脳活動計測で 「指先の動きを再現する」技術 ATR脳情報解析研究所 所長 佐藤雅昭 2010.10.20 1 運動再構成の要素技術 I. 階層変分ベイズ法による 高精度な脳活動推定 II. スパース推定による 効率的な特徴抽出 ATRにおけるNICT委託研究「複数モダリティー 統合による脳活動計測技術の研究開発」の成果 2010.10.20 2 脳活動から運動を再現する要素技術(I) 階層変分ベイズ法による 高精度な脳活動推定 2010.10.20 3 人間の脳機能を測る ダメージを与えず(非侵襲)に計測できることが必要 非侵襲的脳計測技術 fMRI(機能的 核磁気共鳴像) (Ogawa+, 1990) 観測対象 時間解像度 血流量 変化 空間解像度 秒 ミリメートル ミリ秒 センチメートル (逆問題解法 に依存) SIEMENS、提供ATR-Promotions 神経電気 活動 MEG(脳磁図) 横河電機(株) fMRIの普及により脳機能地図の解明は飛躍的に進歩 複数の計測データを組み合わせて高い時空間解像度を実現 2010.10.20 4 MEGセンサ信号には 様々な領野の 脳活動が混じっている MEGセンサ信号 脳活動推定により 機能的に分かれた 元の信号に戻す MEGセンサ信号 逆フィルタ 脳活動 皮質電流 未知電流源の数がセンサ数よりも多い 不良設定性・大きなノイズの混入 階層変分ベイズ脳活動推定 MEGによる頭蓋外観測磁場 fMRIによる脳機能地図 横河電機(株) SIEMENS、提供ATR-Promotions ミリ秒単位の 脳活動情報 階層変分ベイズ脳活動推定法 脳活動時空間情報の統合 不良設定性を回避 ミリメートル単位の 脳活動情報 時空間的に高精度な 脳活動の活動パターン 2010.10.20 6 効果的に不良設定性を低減 • 空間分解能の高いfMRI情報の利用により 電流源候補領域を絞り込む SIEMENS、提供ATR-Promotions • 階層変分ベイズ法により、有意に活動がある 電流源のみを推定し、活動位置をさらに限局 未知電流源の数を実質的に減らし 不良設定性を解決 2010.10.20 7 2010.10.20 8 アーチファクトの影響とその除去 筋肉活動は電気活動 眼球運動や心拍が 磁気的擾乱を引き起こす 心拍アーチファクト 心拍 2010.10.20 9 アーチファクトの影響とその除去 筋肉活動は電気活動 心拍アーチファクト 眼球運動や心拍が 磁気的擾乱を引き起こす 心拍アーチファクト 心拍 2010.10.20 10 脳活動から運動を再現する要素技術(II) スパース推定による 効率的な特徴抽出 2010.10.20 11 顔予測を例に(1) 誰でしょう? 2010.10.20 12 顔予測を例に(2) 誰でしょう? 2010.10.20 13 特徴抽出 データの特徴的な部分を抜き出せば 正しく推定することができる Albert Einstein (1879–1955) 2010.10.20 14 一般の特徴抽出は困難 脳の様々な部位の電気活動のうち どれをどのように使えば 指先位置を知ることができるか? 運動前野 電流強度 顔は目元や口元が 特徴量として有効 感覚野 ? 時間 Albert Einstein (1879–1955) 2010.10.20 15 従来手法 : 線形回帰法 指先位置 y すべての電流を重み付けして 指先位置を推定 + w1 多数の 脳電流 2010.10.20 x1 x2 w2 wn xn wD-1 wD xD-1 xD 16 スパース推定法 指先位置を知るのに特徴的な 電流を自動的・効率的に選択 指先位置 y 不必要な電流はカット + w1 多数の 脳電流 2010.10.20 x1 x2 w2 wn xn wD-1 wD xD-1 xD 17 自動選択された電流位置 自動的・効率的に選択された 指先位置推定に重要な 部位と重みマップ 各部位が果たす役割の 神経科学的な知見と一致 頭頂連合野 運動野 運動を 計画する部位 運動をコントロール する部位 体性感覚野 感覚入力を 受け取る部位 2010.10.20 18 スパース推定ライブラリを公開 http://www.cns.atr.jp/cbi/sparse_estimation/index_j.html 公開1年で アクセス数2400以上、 ダウンロード数1500以上、 Google, Yahoo検索トップ 2010.10.20 19 階層変分ベイズ法ソフト • 一般ユーザーがグラフィカルなメニューを選んでいくGUIに より使用できる階層変分ベイズ法ソフト VBMEG を ATRのウェブサイトで今年度中に一般公開予定 2010.10.20 20 将来展望 ブレイン・マシン・ インタフェース 脳がコンピュータ・ ロボットとダイレク トに通信し制御 マルチモーダル 脳活動推定法 神経科学の発展 ニューロ モニタリング 脳の働きをリアルタイ ムにモニタリングしなが ら、イメージトレーニン グや心的状態の通信 脳内全体の時空間的 活動パターンの解析 により、情報処理過 程の解明 イメージトレーニング 2010.10.20 21 共同研究者、関係論文 • 川人光男、外山敬介、吉岡琢、山下宙人、藤原祐介(ATR) • Sato M, Yoshioka T, Kajiwara S, Toyama K, Goda N, Doya K, & Kawato M: Hierarchical Bayesian estimation for MEG inverse problem. NeuroImage, 23, 806-826 (2004) • Yoshioka T, Toyama K, Kawato M, Yamashita O, Nishina S, Yamagishi N, & Sato M: Evaluation of hierarchical bayesian method through retinotopic signal reconstruction from MEG measurement. NeuroImage, 42, 1397-1413 (2008) • Sato M: Online Model Selection Based on the Variational Bayes. Neural Computation, 13, 1649-1681 (2001) • Yamashita O, Sato M, Yoshioka T, Tong F, Kamitani Y: Sparse estimation automatically selects voxels relevant for the decoding of fMRI activity patterns. NeuroImage, 42(4), 1414-1429 (2008) 2010.10.20 22 ご静聴有り難うございました 2010.10.20 23
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