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シンチレーション・カウンター
実験Ⅲ素粒子テーマ2回目
シンチレーションカウンターの理解
荷電粒子と物質の相互作用
プラスチックシンチレータ
光電子増倍管(PMT)
HVカーブの測定
検出効率の統計誤差
ライトリークテスト

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パルス幅についての注意事項 前回の補足
15 ns


前回、ディスクリミネータのアウトプット・パルス幅を
15 nsに調整した。
 パルス幅を再確認し、必要なら直すこと。
パルス幅が短すぎると、次のモジュールがパルスを
検出することができない。(多少長すぎても問題はな
い)
2
実験スケジュール
第1回(12/5/水):素粒子物理概説,μ粒子寿命測定法,
同軸ケーブルとインピーダンス,NIMモジュールの機能.
第2回(12/7/金):シンチレーション・カウンターの理解,HVカーブの測定.
第3回(12/12/水):タイミング・カーブの測定
終わる時間が遅めになりがち
第4回(12/14/金):寿命測定回路のセットアップ,寿命データ収集開始(Al)
第5回(12/19/水):[データ収集継続(Al)] UNIX入門,PAWを用いたμ粒子寿命測定
データの解析法
第6回(12/21/金):[データ収集継続(Fe)] Z粒子質量測定法概説,CDF検出器の概説,
Event display,Z粒子の質量
第7回(12/26/水):[データ収集継続(Fe)] 軽い粒子(J/ψ)の質量
第8回(1/9/水):データ解析とグループ内でのまとめ
第9回(1/11/金):発表・討論
レポート提出(1/25/金):第9回の一週間後が締め切り
寿命測定のセットアップ
高エネルギー陽子
宇宙
大気
p
π-
π+
μ
μ-
“突き抜け”μ粒子に対
しては,Startはかからな
い.
Start
ストッパー
突き抜け
シンチレータ:
荷電粒子が通過すると、
紫外光を発光する
光電子増倍管:
シンチレータの発光を検出し、
電気信号を出力する
Stop
μ粒子と物質の相互作用


μ粒子が十分なエネルギーをもっ
て入射するとき:
 電子は雲状に広がって分布し
ており、μ粒子は電子と反応す
る。
電子はμ粒子に比べて質量が小
さい(Me=0.511 MeV/c2、
Mμ=106 MeV/c2)ので、電子を弾
き飛ばし(イオン化)たあともミュー
粒子はエネルギーを失うだけでほ
とんど方向を変えずに突き進む。
(弾性散乱)
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荷電粒子と物質の相互作用


電磁相互作用(主にイオン化)
物質の厚さの単位はg/cm2
1cm
d
[cm]

1cm
ρ:密度 [g/cm3]
x=ρd [g/cm2]
最小電離作用粒子(Minimum
Ionizing Particle, MIP)
荷電粒子が物質を通過する際のエネルギー損
失-dE/dx(=物質に落とすエネルギー)は,μ粒
子の場合~300MeV/cで最小.それ以上の運動
量を持つ粒子では,ゆっくり上昇(あまり変わら
ない).
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プラスチックシンチレータ

MIPによって物質へ落とされたエネルギーを可視光へと変換する

基材:ポリスチレン(C8H8)n,ポリビニルトルエンなど


蛍光剤:p-ターフェニル(C18H14)など(~10g/ℓ)



密度:約1g/cm3
π軌道電子の準位
第一励起状態から基底状態へ落ちるときに発光
波長変換剤:紫外光→可視光(青色)
数eV⇒紫外光
時間:数n秒
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光電子増倍管(PhotoMultiplier Tube; PMT)

可視光域の光子を検出し電気信号として出力
-1300V~-2000V

光電面で光電効果(光子→電子)


ダイノードで二次電子数を増幅



量子効率:~25%
一段あたり2~3倍,12段では,105~106倍
増幅率は印加電圧に依存
アノードで電荷を収集
8
今回の課題:HVカーブの測定

μ粒子を測定する際のバックグラウンド

光電子増倍管の熱ノイズ(熱電子)


環境放射線


光電子増倍管の光電面から、熱によって励起された電子
(熱電子)が出てきて電気信号を出す。
大気中、地殻中(や建物の壁など)に含まれる放射性同位
体が発する環境放射線でも、シンチレータは発光する。
これらのバックグラウンドをうまく落としながら
データをとるための工夫をする必要がある。
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HVカーブ(検出効率のHV依存性)の測定
ディスクリミネータ
PMT出力
GND
波高
Vth
PMT出力
PMT内部の熱電子等によるノイズの
波高分布
頻度
頻度
荷電粒子(μ粒子)のMIP通過に対する
信号の波高分布
NIMパルス
波高はほ
ぼ一定
波高
波高は低いほど頻
度が急激に増加
波高
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HVカーブの測定(2)
頻度
Vth
PMTの増幅率を調整する
 増幅率(すなわちHV)を変更しつつ,
MIP信号の検出効率を測定する
Vth
頻度
discriminatorのVthは
 信号をできるだけ拾う
 ノイズをできるだけ落とす
位置にあるのが望ましい
HV:低
増幅率:小
MIP
noise
波高
HV:高
増幅率:大
波高
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検出効率測定のためのセットアップ
discriminator
scaler
reference1
測定対象
reference2
Vth=-50mV
Vth=-50mV
Vth=-50mV
HV:固定
初期値:-1.8kV
HV:調整
-2.0kV ~ -1.2kV
N1 …
カウンターTがMIP信号,またはノイズを検出した数
N2 …
カウンターR1,R2が同時にMIP信号を検出した数.すなわちR1,R2の間に
位置するTを荷電粒子が通過した数にほぼ等しい.
N3 …
カウンターR1,R2が同時にMIP信号を検出した時にカウンターTも同時に
信号を検出した数.すなわち,Tを荷電粒子が通過したときにTがそれを検
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出した数にほぼ等しい.
計数率および検出効率のHV依存性
MIP+noise
-1.2kV
波高
検出効率
-2.0kV
-HV
50Vマージン
1
検出効率
頻度
N3/N2…
急激に増加
計数率[Hz]
頻度
N1/Δt … MIP信号+ノイズの計数率(Rate[Hz])
MIP
プラトー
0
波高
-1.2kV
-HV
-2.0kV
プラトー(plateau)に達したところから50Vのマージンをとる.
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測定データの統計誤差

事象数N … Poisson分布



偶発事象
発生確率一定
期待値(平均値)がμの時
 μは,一般には不明.観測量であ
るNを母数μの推定値として使う
(Nが大きいときは,ほぼ正しい)

N回試行してM回成功
… 二項分布

成功確率pのとき
 pは,一般には不明.観測量である
M/Nを母数pの推定値として使う
(M,Nが大きいときは,ほぼ正しい)
 検出効率εの統計誤差
 計数率N1/Δtの統計誤差
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PMT出力端子
15
高圧電源(REPIC RPH-030)
フロントパネル
リアパネル
1~4ch
を選択
高圧ケーブルのタグを
確認しHVのチャンネ
ルとPMTとの対応を確
認しておく.
モニターする量(電圧・電流・
電流上限値)を切り替える
スイッチは引きな
がら倒す
メインスイッチ
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バックアップ
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物質中を通過するμ粒子
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