経済予測入門Ⅰ 第2回 • 内容 (1)時系列データ (2)データの季節性 前年同期との比較 季節調整 (3)景気動向指数(内閣府、DI) 1 時系列データ ☆データの並べ方による分類 時系列データ:(経済予測に最も多く用いられる) ある変数を時間軸に沿って並べたもの。データの順序が重要 日次、週次データ:為替レート、株価 月次データ :国際収支、貿易、物価指数、失業率、 鉱工業生産指 数など 四半期データ :国民所得統計(GDPなど) 暦年、年度データ:多くの産業別データ、企業データ、財政統計など 時間集計 フローデータ→合計 ストックデータ→期末 指数など→平均 季節性の処理:対前年同期(同月)比(差)、季節調整 クロスセクションデータ(横断面データ) 時点を固定して、個体ごとのデータを並べたもの。 並べる順序は本質的でない 例)国別、都道府県別、州別、産業別、個人別、企業別など パネルデータ、プーリングデータ:時系列×クロスセクション 時系列データ(1)暦年データ 円/ドル 300 円 40000 35000 250 30000 200 25000 20000 150 15000 10000 100 日経平均株価 為替レート 5000 0 50 0 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 暦年 時系列データ(2)四半期データ 23000 円 円/ドル 140 22000 120 21000 100 20000 80 19000 60 18000 17000 日経平均株価 為替レート 40 16000 20 15000 0 9401 9402 9403 9404 9501 9502 9503 9504 9601 9602 9603 9604 9701 9702 9703 時系列データ(3)月次データ 23000 円 円/ドル 130 22000 125 21000 20000 19000 120 日経平均株価 為替レート 115 18000 110 17000 96 01 96 02 96 03 96 04 96 05 96 06 96 07 96 08 96 09 96 10 96 11 96 12 97 01 97 02 97 03 97 04 97 05 97 06 97 07 97 08 97 09 97 10 16000 105 2 データの季節性 ・月次、四半期などの時系列データをみると、季節によって規則的な変動を 示すものが多い。 ・その理由 社会的制度や習慣の影響 日本のボーナス制度:所得は6-7月と12月に大きく上昇。 中元・歳暮:消費もこの時期に大きく伸びる。 米国のホリデーシーズン(感謝祭からクリスマス) 自然現象の影響 電力需要のピークは夏。 ・ある変数を前の期(月)と比べてもほとんど意味がない。 どんなに景気が悪くても、デパートの売上は11月と比べると12月は大幅に 伸びる。 80 01 80 04 80 07 80 10 81 01 81 04 81 07 81 10 82 01 82 04 82 07 82 10 83 01 83 04 83 07 83 10 84 01 84 04 84 07 84 10 データの季節性(1) 500 450 400 データ出所:家計調査(総務庁) 系列1 系列2 350 300 250 200 150 100 50 0 92 01 92 04 92 07 92 10 93 01 93 04 93 07 93 10 94 01 94 04 94 07 94 10 95 01 95 04 95 07 95 10 96 01 96 04 96 07 96 10 データの季節性(2) 1200円 1000 系列1 系列2 データ出所:「家計調査」(総務庁) 800 600 400 200 0 季節性のある変数の変化はどのようにみれば よいのか 対前年同期(同月)比 ・前の期や月ではなく、前の年の同じ期や月で見ればよい。 (2005年12月の売上-2004年12月の売上)÷2004年12月の売上×100 1年間の間に上向きから下向きに転換したことを見逃す 可能性がある。 季節調整 ・季節による変動をならしてしまえばよい。 移動平均:X(-1):1ヶ月前、X(+1):1ヶ月先 {x(6) 0.5 x(5) x(1) x x(1) x(5) x(6) 0.5} 12 9611 9609 円 9607 9605 9603 9601 9511 9509 9507 9505 原数値 前年同月比 9503 9501 9411 9409 9407 9405 9403 9401 9311 9309 4500 9307 9305 9303 5000 9301 前年同月比 % 30 データ出所:「家計調査」(総務庁) 4000 20 3500 10 3000 2500 0 2000 1500 -10 1000 -20 500 0 -30 9103 9011 9007 9003 8911 8907 8903 8811 8807 8803 8711 8707 8703 8611 8607 8603 8511 8507 8503 8411 8407 8403 8311 8307 8303 8211 8207 8203 8111 8107 8103 8011 8007 移動平均 1200 1000 原型列 移動平均 800 600 400 200 0 2000年基準実質GDP(原系列と季節調整値) 145000 140000 135000 130000 125000 120000 115000 110000 94 95 96 97 98 99 GDP00 00 01 02 GDP00_O 03 04 05 3 景気動向指数(DI) • 景気動向指数は,生産,雇用など様々な経済活動 での重要かつ景気に敏感な指標の動きを統合する ことによって,景気の現状把握及び将来予測に資す るために作成された統合的な景気指標である。 ディフュージョン・インデックス(DI)は採用系列の 変化方向を合成することにより景気局面を把握し, コンポジット・インデックス(CI)は採用系列の変化率 を合成することにより,景気の量感を把握することを 目的としている。 (http://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/di3.html アクセス日付2006年4月21日) 3 景気動向指数(DI)続き <目 的> DIは景気に敏感な諸指標を選定し,そのうち上昇(拡張)を示 している指標の割合を示すものであり,景気局面の判断,予測と景 気転換点(景気の山・谷)の判定に用いる。 <作成方法> 採用系列の各月の値を3ヵ月前の値と比較して,増加した時には +を,保合いの時には0を,減少した時には-をつける(変化方向 表)。 その上で,先行,一致,遅行の各系列群ごとに,採用系列数に占 める拡張系列数(+の数)の割合(%)をDIとする。 DI=拡張系列数/採用系列数×100(%) (保合い(0)の場合は0.5としてカウントする) (http://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/di3.html アクセス日付2006年4月21日) 3 景気動向指数(DI)続き <利用の仕方> DIには,景気に対し先行して動く先行指数,ほぼ一致して動く 一致指数,遅れて動く遅行指数の3本の指数がある。 先行指数は,一般的に,一致指数に数ヵ月先行することから,景 気の動きを予知し,遅行指数は一致指数に半年から1年遅行するこ とから景気の転換点や局面の確認に利用する。 なお,DIは変化率を合成したものではないので,DIの水準自体の 変化は景気変動の大きさないし振幅とは直接的には無関係である。 (http://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/di3.html アクセス日付2006年4月21日) 3 景気動向指数(DI)続き DI採用系列→別表 DI変化方向表→別表 (http://www.esri.cao.go.jp/jp/stat/di/di3.html アクセス日付2006年4月21日)
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