査読システムを知る: 投稿者との協働作業 小峯 敦(龍谷大学) 経済学史学会・若手研究者育成プログラム 早稲田大学 2009.9.2(水) 1/13 目次 第1節 はじめに 第2節 査読とは何か 第3節 良い査読をめざす 第4節 改訂要求に応える 第5節 おわりに 2/13 第1節 はじめに 1-2 本日の目標 良い論文を書くために、査読システムを熟知。 なぜ査読? 3つの段階、俯瞰の目 (1)思いつき、発想、書きたいこと ←論文執筆 (2)様々なレベルの論文 ←査読による他者評価 (3)様々な審査報告書 ←編集委員による最終評価 4/13 第2節 査読とは何か 2-1 定義 refereeing (そもそも?)peer review 研究者の共同体; 共通の目標・分野・方法。 (何を?)学術的意義と改訂部分 論文の客体視、良い論文の公刊 (誰に?)編集委員および投稿者に明示 限定された読者、自発的活動、公平かつ明白 5/13 第2節 査読とは何か 2-2 査読の重要性 消極的・外面的に・・・ 業績の数値化(cf, IF, PD、科研費) 無審査制への不信(=紀要制度の没落) 積極的・内面的に・・・ 自分の思考を第三者・先達の目から(cf, 指導教員)。 有益な改訂示唆、視点・文献 6/13 第2節 査読とは何か 2-3 査読機会の種類 (1)学内雑誌(紀要) 学部内同僚。最近は外部査読も。多数。雑多。 (2)学会誌(学術雑誌) 学会や大学。やや開かれた。少数。権利。 (3)本や商業雑誌 出版審査。外部査読も。最近は出版助成が前提。 7/13 第2節 査読とは何か 2-4 査読者の選定 double blind 匿名性は最後まで守れ。実際には投稿者判明。 候補者 過去の投稿者、引用文献、著名(権威・新鋭)、説。 回避される人 同門。悪い審査報告書。締切ルーズ。 8/13 第2節 査読とは何か 2-5 査読プロセス(例) 投稿・・・期日。電子受付を推進すべき。 即時審議・・・即採用、即不採用、査読行き 査読・・・読み、調べ、書く。8週間? 本格審議・・・採用、不採用、保留(大幅+小幅) 改訂・・・要求書に基づき。説明文も。8-12週間? 再審議・・・採用、不採用。 掲載・・・晴れて載る。 9/13 第3節 良い査読をめざす 3-1 査読者の心構え 適任?・・・辞退する勇気も(論題、多忙)。 迅速・・・できるだけ早く。2-3週間で。 助言・・・長所を伸ばし、短所を縮める。 有益・・・審査の目。周辺の新しい知に触れる。 寛容・・・見解の相違≠不採用。公平に。 信頼性・・・自分自身の評判。 10/13 第3節 良い査読をめざす 3-2 審査報告書の構成 (1)論文の要約 (自分へも) 自分の言葉に咀嚼して、専門外の編集委員に向けて。 (2)大まかな評価 (委員へ) 立場を明確にして、学術的価値を判断。 独自な解釈(新資料)、論理構成の確かさ。 (3)細かい改訂点 (投稿者へ) 和訳、文章表現。ミス頻発。主語〜述語。 11/13 第4節 改訂要求に応える 審査報告書の熟読し、心を静める その要求をすべて列挙。時間の長短で分類。 本質的な改訂要求と、改訂示唆とを峻別。 基本的には、改訂要求にすべて従う。 従えないポイントには、理由を添えて正当化。 改訂した部分を丁寧に説明する別紙を。 →実例へ 12/13 第5節 おわりに 目標 論文評価の制度を知り、執筆に活かす。 自分の主張をねばり強く説得せよ。 査読システム 投稿者との協働作業。 学術推進という共通目的。 緊張感ある知的共同体。 13/13
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