医療倫理・研究倫理

医師のプロフェッショナリズム
「医事法制」(20-1)
2012.11.26
医の倫理
ジュネ-ブ宣言(1948、← ヒポクラテスの誓い)
受胎のときからの人命の尊重
医の倫理に関する国際規定(1949)
他医への紹介義務、同僚医師に対する義務
ヘルシンキ宣言(1964)
ヒトを対象とする医学研究=臨床研究に関する倫理指針
リスボン宣言(1981)
患者の権利に関する宣言、尊厳死の権利の規定
WMA医の倫理マニュアル(2005、日本医師会訳2007)
医療倫理の共通原則
(1)インフォ-ムド・コンセント
=医療法、民法 ≠医師法
例外:診断、患者本人の理解能力が不十分
(代諾)、生活補償などの社会保障
(2)個人情報保護、守秘義務
(3)倫理委員会の審査、承認
(4)利益相反(Conflict of Interest)の告知
終末期医療/緩和ケア
・安楽死、尊厳死:立法的根拠なし、東海大学4要
件
・リビングウイル:≠法的根拠、本人意思の確認方
法の一つ
・緩和ケアの範囲、対象(≠タ-ミナルケア)
・緩和ケア診療加算(診療報酬A226-2):専従の緩
和ケアチ-ムによる診療とその院内掲示
・チ-ム医療:がん看護専門看護師・緩和ケア認
定看護師・がん性疼痛認定看護師(日本看護協
会)
先端医学研究
法律
・臓器移植に関する法律:2009年臓器移植法改正
→脳死判定年齢制限撤廃、家族同意のみで可能
・クロ-ン技術規制法:個体作成クロ-ニング
の禁止(10年以下の懲役/1000万円以
下の罰金)*治療等研究目的の人クロ-ン胚に関し
ては、文科省の行政指針(「特定胚指針」)により作成
可能に(H21年~)
法令
・GCP(医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省
令)PhaseI~IV:文面同意、無過失補償
2010年施行 改正臓器移植法
主な改正点
(1)臓器摘出要件の緩和
(2)小児からの臓器摘出可能に
(3)親族への優先提供可能に
(*法的脳死判定の除外例)
(1)臓器摘出要件の緩和
本人and遺族○ → 脳死判定・臓器摘出
可能
本人 or 遺族× → 不可能
・・・・・ここまでは改正前と同様
本人不明 and 遺族○ → 脳死判定・臓器移植
可能
この結果、遺族同意による移植が増加
(2)小児からの臓器摘出可能に
従来
6歳未満:脳死判定除外、15歳以上:意思表示有効
15歳未満の小児からの摘出不可能
現在
法的脳死判定の除外を生後12週未満に、生後12
週以後脳死判定・臓器摘出可能、虐待防止委員会、
虐待防止マニュアルの作成義務づけ
(3)親族優先提供
「親族」の範囲
・配偶者、子及び父母
・配偶者は法律婚のみ、事実婚除く
・子には、特別養子含む
・自殺者からの優先提供はせずに、臓器移植法にのっとる
意思表示の注意点
・「娘の○子に必要な臓器すべてを提供」
→ 娘の○子を含め、親族全体への提供
・「娘の○子に必要な臓器を提供、それ以外の者には提供
しない}
→ 脳死判定・臓器摘出そのものを見合わせ
法的脳死判定の除外例
○全体を通じて
・生後12週未満
・急性薬物中毒
・有効な意思表示が困難となる障害を有する者
○被虐待児
・被虐待児、または虐待が疑われる18歳未満の児童(児童虐待防止法の適応)
○年齢不相応の血圧(収縮期血圧)
・1歳未満 < 65mmHg
・1歳以上13歳未満 < (年齢×2)+65mmHg
・13歳以上 < 90mmHg
○低体温
・6歳未満 < 35℃
・6歳以上 < 32℃
(社団法人 日本臓器移植ネットワ-ク 臓器提供施設委員会監 修 「臓
器提供施設の手順書」24頁より)
先端医療に対する公的規制
□ES細胞 → 指針(行):ヒト胚の作製・導入を禁
止、生殖細胞作成研究可能に
□ヒトクロ-ン胚
→ 規制法:個体クロ-ニング禁止(刑事罰)
→ 指針(行):人クロ-ン胚研究可能
□ヒト受精胚 → 指針(行):生殖補助医療余剰
胚
□iPS細胞 → 指針(行)=ヒト幹細胞臨床研究指
針:胎児からの採取を対象外、倫理委員会、健康j
被害補償
□ヒトゲノム・遺伝子解析研究倫理指針
→ 指針(行):IC,倫理委員会、確立した医療除
く、遺伝カウンセリング
(H25年4月改正施行予定)
□遺伝子治療臨床研究
→指針(行):「遺伝子標識臨床研究」、生殖細
胞等の遺伝的改変の禁止、審査委員会、厚労大
臣・文科大臣の関与
□疫学研究倫理指針
→指針(行):≠診療、連結不可能匿名化、RCT