レーザー干渉計型重力波検出器 のデジタル制御 東京大学大学院理学系研究科物理学専攻 修士2年 中川 憲保 本研究のテーマ DSPを用いることにより、今までデジタル制御により実現されていない 高い周波数制御帯域の実現 デジタル演算で規格化とトリガーを用いることにより、周波数安定化 無しの片腕mass lockの改善 目次 1. 重力波と干渉計 2. デジタルフィルタの構築 • アナログフィルタからの移行 • プログラムによる演算 3. 干渉計実験 4. 結果 2006年 2月 1日 修士論文発表 「レーザー干渉計型重力波検出器のデジタル制御」 中川憲保 2 1.重力波と干渉計 2006年 2月 1日 修士論文発表 「レーザー干渉計型重力波検出器のデジタル制御」 “picture 中川憲保 by Kagaya studio" 3 1.重力波と干渉計 重力波 干渉計による検出 TAMA300の構成 共振条件と制御 誤差信号と線形域 TAMA300のFeedback制御 制御帯域 2006年 2月 1日 修士論文発表 「レーザー干渉計型重力波検出器のデジタル制御」 中川憲保 4 重力波 重力波 一般相対性理論から予言 重力波 質量が存在すると、時空がひずむ 質量が運動すると、時空の ひずみは時間的に変動し波 となって伝搬 z y 四重極特性 横波成分のみを持つ x 自由質点は直交方向に 差動で変動 2006年 2月 1日 修士論文発表 「レーザー干渉計型重力波検出器のデジタル制御」 中川憲保 5 干渉計による検出 Michelson干渉計 鏡は吊されており理想 的には自由質点 差動モードを検出 Mirror Laser source TAMA300 現在日本で最大のレー ザー干渉計型重力波検 出器 2006年 2月 1日 Mirror Beam splitter Photo detector 修士論文発表 「レーザー干渉計型重力波検出器のデジタル制御」 Signal output 中川憲保 6 TAMA300の構成 実効基線長を稼ぐ Fabry-Perot共振器 2枚の鏡の間で光を 往復させる Fabry-Perot共振器 300m 光量を稼ぐ Recycling mirror 入射光側に戻ってき た光を打ち返す Laser Recycling mirror Beam splitter Dark port PD 2006年 2月 1日 修士論文発表 「レーザー干渉計型重力波検出器のデジタル制御」 中川憲保 7 共振条件と制御 共振条件 2 L n L:共振器長 λ:波長 全ての光路長自由度を 共振条件に保つ 地面振動 鏡が揺れる 制御が必要 Laser 2006年 2月 1日 修士論文発表 「レーザー干渉計型重力波検出器のデジタル制御」 中川憲保 8 error signalと線形域 error signalと制御 共振点からのずれ変位に比例した信号をerror signalという 変位に対する感度が高くなるように干渉計を構成 線形領域が狭くなった 共振点を0として前後の線形な信号を頼りに共振点に引き込む lock acquisition 線形域が広い場合 干渉計のerror signal 電 圧 電 圧 x10 -3 変位 x10 -3 変位 狭い線形域に有限な力で引き込まなくてはならない 2006年 2月 1日 修士論文発表 「レーザー干渉計型重力波検出器のデジタル制御」 中川憲保 9 TAMA300のFeedback制御 共振条件をアクティブに保つ セン サー 外乱 アクチュエー タ 復調信号 フィルタ センサー Pound-Drever-Hall法(入射光に位相変調を かけ、反射光を復調) 鏡の変位を取得(復調信号) フィルタ アナログフィルタ (制御理論に基づいた)周波数応答 アクチュエータ 磁石とコイル 駆動レンジ内でfeedback 2006年 2月 1日 修士論文発表 「レーザー干渉計型重力波検出器のデジタル制御」 制御帯域 中川憲保 10 制御帯域 地面振動 制御帯域と地面振動 地面振動 低い周波数で振動パ ワーが大きい 低い周波数での制御ゲイ ンを上げるために、一般 には、制御帯域を上げる 世界の干渉計 地面振動レベル 制御帯域 TAMA300では高い周波数 制御帯域で制御が必要 2006年 2月 1日 m Hz @1Hz 制御帯域 ~10-8 ~150Hz VIRGO ~10-8 ~50Hz GEO600 ~10-8 ~100Hz TAMA300 ~10-7 ~1kHz LIGO 修士論文発表 「レーザー干渉計型重力波検出器のデジタル制御」 中川憲保 11 1.重力波と干渉計のまとめ 重力波を、干渉計により差動変動を捕らえることで検出する 実効長、光量を稼ぐために共振器を用いる 地面振動が共振を妨げるので制御が必要 Lock acquisitionにより共振状態に引き込むためには、外乱を 打ち消すことの出来るゲインが必要 高い制御帯域で制御することが必要 2006年 2月 1日 修士論文発表 「レーザー干渉計型重力波検出器のデジタル制御」 中川憲保 12 2.デジタルフィルタの構築 2006年 2月 1日 修士論文発表 「レーザー干渉計型重力波検出器のデジタル制御」 中川憲保 13 動機 干渉計制御の改善 フィルタ部分に取り組む デジタルフィルタのメリット フィルタの改変が容易 アナログフィルタでは複雑なフィルタを作りやすい しかし、 高い周波数で制御が必要 デジタルフィルタの時間遅延は大きい 高い周波数で制御できるか自明でない 2006年 2月 1日 修士論文発表 「レーザー干渉計型重力波検出器のデジタル制御」 中川憲保 14 2.デジタルフィルタの構築 デジタルフィルタを用いて高性能フィルタの製作に取り組ん だ デジタルフィルタによるアナログフィルタの再現 デジタルフィルタの設計 今回用いたデジタルシステム フィルタの伝達関数 デジタルシステムの時間遅延 演算によるerror signal改良 工夫その1 : 規格化 工夫その2 : トリガー 2006年 2月 1日 修士論文発表 「レーザー干渉計型重力波検出器のデジタル制御」 中川憲保 15 デジタルフィルタとは アナログフィルタの設計 R RLCで構成する ローパスフィルタの例 C デジタルフィルタの設計 データの演算によってフィルタを構成 A A 信号 A FIRフィルタ ×α ×β ×γ 出力 2006年 2月 1日 修士論文発表 「レーザー干渉計型重力波検出器のデジタル制御」 中川憲保 16 デジタルフィルタとは アナログフィルタの設計 R RLCで構成する ローパスフィルタの例 C デジタルフィルタの設計 データの演算によってフィルタを構成 B B 信号 B A ×α FIRフィルタ ×β ×γ 出力 2006年 2月 1日 修士論文発表 「レーザー干渉計型重力波検出器のデジタル制御」 中川憲保 17 デジタルフィルタとは アナログフィルタの設計 R RLCで構成する ローパスフィルタの例 C デジタルフィルタの設計 データの演算によってフィルタを構成 C C 信号 C B A ×α ×β FIRフィルタ ×γ 出力 2006年 2月 1日 修士論文発表 「レーザー干渉計型重力波検出器のデジタル制御」 中川憲保 18 今回用いたデジタルシステム DSP TI社 TMS320C6713DSK クロック周波数 225MHz 浮動小数点演算器 IO-board 平塚エンジニアリング社 DSK6000IFA Sampling frequency Max200kHz 16bit ADC, DAC 2006年 2月 1日 修士論文発表 「レーザー干渉計型重力波検出器のデジタル制御」 中川憲保 19 フィルタの伝達関数 180 ゼロ11個、ポール4個のア ナログフィルタ IIRフィルタ縦続型で再現 伝達関数の測定 位相差 Phase [ degr ee] アナログフィルタの踏襲 90 -90 デジタルフィルタD -180 1 10 絶対値の誤差 絶対値一致 ◎ 位相不一致 × 5 0 (~ 10 Ampl i t ude 誤差±0.03% 7kHz) 2006年 2月 1日 位相差 D-A 0 周波数依存の差 アナログフィルタ A 4 -1 10 3 -2 2 -3 1 -4 0 10 10 10 0 10 1 2 3 4 10 10 10 10 Fr equency [ Hz] 修士論文発表 「レーザー干渉計型重力波検出器のデジタル制御」 絶対値誤差 D/A 0 10 2 4 10 10 Fr equency [ Hz] 中川憲保 20 デジタルシステムの時間遅延 ( f ) t f システムの時間遅延 180 Phase [ degr ee] 一定の時間遅延があると 時間遅延 t と 位相遅延 ( f ) の関係 位相差 0.043±0.07°(~ 12kHz) 0 -90 デジタルフィルタD 22.23 ±0.01 μsec (位相遅れ7.9°@ 1kHz) 90 アナログフィルタ A +時間遅延 -180 補正 ADCや演算、DACによる一定の時間遅延が存在 位相差も計算値と一致 ◎ アナログフィルタ+時間遅延22.2μsec=デジタルフィルタ を実現した 2006年 2月 1日 修士論文発表 「レーザー干渉計型重力波検出器のデジタル制御」 中川憲保 21 デジタル演算による復調信号改良 Lockをかかりやすくするために、演算を加 えて復調信号を改良する 工夫その1 透過光量を用いて規格化する Error signalの線形領域を増やす 工夫その2 透過光量を用いてトリガーする 復調信号に含まれる不要な信号部分を消 す 2006年 2月 1日 修士論文発表 「レーザー干渉計型重力波検出器のデジタル制御」 中川憲保 22 透過光量とFabry-Perot共振器 Fabry-Perot共振器 Laser 透過光量 front mirror 復調信号 end mirror error signal 復調信号に含まれる鏡の変位 透過光量 Fabry-Perot共振器で光が共振すると、光量が増える 透過光量が最大になるその前後で鏡のerror signalが現れる 透過光量を用いてシグナルを改良する 2006年 2月 1日 修士論文発表 「レーザー干渉計型重力波検出器のデジタル制御」 中川憲保 23 工夫その1 : 規格化 透過光量 Trs(φ) error signal Li ght power 1. 0 Err (φ) 0. 8 T : 1% R :99% 透過光量 0. 6 0. 4 0. 2 0. 0 20 2 規格化 10 1 error signal -3 gnal[ x10 [ x] ] ErEr r orr orsi si gnal Err /Trs ∝ sin (φ) 透過光量で規格化すること によりsinに比例する式になる error signalの線形域が拡大! 00 -10 -1 規格化後 -20 -2 -0.-5 5 0.00 0.5 5 -2 Phase Phase[ x10 [ degr degr ee]ee] 修士論文発表 「レーザー干渉計型重力波検出器のデジタル制御」 中川憲保 -10 2006年 2月 1日 10 24 x10 Fabry-Perot共振器が共 振条件を満たすと透過光 量が大きくなり、またerror signalが現れる。 -3 工夫その2 : トリガー 40 30 20 10 0 -10 透過光量 0 ところが 0. 4 サイドバンドなどによる他 の信号も現れてしまい、 区別無くfeedbackに返さ れてしまう。 2000 4000 6000 8000 10000 4000 6000 8000 10000 error signal 0. 2 0. 0 -0. 2 -0. 4 0 2000 そこで 透過光量によるトリガーを かけることにより、不要な 信号を落とす 2006年 2月 1日 修士論文発表 「レーザー干渉計型重力波検出器のデジタル制御」 中川憲保 25 工夫その2 : トリガー 閾値を超えたシグナル 以外は0とする x10 -3 error signalにトリガーを掛 け合わせた 40 30 20 10 0 -10 透過光量 0 0. 4 不要なシグナルを落 とせる 2000 4000 6000 8000 10000 4000 6000 8000 10000 4000 6000 8000 10000 error signal 0. 2 0. 0 -0. 2 -0. 4 0 0. 4 2000 トリガー後 error signal 0. 2 0. 0 -0. 2 -0. 4 0 2006年 2月 1日 2000 修士論文発表 「レーザー干渉計型重力波検出器のデジタル制御」 中川憲保 26 2.デジタルフィルタの構築のまとめ ゼロ11個、ポール4個をもつ高次アナログフィルタを再現 ただし、 時間遅延22.2μsec (位相遅延7.9°@1kHz) 演算による復調信号の改良 規格化によりerror signalの線形域を拡大する トリガーにより不要な信号を落とす 改良を加えたデジタルフィルタが完成 2006年 2月 1日 修士論文発表 「レーザー干渉計型重力波検出器のデジタル制御」 中川憲保 27 3.干渉計実験 2006年 2月 1日 修士論文発表 「レーザー干渉計型重力波検出器のデジタル制御」 中川憲保 "photograph by Nikon"28 3.干渉計実験 干渉計実験 Fabry-Perot共振器の制御実験 改良フィルタによるmass lock Open loop伝達関数 ロックに要する時間 考察 ロックタイムの比較 規格化+トリガーによる線形域 規格化のみによるlock acquisition 2006年 2月 1日 修士論文発表 「レーザー干渉計型重力波検出器のデジタル制御」 中川憲保 29 Fabry-Perot共振器の制御実験 デジタルフィルタ 共振器をロックする方法 A : レーザー周波数で制御 10mのモードクリーナー アクチュエータのレンジ : 大 B : 共振器の鏡で制御(mass lock) 300mの共振器 アクチュエータのレンジ : 小 易 難 レンジが小さくmass lock は難しいが デジタルフィルタによるFabry-Perot共振器のmass lockを試みる デジタルフィルタによる改善効果がはっきりと現れる 2006年 2月 1日 修士論文発表 「レーザー干渉計型重力波検出器のデジタル制御」 中川憲保 30 改良フィルタによるmass lock デジタルフィルタによるMass lock Lock! 透過光量 生復調信号 演算後 復調信号 トリ ガー Feed back 0 0 .0 1 0 .0 2 Ti me [ sec] 0 .0 4 0 .0 3 Lock acquisitionに成功! 2006年 2月 1日 修士論文発表 「レーザー干渉計型重力波検出器のデジタル制御」 中川憲保 31 制御帯域の測定 高い制御帯域を実現してるかを調べる Open loop伝達関数Gの測定 干渉計 H 外乱 アクチュエー タA error signal フィルタ F 伝達関数の積 G=HFA G=1になる周波数 Unity Gain Frequency (UGF) 制御帯域 2006年 2月 1日 修士論文発表 「レーザー干渉計型重力波検出器のデジタル制御」 中川憲保 32 Magnitude Open loop伝達関数 10 2 10 1 10 0 Unity Gain Frequency ・・・ 実測値 800Hzを達成 10 10 -2 (参考) 10 -3 世界の大型干渉計のUGF 10 -4 800Hz -5 10 180 Phase [ degree] -1 50~150Hz - 計算値 位相余裕 90 30°(@UGF) 0 -90 -180 10 2006年 2月 1日 2 3 10 Frequency [ Hz] 10 4 修士論文発表 「レーザー干渉計型重力波検出器のデジタル制御」 中川憲保 33 Lock acquisition所要時間測定 測定手順 透過光量 lockがかかれば手動で強制 的にfeedbackを切る feedbackをオンにする ロックするまでの時間を計 る ロックしてる時間、feedback をオフにする時間、共に3秒 を目安 feedback 測定時間 全て同じ日に連続して測定 アナログフィルタ:2000秒 デジタルフィルタ:400秒 2006年 2月 1日 Feedback Feedbackオフ オフfeedbackオン feedbackオンロック ロック Lock acquisition所要時間 Lock acquisition所要時間 修士論文発表 「レーザー干渉計型重力波検出器のデジタル制御」 中川憲保 34 ロックに要する時間 8 lock acquisition所要時間 アナログフィルタ 平均70.0sec 6 ロック回数 ヒストグラム(1sec幅) 4 2 0 0 デジタルフィルタ (+トリガー、規格化) 平均5.59sec Lock acquisition所要時間 1 /10以下に短縮 180 240 [sec] 6 4 2 0 0 2006年 2月 1日 120 ヒストグラム(1sec幅) 8 ロック回数 60 60 120 修士論文発表 「レーザー干渉計型重力波検出器のデジタル制御」 180 中川憲保 240 [sec] 35 ロックタイムの比較 ロック回数 各演算の効果を調べる トリガーのみ lock acquisition所要時間 アナログフィル タ デジタル(演算無 し) デジタルフィルタ 8 (+規格化、トリガー) 6 8 70.0±76.6 4 [sec] 6 2 0 5.59±3.08 4 0 60 120 180 240 規格化のみ 2 0 2006年 2月 1日 修士論文発表 「レーザー干渉計型重力波検出器のデジタル制御」 [sec] 0 60 120 180 240 中川憲保 36 ロックタイムの比較 アナログフィルタを再現できたか? 8 ロック回数 トリガーのみ 6 アナログフィル タ デジタルフィルタ (演算無し) 8 8 6 6 70.0±76.6 4 2 0 70.0±76.6 4 [sec] デジタルフィルタ (+規格化、トリガー) 2 8 0 4 [sec] lock acquisition所要時間 0 60 1 2 06 2 0 60 120 180 240 0 180 5.59±3.08 4 8 0 60 120 180 240 規格化のみ 6 アナログフィルタ≒デジタルフィルタ 240 [sec] 2 0 65.1±44.7 0 60 120 180 240 [sec] 4 2 0 2006年 2月 1日 0 60 120 修士論文発表 「レーザー干渉計型重力波検出器のデジタル制御」 180 中川憲保 240 37 ロックタイムの比較 8 トリガーの効果 アナログフィル タ デジタルフィルタ (演算無し) 8 8 6 4 4 [sec] 2 2 0 0 0 65.1±44.7 60 120 180 240 [sec] 0 60 120 180 240 トリガーのみ 6 lock acquisition所要時間 12.9±11.7 64 4 6 70.0±76.6 8 ロック回数 [sec] デジタルフィルタ (+規格化、トリガー) 2 2 8 0 0 0 60 1 2 06 0 60 120 180 240 4 8 規格化のみ 2 6 アナログフィルタ≒デジタルフィル タ トリガーはロック所要時間を短縮 5.59±3.08 0 4 240 [sec] 65.1±44.70 60 120 180 240 [sec] 2 0 2006年 2月 1日 180 0 60 120 修士論文発表 「レーザー干渉計型重力波検出器のデジタル制御」 180 中川憲保 240 38 ロックタイムの比較 8 規格化の効果 アナログフィル タ デジタルフィルタ (演算無し) 8 8 6 4 4 [sec] 2 2 0 0 0 65.1±44.7 60 120 180 240 [sec] 0 60 120 180 240 トリガーのみ 6 lock acquisition所要時間 ロックせず 64 4 6 70.0±76.6 8 ロック回数 12.9±11.7 2 (+規格化、トリガー) 8 0 0 0 60 1 2 06 0 60 120 180 240 4 8 規格化のみ 2 0 8 180 5.59±3.08 240 [sec] 0 65.1±44.7 6 4 60 120 180 240 [sec] 4 2 2 0 0 2006年 2月 1日 デジタルフィルタ [sec] 2 6 アナログフィルタ≒デジタルフィル タ トリガーはロック所要時間を短縮 規格化のみではロックせず [sec] 0 0 60 120 60 120 180 240 修士論文発表 「レーザー干渉計型重力波検出器のデジタル制御」 180 中川憲保 240 39 ロックタイムの比較 8 トリガー+規格化の効果 アナログフィル タ 8 デジタルフィルタ (演算無し) 8 6 70.0±76.6 4 [sec] 4 2 0 0 0 60 120 180 240 65.1±44.7 [sec] 0 60 120 180 240 トリガーのみ 6 64 4 6 2 8 ロック回数 2 2 lock acquisition所要時間 12.9±11.7 12.9±11.7 [sec] デジタルフィルタ [sec] (+規格化、トリガー) 8 0 0 0 60 1 2 06 0 60 120 180 240 4 8 規格化のみ 2 6 8 0 180 5.59±3.08 240 [sec] 0 60 120 180 240 5.59±3.08 アナログフィルタ≒デジタルフィル 46 [sec] タ ロックせず 4 [sec] 2 トリガーはロック所要時間を短縮 2 規格化のみではロックせず 0 00 60 120 180 0 60 120 180 240 トリガー+規格化でさらにロック所 2006要時間短縮 年 2月 1日 修士論文発表 「レーザー干渉計型重力波検出器のデジタル制御」 中川憲保 240 40 ロックタイムの比較 ロック回数 トリガーのみ 各演算の効果を調べる アナログフィル タ デジタルフィルタ (演算無し) 8 8 6 6 70.0±76.6 4 [sec] 2 0 0 0 60 120 180 240 6 12.9±11.7 4 65.1±44.7 4 2 lock acquisition所要時間 8 [sec] デジタルフィルタ [sec] (+規格化、トリガー) 2 8 0 6 0 60 120 180 240 5.59±3.08 4 0 規格化のみ 60 120 180 240 8 アナログフィルタ≒デジタルフィル 6 タ ロックせず 4 [sec] トリガーはロック所要時間を短縮 2 規格化のみではロックせず 0 0 60 120 180 240 トリガー+規格化でさらにロック所 2006要時間短縮 年 2月 1日 修士論文発表 「レーザー干渉計型重力波検出器のデジタル制御」 [sec] 2 0 0 60 120 180 240 中川憲保 41 規格化+トリガーによる線形域 規格化+トリガーによる線形域の増加 透過光量 • 透過光量がロック時の半分以上に なる時の、生error signalと規格化 error signalの線形域を比較。 • 時間スケールでの倍率。 生error signal • サンプル数30 増加率 3.23±0.86 倍 演算後 error signal 線形域の拡大を確認 規格化の効果は lock acquisition短縮に効果あり 2006年 2月 1日 0.6msec 2.2msec 4 6 8 10 2 x1 0 12 14 [msec] 修士論文発表 「レーザー干渉計型重力波検出器のデジタル制御」 中川憲保 42 規格化のみによるlock acquisition ロックせず 復調信号に含ま れる余計な信号 が問題 結果として不要 なfeedbackがか かる x10 規格化のみによる ロック -3 40 透過光量 20 0 0 1000 2000 3000 4000 5000 2000 3000 4000 5000 2000 3000 4000 5000 2000 3000 4000 5000 生復調信号 0.6 0.4 0.2 0.0 -0.2 -0.4 0 1000 演算後 復調信号 1.0 0.5 規格化は線形 域を増加させる。 しかし、トリガー が不可欠 0.0 -0.5 -1.0 0 1.0 1000 Feed back 0.5 0.0 -0.5 -1.0 0 2006年 2月 1日 1000 修士論文発表 「レーザー干渉計型重力波検出器のデジタル制御」 中川憲保 43 3.干渉計実験のまとめ 高い周波数制御帯域を達成 Unity gain frequency = 800Hz 位相余裕 30° 改良したデジタルフィルタによるFabry-Perot共振器のmass lockに成功 トリガーはlock acquisitionに有効 規格化にトリガーは不可欠 規格化により線形域 3.23±0.86 倍 アナログフィルタの1/10以下にロック所要時間を短縮 改良したデジタルフィルタによりlock acquisitionを 改善を示した 2006年 2月 1日 修士論文発表 「レーザー干渉計型重力波検出器のデジタル制御」 中川憲保 44 4.結論 2006年 2月 1日 修士論文発表 「レーザー干渉計型重力波検出器のデジタル制御」 中川憲保 45 結論 DSPを用いることにより、今まで実現されていない高い周波数 制御帯域でデジタル制御の実現 Unity gain frequency = 800Hz 位相余裕 30° UGF800Hz以下の制御はデジタルに置き換えることが出来る デジタル演算で規格化とトリガーを用いることにより、 300mFabry-Perot共振器mass lockの改善 アナログフィルタの1/10以下にロック所要時間を短縮 TAMA300の稼働率を上げることが出来る 次世代干渉計の制御に役立つ 2006年 2月 1日 修士論文発表 「レーザー干渉計型重力波検出器のデジタル制御」 中川憲保 46 以上で発表を終わります 2006年 2月 1日 修士論文発表 「レーザー干渉計型重力波検出器のデジタル制御」 中川憲保 47 これより補足 2006年 2月 1日 修士論文発表 「レーザー干渉計型重力波検出器のデジタル制御」 中川憲保 48 期待できる可能性 デジタルフィルタの構築 15のゼロ、ポールを持つフィルタを作成した UGF~1kHzのアナログフィルタは再現出来る Fabry-Perot共振器のmass lock レーザー周波数安定化を必要としない Lock acquisitionの順序に自由度が増す 干渉計感度を増すために鏡を追加した際有用 2006年 2月 1日 修士論文発表 「レーザー干渉計型重力波検出器のデジタル制御」 中川憲保 49 今後として L-など他の自由度制御系のデジタル化 干渉計感度に影響する自由度 ホワイトニング、デホワイトニングによるノイズレベルに関する設計 2006年 2月 1日 修士論文発表 「レーザー干渉計型重力波検出器のデジタル制御」 中川憲保 50 アナログフィルタから踏襲した操作 フィルタ変形 ロック後は、低周波側でゲインを持ち上げる デジタルフィルタではプログラム内に2種 類のフィルタを構成。 ゲインコントロール feedbackゲインを調整しながら制御 積算 on error signal V フィルタ Vxg feedback off フィルタ ゲインコントロー ロックシグナル ル (外部入力) g(外部入力) if文や積算により取り入れる 2006年 2月 1日 修士論文発表 「レーザー干渉計型重力波検出器のデジタル制御」 中川憲保 51 演算時間 規格化、トリガー付加による演算時間増加 1サンプリング以内に演算を終える必要 error signal 透過光量Tに よる規格化 V/T V トリガーS VS / T on フィルタ VSg / T feedback off ゲインコントロール ロックシグナル g(外部入力) (外部入力) フィルタ 今回のプログラム 3.5μsec < 5μsec (200kHzサンプリング) 演算時間も条件内 2006年 2月 1日 修士論文発表 「レーザー干渉計型重力波検出器のデジタル制御」 中川憲保 52 デジタルフィルタの設計 z s H ( s) p s アナログフィルタ s 係数の数 m+n 一般にアナログフィルタは ゼロとポールで表現できる n n m m m s-z変換(双一次変換) Infinity Impulse Response (IIR) フィルタ直接型 b z H ( z) 1 a z n n n m Max(m,n)x2 m m 部分分数分解 IIR縦続型 1 a z N 有限な計算精度でもフィル タの誤差が大きくならない H ( z) i 1 N i 1 直接型フィルタ1 直接型フィルタ2 + 係数は若干増える bp1 ap1 Z-1 2006年 2月 1日 a2i z 2 Round[Max(m,n)/2]x5 Z-1 ap2 1i 1 (N= Round[Max(m,n)/2]) bp0 - b0i b1i z 1 b2i z 2 bp2 X6 修士論文発表 「レーザー干渉計型重力波検出器のデジタル制御」 中川憲保 53 ロックタイムの比較 ロック回数 トリガーのみ 各演算の効果を調べる アナログフィル タ デジタルフィルタ (演算無し) 8 8 6 6 70.0±76.6 4 [sec] 2 0 0 0 60 120 180 240 6 12.9±11.7 4 65.1±44.7 4 2 lock acquisition所要時間 8 [sec] デジタルフィルタ [sec] (+規格化、トリガー) 2 8 0 6 0 60 120 180 240 5.59±3.08 4 0 規格化のみ 60 120 180 240 8 アナログフィルタ≒デジタルフィル 6 タ ロックせず 4 [sec] トリガーはロック所要時間を短縮 2 規格化のみではロックせず 0 0 60 120 180 240 トリガー+規格化でさらにロック所 2006要時間短縮 年 2月 1日 修士論文発表 「レーザー干渉計型重力波検出器のデジタル制御」 [sec] 2 0 0 60 120 180 240 中川憲保 54 2006年 2月 1日 修士論文発表 「レーザー干渉計型重力波検出器のデジタル制御」 中川憲保 55 以降、使わない資料置き場 2006年 2月 1日 修士論文発表 「レーザー干渉計型重力波検出器のデジタル制御」 中川憲保 56 Fabry-Perot共振器のロック Fabry-Perot共振器のロック 鏡、レーザー周波数がゆらいで る 片腕が共振するようにMCを用い てレーザー周波数安定化 安定したレーザーで、残りの腕は 鏡で制御 しかし、本実験の目標は 300m Las er Fabry-Perot cavity 干渉計制御の総デジタル化 全てを一斉に変えることは危険 シンプルかつ厳しいロックに取り 組む 2006年 2月 1日 修士論文発表 「レーザー干渉計型重力波検出器のデジタル制御」 中川憲保 57 デジタル制御によるlock acquisiton 周波数安定化無しでの制御 MCの代わりに腕でレーザー 周波数安定化 成功すると ロック手順の選択肢が 増える 条件の緩いロックは当 然実現可能となる 共振 Fabry-Perot cavity 300m DSP n L 2 n 変動する L L Laser 2 L 制御すべき変位 L 10m Beam splitter Mode cleaner Dark port PD Lが30倍 → 30倍の変位を制御 確かに厳しいロックとなる 2006年 2月 1日 修士論文発表 「レーザー干渉計型重力波検出器のデジタル制御」 中川憲保 58 位相遅延特性 Throughによる遅延 22.231±0.012 usec Phase [ degr ee] TF-NSmass_ l ock _ f i l . ( Af t er l ock) 100 0 フィルタ伝達関数の計算値に代 入 -100 0 計算値と実測値 位相差 0.085±0.009° ~15kHz) 絶対値誤差 ±0.29% (1~15kHz) (1 遅延は演算プログラムに依存しな い 1 10 2 3 10 3 10 10 10 Fr equency [ Hz] 4 10 Ampl i t ude [ dB] 10 1 0. 1 0. 01 Mesur ement Cal cul at i on 0. 001 10 2006年 2月 1日 0 1 10 2 10 10 Fr equency [ Hz] 修士論文発表 「レーザー干渉計型重力波検出器のデジタル制御」 中川憲保 4 59 ゼロ、ポール変換 次数の高いフィルタ ゼロ、ポール 計15個 演算時間がかかる アナログフィル タ sの係数 f+2 f-7 f-2 n( s ) H (s) d (s) b = [分子係数] a = [分母係数] 直接型フィルタ1 直接型フィルタ2 s-z変換 [bd, ad] bilinear(b, a, f s ) (双一次変換) (matlabにて) bp0 - bd = [右側係数] ad = [左側係数] + Z-1 サンプリング周波 数 bp1 ap1 Z-1 デジタルフィルタの係数 ap2 bp2 有限応答 無限応答 2006年 2月 1日 修士論文発表 「レーザー干渉計型重力波検出器のデジタル制御」 中川憲保 60 Lock acquisition所要時間測定 測定手順 透過光量 lockがかかれば手動で強制 的にfeedbackを切る feedbackをオンにする ロックするまでの時間を計 る ロックしてる時間、feedback をオフにする時間、共に3秒 を目安 feedback 測定時間 全て同じ日に連続して測定 アナログフィルタ:2000秒 デジタルフィルタ:400秒 2006年 2月 1日 feedbackオフ feedbackオフ ロック Lock acquisition所要時間 修士論文発表 「レーザー干渉計型重力波検出器のデジタル制御」 中川憲保 61 Lock acquisition所要時間測定 測定手順 透過光量 lockがかかれば手動で強制 的にfeedbackを切る feedbackをオンにする ロックするまでの時間を計 る ロックしてる時間、feedback をオフにする時間、共に3秒 を目安 feedback 測定時間 全て同じ日に連続して測定 アナログフィルタ:2000秒 デジタルフィルタ:400秒 2006年 2月 1日 feedbackオフ feedbackオフ ロック Lock acquisition所要時間 修士論文発表 「レーザー干渉計型重力波検出器のデジタル制御」 中川憲保 62
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