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新しい賃金制度
--- アメリカと日本
2014年11月25日
人事労務管理論B (第8回)
LT1011教室
LT1012教室
前回の復習から

人事制度
人事制度と賃金制度
人事制度は働かせ方のための制度
→
 賃金制度
賃金は「労働の対価」だとすれば
→ 「働かせ方」に規定される

人事制度と賃金制度
賃金制度の変化をみることで
→ 「働かせ方」(働かせられ方)がわかる
2
「賃金の決め方」の意義

賃金の決め方・決まり方

賃金決定基準の重要性
①賃金を決める「基準」
②賃金の上がり方・賃金の水準
経営側からみて:①
②
労働側からみて:①
②
労使のせめぎ合い:
3
春闘と定期昇給制度
ーーその後の「年功(年の功)」賃金ーー

春闘
毎年春、労働組合が賃上げや労働条件の改善を求
めて一斉に要求し、交渉をおこなってきた
第1次高度成長期(1955年以降)から始まった

定期昇給制度(定昇)
毎年の大幅賃上げ、労使紛争回避を狙って日経連
が提唱
→
→
4
第2次高度成長期以降:職能給
ーーー「年と功」賃金ーーー

「年の功」賃金の問題性
企業への
仕事への
従業員の間での

職務遂行能力
仕事に関連した能力で賃金決定
職務遂行能力(職能)の程度を賃金に反映させる

職能給へ
年齢と経験を考慮しつつ
人事考課(査定)
5
職能給のモデル
職
能
資
格
給
M-5
M-4
J-3
J-2
J-1
年齢・勤続
6
年功賃金と職務遂行能力の関係
+
賃金カーブ
働き(成果)カーブ
-
+
→年齢
?歳
40歳
7
ところが・・・大変化がおきている!

これまでの人事制度を支えていた前提
大量生産・大量消費:つくれば売れる
アメリカではフォード生産システム
→
日本ではトヨタ生産システム
→

前提の崩壊
大量生産・大量消費の崩壊:高度成長の終焉
→つくっても売れない。何をいかにつくるか
人事制度の変化とともに賃金制度も大変化!!
8
フレキシビリティ(柔軟性)の確保

市場動向にフレシブルに対応
市場競争に打ち勝つための条件

フレキシビリティの確保
・数量的なフレキシビリティ:
・機能的なフレキシビリティ:
・金銭的なフレキシビリティ:

生産と労働のフレキシビリティ
・雇用量を自由に調節←→
・仕事と配置を自由に調節←→
・賃金を自由に調節←→
9
人事制度の「改革」

変化の波は世界を覆う
→ 市場動向に素早く対応すること
→ 変化の方向は課題は共通だが、課題は異なる

アメリカでは
→ 機能的フレキシビリティが課題
→

日本では
→ 数量的フレキシビリティが課題
→
10
賃金制度と賃金決定基準
仕事そのものの価値←「仕事基準」→業績と成果(顕在能力)
(
個
人
査
定
な
し
)
何
ら
か
の
集
団
に
対
す
る
評
価
・職種別賃金
・出来高(能率)給
・職務給
・業績給
2
1
3
4
・年齢・勤続給
・年功給
・職能給
生活←「ヒト(属人)基準」→潜在能力
個
人
に
対
す
る
評
価
(
個
人
査
定
あ
り
)
11
アメリカ人事・賃金制度の新しい特徴

ヒト基準へ
仕事基準(Job based)から
ヒト基準(Person based)へ
・
・
・

人事考課・査定の導入

コンピテンシー
12
アメリカの新しい賃金制度①
技能給(Skill-based Pay, SBP)
→
 知識給(Pay for Knowledge, PFK)

→

業績給(Pay for Performance, PFP)
→
13
アメリカの新しい賃金制度②
コンピテンシー給(CBP)

コンピテンシーという概念;
高い業績を上げる知識、技能、行動などの特性

コンピテンシー・ディクショナリー
→

ねらい
業績給の弊害(
技能給の弊害(

)と
)を克服
人材育成
成果と業績を生んだプロセスを重視し、各人の能力
向上と育成
14
日本の新しい賃金制度(1)
成果主義賃金
ただし仕組みや内容は多様(定まったものでない)
①職能資格制度の修正=
ex) 兼松→
電通→
ソニー →
②目標管理(MBO)と賃金を結合
ex) 富士通→
15
日本の新しい賃金制度(2)
③職務給化:
ex) 武田薬品→
④役割給
ex)トヨタ →
三菱電機 →
担当職務の難易度(重要性)と当人の貢献度
16
成果主義の普及度
厚生労働省の調査では管理職層
非管理職層
2001年 管理職
2004
2009
2001年 非管理職
2004
2009
導入している
65.0 (83.2)
48.2 (82.2)
導入してない
35.0 (16.8)
51.8 (17.8)
46.9 (70.0)
53.1 (30.0)
66.1 (79.2)
50.5 (78.8)
33.9 (20.8)
49.5 (21.2)
46.6 (65.3)
53.4 (34.7)
( )内は従業員1000人以上の企業
17
なぜ下落?
ーーー成果主義に対する働く側の評価
2005年JIL調査より

賃金の決め方
仕事の成果を評価して欲しい
経験と能力を評価して欲しい

現状への評価
自社の成果主義は成功している
肯定11%
評価にばらつきがある
04年 JILPT調査
18
18
ついに労働経済白書(2008年版)も

成果主義と労働意欲
成果主義を望む従業員
成果主義を望まない従業員

労働意欲
成果主義賃金の導入だけに頼って労働意欲向上を図る
ことは好ましくない。
成果主義の適用を図る分野も十分な検討を!
19
職能給の復活と役割給の台頭
基本給の決定要素別企業数の割合
年
職務遂行能力
仕事内容
1998
69.6
(85.5)
70.1
(48.1)
2001
79.7
(84.0)
72.8
(58.5)
2009
69.9
(77.3)
77.9
(70.9)
非管理職 1998
69.2
(86.5)
68.8
(46.6)
2001
77.3
(86.2)
70.6
(53.0)
2009
69.3
(80.0)
72.7
(66.2)
管理職
( )内は従業員
1000人以上企業
厚労省・就労条
件調査各年版
「仕事内容」とは、仕事の質と量(企業貢献度)
→
→
20
役割給のイメージ
日本経団連
『役割貢献度賃金』(2010年)
143、154ページより
21
役割給!

ヒト基準の賃金決定
「仕事」給とはいえ、「職務」給ではない
処遇基準を
・
・
・

人事考課に基づく賃金
・求められる「役割」と「貢献」への評価
・「仕事ぶり」「働きぶり」への評価
22