20 4 27 SI 海底扇状地 海底扇状地 0 砂:高帯磁率 斜面 2.5Ma TR-3 δ18O PDB‰ 年代 (Ma) 2.5 3.3 3.7 0.99 (縦軸は泥岩層の積算層厚を用いている) 陸棚 ・帯磁率は本調査の効率化・定 量化・省力化の助けとなった. 1Ma 三浦層群 砂岩層の最大帯磁率と砂岩層厚の変化 陸棚 斜面 世 群 大田代層 黄和田層 黒滝層 ・タービダイト砂岩と泥岩の互層 ・最大層厚は約530m ・多数の火山灰鍵層が狭在 →正確な対比が可能 (例:O7,O11,O16など) -5 ・低海面期に帯磁率(磁性鉱物 の含有量)が高くなる. 上 河川の砂が海底谷を経由し 海底扇状地に供給された. ストーム・潮流 論 結 R.isumi 長南層 梅ノ木台層 更 総 国本層 新 層 梅ヶ瀬層 低海面期 高海面期 ・磁性鉱物は陸域に多い。 ・低海面期は、海水準が低下し、 潮流・ストームなどによって陸棚や斜 面の堆積物が海底谷に供給されて 河口と海底谷が直結しやすい。 ・高海面期は、黒潮が強くなる。 いた. . F e e 35° N 泥岩層の積算層厚 (m) 黄鉄鉱 クロム鉄鉱 赤鉄鉱 磁硫鉄鉱 磁鉄鉱 重鉱物・磁鉄鉱 (wt%) N 140° E 1 1 分析多く… ・技術者の専門的な判断 ・お金がかかる ・時間がかかる 調査地域 0 同位体分析 古地理図 約100万年前の房総半島の様子 帯磁率について 帯磁率 (x10-5SI) 10000 化学分析 主な岩石・鉱物の帯磁率 100 石油やメタンハイドレートの貯留層を形成するタービダイト砂層 の分布のモデル化は資源探査において重要な位置を占める.とくに タービダイト砂層が分布する海底扇状地の調査・研究では、地震探 査やボーリング、同位体測定・化学分析が主な手法とされてきた. しかし、これらの手法は結果を得るまでに時間・経費が多く掛かり 結果の判断においても個人差が生じる余地が大きかった. そこで本研究では,調査の効率化・定量化・省力化を図るため、 とくに帯磁率を用いた.堆積物の帯磁率は磁鉄鉱の含有量を表して おり,鉱物組成の一面を表している.また帯磁率計を用いることで 現地で直接計測が可能である. フィールドはは千葉県房総半島に分布する、上総層群大田代層と した。 O18 33 1.10 Ma 酸素同位体曲線は青がLisiecki and Raymo(2005),緑色が辻ほか(2005)である.
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