本製薬業協会の 治験ネットワーク活性化に向けた 取り組みについて

⽇本製薬⼯業協会の
治験ネットワーク活性化に向けた
取り組みについて
⽇本製薬⼯業協会
医薬品評価委員会 臨床評価部会
藤岡 慶壮
1
依頼者の治験NWへの期待
従来の治験実施体制
依頼者が個々の
医療機関と契約
治験NWによる連携体制
依頼者
(企業)
→負担⼤
依頼者
(企業)
・窓⼝機能の⼀元化
・中央IRB機能
臨床研究中核病院等
「症例集積性向上!」「業務効率化!」
個々の医療機関で治験実施をする場合より
少ない⼿間、コストで多くの症例を集積できる!
2
依頼者の考える治験NWの現状
【2012年度製薬協調査結果より】




いくつかの治験NWは、実際には活動していない、あるいは治験の
受託がない
C-IRBの活⽤⾯など業務のさらなる集約化が必要
症例登録推進についてさらなる取り組みが必要
治験NW事務局の運営費⽤等の財源についても課題
治験NWの多くは、⼗分といえる機能を備
えておらず発展途上であろうと推察される。
調査結果報告先
・Clinical Research Professionals
No.34 (2013・2)
・製薬協ホームページ;
http://www.jpma.or.jp/information/evaluation/allotment/tiken_research.html
3
製薬協による治験NW活性化活動
⽇本の
治験
活性化
優良な
治験NW
現状の
治験NW
活性化活動を実施し,
優良な治験NWへの成
⻑を促進
活動プロセスと成果
を公表し,他の治験
NWの成⻑も促進
4
優良な治験NWに求める要件
優良な治験NWに求める要件
治験NWとしての体制・機能構築
治験⼿続き効率化の要件
治験NWによる症例マネジメント
体制・機能構築
適切な症例の登録を
管理・推進するための要件
症例集積性の向上,治験NWの
特徴化
症例登録を推進する具体的⽅策,
治験依頼者に魅⼒的な特徴
重要な機能・役割
・ 治験NW事務局業務の⼀元化
・ C-IRBでの審議実施
・ 治験NW登録医療機関内でのSOPの統⼀
・ 治験NW内での教育の実施
・ 治験NW事務局による情報公開
・ 治験NW事務局を経由した意向 調査の実施
・ 治験NW登録医療機関内データ集約・提⽰
・ 明確な根拠に基づき調査した実施可能例数
の提⽰
・ 治験NW事務局による重⼤な逸脱・GCP違
反の把握
・ 治験NW事務局による症例登録推進策の策
定及び共有
・疾患レジストリー
・リモートSDV
・治験⼿続の電⼦化
・臨床研究への積極的参加
5
活性化活動のターゲット(選定)
 対象:69治験NW
 医療機関(⼤学・医師会・医療法⼈・独⽴⾏
政法⼈等)が主導して形成したNW
 Web検索の結果,連絡先が確認できたNW
 選定⽅法
 ⼀次選定
 ⼆次選定
 最終選定
 ⼀次〜⼆次選考は,治験NWを特定
できない状況で選考を実施
 治験NWの現状,あるべき姿等を
調査し,改善の意思がいづれかの
要件と合致すると考える治験NWを
活動のターゲットとして選考
6
活性化活動のターゲット
優良な治験NWに求める要件
ターゲットとする治験NW
治験NWとしての体制・機能構築
あきた治験NW
治験NWによる症例マネジメント
体制・機能構築
とおとうみ臨床試験NW
症例集積性の向上,治験NWの
特徴化
いばらき治験NW
7
活性化活動の進め⽅
課題,解決⽅法,評価基準,期⽇(マイルストン)
アクションプランの確認・合意
Do
(必要に応じて)
アクションプランの修正
Act
Plan
Check
アクションプランの遂⾏
治験NW:遂⾏責任者
製薬協:協業先
アクションプラン
遂⾏状況の確認
活動期限:2015年3⽉
8
優良な治験NWとなるための取り組み(⼀部)

治験NWとしての体制・機能
 C-IRBでの審議実施

治験NWによる症例マネジメント体制・機能
 実施可能性調査の実施
 とおとうみ臨床試験NW
 あきた治験NW
 いばらき治験NW

症例集積性向上,治験NWの特徴化
 あきた治験NW
 患者紹介体制の構築
 いばらき治験NW
9
優良な治験NWとなるための取り組み(⼀部)

治験NWとしての体制・機能
 C-IRBでの審議実施
10
C-IRBでの審議実施
あきた治験NW
求められる機能・役割
治験NWで受託した治験では、C-IRBを活⽤することができる
解決策
1. セントラルIRBの設置者-実施医療機関の⻑間の契約の締結
2. C-IRBへの外部の実施医療機関が治験を適切に実施できるか否かを判断する
ための情報の提供
活動の成果
治験NW書式の作成
1. 治験審査に関する委受託契約書
2. 治験実施医療機関の概要
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C-IRBでの審議実施
あきた治験NW
書式名
治験審査に関する委受託契約書
治験実施医療機関の概要
記載項⽬
【 GCP省令第30条第2項を参考】
・ 契約締結年⽉⽇
・ 登録療機関及びC-IRBの設置者
の名称及び所在地
・ 契約に係る業務⼿順
・ C-IRBが意⾒を述べるべき期限
・ 被験者の秘密保全
・ 病床数及び外来患者数
・ 職員数
・ 診療体制
・ 治験実施体制
・ 治験に関する⼿順書
・ 緊急時の対応
・ 当該治験の実施に必要な
検査治験施設⽀援機関(
SMO)への当該治験業務
の委託設備
12
優良な治験NWとなるための取り組み(⼀部)

治験NWによる症例マネジメント体制・機能
 実施可能性調査の実施
13
実施可能性調査の実施
求められる機能・役割
治験NW事務局が中⼼となり,迅速,効率的かつ精度の⾼い参加意向・実施可能
例数調査を実施することができる
解決策
1. 調査⽬的を明確にし,調査⽬的に応じた調査フロー,調査項⽬,担当窓⼝,
タイムラインで調査を実施する調査⼿順を作成
2. 迅速かつ効率的に医療機関選定調査を実施する⼿順を作成
3. NWで保有する情報の絞込み
4. 個々の医療機関で実施する調査⽅法の共有
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実施可能性調査の実施
【調査⽬的の明確化】
いばらき治験NW
解決策
1. 調査⽬的を明確にし,調査⽬的に応じた調査フロー,調査項⽬,担当窓⼝,
タイムラインで調査を実施する調査⼿順を作成
活動の成果
•
•
コンセプト(調査⽬的,調査時期,調査項⽬)に応じた調査の分類
分類に応じた調査⼿順
期待される効果
•
•
調査⽬的及び⼿順を明確にすることによる不要な調査の削減と,それに伴う
リソース(労⼒と時間)の再配分
不明瞭な⼿順により⽣じるミスコミュニケーションや,それに伴う調査精度
の低下,不信感の発⽣などの解消
15
実施可能性調査の実施
【調査⽬的の明確化】
試験実施可能性調査
いばらき治験NW
医療機関選定調査
調査時期
実施計画書固定前
実施計画書固定後
調査⽬的
固定していない実施計画書を
⽤いた
・検査項⽬等の実施可能性
・実施可能な症例数
確定した治験実施計画書を⽤いた
・個別医療機関の実施可能性
・実施可能な症例数
調査項⽬
・選択除外基準の現実性
・試験スケジュールの現実性
・検査項⽬の現実味
・国内で想定できる投与例数
・対象患者数
・当該治験への参加意思
・治験責任医師候補
・検査の実施可否
・その他の医療機関情報
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実施可能性調査の実施
【医療機関選定調査】
とおとうみ臨床試験NW
解決策
2. 迅速かつ効率的に医療機関選定調査を実施する⼿順を作成
活動の成果
⼀次調査では実施不可な医療機関の篩分けを,⼆次調査では実施可能な医療機
関の詳細調査を⾏う調査⼿順
期待される効果
治験依頼者,治験NW双⽅にとって迅速,効率的及び精度⾼い医療機関選定調査
17
実施可能性調査の実施
【医療機関選定調査】
とおとうみ臨床試験NW
⼀次調査
⼆次調査
⽬的
実施不可な医療機関の篩分け
実施可能な医療機関の詳細調査
内容
NW保有情報をもとに、治験依
頼者と協議のうえ、NW内で各
医療機関の実施可能性を調査
各医療機関の詳細な実施可能性調査
実施者
調査⽅法
要件
• NW事務局
• 各医療機関(調査窓⼝はNW事務局)
• NW保有情報
• 各登録医療機関保有情報
• 各担当医師の印象など
実施上重要となる項⽬を調査
精度の⾼い実施可能症例数調査
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実施可能性調査の実施
【医療機関選定調査】
調査施設数
⼀次調査(NW)
とおとうみ臨床試験NW
⼆次調査(各医療機関)
篩分け調査
対象患
者
検査設
備
詳細調査
医師の
やる気
調査の流れ
(調査期間1〜2週間)
候補対象外
施設
調査情報量
NW保有情報
・疾患別患者数
・治験実施体制 ・担当医師のやる気
・検査設備
・担当医師による
・実績
被験者数の印象
・カルテ調査
調査項⽬と
情報源
医療機関情報
キーとなる項⽬→詳細調査
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実施可能性調査の実施
【NW保有情報】
とおとうみ臨床試験NW
解決策
3. NWで保有する情報の絞込み
活動の成果
治験依頼者の治験実施情報を調査する⼿順
期待される効果
•
•
•
•
治験NW⾃らによる治験実施状況の確認
今後治験が実施されるであろう疾患領域の特定
特定した疾患領域での患者情報集約・保有
リソースを選択・集中した治験の準備,実施体制の強化
20
実施可能性調査の実施
【NW保有情報】
とおとうみ臨床試験NW
⼿順
1. データベースへアクセス
備考
JAPIC-CTI
http://www.clinicaltrials.jp/user/cteSearch.jsp
2. 臨床試験情報の検索
JapicCTI-No.:⼊⼒せず
組織名::⼊⼒せず
疾患名:⼊⼒せず
試験薬剤名:⼊⼒せず
薬効分類:⼊⼒せず
全⽂検索:⼊⼒せず
試験進捗状況:「参加募集中」
試験タイプ・フェーズ:
「フェーズ1」、「フェーズ1・2」、「フェーズ2」
性別:「指定なし」
⾔語:「⽇本語」
3. 検索結果の収集
基本情報、試験実施者、試験の内容(疾患名、試験薬
剤名、薬効分類コード、試験のフェーズ)を収集
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実施可能性調査の実施
【調査⽅法の共有】
とおとうみ臨床試験NW
解決策
4. 個々の医療機関で実施する調査⽅法の共有
活動の成果
•
•
模擬治験の実施計画書及び調査票を⽤いた患者数調査の実施,結果の共有
調査⽅法を共有する調査フローの運⽤
期待される効果
•
•
ノウハウの共有による調査精度の向上
調査⽅法を把握し治験依頼者へ提⽰することによる調査精度に対する認識の
ズレの解消
22
実施可能性調査の実施
【調査⽅法の共有】
問題が発⽣する箇所
とおとうみ臨床試験NW
問題点
調査全般
・ 情報により,調査⽅法が異なる
・ 医事課や各科と連携して調査を⾏う場合,調査依頼等
に係る期間が必要
・ 診療科毎/⽉毎/外来・⼊院の区別等,システムで対応
できない検索条件
患者数調査
・ 医師により病名の付与⽅法が異なる(国際疾病分類,
レセプト病名等)
選択・除外基準調査
・ 電⼦カルテに記載されない情報(重症度,画像検査診
断結果,特殊検査結果等)の調査
・ 分類(経⼝⾎糖降下薬等)で制限された薬剤の調査
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優良な治験NWとなるための取り組み(⼀部)

症例集積性向上,治験NWの特徴化
 患者紹介体制の構築
24
患者紹介体制の構築
求められる機能・役割
治験NW事務局が治験を実施していない医療機関(治験NW登録医療機関や周辺
の医療機関)と連携を図り、候補患者を実施医療機関に紹介することができる
解決策
1. NWのメリットを活かした患者紹介体制・⼿順の検討
2. NWの特徴を活かした患者紹介体制・⼿順の検討
25
患者紹介体制の構築
【NWのメリットを活かした患者紹介】
あきた治験NW
解決策
1. NWのメリットを活かした患者紹介体制・⼿順の検討
活動の成果
•
•
既存の秘密保持契約を活⽤した患者紹介体制の構築
NW共有の患者紹介⼿順の作成
期待される効果
より早いタイミングでの他院への情報提供/紹介元医療機関での候補患者の検討/
⼿順に従った患者紹介の実施
26
患者紹介体制の構築
【NWのメリットを活かした患者紹介】
プロセス/必要な対応
① 他院への情報提供
 情報提供を⾏うこと
への治験依頼者の合
意
 治験依頼者との秘密
保持契約
② 患者紹介
NWのメリット
あきた治験NW
今後の対応
・ NW内で秘密保持契約を締結 ・ 秘密保持契約の適応範
・ 医療機関選定調査依頼時に
囲に「患者紹介のため
治験依頼者-NW間で秘密保
の情報提供」を加える
持契約を締結
・C-IRBでの審議が可能
 ⼿順をIRBに提出し,
承認を得る
・ NW内の患者紹介標準
⼿順を作成し,事前に
C-IRBで承認を得る
27
患者紹介体制の構築
【NWのメリットを活かした患者紹介】
【単⼀医療機関】
紹介元医療機関
紹介対象患者
選定
合意
【治験NW】
紹介元医療機関
秘密保持
紹介対象患者
紹介⼿順
事前承認
情報提供可
紹介元医療機関
事前合意
IRB
契約
あきた治験NW
紹介⼿順承認
秘密保持
情報提供可
紹介可
紹介可
28
患者紹介体制の構築
【NWの特徴を活かした患者紹介】
いばらき治験NW
解決策
2.
NWの特徴を活かした患者紹介体制・⼿順の検討
活動の成果
既存の特徴を活かした患者紹介体制の構築
• 病病連携,病診連携での患者紹介体制
• 患者同意に基づく患者情報の共有ツール
期待される効果
詳細な患者情報を確認した上で候補患者の紹介を依頼することによる
• 実施医療機関/紹介元医療機関での適切な業務分担
• 紹介候補患者に対する,治験に参加できないリスクの低減
⇒患者紹介に⾄るまでの障壁の解消
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優良な治験NWへの羅針盤
治験NWがどういう機能、役
割を持ったらよいかを検討しま
した。
1)理想的な治験ネットワークの要件と⾃⼰評価
2)治験ネットワーク⾃⼰評価シート
研究班で 改
訂作業中。
http://www.jpma.or.jp/information/evaluation/allotment/ti
ken_network.html
3)治験ネットワーク活性化活動に関する報告書
2015年5⽉ 公開予定!
30
最後に
治験依頼者も治験NWの発展に期待をしています。
治験ネットワーク
治験依頼者
31