統計的に見たテニスの 平成24年度高教研情報統計教育部会研究大会 ~スポーツへの統計の利用 Part Ⅴ~ 研究テーマ:新学習指導要領に基づく、統計的見方・考え方を磨く 日時:平成24年11月30日 13:30~ 会場:秋田県立秋田工業高等学校 秋田県立西仙北高等学校 藤田秀明 事務局:秋田県立西仙北高等学校 Tel : 0187 – 75 – 1002 Fax : 0187 – 75 – 1004 テニス部顧問として 監督は初心者! ・テニス未経験者の自分で顧問が務まるのか? ・何をどうすれば指導できるのか? とりあえずやってみて、覚えていくしかない! スポーツ指導のポリシー 指導の3本の柱 ◇体力を鍛える → スタミナ、パワー、メンタル面 ◇技術を鍛える → テクニック、フットワーク等 ◇作戦を考える → 対戦データの活用 これらをバランスよく鍛え、試合に備える 体力を鍛える 体力は全ての基本である ◇スタミナ → 簡単にバテる奴に勝者はいない! ◇パワー → 正面に飛んでもパワーで圧倒! ◇気力 → 体力は気力の源である 体力を鍛えるのは辛い! 技術を鍛える プレイを支えるのが技術 ◇打つ → 正しい打ち方をしているか? ◇レシーブ → ボールを取れずに打てるのか? ◇サーブ → サーブが入らずに得点なるか? センスも実は関係してくる! 作戦を考える 作戦を考えない奴は馬鹿である ◇相手の傾向を知る ◇自分達の傾向を知る ◇プレイの効率的な使い方を考える 敵を知り己を知れば百戦危うからず 統計を利用する意義 便利だから使うでしょ ◇全般的な傾向が分かる ◇特定の状況下における傾向が分かる ◇意思決定に論理的根拠を与えてくれる 良い統計は良い判断を生む ソフトテニスってどんな競 技? 交互に球を打って得点を競う ◇相手には1回で返す ◇前衛と後衛の2人で戦う ◇打球の種類とコースで展開が変わる 隊形や打球の回転、コースを考えて戦う プレイに傾向が表れる? 傾向が分かれば対策を講じれる ◇打球の飛ぶ方向と距離 ◇打球の種類 ◇隊形との関連 プレイの違いをどう捉えるか 分析の基本コンセプト 活躍点と自責点との関係 ◇どんな得点の仕方 ◇どんな失点の仕方 ◇得点シーンにどれだけ関わっているか 活躍点を増やし、自責点を減らす! 分析に必要とする情報 自分達の長所と弱点を見つけ出す ◇得点(活躍点)の内容 サーブ、コース等 ◇失点(自責点)の内容 コース、ネット等 ◇デュースからの攻防 連続失点を減らす ◇サーブの攻防 1st、2ndの成功率等 ここからは.... 試合の分析に入ります 部内ミニデータ(3Gマッ チ) 団体トーナメント(1回戦) 氏名 Pos 試 合 サーブ内 訳 1 決 2 Pct.1 Serve 3 要 因 Pts. O.P Dif ABS 10 10 0 20 2 6 11 -5 17 1 2 8 8 0 16 1 3 7 16 -9 23 1 3 11 17 -6 28 4 1 6 21 -15 27 2 4 6 -2 10 4 0 13 -13 13 1 0 3 -3 3 Rec_ Rec_o Rec_n St_co St_ou St_ne Smas Sma_ HR Drop Block Blk_m DF m ut et rs t t h m A 後衛 5 7 12 0.37 B 前衛 5 5 9 0.36 4 C 後衛 5 15 9 0.63 1 F 前衛 6 7 11 0.39 1 4 E 後衛 5 24 6 0.80 2 5 D 前衛 7 8 18 0.31 5 G 後衛 3 7 6 0.54 I 後衛 3 J 後衛 3 2 定 2 7 7 1 4 1 1 4 1 3 3 4 6 7 2 2 2 5 4 6 3 3 2 5 0.29 7 2 2 4 0.33 1 2 2 1 1 2 1 1 2 2 1 2 2B 大会でのデータ(1) 団体トーナメント(1回戦) 氏名 Pos 試 合 サーブ内 訳 1 決 2 Pct.1 Serve 定 要 因 Rec_ Rec_o Rec_n St_co St_ou St_ne Smas Sma_ HR Drop Block Blk_m DF m ut et rs t t h m A 後衛 1 11 9 0.55 4 1 B 前衛 1 6 8 0.43 1 1 C 後衛 1 8 4 0.67 2 4 D 前衛 1 5 4 0.56 1 1 E 後衛 1 4 3 0.57 F 前衛 1 3 1 0.75 1 4 8 1 1 2 1 1 1 2 6 3 1 3 1 9 1 3 1 1 2 Pts. O.P Dif ABS 2 10 10 0 20 1 3 4 -1 7 10 13 -3 23 6 10 -4 16 1 13 -12 14 0 5 -5 5 2B 1 3 5 1 2 1 1 Serve サーブポイント Smash スマッシュショットで決まった Rec_miss ラケットでの球の捉えのミス Smash_miss スマッシュを狙いすぎてネットにかけた Rec_out パワフルなストロークに力負けしてのアウト Drop 相手のいないゾーンに軽く落とした Rec_net パワーに圧倒され力の無いリターンがネットにかかった Block 相手のコースを止めた St_cors コースの狙いが良くてレシーブできなかった(外へ抜ける) Block_miss 相手のコースを止めようとしたがミスった St_out 狙いすぎてアウトになった DF ダブルフォルト St_net 狙い過ぎてネットにかかった 2B コート内で無人地帯に打ったため拾えずに2バウンドした HR 単なるホームラン 大会でのデータ(2) 個人戦(2回戦) 氏名 Pos 試 合 サーブ内 訳 1 決 2 Pct.1 Serve A 後衛 1 4 10 0.29 B 前衛 1 4 6 0.40 ゲームカウント:3 – 4 Serve 1st : 4 – 1 2nd : 4 – 2 3rd : 8 – 6 4th : 4 – 6 5th : 1 – 4 6th : 3 – 5 7th : 2 – 7 1 定 要 因 Rec_ Rec_o Rec_n St_co St_ou St_ne Smas Sma_ HR Drop Block Blk_m DF m ut et rs t t h m 2 2 3 1 9 3 3 1 1 Pts. O.P Dif ABS 1 5 14 -9 19 2 2 8 -6 10 2B 大会でのデータ(3) 1st ~ 3rd 氏名 Pos 試 合 サーブ内 訳 1 決 2 Pct.1 Serve 定 要 因 Rec_ Rec_o Rec_n St_co St_ou St_ne Smas Sma_ HR Drop Block Blk_m DF m ut et rs t t h m A 後衛 1 1 3 0.25 1 B 前衛 1 2 0.00 1 3 3 2 1 Pts. O.P Dif ABS 1 4 6 -2 10 2 2 2 0 4 Pts. O.P Dif ABS 1 8 -7 9 0 6 -6 6 2B 4th ~ 7th 氏名 Pos 試 合 サーブ内 訳 1 決 定 要 因 Rec_ Rec_o Rec_n St_co St_ou St_ne Smas Sma_ 2 Pct.1 Serve HR Drop Block Blk_m DF m ut et rs t t h m A 後衛 1 3 7 0.30 B 前衛 1 4 4 0.50 1 1 1 6 1 3 1 1 2B 大会でのデータ(4) 個人戦(vs D校) 氏名 Pos 試 合 サーブ内 訳 1 2 Pct.1 Serve A 後衛 1 5 5 0.50 B 前衛 1 1 5 0.17 決 定 要 因 Rec_ Rec_o Rec_n St_co St_ou St_ne Smas Sma_ HR Drop Block Blk_m DF m ut et rs t t h m 1 1 3 3 3 1 1 1 1 3 1 Pts. O.P Dif ABS 1 1 8 -7 9 1 5 7 -2 12 Pts. O.P Dif ABS 1 1 14 -13 15 1 3 0 3 3 2B 個人戦(D校 vs 本校) 氏名 Pos 試 合 サーブ内 訳 1 決 定 要 因 Rec_ Rec_o Rec_n St_co St_ou St_ne Smas Sma_ 2 Pct.1 Serve HR Drop Block Blk_m DF m ut et rs t t h m A 後衛 1 9 5 0.64 B 前衛 1 3 5 0.38 3 1 6 1 2 1 1 1 2B 大会でのデータ(5) vs K校 1st 自軍 4th 1 1 総 総 D D 分類 活 躍 自 責 活 躍 自 責 相手 点 点 点 点 自軍 0 3 0 3 0 2 総 総 D D 分類 活 躍 自 責 活 躍 自 責 総 総 D D 分類 活 躍 自 責 活 躍 自 責 相手 点 点 点 点 3 4 1 1 7th 3rd 自軍 5 5 4 2 総 総 D D 分類 活 躍 自 責 活 躍 自 責 自軍 相手 点 点 点 点 相手のミスに助けられた 1 3 1 1 1 6 相手 点 点 点 点 自分達のミスが多い 1 1 大会でのデータ(6) ◇デュースにおける攻防 vs K校 項目 デュース 勝 負 勝 本数 負 Pts 勝 OP Pts 負 OP K校 実数 game ave 3 1 2 6 8 4 2 0 3 8.0 3.0 4.0 2.0 0.0 1.5 vs D校 項目 デュース 勝 負 勝 本数 負 Pts 勝 OP Pts 負 OP 項目 デュース 勝 負 勝 本数 負 Pts 勝 OP Pts 負 OP 実数 game ave 3 2 1 8 6 2 1 1 1 3.0 8.0 1.0 0.5 1.0 1.0 D校 実数 game ave 1 1 0 3 1 1 1 0 0 4.0 0.0 1.0 1.0 0.0 0.0 項目 デュース 勝 負 勝 本数 負 Pts 勝 OP Pts 負 OP 実数 game ave 1 0 1 1 3 0 0 0 2 0.0 4.0 0.0 0.0 0.0 2.0 大会でのデータ(7) ◇デュースにおける攻防 vs M校 第1ペア 項目 デュース 勝 負 勝 本数 負 Pts 勝 OP Pts 負 OP 実数 game ave 2 1 1 2 2 1 0 0 2 ゲームカウント:4-3 2.0 2.0 1.0 0.0 0.0 2.0 第2ペア 項目 デュース 勝 負 勝 本数 負 Pts 勝 OP Pts 負 OP 実数 game ave 4 3 1 18 6 3 4 1 2 ゲームカウント:3-4 6.0 6.0 1.0 1.3 1.0 2.0 第3ペア 項目 デュース 勝 負 勝 本数 負 Pts 勝 OP Pts 負 OP 実数 game ave 1 0 1 0 6 0 0 0 4 ゲームカウント:0-4 0.0 6.0 0.0 0.0 0.0 4.0 大会でのデータ(8) ◇サーブとポイントの関連 vs M校 1G Player A B 3G Player A B 5G Player A B 7G Player A B Total Player A B Serve 1st 2nd 1st 2nd No 3 1 3 1 R 2 Pts 2 1 1 Serve 1st 2nd 1st 2nd No 2 2 0 2 R Serve 1st 2nd 1st 2nd No 2 R 2 1 1 1 1 Serve 1st 2nd 1st 2nd No 2 4 2 2 R 2 2 1 2 Pts Serve 1st 2nd 1st 2nd No 9 7 6 6 R 6 2 3 5 Pts 3 0 1 0 Pts 第1ペア OP 1G Player C D OP 3G Player C D 2 Pts 1 OP 5G Player C D OP 7G Player C D OP 0 0 0 0 Total Player C D Serve 1st 2nd 1st 2nd No 3 R 1 Pts Serve 1st 2nd 1st 2nd No 3 Serve 1st 2nd 1st 2nd No 4 2 2 4 R 2 1 2 Pts 2 Serve 1st 2nd 1st 2nd No 2 2 2 1 R Pts Serve 1st 2nd 1st 2nd No 12 4 5 8 R 3 1 2 1 第2ペア OP E F 2 1 1 1G Player R Pts OP 1 3G Player E F 1 OP 5G Player E 1 F OP 1 7G Player E F Pts 2 0 1 0 OP 2 0 0 0 Total Player E F Pts 第3ペア OP R 1 Pts OP No R Pts OP Serve 1st 2nd 1st 2nd No R Pts OP Serve 1st 2nd 1st 2nd No 4 3 3 1 R 1 1 1 0 Pts 0 0 0 0 OP 0 0 0 0 Serve 1st 2nd 1st 2nd No 1 3 2 R Serve 1st 2nd 1st 2nd No 3 Serve 1st 2nd 1st 2nd 1 1 1 1 大会でのデータ(9) ◇レシーブゲーム vs M校 Total 第1ペア Serve No Win % Total Serve 第2ペア No Win % Total Serve 第3ペア No Win % 1st 10 4 40 1st 19 9 47 1st 7 1 14 2nd 9 6 67 2nd 18 12 67 2nd 9 4 44 ◇サービスゲーム Total Serve Total No Win % Serve Total No Win % Serve No Win % 1st 15 9 60 1st 17 5 29 1st 7 2 29 2nd 13 7 54 2nd 12 2 17 2nd 4 1 25 2ndよりは1stが得点につながっている 大会でのデータ(10) ◇マッチポイントと連取 第1ペア MP-a MP-d Tie 3Ps Attack 11 2 2 2 2 5 MP-a MP-d Tie Defence 3 1 1 3 MP-a MP-d Tie 10 4 1 4 4 2 1 2 2 5 4 2 3Ps W/L MP-a MP-d 1 3 1 4 4 1 0 2 2 3 1 2 9 3 W/L 第2ペア 3Ps W/L 第3ペア MP-a MP-d Tie 3Ps W/L Tie 3Ps W/L 3 Tie 3 2 1 2 1 3Ps W/L MP-a MP-d 0 4 3 1 2 1 2 1 1 先にマッチポイントを取った方が有利 0 1 0 1 0 まとめに入ります ......! 分かった事 傾向は数字に表れた! ◇ポイント決定は後衛の機会が多い ◇ポジション毎に関連する項目が異なる傾向 ◇Dif値は悪くても±0 ◇1stサーブが2ndより得点の可能性が高い ◇先にマッチポイントを取った方が有利 現システムの問題点 結果のみの判定 → 経過は不明 ◇得点、失点の内容とその選手 ◇サーブからの崩しの効果 ◇ラリーを通してボールへの絡みの程度 経過から更に有効な情報が得られる 現システムの改善 経過の重視 → 流れを読む ◇打球のコースと選手の位置取り ◇バウンドした地点と選手との位置的関係 ◇ラリーの長さ 組み立てに関する情報を得られる システムの改善における障 害 正確なデータの取得が可能かどうか ◇データの項目の増加は採集に人手を要する ◇データ採集が試合のスピードについていけるか ◇そのデータが正しいと信じられるか 不正確なデータなら統計の意味は無い まとめ 可能性の増大 ◇一般論だけで片付けようとしていないか ◇ルールや自然を最大限利用しているか ◇想像(創造)力をフルに活かしているか 「足りない頭も使って何ぼ」の精神で 今後の発展 今の常識が今後も正しいとは限らない ◇各ポジションの役割の見直し ◇打ち方の開拓 ◇トレーニング方式の見直し 全ては自分で吟味してみよう ポジションとその役割 データを元にした役割の再考 ◇前衛だから得点源とは限らない ◇身体能力とポジション別のデータとの関係 ◇ティームの実情に合わせた采配 これぞコーチングの醍醐味 御 聴あ 静 ご ざ い が り と ま し た Hideaki Fujita Copyright 2012 Hideaki Fujita all rights reserved う
© Copyright 2024 ExpyDoc