A-3 針状磁気プローブによる金属板角欠陥の 非破壊検査に関する研究 磁気応用工学研究室 金森周矢 はじめに 背景 精密機器や製品の小型化の発達により,微小な欠陥 の探傷が必要 従来の磁気センサでは検出困難 目的 針状磁気プローブを用いたうず電流探傷法 特徴 •小型の磁気センサ •高感度(3 µV/µT) •感度指向性 •極細プローブ 金属板の角部分の欠陥の非破壊検査の検証 針状磁気プローブの構成,特徴 75 µm z 針状磁気プローブ 75 µm y x 感度方向 20 µm SV-GMRセンサ z y z y 0.5 mm 0.5 mm x Bx Bz By Magnetic field [T] •素子が極めて小さい •感度に指向性(x方向) •高感度(3 µV/µT) x 30 mm Voltage at SV-GMR sensor [V] 小振幅交流磁界下での SV-GMRの特性 •狭空間での計測 •リフトオフ高さの低減 角部分の欠陥に 対して有効 プローブと励磁コイルの位置関係 針状磁気プローブ a z b a b •センサを励磁コイルの中心に設置 x,y軸方向の磁界成分が相殺 励磁コイル z B k x 0 Iab 1 1 2 [T ] 2 2 2 2 2 2 b (z ck) π a b (z ck) a (z ck) n 1 y µ0 :空気中の透磁率,I:励磁電流,n-1:コイルの巻き数 z:コイル底面とセンサとのz軸上の距離 板角部分の探傷原理 検査対象 y y うず電流 励磁磁界の向き Bx 針状磁気プローブ z z 励磁コイル y 感度方向 x x 欠陥なし 検査対象 Bx Bx 走査ライン 出力電圧 [V] 走査ライン z 端部による ピーク 欠陥 欠陥による ピーク x座標 x 角部分の欠陥の探傷条件 •駆動電流 1.0 mA •励磁磁束密度 100 μT •感度方向 x方向 •走査ピッチ0.1 mm •励磁周波数 100~500 kHz •リフトオフ高さ 0.1~0.5 mm y 針状磁気プローブ リフトオフ高さ 針状磁気プローブ 0.5 mm x 0.2 mm o 1.0 mm 検査対象 励磁コイル z y 3.2 mm x 4.0 mm 24 mm 50.0 mm 感度方向 30.0 mm 周波数変更時の出力信号 3.00 リフトオフ高さ0.1 mm 欠陥なし500 kHz 端部によるピーク 2.50 欠陥なし300 kHz 欠陥によるピーク 出力電圧 [µV] 2.00 欠陥なし100 kHz 1.50 欠陥 欠陥あり300 kHz 1.00 欠陥あり500 kHz 欠陥あり100 kHz 0.50 0.00 0.0 0.5 1.0 1.5 x座標 [mm] 2.0 2.5 3.0 表皮効果の影響により,欠陥に沿って流れるうず電流の密度が増加 リフトオフ高さ変更時の出力信号 3.00 欠陥なし0.1 mm 励磁周波数500 kHz 端部によるピーク 2.50 出力電圧 [µV] 欠陥なし0.3 mm 欠陥によるピーク 2.00 1.50 欠陥 1.00 欠陥あり0.1 mm 欠陥あり0.3 mm 欠陥あり0.5 mm 0.50 欠陥なし0.5 mm 0.00 0.0 0.5 1.0 1.5 2.0 2.5 3.0 x座標 [mm] 検査対象とセンサの距離を縮めることで局所的な磁界を検出 まとめ 針状磁気プローブを用いて金属板の角部分における 欠陥の非破壊検査の検証を行った 角部分の欠陥の探傷実験 周波数による影響 励磁周波数300,500 kHzで欠陥による信号を確認 リフトオフ高さによる影響 リフトオフ高さ0.1 mmで欠陥による信号を確認 針状磁気プローブを用いることで金属板の 角部分における欠陥を検出 ご清聴ありがとうございました うず電流探傷法 • 非破壊検査(保守検査)の一種であり,金属表面の欠陥検出に適している. • 構成が簡単であり,小型化が容易. 励磁磁界 励磁コイル 渦電流による磁界 磁気センサ 渦電流 検査対象 傷 V CC SV-GMR V チップ抵抗 V out z V CC y x ref θ I r' θ r o a b a φ H1 φ P b x z y z H1z aI abI H 1z cosθ 2 2πr 2π(a 2 z 2 ) a 2 b 2 z 2 金属表面探傷の実験系 ファンクション ジェネレータ アンプ うず電流による 磁界 励磁磁界 交流電流 励磁コイル 検査対象 直流電源 SV-GMR センサ 参照信号 針状磁気プローブ 直流電流 z y x PC 検出信号 参照信号と同周波数の 検出信号 励磁コイル 感度方向 ロックイン アンプ 検査対象 2位相ロックインアンプ Asin(ωt+α) Input from SV-GMR sensor Band pass filter Low pass filter sinωt 0.5Acosα Real part Amplitude Phase Reference signal sinωt Phase shift circuit Low pass filter cosωt Imaginary part 0.5Asinα Asin(ωt+α)×sinωt=0.5A{-cos(2ωt+α)+cosα} Asin(ωt+α)×cosωt=0.5A{sin(2ωt+α)+sinα} ダイナミックリザーブ 最大雑音電圧(Peak- to - peak) 20log 入力信号フルスケール (rms) 表皮効果 周波数が高くなると導体の表面に集中して電流が流れる 表皮深さ 表面のうず電流の値の1/e=36.8 %になるときの深さ 2 1 d f f: 周波数 σ: 導電率 µ: 透磁率 3 d [mm] 2.5 アルミニウム 2 σ=3.55×107S/m μ=4π×10-7H/m 1.5 1 d=0.2 mmとなるのは, f=111 kHzの時 0.5 0 1 10 100 Frequency [kHz] 1000 スピンバルブ型巨大磁気抵抗効果(SV-GMR)素子 反強磁性層 磁性層(ピン層) 非磁性層(導電材料) 磁性層(フリー層) 外部磁界によるSV-GMR素子の抵抗変化 外部磁界によってフリー層の磁化方向が回転 フリー層 外部磁界 フリー層とピン層の磁化方向が平行 抵抗が小さい 抵抗 フリー層とピン層の磁化方向が反平行 抵抗が大きい 外部磁界 SV-GMRセンサの特徴 (1) 素子は2端子で,配線が容易 (2) 材料は金属であり,耐環境性が高い (3) 感度は高く,ホール素子に比べ1000倍程度 (4) 定電流駆動により素子両端の電圧が変化し,計測が容易 (5) 素子サイズが極めて小さく空間的分解能が高い (6) 厚みが数十nmと薄く,極表面近くの計測ができる (7) 測定磁界が面内方向(ホール素子は垂直方向) (8) 周波数特性が素子の形状により直流から数100MHz以上まで動作可能 (9) 印加電流は数mA程度であり極低電力駆動 (10)温度変動が小さく,ホール素子に比べ20倍程度 (11)静電気放電耐圧が高い 表面上での探傷 励磁コイル 欠陥 磁気センサ 出力電圧 [V] うず電流 x座標 端部の影響 従来の磁気センサ うず電流 SV-GMRセンサ(空間分解能高) 端部の影響と欠陥の影響を個々に受ける 出力電圧 [V] 励磁コイル x座標 角部分での探傷 励磁コイル 磁気センサ 検査対象表面に照射される磁束が減少 うず電流 表面に流れるうず電流が減少 針状磁気プローブ 励磁コイル 検査対象
© Copyright 2025 ExpyDoc