New Internationalist (No.418) & ニュー・インターナショナリスト・ジャパン(No.106) 2008年12月号 世界食料危機 ─ 飢餓の構造と解決策 Food Crisis: Record profit and hungry people 世界金融危機の陰に隠れ、食料価格高騰のニュー スが取り上げられることも少なくなった。飢えかけてい る人々の運命よりも、企業救済の行方や投資銀行家 たちの身の振り方に関するニュースの方がより多く伝 えられている。この全く違うように思える2つの問題に は、実は共通する点がある。それは、どちらも立場の 弱い人々のことを顧みず、無責任な利益の追求が行 われてきたということだ。 2008年の食料価格高騰は、南の途上国の農業に壊 滅的な打撃を与え、世界の人々の食料自給力を破壊 した。その結果新たに5,000万人が飢餓状態に陥った が、その一方でアグリビジネスは史上最高益を上げて いる。しかし、単にこれらの現象を眺めていただけでは 問題の本質を見誤ってしまう恐れがある。この食料危 機は、食料輸入と農薬使用を基本とする工業化した食 料供給システムと深い関係があることに注意しなけれ ばならない。今回は、世界がこのシステムに依存する よう仕向けている動きとその現状について報告する。 NIジャパン No.106 2008年12月号 世界食料危機 ─ 飢餓の構造と解決策 <内容> (本文は日本語です) 2 イントロダクション ─ 「がんばれ」と言う前に 3 食料危機を取り巻く事情 食料価格高騰は、世界の特に貧困層の生活と生 命を直撃した。食料の市場価格のわずかな変動も、 毎日食べていくだけで大変な人々にとっては、1食 抜くかべきどうかという判断を迫る。食料危機の現 実と、そこに至った要因について報告する。 7 安全、安心、持続可能な食料供給への指針 オルタナティブな食の未来をつくるためのガイドライン。 10 飢餓で稼ぐ連中 今年の食料価格の高騰は、突然降ってわいた天災ではない。それは、過 去数十年にわたる、緑の革命という農業の変化、世界銀行やIMFが押しつ けてきた構造調整プログラムによる途上国の国内市場と産業の変化、そ してアグリビジネスの台頭が組み合わさり、その影響が蓄積して起きた人 災である。そこにはどんな現実があるのか。また、これ以上の人災を防ぐ ための方法はあるのだろうか。 20 食料危機 ─ その事実 食料価格高騰の仕組みと、誰がどのくらいの利益をそこから得て、飢えた 人々がどんな危機に直面しているのかをデータで読み解く。 27 フュージョンという考え方 食料をめぐるさまざまな問題を今後解決していく上で重要なフュージョン (融合)という考え方について、具体的な例を挙げながら考えてみよう。 【日本発のリポート】 33 食糧主権 ─ 日本と世界の食を救う道 真嶋良孝(農民運動全国連合会) 農業の本質を忘れた政策と構造が日本の食と農をむしばんでいる。ここで は、その現状を振り返り、その対処法として注目されている食糧主権につ いて考えてみる。 44 もっと知るためのネタ帳 食料危機に関して幅広く知る、そして何かするための活動団体、参考ウェ ブサイト、映画祭、書籍の情報。 46 ブックレビュー:『「アメリカ小麦戦略」と日本人の食生活』 (鈴木猛夫 著) ※NIジャパンは、NIからの翻訳記事を中心に構成されています。 NI(英語、A4判・カラー、約40ページ)と日本編集のNIジャパン(日本 語、A5判・モノクロ、約48ページ)をセットでお届けします。 【定期購読(1月と2月は合併号のため年11回発行)】 NI & NIジャパン 1年(11冊)=¥10,500 2年(22冊)=¥19,000 NIジャパンのみ 1年(11冊)= ¥5,000 2年(22冊)= ¥9,000 NIのみ 1年(11冊)= ¥8,000 2年(22冊)=¥14,000 【一部のみの販売:最新号/バックナンバー】> ¥400∼¥1,000 NI No.418 December 2008 Food Crisis: Record profit and hungry people <内容> (本文は英語です) ●アグリビジネスの言い分 化学物質にまみれた工業化 された農業、大規模営農や国 際分業の優位性など、アグリ ビジネスは自らの活動にどの ような理由づけを行っている のだろうか。 ●肉食のコスト 肉食は、もはや生命倫理や 思想信条の問題だけでは語れない時代になった。 今日食肉産業は、地球温暖化ガスの排出源として 無視できない産業に成長したのである。 ●ピーク・ソイル 農作物を作るには土地が必要である。しかもその 土壌は、作物の栽培に適した土地でなければなら ないが、それを支える豊かな表土の侵食や流出が 止まらず、地球の人口も増加している。その結果、 1人を食べさせるために利用できる農地の面積は 減少の一途をたどっている。この問題を乗り切ろう と、機械化、「緑の革命」、遺伝子組み換え(GM) 作物などが導入されてきたが、それぞれの問題も 今ではよく耳にするようになった。果たして人類は、 どのような方法でピーク・ソイルと食料供給問題を 乗り切ることができるのだろうか。 このほかの記事の詳細はウェブサイトをご覧ください *ホームページでは、購読お申し込みやバックナンバー照 会、無料メールマガジン申し込み等がご利用頂けます。 <お問い合わせ・お申し込み> ニュー・インターナショナリスト・ジャパン 有限会社インティリンクス 〒182-0035 東京都調布市上石原1-36-6 西調布シティ303 Tel / Fax:042-498-3126 E-mail:[email protected] URL http://www.ni-japan.com
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