京都府におけるメタン濃度の動向

京都府におけるメタン濃度の動向
京都府立大学大学院 人間環境科学研究科
・温室効果ガス
環境計測学研究室
丸橋 史
地球温暖化防止京都会議(COP3)
二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素
HFC、PFC、六フッ化硫黄
・温暖化寄与率
二酸化炭素63.7% メタン19.2%
フロン10.2% 亜酸化窒素5.7%
2004/2/10 修士論文発表
メタンの発生源・吸収源
自然発生源
・発生源
湿地、シロアリ、海洋
湖沼、メタン水和物
人為発生源
・吸収源
天然ガス漏出、石炭発掘
水田、廃棄物埋立地
大気の反応、土壌
家畜、バイオマス燃焼
2004/2/10 修士論文発表
研究概要
・京都府の蓄積されたデータを用いたメタン
濃度の動向調査
・京都府内の未測定地域のメタン濃度の測定
測定方法の検討
測定誤差の原因・範囲の把
握
・常時監視測定局との比較
土地利用率
2004/2/10 修士論文発表
京都府常時監視測定局
St.1 向陽
St.2 大山崎
St.3 八幡
St.4 国設京都八幡
St.5 久御山
St.6 宇治
St.7 東宇治
St.8 城陽
St.9 田辺
St.10 精華
St.11 木津
2004/2/10 修士論文発表
京都府南部経年変動
1950
1900
1900
メタン濃度(ppbv)
京都府水田面積・牛の頭数推移
1850
1800
年
1750 水田面積(ha)
1700
1990
2000
1650
24,324
21,511
メタン濃度(ppbv)
1950
1850
1800
1750
1700
1650
ST.1
ST.2
ST.3
ST.4
ST.5
ST.6
ST.1
ST.2
ST.3
ST.4
ST.5
ST.6
1600 牛の頭数(頭)
年
1600
1550
1550
90 82 9284 8694 88 96
90 92 9894 96 98
年
年
1990
2002
17,036
82 84 86
6,446
88
全地球のメタン濃度の推移京都府
京都府南部メタン濃度平均値の推移
地球全体
2004/2/10 修士論文発表
京都府測定局・測定地点
2004/2/10 修士論文発表
京都府未測定地域の測定
・目的
常時監視測定局
南部に集中
農村部、山間部が多い京都府中丹北部
地域のメタン濃度を測定する
・調査地点
・調査日
・採取時間帯
中丹:周山、美山、大野ダム
春:6月12、16、17日
R-9,27分岐点、園部、亀岡
夏:9月2、3、4、5日
北部:綾部、福知山、西舞鶴、東舞鶴
11時~16時(バックグラウンド値)
宮津、弥栄、峰山
秋:12月2、3、8、9日
2004/2/10 修士論文発表
試料採取の方法
準備器具
ポンプケース
ポンプ
密閉容器
ポンプ
台座
テドラーバッグ
大気 大気捕集管
温度・湿度計
2004/2/10 修士論文発表
メタン濃度の測定
・カラム
GS-Qカラム(6月、9月)
エタン、エチレン、アセチレンを分離
ピークの高さで定量
MS5Aカラム(12月)
酸素、窒素、メタンなど無機ガスを分離
ピークエリアで定量可能
Air
酸素
窒素
メタン
2004/2/10 修士論文発表
メタン濃度の測定
・ガスクロの設定
カラムの種類
FID検出器
水素ガス圧
空気圧
温度
メイクアップガス Heガス圧
キャリアガス
Heガス圧
注入口
温度
カラム
温度
GS-Q
0.65 kg/cm 2
0.5 kg/cm 2
120℃
1 kg/cm 2
0.4 kg/cm 2
120℃
40℃
MS5A
0.6 kg/cm 2
0.5 kg/cm 2
150℃
1 kg/cm 2
1.75 kg/cm 2
150℃
50℃
2004/2/10 修士論文発表
調査結果
1測定地点につき同じ場所同じ時間に3検体採取
6月(春)
ばらつき 0.7%~10%
9月(夏)
ばらつき 0.5%~4%
12月(秋)
2004/2/10 修士論文発表
測定による誤差確認
・機器誤差
・バッグの汚れ
・サンプリング
2004/2/10 修士論文発表
機器誤差
・注入量
1測定のばらつき1.3%
0.5~0.7%
ストッパー作成 ⇒ 0.1%未満
・注入速度
0.1%未満
1.0%前後
カラム変更 ⇒ 考えなくてよい
・FID検出器
0.6~0.8%
2004/2/10 修士論文発表
測定による誤差確認
・機器誤差
1.0%前後
・バッグの汚れ
ばらつき0.89%
3回の窒素洗浄で汚れなし
・サンプリング
2004/2/10 修士論文発表
サンプリング
サンプリングで誤差が生じる原因
・サンプリング口の向きが3つばらばら
・サンプリング口からのごみの進入
・ローカルな発生源の影響
改良後
2004/2/10 修士論文発表
調査結果
周山
6月(春)
美山
大野ダム
R-9,27分岐
9月(夏)
園部
亀岡
12月(秋)
綾部
福知山
西舞鶴
東舞鶴
宮津
弥栄
峰山
春(ppm) 夏(ppm) 秋
(ppm)
ばらつき
0.7%~10%
1.87
2.00
1.82
1.89
2.01
1.83
1.89 ばらつき
1.98 0.5%~4%
1.80
1.87
1.91
1.82
1.91
1.98
1.79
1.93 ばらつき
2.00 1.0%前後
1.79
1.79
1.98
1.81
1.83
1.96
1.81
1.95
2.03
1.86
1.97
2.08
1.86
1.90
1.97
1.82
1.85
1.92
1.78
1.82
1.99
1.792004/2/10
修士論文発表
土地利用率
京都府南部測定局の土地利用率
100%
80%
60%
40%
20%
0%
1
2
3
4
5
久御山
水田・湿地
山間部
6
7
測定局 (St)
工業用地
8
9
10
11
城陽
住居・商業
河川・海域
2004/2/10 修士論文発表
久御山と城陽の比較
2004/2/10 修士論文発表
土地利用率
100%
河川・海域
土地利用率
80%
住居・商業
地帯
工業用地
60%
40%
山間部
20%
水田・湿地
0%
向陽測定局
美山
測定局・測定地
常時測定局と中丹北部地域の土地利用率比較
2004/2/10 修士論文発表
採取日の濃度比較
中丹北部地域の濃度と常時監視測定局のメタン濃度の一部 (2003年)
6/12(春)
9/4(夏)
12/3(秋)
6/16(春)
9/2(夏)
12/9(秋)
向陽(St.1) 久御山(St.5) 田辺(St.9) 美山(St.21) 亀岡(St.25)
1.82
1.81
1.82
1.89
1.93
1.77
1.78
1.8
2.01
2
1.89
1.87
1.89
1.83
1.79
向陽(St.1) 久御山(St.5) 田辺(St.9) 宮津(St.34) 峰山(St.36)
1.92
1.96
2.03
1.9
1.82
1.77
1.81
1.83
1.97
1.99
1.9
1.87
1.87
1.82
1.79
2004/2/10 修士論文発表
まとめ
・京都府のメタンの動向
ローカルな発生源が重要
・中丹北部の今後の測定
土地利用率とメタン濃度の関係は明らかではない
南部と中丹北部では挙動が違う
当面現地での測定が必要である
測定誤差の原因・範囲が判明 1.0%前後
2004/2/10 修士論文発表
季節変動
久御山グループ
城陽グループ
2004/2/10 修士論文発表
一年間表示
久御山測定局
夏季(6月~8月)
2004/2/10 修士論文発表
日周期
久御山
城陽
バックグラウンド値
2004/2/10 修士論文発表
まとめ
・京都府のメタンの動向
ローカルな発生源が重要
・中丹北部の今後の測定
当面現地での測定が必要である
測定誤差の原因・範囲が判明 1.0%前後
・大気情報提供システムによりデータが
あれば今後の解析可能
2004/2/10 修士論文発表
おしまい
・はじめに
・カラム
・土地利用率比較
・発生、吸収
・ガスクロ設定
・採取日の濃度
・研究の概要
・機器誤差
・まとめ
・経年変動
・サンプリング
・地図
・調査結果
・未測定地域の測定
・南部土地利用率
・試料採取
・久御山、城陽の比較
2004/2/10 修士論文発表
謝々
本研究の測定・装置の使用等
京都府保健環境研究所にご協力頂きました。
大変感謝しております。
2004/2/10 修士論文発表
カラム
GS-Qカラム
(プラスチック製)
MS5Aカラム
(ステンレス製)
2004/2/10 修士論文発表
メタン発生
シロアリ・・・体内に共生している原生動物の
働きによって森林、サバンナで落ち葉、枯れ枝、
倒木を分解してメタンを発生している。
メタンハイドレード・・・水とメタンガスが低温高圧下
で生成する氷に似た物性をもつ物質。日本周辺の
海域にも存在していると考えられており、天然ガス
資源としての開発可能性が検討されている。
2004/2/10 修士論文発表
水田・家畜からのメタン減少量
水田の排出係数・・・約0.02 kgCH4/m
1ha = 10000 m
1990年から約3000 ha減少
→ 約60万 kg CH4 減少
牛1頭あたりの排出係数・・・約70 kg CH4 /頭/年
1990年から約1000頭減少
→ 約7万 kg CH4 減少
2004/2/10 修士論文発表
メタン生成菌
炭酸還元反応
4H2O + HCO3- + H + →
CH4
+ 3H2O
CH 4 +
-
HCO3
メチル基転移反応
-
CH3 COO + H2O
→
*水田の全メタンの30~50%が炭酸還元反応
残りがメチル基転移反応により生成されている。
2004/2/10 修士論文発表