ジェイ B.バーニー

ジェイ B.バーニー
リソース・ベースト・ビュー(RBV)
国士舘大学 経営学研究科 13-MC007 周曼
RBVとは
◆1984年にB・ワーナーフェルトによって提唱された概念である
が、注目されるようになったのは、1991年のJ.B.バーニーの研
究がきっかけである。
◆リソース・ベースト・ビューは企業の外部環境や業界内でのポ
ジショニングに基づく戦略論とは異なるアプローチを取っている。
競争優位の源泉を企業の内部資源に求める。
◆コア・コンピタンス、ナレッジ・マネジメントなどはRBVと同じ思
想である。
企業が自らの力でコントロールできる競争優位の要因を
探るために経済理論
◆持続的競争優位を左右する要因は、所属する業界の特
質ではなく、その企業が業界に提供するケイパビリティであ
る。
◆稀少かつ模倣にコストのかかるケイパビリティは、他のタ
イプの資源よりも、持続的競争優位をもたらす要因となる可
能性が高い。
◆企業戦略の一環としてこの種のケイパビリティの開発を
目指し、そのための組織が適切に編成されている企業は、
持続的競争優位を達成できる。
「業界の魅力」を重視した分析法
・企業が属する業界が持続的競争優位の達成の可否を決定づけている。
・マネシャーの最重要課題は「魅力ある業界の発見」である。
・業界で活動する企業が持続的競争優位を実現させ、魅力に乏しい業界で活動する
企業は競争優位を達成できない。
問題
点
ニュー・エコノミーの場合
・ニュー・エコノミーは情報のフローを妨げる要因を減らし、サプライヤーや顧客が入
手できる情報量を増大させ、活発な競争が展開されるグローバル規模の市場を創出
するものである。
・「業界の魅力」を重視した分析法を取る限り、ニュー・エコノミーの下で持続的競争優
位を達成することが難しくなる。
+
業界の魅力とは企業がその業界に提供するケイパビリティと切り離して評価できない。
従来の意味で「魅力」に乏しい業界でも企業が持続的競争優位を達成する例が少なくない。
企業
業界
環境
手段
ウォルマート
ディスカウント小売
業界
非常に低いマージ 自社、またディスカ
ン、多数の競合企 ウント小売業界を再
業、バイヤーから圧 定義をたゆみなく進
力が厳しい
める
ニューコア・スティー
ル
世界規模で事業展
開する鉄鋼業
競合企業が多く、生
産能力が過剰、バ
イヤーのパワーが
強い
デルコンピューター
世界規模で事業展
開するパソコン産業
競争が激しく、参入 業界内のバリュー
企業が多く、サプラ チェーンを再構築し、
イヤーとバイヤー双 品質とサービスの
方のパワーが強い
両面で勝つ
新技術の開発と新
規市場に参入する
◆莫大な経済価値を創造する一つ方法は、魅力の薄い業界で競争優位を獲得し、こ
れを維持することである。
◆業界の魅力を決定づけているのは、三社が業界内激しい競争に投入している稀少
かつ模倣にコストのかかるケイパビリティである
VRIO分析のフレームワーク
R:rareness
(稀少度)
V:value
(価値)
ケイパビリティ
I:imitability
(模倣可能度)
O:organization
(組織)
価値
顧客にとって価値があるか?
「それを活用することによって、競争上のチャンスを開拓する企
業戦略をどの程度実行できるのか」で決まる
稀少度
稀少性があるのか?
「競合企業のうち、現時点でそれを有していない企業がどれぐら
いあるか」によって決まる
模倣可
能度
真似されにくいのか?
あるケイパビリティを獲得する当たり、すでにそれを持っている企
業がコスト面で不利になる場合、そのケイパビリティは「模倣にコ
ストがかかる」といえる
組織編
成
組織がきちんと整備されているの
か?
ケイパビリティの有する潜在的競争力を十分に引き出せるかどう
かは、企業組織がどのくらい能率的・機能的に編成されているか
で決まる
※以上の4つの区分ごとに分析をする上で企業の経営資源が競争優位をどれだけ持っているのか
を把握できる
ケイパビリティは企業競争への影響
価値
稀少度
模倣可能性
組織性
競争優位性
低い
なし
高い
なし
競争不利
高い
なし
高い
なし
競争同等
高い
あり
高い
なし
短期競争優位
高い
あり
低い
なし
持続的競争優位
高い
あり
低い
あり
最大限の持続的
競争優位
※組織形態:調整すべき要因として機能する。持続的競争優位を実現させうるケイ
パビリティもそれを活用できる組織形態でなければ、その潜在能力を十分に発揮で
なけない。逆に、競争上、他社と同等の立場を実現させうるケイパビリティが、それを
活用するに適した組織に設計されていれば、さらに優れた結果をもたらす可能性が
ある。
ニュー・エコノミーで持続的競争優位を確保する方策
自社独自の経験価
値を築く
サプライヤーと間に
密接な関係を築く
顧客の間に密接な
関係を築く
従業員との間に密
接な関係を築く
・「模倣のコストのか
かる利点」を自社に
提供してくれる企業
を含め、多数の企業
と独自の関係を構
築する
・オールド・エコノ
ミー時代の事業活
動をニュー・エコノ
ミー下の活動にリン
クさせ、これまでの
競争上の強みを活
用する
・ニュー・エコノミー
時代のテクノロジー
を用いて、購買コス
トを抑える
・今後長期にわたる
関係を築くべき主要
サプライヤーを選別
する
・自社のビジネスに
おける「ニュー・エコ
ノミー的ではない業
務」を確実に遂行す
る
・ニュー・エコノミー
の下でブランド認知
度を高める
・自社で重要な役割
を担っている従業員
と安定的な雇用関
係を築く
+
オーナーシップやコントロールよりもフレキシビリティを重視する企業編成を取る
・パートナーとの戦略的アライアンスに信頼を置き、多様なビジネス活動を展開する
フレキシブルな企業形態に変える
・オールド・エコノミーでは、製品ライフサイクルが長く、テクノロジーの進歩
が遅く、顧客の嗜好変化も予測可能である。企業はバリューチェーンの広
い範囲にわたって垂直統合を進める。
・ニュー・エコノミーでは、製品ライフサイクルが短く、テクノロジーの進歩が
速く、顧客の嗜好変化が予測しにくい。企業形態がさまざまな形の戦略的
アライアンスである。
ケイパビリティの競争
・持続的競争優位をもたらす要因を見極めるには、従来から常にその源泉で
あった各種ケイパビリティの開発に努力する。
・戦略的アライアンスの活用を推し進め、不透明なニュー・エコノミーの世界に
おけるフレキシビリティを確保していくことを重視しなければならない。
自社ならではの持続的競争優位を築く能力があり、それをよりフレキシブルな
企業形態を通じて実現できる企業ならば、ニュー・エコノミーという「素晴らしき
新世界」で大きいな成功を収めることができる。