日本における娯楽と出生率の関係

日本における娯楽と出生率の関係
仮説の設定
 仮説;娯楽への積極性が高いと出生率が上昇する
・一般的な出生率低下の要因として・・・
未婚率の上昇、経済的要因、女性の社会進出
☜しかし、本当にそれだけか?
社会全体の雰囲気が出生率に影響を及ぼして
いると考えることはできないであろうか?
↓
◎娯楽への積極性が高い→社会が楽観的雰囲気
生活が逼迫していないのでは?
◎都道府県別データ(都道府県の指標2010)
操作仮説と用いたデータについて
①100万人あたりの映画館数が多い地域では出生率
も上昇する。(2007年)
②行楽・旅行の年間行動率が高くなるほど出生率
も上昇する。(10歳以上、2006年)
③家計における教養娯楽費が高いほど出生率も上
昇する。(2人以上、1人世帯を除外)
出典;社会生活統計指標2010(内閣統計局)より
都道府県別合計特殊出生率
◎全国平均は1.40人
・最小値1.09(東京都)
・最大値1.78(沖縄県)
・標準偏差0.12くらい
◎2008年のデータを使用
→使用データが時間的に前後
するが、地域性がいきなり
変化するものとは考えない。
操作仮説①
 100万人当たりの映画館数が多い地域では出生率
も高くなる。
・相関係数0.188→ほぼ相関なし☜これ以上の分析はおこなわな
い。
・はずれ値は福岡、熊本、鳥取
操作仮説②
 行楽・旅行の年間行動率が高くなるほど出生率も
高くなる。
・はずれ値は沖縄県
・強い負の相関
(相関係数-0.513)☞回帰分析
操作仮説③
 家計における教養娯楽費が高い地域ほど出生率が
高い。
・ばらつきが大きい。
・都市部が多い。
・負の相関(相関係数0.567)
・回帰分析☞妥当なモデル!
考察;仮説①に対して
 常設映画館数を指標として用いてよかったのか?
☞スクリーン数や経営状況も無視
・100万人あたりに換算したことで、ゆがみが出
た?
☞地方で高く、都市部で低い値が出た。
結論;地域社会の状態を反映する指標とは言い難
い。→何を用いるかは、事前によく考える。
考察;仮説②③に対して
 予想とは逆の結果が得られた。
予想では・・・
娯楽にお金をかけている
→経済的余裕があり、それが許される雰囲気
→余裕のある社会で、子供も持ちやすい
実際には・・・
今回検証したデータには、
1.子供がいて出かけられない
2.子供にお金がかかって娯楽費に回せない
という状況が混在してしまっ
た。
全体を通じて(反省!)
 仮説を立てる段階
☞自分が何をどうしようとしているのか、あい
まいなままデータを集めない。変数を決めない。
※仮説①の映画館数は使用すべきでなかっ
た。
 用いるデータを決定する段階
☞除外すべきものをきちんと除外する。
※仮説②では、未婚、もしくは子供無し世帯
に限定すべき。仮説③では子供のいる世帯を除
外すべきだった。ただし、そういうデータが得ら
れるかどうかは、場合によると思われる。