シリーズ:著者の回答 051114版 質問-062 ( 050505 U社 技術開発センター:T.J 様 ) ゲストブック訪問者 様 國井講師殿へ。 偶然の丸々1年振りでございます。 国内、韓国へとお忙しそうで何よりです。 さて、毎度のぶしつけな質問で申し訳ありません。 自社ブランドのものであれば、初期コンセプトは非常に重要であると考えます。しかし、○○ 商品を開発していく中で、OEM先の要求に答えなくてはいけない場合が多々あります。 それは設計コンセプトの段階でない要求や不意に上がってくる場合もあります。 この場合、開発中に「使用目的」から外れていきます。そのために、「優先順位」も変えなけ ればならず、QCDの達成は難しくなってくるのが現状です。 この点についてはどのように考えるべきでしょうか? 例えば、方向修正する場合の注意点などありましたらお教えください。 次ページに続く Copy right(C) 2005 國井 良昌 All rights reserved. 1 シリーズ:著者の回答 回答 – 062 ここのところ、「商品コンセプト関連」の質問が続きますね。 本講座の受講者は、お蔭様で500名近くになりました。(社内外で) 前記質問は、非常に多くの設計者からいただきます。また、それが各社の実情で あり、OEM顧客なり、企画者なり、PMの方々を痛烈に批判している場合も少なく ありません。 私もここに文書として記録しておきたいと思いますので、以下、この回答が長々 とした説明になってしまうことをお許しください。 【コンセプトに関して】 御社において、「○○商品はコンセプトがない!」などと言うと大目玉をくらう かもしれません。あるか否か? その答えは「あります!」となります。 何故ならば、御社の開発規定で、「製品企画書」というものがある限り、「ない !」とは言えません。ただ、この製品企画書の発行前に設計を開始してしまうよ うな「カンジニア」がいて、私を多いに悩ませています。 次ページに続く Copy right(C) 2005 國井 良昌 All rights reserved. 051114版 2 シリーズ:著者の回答 この後者の場合は「コンセプトはない!」と断定できますし、論外の低次元な企 画、及びプロダクトであると判断させていただきます。 OEM顧客も一顧客と考えれば、前述後者の悪しき例に当て嵌まる場合が多々あり ます。つまり、OEM販売がその商品の多くのビジネス性を占めるにも係わらず、 何の事前リサーチもしていない、やっていても表面だけをなぞっただけの製品企 書を見かけます。 OEMと言うビジネスは、基本的には、作る側にアドバンテージがあります。 従って、OEM先の顧客を初期コンセプトの立案においてもリードしなくてはなり ません。もし仮にそうでない場合、これを「製造委託」と呼びます。製造委託に 市場調査やコンセプトは不要です。むしろあってはいけないビスネス形態かもし れません。 申し訳ありませんが、質問の回答は「論外!」とさせていただきます。 次ページに続く Copy right(C) 2005 國井 良昌 All rights reserved. 051114版 3 シリーズ:著者の回答 問題は、前者です。 コンセプトを立案するための事前調査や市場調査、顧客調査の深度が問題です。 毎日出社してWeb上で商品企画のコンセプトを立案し、ネットアンケートやネット サーフィンで探ったところで一体、どんなコンセプトが生まれるのか!というこ とです。 講習会におけるホンダシビックのトランクルームの例を思い出してください。ホ ンダ初のグローバルカーであるシビックのトランクルームの広さや空間形状を求 めるのに、企画者、設計者を全世界に飛ばして調査したのです。 覚えていますか? ホンダ・初代シビック CVCCエンジンだけが有名だが・・・ 次ページに続く Copy right(C) 2005 國井 良昌 All rights reserved. 051114版 4 シリーズ:著者の回答 適当な広さに設計してしまえば、船積み便の搭載台数が減ってしまい、輸送費が かさむでしょう。 ですから、サイズ的にもっともコンパクトにしたい訳で、だからと言って、役に 立たないほど狭くしたくない。 ですから、全世界に飛んで、トランクルームに何を入れるか、どんな時に取り出 すのか?いわゆるトランクルームとは何か?トランクルームの「使用目的の明確 化」から、そのコンセプトを探ったのです。 やっと、思い出しましたね! 次ページに続く Copy right(C) 2005 國井 良昌 All rights reserved. 051114版 5 シリーズ:著者の回答 051114版 このように、御社では真剣に商品開発における初期コンセプトを考えているでし ょうか? このコンセプトの設定が甘いほど、開発途中における大幅な設計変更が待ち受け ています。 ワンポイント①:コンセプトのない商品開発における設計開始、設計変更は 論外である。 ワンポイント②:コンセプト立案のための事前調査の深度が問題である。 ワンポイント③:OEMビジネスは作る側にアドバンテージがある。 従って、コンセプトの立案は作る側がリーディングすべき である。そうでない場合を「製造委託」と言う。 注意:講師は経営コンサルタントではありません。 あくまでも、設計主観で述べました。 以上 Copy right(C) 2005 國井 良昌 All rights reserved. 6
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