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ODA評価の実態
(外務省によるODA評価を中心に)
外務省経済協力局
吉井幸夫
2015/10/1
外務省開発計画課
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1.ODA評価の実施体制
• ODAの評価は主
として外務省とOD
Aの実施機関であ
るJICA、JBICが
行っている。
・外務省は政策やプ
ログラムの、JICA、
JBICはプロジェク
トの評価を重点的
に行っている。
・各府省は、主として
政策評価法に基づ
く評価を実施。
2015/10/1
ODA実施
ODA評価
①政策レベル
ODA大綱
ODA中期政策
国別援助計画
重点課題別援助計画等
外務省の
評価活動
②プログラムレベル
セクター別援助計画等
③プロジェクトレベル
個別プロジェクト等
外務省開発計画課
JICAの
評価
活動
JBICの
評価
活動
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政策評価法に基づく評価
• 2001年6月、「行政機関が行う政策の評価
に関する法律」が発効。
• 行政機関は、その所掌にかかる政策につき
自ら評価し、その結果を政策に反映させなけ
ればならないことになった。
• ODAについても、経済協力局の担当部局が
実施。
• 定められた形式による評価。
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外務省開発計画課
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評価の目的
•
ODAの管理支援
ODA活動を検証し、その結果得られた教訓をODA政策
策定及び実施プロセスにフィードバックすることにより、O
DAの管理を支援するとともにODAの質の向上に役立て
る。
•
説明責任
評価結果を公表することにより、国民に対する説明責任
を果たすとともに、ODAの透明性を高め、ODAに関する
国民の理解と参加を促進する。
2015/10/1
外務省開発計画課
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評価の機能
•
•
フィードバック
事前、中間、事後の各段階での
評価結果をODA の実施側に
フィードバックし、現在の活動や
将来のODA 政策策定に活用す
る。
公表
ODA の評価結果を国民に公表
し、政府の説明責任を果たす。
ODA の評価結果には、ODA の
目的、実施プロセス、効果など
の分析結果が記載され、国民
にとってODA の内容を知るた
めの情報源となる。
2015/10/1
新規政策策定
新規ODA政
策の
サイクルへ
政策策定段階
バフ
ッィ
クー
ド
フ
ィ
ー
ド
バ
ッ
ク
政策終了後
外務省開発計画課
事前評価
事後評
価
フィード
バック
フ
ィ
ー
ド
バ
ッ
ク
中間評
価
フィード
バック
政策実施
段階
モニタリ
ング
ODA評価
説
明
責
任
国 民
相
互
の
フ
ィ
ー
ド
バ
ッ
ク
被援助国
ODA政策
サイクル
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説明責任(公表)
•
•
•
•
年次報告書の作成、公表
外務省ホームページへの掲載
評価セミナーの開催
ODA評価東京ワークショップの開催
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外務省開発計画課
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ODA評価有識者会議
•
•
•
•
公平性・客観性の高いODA評価体制の確立
ODAの質の向上のための提言
経済協力局長の私的懇談会
メンバーは9名。座長の牟田東京工業大学教
授を中心に、学識経験者、国際機関、ジャー
ナリスト、NGOから構成
• 評価主任として、外務省及びコンサルタント
の協力を得て評価を実施、報告書の作成
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評価の流れ
1.評価計画段階
•
3年間の中期評価計画・年次計画策定
•
評価主任の選定、
•
評価対象、時期の決定
•
各評価の実施計画作成
2.実施段階
・ 国内調査・現地調査
・ 必要情報の収集
・ 情報分析
・ 報告書の作成
3.フィードバック段階
•
ODA評価内部検討会議
•
評価フィードバックセミナー
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4.公表段階
・ 報告書の公表
・ 評価セミナー
外務省開発計画課
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(1)政策レベル評価
• 政策レベル評価には、国別の援助政策を対象とする「国別評価」
と、重点課題別援助政策を対象とする重点課題別評価がある。
名称
主体
時期・対象
国別評価
•第3者評価
•合同評価
•外務省による評価(政
策評価法に基づく)
•中間段階
 国別援助政策(計画、方針など)の実施中
 国別援助政策(計画、方針など)を対象
•事後評価
 政策終了後一定期間後
 国別援助政策(計画、方針など)を対象
重点課題別
評価
•第3者評価
•合同評価
•外務省による評価(政
策評価法に基づく)
•中間段階
 重点課題別政策の実施中
 重点課題別政策を対象
•事後評価
 政策終了後一定期間後
 重点課題別政策を対象
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国別評価
•
•
•
•
•
•
•
(対象)
中間評価:国別援助計画策定後4年目に実施。3年分の活動が対象。
事後評価:5年分の活動を対象期間とすることが多い。
(評価方法)
政策の目的、政策のプロセス、政策の結果という3つの視点から総合的
に評価。
評価の検証項目:目的には妥当性、プロセスには適切性、結果には有効
性という基準
(調査)
国内調査:できるだけ国内で情報を収集
現地調査:相手国政府への聞き取り、対象国の統計
(報告書)
評価の実施方針、評価対象の概要、評価の結果、提言
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重点課題別評価
•
•
•
•
•
•
(対象)
中間評価:ODA大綱、中期政策に規定されている重点課題、数年以内
に見直しが予定されているイニシアティブ、過去3年分
事後評価:政策の終了後、数年が経過したイニシアティブ、5年分
(評価方法)
政策の目的、プロセス、結果という3つの視点から総合的に評価
評価の検証項目:目的には妥当性(相手国のニーズ、国際的な優先課
題、上位政策との整合性)
プロセスには適切性(被援助国のニーズや国際的な開発課題を把握す
るための政策協議の有無、政策の実施状況を定期的に把握するような
プロセスがとられていたか)
結果には有効性(我が国の課題別援助政策に定められた目標がどの程
度達成されたか)
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外務省開発計画課
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政策レベル評価(過去の実績)
平成15年度
平成16年度
平成17年度
インドネシア
バングラデシュ
カンボジア
インド
ラオス
ケニア
ヨルダン
ウズベキスタン及び
カザフスタン
タンザニア
パキスタン
エチオピア
セネガル
沖縄感染症対策イニシア
ティブ(IDI)中間評価
教育分野関連MDGs
貧困削減(ベトナム)
保健分野関連MDGs
平和の構築(アフガニスタ
ン)
国別評価
重点課題別
評価
対人地雷対策支援政策
その他
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ODA中期政策
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(2)プログラム・レベル評価
• プログラム・レベル評価には、セクター別援助を対象とする「セク
ター別評価」と、援助スキームを対象とするスキーム別評価があ
名称 る。
主体
時期・対象
セクター別評価
•第3者評価
•被援助国政府・
機関評価
•合同評価
•中間段階
 同一セクターにおける複数の活動の集合
体またはセクター別援助計画の実施中。
 同一セクターにおける複数の活動の集合
体またはセクター別援助計画を対象。
•事後評価
 同一セクターにおける複数の活動の集合
体またはセクター別援助計画終了後3~5年。
 同一セクターにおける複数の活動の集合体
またはセクター別援助計画を対象。
スキーム別
評価
•第3者評価
•被援助国政府・
機関評価
•合同評価
 1スキームについて、一定期間、1ヶ国または
複数国を対象に総合的に評価する。
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セクター別評価
•
•
•
•
・
•
•
(対象)
基本的に1カ国1セクターにおける援助方針、援助計画
中間評価:数年度以内に方針や計画の見直しが予定。
事後評価:当該方針、計画が終了後、数年が経過。
(評価法)
政策の目的、プロセス、結果という視点から総合的に評価
検証項目:目的には妥当性、プロセスには適切性、結果には有効性
(報告書)
評価の実施方針(背景、目的、対象、方法、限界、評価チーム)、評価対
象の概要(セクター別援助計画の概要、主要指標の動向、経済状況etc)
評価結果、提言
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スキーム別評価
(対象)
• 外務省の援助スキーム
• 政策レベルの評価やセクター別評価ではカバーされにくいスキーム
• 一件あたりの規模が小さく、個別の評価が行われることが非効率である
(目的)
• スキームの改善、国民の理解促進
(評価方法)
• スキームの目的(妥当性)、スキームのプロセス(適切性)、スキームの結
果(有効性)
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プログラム・レベル評価(過去の実績)
セクター別
評価
平成15年度
平成16年度
平成17年度
パプアニューギニア・インフラ
整備分野の支援
ホンジュラス運輸分野
バングラディシュ・インフラ分野
モロッコ水資源開発分野協力
ベトナム・インフラ分野
モンゴル教育分野
ガーナ教育分野協力
モロッコ保健教育分野
ベトナム・インフラ分野
セネガル環境分野協力
フィリピン教育分野
ボリビア 基礎生活分野協力
国際緊急援助隊
スキーム別
評価
構造調整融資の評価
草の根・人間の安全保障(ガーナ・
ナイジェリア)
一般財政支援(ベトナム、タンザニ
ア)
文化無償
日本NGO支援無償資金協力
米一般財政支援
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外務省開発計画課
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(3)プロジェクト・レベル評価
• プロジェクト・レベル評価は、個々のプロジェクトを対象とした評価。実施
機関(JICA,JBIC)が中心に実施。
• 外務省は平成17年度より、無償資金協力を対象とした事後評価を試験
的に導入。
• 一定供与額を超える有償及び無償資金協力については評価法に基づき、
外務省自身による評価を実施。
名称
主体
時期・対象
プロジェクト評価
・在外公館・外務省
・完了後3~5年、10億円以上の
無償資金協力
(平成18年度以降
第3者評価)
・外務省
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・10億円以上の無償資金協力
・150億円以上の有償資金協力
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無償資金協力:プロジェクトレベル評価
• 平成17年度より試行的に実施(52件)
• DACの定めた国際基準に基づき評価。無償個別事業の実施状況の全
体像を把握。課題・問題点を抽出。
• プロジェクト・サイクル・マネジメント(PCM) に基づくPDCAサイクル
(Plan-Do-Check-Act) を無償資金協力に適用させる端緒
• 来年度以降は、評価方法の改善、外部の専門的・技術的知見を得るなど
実施体制を強化、評価対象案件数を拡充
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外務省開発計画課
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