行動福祉学 来し方行く末 行動福祉学・対人援助学という コンテクスト 立命館大学 望月昭 HP:望月昭のホームページ ブログ:対人援助学のすすめ 1 なぜ、君(自分)は、行動分析学を 選ぶのか?(出口光1987 行動修正のコンテクスト、 行動分析学研究、2、1987、48-60 参照) 「行動福祉学」(Behavioral Human Serviceology) 望月昭(1989)福祉実践の方法論としての行動分析学- 社会福祉と心理学の新しい関係.社会福祉学,30,64-84. 「対人援助学」(Science for Human Services) 望月昭ら(2009) 『対人援助学キーワード集』(晃洋書房) この命名行動のaudienceは誰なのか? 応用行動分析を選択する「文脈」 これを表明(宣言)し、これで表現する(みせる) このこと自体が行動分析学的行為? (=行動分析学の持つ倫理性) 2 「公理」( -ist としての無条件宣言) • Givenではなく Get(=Operant) 継続的な • 「正の強化で維持される行動の選択肢の拡大」 3 行動福祉学(BHS) • 背景文脈 ●個人的随伴性: 成人施設での mand訓練の「般化失敗」 (望月,野崎,渡辺,1988、特教) ●社会的文脈: ノーマリゼーション下での福祉施設のありかた (望月,1995「ノーマライゼーションと行動分析、行動分析学研 究,8巻特集号) 4 行動福祉学 個人から社会へ、連続的に個別個人の行動選択肢 拡大に必用な環境設定を要請(mand) その作業のための「個人と環境との関係を表現 する」共通言語としての「行動(分析学)」 社会福祉学が担当? 心理学が担当? メゾ(笑) 個人(ミクロ) 社会・制度(マクロ) 既存のミクロ・メゾ・マクロの「分担」 行動福祉学:随伴性を辿って「連携」 5 問題点 1)素朴な環境論? 2)各レベル自体の作業内容に回帰的な機能 持ちにくい (バケツリレー? 桶屋が儲かる?) ゆえに・・・ 3)既存サービスの進歩・カイゼンがみにくい 4)個人モデルと社会モデルがtrade-off(分担で のままでもいける) 6 対人援助学:援助者の3つの行動で表現 教育・訓練的行動 3 教授 2 Instruction 援助 1 Assist 今、行動成立を実現す るための環境設定行動 援護 advocate 援助設定定着のための 7 要請行動 対人援助学 (Science for Human Services) 「対人援助を、3種類の機能に分解 1)援助者の行動としての表現 2)「援助設定」行動の優先を明記できる 3)「援護」=言語行動である、 という機能明記(対人援助実践には、どんな 言語行動が必要か) 三項随伴性によるオペラント 8 行動分析を選ぶ理由 「援助」「援護」「教授」に関わって・・・ 1)「教授」の記述:どう教えたら、ある行動の獲得ができ るのか? 2)「援助」の記述:「なにがあれば」ある行動ができるの か? 3)「援護」の方法:他者に2)1)を「確実」に 情報移行できるか? 「行動分析」の出番はここ。 1)2)3)の要件をみたすこと: 行動分析学の表現:そのまんまIEPの必要事項 9 「援助・援護・教授」という機能分類による 対人援助の実践についてのメタ分析 Human Services Platform の利用 事例データのメタ・アナリシス によって、対人援助の「進歩」を表現できないか? (望月ら,2007『対人援助の心理学』) Human Services Platform (HSP) (%) 事例データベース 100 教授 援助 援護 重複実践 75 研究例: 『機能連環モデル』 によるメタ分析 既刊論文130編によるDB分析 50 25 0 1970年代 1980年代 1990年代 10年を単位とした実践研究機能の推移 10 反応キー(オペラント の対象) 4)キーをペック(反応) したら強化 3)さらに上で強化 2)少し上で強化 1)餌呈示装置の近くで類似の反 応を強化(えさ呈示) えさ呈示装置 えさ呈示機から食べる ミーアキャットもできるらしいが・・・ Shaping(援助-「援護」-教授) 11 対人援助学(援護行動を不可欠とす る作業)をふたたび現場に 例:学生ジョブコーチ(SJC) 1)狭義の臨床(あるいは教授方法としての応用 行動分析(ABA))ではなく、徹底的行動主義 にもとづく「対人援助学」の教育をする 2)過不足ない対人援助(援助・援護・教授)の 方法を学ぶ 3)実際の就労現場あるいは就労実習現場での 新しい「援助設定」のために言語行動(実践) の必要性・重要性を浮かび上がらせる 12 SJCからみた生徒の行動変化 • 他者依存・他者評価から、自己評価、あるい は自己管理(Self-Management)へ ●正の強化で維持される行動の選択肢の拡大 ( 正の強化を、方法(手続き)から目的へ ) ●「就労の支援」という文脈からみえたもの 当事者の学習自体(自らの行動や戦略の変化)が正の強 化になるような「継続的学習者である状態」をどのように援 助するか? ?キャリアアップ? 13 (変化過程自体が正の強化となる状況(継続的拡大)) 現状は? • トップダウンな引き算としてのIEPの記述 (長期計画は、みな『就職』です) ・ “点”としてのゴールしか目的としていない。 (ゴールが、一時的に正の強化で維持される状況 であるとしても) ・選択肢の拡大:継続的な「変化」を支援する。 「就職試験支援」ではなく「継続的(就労) 支援」が必要 14 What is a Heart ? ●公理へ(一般目標) 「正の強化で維持される行動の選択肢の拡大」 「 当事者が、上記の方向で、継続的学習者で ある状態」を保障するための、援助・援護・教 授を行うこと ●方法 これは個人(内)で完結するものではなく、 より、大きな社会的随伴性のマネジメントが 必要である。 15 京都における障害者雇用のための援助等関係機関 京都府社会福祉協議会 京都市 きょうとNPOセンター ハローワーク 求職 障 害 者 RSJC 求人 障害者就業・生活 支援センター トレー ニング 総合支援学校(養護学校) 企 業 ? ? ジョブ コーチ 助成金 京都 障害者職業センター 京都府高齢・障害者 雇用支援協会 坂東敏和(2008):デュアルシステム・パネルディスカッション資料 『障害者就業・生活支援センターの役割』から、望月が追記・改変 16 What is a Heart again • より個別の個人がそれぞれに 「強化」の配置のコントロールが可能 になるためには、より大きな社会的 随伴性のアレンジが必要である。 あれ? これってACT ? 17
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