日常生活から社会へ~社会学理論とジェンダー

日常生活から社会へ~社会学理論とジェンダー
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今までのキー・コンセプトの本論文への応用 1
• 「私」・「他者たち」・「外見」・「社会判断」:
「私」は外見で他者・社会に判断されることを理解しながら「私」を構
成していく。
• 日常生活と「当たり前」と思われること:
社会学の対象となる、日常行為とこれが表す社会のイデオロギー。
• 社会規範と「社会的カテゴリー」:
「私」は社会にどう見られるかということが分かる。
自分または他者が所属するはずのカテゴリー(層)と、
これに「適切な行為」も分かる。
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これらを認めようと、拒否しようと、規範を意識しながら行動する。
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信念:
信仰、通念、価値観、つまり自己や他者の
「適切な行為している」という「自然化している」判断。
「当然」、「当たり前」だと思われる価値観。自然
であると思われる現象に対する価値観。
主な例:
性別役割分業。
ジェンダー・アイデンティティ。
性別属性の特定。
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今までのキー・コンセプトの本論文への応用 2
• 解剖学的な性別区分で説明できないジェンダー:
「性の現役」と関係ない人あるいは、赤ちゃん・写真で見た人物の
ジェンダーを想像するだけで、ジェンダー特性を予想してしまうこと
がある。これは社会的に構成されるジェンダーカテゴリーである。
• 日常世界の「リアリティ」とそれらの捉らえ方:
①日常世界と「一瞬世界、広告の世界」のさまざまな「リアリティ」は、
双方とも、同様に意識する現象がある。同じような信念で判断される。
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本論文のキーコンセプト
• 社会的現実
私~他者の日常生活関係以外にも、社会成員の相互行
為(社会の中のやり取り)も「社会的現実」である。
社会的現実は人間のお互いの行為に構造化される。
この社会的相互行為によって、社会的現実の秩序が
「構造化」している。
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ダー
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(社会学に影響及ぼした)現象学という論は、
• 自然科学におけるような世界を客体的に見る
(「自然主義的な」)態度を排除する。
• (社会の中の様々な)生活世界・「リアリティ」
を検討していく。これらの「リアリティ」は、
個々人の主観性、又は諸状況に異なる・変化する。
• 現実世界の中に生活する人間に着目し、社会調査
の対象にする。名人よりも一般市民の経験を問う
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=エスノメソドロジー。
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現象学と「エスノメソドロジー」との関係とは?
• 現象学が対象にする「生活世界」を、
エスノメソドロジーにおける
「日常生活」又は「社会的現実」にしぼる。
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ダー
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現象学と「エスノメソドロジー」との関係と
は?
経緯
• 社会科学が行う一般市民への社会調査、聞き取り
調査の方法は、戦後に拡がった。
• これに伴う「日常生活」に関する情報は、
「 日 常 生 活 ・ 社 会 的 現 実 」 の 現 象 的 な
エスノ(=人間社会)メソドロジー(=方法論)を
支持するようになった。
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パラ 2
「人々との相互作用のなか」という世界は、以前の章にあった、人間社
会又は自己と他者の間のやり取りにあたる。これらは、真実として存
在する「現実」(=「自分の主観性の外に現実に存在している」こと)よ
りも、社会規範や信念によって濾過された、解釈された「現実」である。
この現実は「社会的現実」と言われる。これらの信念が現象について、
他者の行為について、自分の行為についての「意味」付けを
可能にする。
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パラ 3
(筆者が「判断を中止」しながら…)自分の状況の意味も構成し、他の
社会成員の行為も意味がある行為として認知する。
社会規範を用いた自分の判断を応用しながら他者の行為が主に自分
に何を要請しているのかということを把握する。これが言及されること
はほとんどないのだが、我々の行為の基盤は主に他者の社会的行為
によって構成されて来る。
例えば我々の行為が他者にとって「適切」なふるまいと見える場合、
我々が他者と同じ「社会的現実」を「共有している」と思う。そう思うから
こそ自分の行為が「主観的」であるように判断をするのではなく、むし
ろ主観性を越えた社会的現実が存在すると考える。
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日常生活から社会へ 社会学理論とジェンダー
パラ 3 続き
逆の例:
他者の行為が我々の抱える社会信念にあわない場合でも、
「社会的現実についての信念」を放棄することは殆どない。
むしろ自分の解釈が間違っていたか、他者が間違えている
という理由をつける。こうして社会的現実の信念を維持する。
(第4パラグラフは、遅刻する学生が教室に入るときに教師が時計に目
をやる、「叱責(しっせき)」という、学生の解釈についての例。 ) 10
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パラ 5
前半は、上記の教師と時計の例。
後半は、自分と他者の間に「社会的相互行為が成立
している」。
社会規範(又は実践)によっても、個人史(又は経
験)によっても、他者の行為への解釈過程という「意
味」づけも成立されている。
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パラ 6
従来の社会科学には二つの統合できない立場があった:
1. 人が社会のなかで共有された社会規範や規則に従う
2. 人々の行為ややり取りは、自分の、そして他者の行為が
「主観性」に基づいているから他者の主観性を理解でき
るならその理解に従う
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パラ 6 続き
しかし、上の二つに、欠けている部分がある。
第①は人間がただのロボットのように規範にしか従わない説
明となるおそれがある。さらに、人は別々な状況、別々な他
者に自分の解釈を調節できないような説明となる。
そこで、規則や規範が対立する場合もその中の社会成員の
行為への説明もできなくなる。
第②は、自分が他者の主観性を理解したらその理解する過
程について何も説明できない理論である。
パラ 7 第6パラの批判が続く。
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パラ 8
より微妙なところを説明すると、「社会構造」がないという考え方で
はなく、構造を仮定または前提として使いたくない。
それよりも、社会場面自体での経験や当事者を、
エスノメソドロジー的に尋ねる。
すなわち、人の行為を一定のパターンに見なす考え方は、人が
規範を内面化したうえでそれとは違う行為ができないと考えてい
るのである。
また、社会の条件は我々が抱えている社会場面についての知識
によって「秩序化」されている。
社会、人間行為に「秩序」があるという信念である。
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8パラ 続き
しかし、条件は変動していくものであるから、変動する時に
これらについての知識が構築した「秩序」も変わることができる。
重要なのは、「秩序」とは、
いつ別の秩序に変動してしまうかもしれないような「不安定」さ
を抱えていることである。
※いいかえば、「社会」というところは一つのもの、一つの時代
だけではなく、様々な諸状況や価値観に成立されている。
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パラ “9”
ジェンダーについて~ジェンダーに関わる以下の様々な現象
•
性差 vs.性別
•
性別役割分業
•
性差別
•
ジェンダー・アイデンティティ
を把握するために、
社会的な場面の(具体的な)条件を明らかにする、
人々による社会的についての知識を明らかにする必
要がある。
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パラ “9” つづき
「社会構造」は歴史以前から存在するものではなく、人々が
自分達の社会場面を「構造化する」ことを指摘する。様々な
場面によって異なり、時代の流れに連れて、再生産するも
のである。
※だからこそ、ジェンダーに関する分類とこれの装置は、
「性差」とは違い、我々がつくりあげるものである。
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パラ 1
現象学 (phenomenology)ドイツのフッサールの理論に基づいて、戦
前のフィアカント (Feuerkant)、戦後のシュッツ(Alfred Schutz, Life
Forms and Meaning Structures など)。主に人間が日常生活の中で
直面する現象をいかに解釈するかを、意味論や社会イデオロギーを
通して説明する。認知科学の一部に類似するが、現象的社会学は、
現在はこれよりも、人々によって社会構造はどのように構成される、ど
のように解釈されるかを研究する。
エスのメソドロジー(ethnomethodology)も、日常生活の経験者、当事
者や、社会の中の実践について直接問う調査に基づいた社会研究。
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日常生活から社会へ 社会学理論とジェンダー
パラ 7 第6パラの批判が続く。
現象的社会学、エスノメソドロジーは人が社会場面を、自分
達の行為や、それらの行為への解釈によってどのように作り
出すかを研究対象とする。(つまり、社会の「場」をどのように
つくる)。
第①は、規範や規則をめぐる仮定がこの研究の対象を消去
する。
第②も、行為の意味は他者の主観性だけに基づいているこ
とにする。そうすると自分が他者の主観性を必ず理解できる
という前提があるから、研究対象を消去する。
だからこそ「判断中止」を応用しようとする。
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