知識ベース型CAI / IROSA-Ⅱ の開発・評価 著者 岡本敏雄 社会情報システム学講座 発表日 5月22日 0312000112 高橋義昭 論文概要 ・この論文が発表された当時、マイクロコンピュータ の普及につれ、教育の場にもマイクロコンピュータ が導入されCAIに関しても多くのプログラムが開発 されてきた。 ・この論文ではマイコンを利用した知識ベース型 CAI支援システム『IROSA-Ⅱ』を開発し、実験・評 価した結果から今後の改善点はあるものの、意 味・概念体系を学習させるためのツールとしては 有用であると述べている。 IROSA-Ⅱって何? Information Retrieval Oriented CAI Supporting system incorporating reAsoning マイコンを利用した知識ベース型CAI支援システム 著者が以前開発したIROSA-Ⅰの拡張型 学習者がシステムに、決まった形ではある が質問をすることができ、その質問や学習者 の回答に対しコンピュータが推論機能を働 かせ、応答することができる。 システムのウリ システム開発の重点 ① 教材内容の作成・修正・管理が簡便にできる ② 教授ロジックをコンピュータ言語と切り離す ③ 学習教材を単位化し、任意なフレーム集合を持って一 つのコースファイルとする ④ 意味ネット型のフレームの作成・修正・管理が簡便に でき、さらに教授ロジックが簡便に作成できる ⑤ 一つのコースの中で通常フレームと意味ネットフレー ムの共存ができる ⑥ 応答文の照合処理に汎用性を持たせ、誤答箇所を自 動的に指摘できる ⑦ 学習進行をモニタでき、学習済みフレームの再提示を 防ぐなどの制御が可能 エグゼキュータ ソフトウェア体系の中心を担い、各種デー タの解釈・実行・管理を行う 論文中図2のように、一連の流れの制御を 行っている 教材内容作成支援ツール 全てコマンドで行うシステムなので、図形 描写や文字のフォントまですべて特定のコ マンドで行う必要がある。 コマンドはファンクションキーに対応されて おり、簡易ワープロ機能も搭載しているの で用意に作成が可能 教授ロジック支援ツール 教授ロジック(学習の流れ)を記述するた めの支援ツール 予想回答もここで記述す 予想回答・・・学習者が問題に対してどのよう に答えるかを予想しておく。 図4補足:フレーム属性 E/Q/Sとは E:説明フレーム Q:質問フレーム S:意味ネットフレーム である。 意味ネット辞書支援ツール 意味ネットフレーム上の応答処理、質問応 答時に利用する意味ネット辞書を作成する 支援ツール 意味ネット・・・QUILLIANが作り出した、単語間の関係の 表現をするためのもの。単語間の意味関係 を見つけ出すもの 意味ネット辞書・・・キーワードと、そのキーワードの性 質リスト(意味関係)よりなる(論文中図6、表3) 応答処理 順序モード 予想回答のキーワードに対応する応答文のキー ワード候補を選び、その残りが予想形式の書式を 満たすか 非順序モード 順序は考慮せず、予想回答が応答文に含まれるか 数値モード 数値に対する誤差、あるいは有効範囲の照合 意味ネットモード ある問題が John is a ?@$[BOY]$ という予想回答を持つと する。 学習者が回答として John is a MAN と入力した場合の具体 例が(4)下部に記されている。 ルール1:MANはキーワードに含まれるのでルール2へ ルール2:MANとBOYを性質リストの優先順位の高い順に 比較する。優先順位は『フレーム内キーワード』、『同義語』、 『上位集合』『反意語』。一致するものが無かったため、ルー ル5へ ルール5:RはSという予想回答に正しくないと判別される。 質問応答機能 学習者がシステムに向けてできる質問は以下の3つの形 式に限られる。(システムのアルゴリズムは論文中図3) ①キーワード関連情報の処理・・・?(A) ワードAと属性を通して直接の関係を持つ全てのワードと 属性を与える ②包含関係の処理・・・<(A,B) ワードA,Bの包含関係を意味ネット辞書から推論する ③修飾関係の処理・・・=(A,B) ワードAはキーワード・同義語・上位集合・事例として、 ワードBは上位属性としての関係を持つワード。AとBの 包含関係を調べる 意味ネット表現を用いたレッスン 英語イディオムの意味を1単語で置き換える対象 を制定。 学習者は論文中図13のような応答をコンピュー タと繰り返した。 最終的に、presentとcome-up-withが同じ属性を 持つことが分かったが、上位属性が等しくないた め、包含関係が求められないという意味ネットの 非連結の欠点がみられた。 考察 技術的、教育的にいくつかの問題点が指 摘されうるが、それ以上に意味ネット知識 表現、推論エンジンの設計モデルを具体 化し、少数の学習者に使用させた結果、意 味・概念体系を学習させるツールとしては 有用なものであると考える。 論文から参考にしたいもの 学習者からの質問を受けるというのは面白いと思った。 これまではどんな風に間違えた時のフィードバックを与え ればいいかを考えていたが、間違える前にヒントを与える のも一つの手だと気づいた。この論文中に述べられてい る方法以外に学習者にヒントを与える方法を考えてみる。 意味ネット辞書のように一つのキーワードに対する概念 や属性を持たせてみるのも問題の出題に絡めることがで きそう。○○の概念を持つものを集めて新たにドリルを生 成する機能とかも作れたら汎用性のあるドリルシステム も作れる!?
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