情報教育論2003年度秋学期 課題 「プログラミング教育の授業計画書の作成」 ~基礎プログラミング教育を支援する 教授方法についての一考察~ 政策・メディア研究科 1年 80332292 橋本 千恵子 ●授業テーマと内容 「JAVA言語プログラミングの繰り返し構造」 繰り返し構造を使うことのメリットを学習し、プログラムの中でよく使われる for文、while文を使った繰り返し構造のプログラムを学習する。 さらに繰り返し文のネスト(入れ子)構造について学習する。 ・ ●授業の想定と受講対象者 ・プログラムを始めて学ぶ人を対象としたJAVAプログラミング入門(90分×28回)を 想定 ・その中の繰り返し文についての授業計画(90分×2回)。 ・この授業に入るまでに、既にプログラムの書き方、順次処理、 変数、定数、演算子、条件分岐(if文)の授業を受講済みと 仮定 ●受講者の前提条件 ・繰り返し文については、はじめて学習することとする。 ・JAVA言語を使って、簡単な(十数行)の順次、条件分岐のプロ グラム(例えば、画面への文字出力、計算など)の作成、コンパイ ル、実行ができる。 ・JAVA言語の演算子(インクリメント演算子、デクリメント演算子、 代入演算子、関係演算子など)を理解し、演算子を含んだプログ ラムの読み書きができる。 ・定数、変数の概念を理解し、変数、定数を使ったプログラムの読 み書きができる。 ●授業のゴール テキストや資料を参照せずに次のことができるようになる ・for文を使った繰り返し構造のプログラム*の読み書きが できる。 ・while文を使った繰り返し構造のプログラム*の読み書き ができる。 ・繰り返し文のネスト構造を使ったプログラム*の読み書き ができる *プログラムは、例題や演習問題で用いたものと同レベルのもの ●評価 評価は以下の2つにより行う。 ・授業で出題した演習をグループ全員が終了している こと(グループ得点)。 ・授業の最初に行う試験の合計点が7割以上に達して いること ●授業の進め方 ・講師による講義と受講生の演習により授業を進める つのテーマにつき講義→演習→フィードバックで進める ・試験は、次回の授業の最初に行う ・試験の後にも必ずフィードバックを入れる ・受講者を5人程度のグループに分ける 評価の一つにグループ得点を入れる 一 ●授業の流れ 試験(前回の授業内容のプログラム作 成) 試験のフィードバック for文の説明 for文の演習 試験または演習 (学習者の参加活動) for文演習のフィードバック while文の説明 フィードバック (一部、学習者の参加 活動) 講師による講義 while文の演習 while文演習のフィードバック ●本教育のコンセプト 1.既存知識と新規知識の融合 2.十分な練習時間と適切なフィードバックの 提供 3.モチベーションの維持 ●ガニェの9教授事象 学習を支援するための教授モデル ・前提条件を 思い出させる ・新しい内容 の提示 ・学習者の 注意喚起 ・学習指針の 提供 ・授業の 目標提示 ・練習機会の 提供 学習準備 情報提示と 学習活動 ・フィードバック の提供 ・成果の評価 ・保持と転移 を高める まとめ ●ガニェの9教授事象 学習を支援するための教授モデル ・前提条件を 思い出させる ・新しい内容 の提示 ・学習者の 注意喚起 ・学習指針の 提供 ・授業の 目標提示 ・練習機会の 提供 学習準備 情報提示と 学習活動 ・フィードバック の提供 ・成果の評価 ・保持と転移 を高める まとめ ●学習準備 ・前提条件を思い出させる 最初のテスト問題で、その日の授業内容に関連のある問題を 出題する。 ・学習者の注意喚起 これまでに習得した方法(順次)を使ってプログラムを書くことによる デメリットを理解させ、それを解消するために新しい内容(繰り返し) を学ぶことを学習者に気づかせる ・授業の目標提示 プログラムの基本構造の一つである、繰り返しを学習することを 学習者に伝える ●授業の流れ 試験(前回の授業内容のプログラム作 成) 試験のフィードバック for文の説明 for文の演習 試験または演習 (学習者の参加活動) for文演習のフィードバック while文の説明 フィードバック (一部、学習者の参加 活動) 講師による講義 while文の演習 while文演習のフィードバック ●試験(プログラムの作成)とフィードバック ・受講者を評価する ・今回の授業に必要な前提知識を思いださせる 狙い ・今回の授業内容への伏線をはる 例えば・・・ 1.条件分岐と変数を使ったプログラムの作成 (変数aの値が5以上ならば、変数aから5を引いて出力する。そう でなければ、変数aに5を足して出力するプログラムを書きなさい) 2.順次を使ったプログラムの作成 (例えば、出力結果が***(アスタリスク3つ)となるプログラムを 書きなさい) ●学習準備 ・前提条件を思い出させる 最初のテスト問題で、その日の授業内容に関連のある問題を 出題する。 ・学習者の注意喚起 これまでに習得した方法(順次)を使ってプログラムを書くことによる デメリットを理解させ、それを解消するために新しい内容(繰り返し) を学ぶことを学習者に気づかせる ・授業の目標提示 プログラムの基本構造の一つである、繰り返しを学習することを 学習者に伝える ●for文の必要性 狙い ・for文の必要性を理解させる 例えば・・・ ・アスタリスク3個(***)ではなく100個の出力に変えるなら??? →同じ処理を100回数えて書かなければならない。 めんどくさい、タイプミスも増えそう、プログラムが長くて読みにくい! ・アスタリスク1個書くことを100回繰り返そう!! → 繰返し文の必要性 ●ガニェの9教授事象 学習を支援するための教授モデル ・前提条件を 思い出させる ・新しい内容 の提示 ・学習者の 注意喚起 ・学習指針の 提供 ・授業の 目標提示 ・練習機会の 提供 学習準備 情報提示と 学習活動 ・フィードバック の提供 ・成果の評価 ・保持と転移 を高める まとめ ●情報提示と学習活動 ・新しい内容の提示 繰り返しの概念(カウンタの必要性、処理の動き)と書き方(文法) を伝える。 ・学習指針の提供 例題を通じて、カウンタ設定やカウンタの動き、それにあわせた 処理の動きを、まずは机上で確認させる。その後、実際に プログラミングに進ませる。簡単な例題が理解できれば、例題に 類似した演習問題に進ませる。 ・練習機会の提供 演習問題を通じて一人で(もしくはグループや講師からのサポート を得て)、プログラムを作成できるよう練習させる。 ●授業の流れ 試験(前回の授業内容のプログラム作 成) 試験のフィードバック for文の説明 for文の演習 試験または演習 (学習者の参加活動) for文演習のフィードバック while文の説明 フィードバック (一部、学習者の参加 活動) 講師による講義 while文の演習 while文演習のフィードバック ●for文の説明(2) ・for文のカウンタの動きと処理の動きをシミュレーションさせる 狙い ・for文の文法規則、アルゴリズムなどを知る ・カウンタについて補足事項を学ぶ 例えば・・・ ・アスタリスク1個を数えながら手で100個書くとすれば? * 1回 ** 2回 *** 3回 正の字が3より 小さい間は*を 書いていく 正の字を書く代わりにコンピュータに数えさせよう! →カウンタの必要性,カウンタの特徴 ●for文の説明(3) ・for文のカウンタの動きと処理の動きをシミュレーションさせる 狙い ・for文の文法規則、アルゴリズムなどを知る ・カウンタについて補足事項を学ぶ 例えば・・・ for (i=0; i<3; i++) カウンタ部分 (正の字を書いているのと 同じ動き) { System.out.println(‘*’); } 処理部分 (繰返し部分) ●for文の説明(4) ・for文のカウンタの動きと処理の動きをシミュレーションさせる 狙い ・for文の文法規則、アルゴリズムなどを知る ・前判定 i=0 ・ブロックの概念 i<3 System.out.println(‘*’ ) i++ ・カウンタについて補足事項を学ぶ ・カウントダウン ●for文演習 ・例題に近いプログラムを2~3題 例えば・・・ ①*を横に10個並べる ②*を縦に10個並べる ③1から10まで加算する ●ガニェの9教授事象 学習を支援するための教授モデル ・前提条件を 思い出させる ・新しい内容 の提示 ・学習者の 注意喚起 ・学習指針の 提供 ・授業の 目標提示 ・練習機会の 提供 学習準備 情報提示と 学習活動 ・フィードバック の提供 ・成果の評価 ・保持と転移 を高める まとめ ●まとめ ・フィードバックの提供 テストや練習問題に対して、グループのメンバや講師から適切な タイミングで、回答や解説を提供する。 ・成果の評価 ・保持と転移を高める 授業の最後にテストを行うのではなく、次回の授業の最初に テストを行う。 テストまでの間、十分に練習の機会を与え知識を定着させる。 ●授業の流れ 試験(前回の授業内容のプログラム作 成) 試験のフィードバック for文の説明 for文の演習 試験または演習 (学習者の参加活動) for文演習のフィードバック while文の説明 フィードバック (一部、学習者の参加 活動) 講師による講義 while文の演習 while文演習のフィードバック ●for文演習のフィードバック ・演習そのものは個人で実施するが、グループ全員が時間内 に 演習が終わるよう、協力しあう グループ内からのフィードバック ・講師は演習の状況から、解説のレベルを決める。 必ずポイントは説明する。 講師からのフィードバック ●本教育のコンセプト(モチベーションの維持) 1.既存知識と新規知識の融合 2.十分な練習時間と適切なフィードバックの提供 3.モチベーションの維持 ・グループ全員が演習をクリアしていることを評価に加える →個人の責任感の重視、協同作業による連帯感 ・1回の試験ではなく、毎回の試験と演習のこまめな評価 数回のチャンスを与える →講師、TA、SAが受講者の理解度を把握し、ケアできる →理解度の低い受講者へのケアができる →複
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