Long term stability of TOF/PEM PMTs

CDFⅡ実験,TOF測定器に用いられる
ファインメッシュ型光電子増倍管の性能評価Ⅵ
目次:
•目的とCDF測定器
•光電子増倍管
•長期安定性測定方法
•結果
•まとめ
筑波大物理
木村 直樹
CDF検出器
ハドロンカロリメータ
フェルミ国立加速器研究所
テバトロン加速器
ミュオン測定器
粒子飛行時間
測定器
電磁カロリメータ
陽子・反陽子衝突
重心系エネルギー 2 TeV
最高瞬間ビーム輝度
1.3×1032 cm-2 s-1
(2005年8月 現在)
1年後に予想される最高瞬間ビーム輝度
2×1032 cm-2 s-1
( 陽子・反陽子衝突頻度
10 MHz)
ソレノイドコイル
飛跡検出器
衝突点
シリコン検出器
目的: 本実験では,高計数率下で粒子飛行時間測定器に用いら
れる光電子増倍管が長期的に安定に動作するか確認する。
粒子飛行時間測定器
(TOF 測定器: Time of Flight detector)
目的 : 衝突点からの飛行時間を測定して粒子識別を行う.
シンチレータ (4cm×4cm×280cm) 216 本
1年後のCDF実験から予想される粒子入射頻度
シンチレータ 1本あたり
500 kHz
シンチレータ
280 cm
4 cm
TOF 測定器
ライトガイド
R7761
ファインメッシュ
光電子増倍管
ビームライン
TOF測定器用 光電子増倍管
浜松ホトニクス社製ファインメシュ光電子増倍管 R7761
• 光電面 バイアルカリ
• 増幅率
無磁場1000 V,磁場1.4 T 2200 V
105程度
• TOF測定器の時間分解能 (1.4T)
100ps
•最大陽極電流 10 μA
一年後のCDF実験から予想される
陽極電流 8 μA
ダイノード構造
測定方法
一時間おきにレーザー 1パルスでの出力電荷を,500イベント測定する.
レーザーヘッド
(410 nm)
恒温槽 (21 ℃) (60%)
初期テスト
10 Hz (3週間)
N.Dフィルタ
分光器
ファイバ
レーザー光入射頻度
TOF用光電子増倍管
x7
一年後のCDF実験の再現
500 kHz (2週間)
光量測定
レファレンス用光電子増倍管
x2
(H1161)
光源 : 浜松ホトニクス社製安定型ピコ秒ライトパルサ(PLP-02)
10ヶ月間もの長期間測定では、光電子増倍管
自体の出力変動と共に、測定機器の安定性も
確認した。(レファレンス用光電子増倍管)
低頻度での回復
100 Hz (4週間)
500 kHz (2週間)
10Hz (2週間)
現在のCDF実験の再現
200 kHz (6週間)
10Hz (3週間)
200 kHz (3週間)
10 Hz (4週間)
合計 10 ヶ月
レファレンス用光電子増倍管での増幅率と光電子数の測定
SPPが見える程度の光量に調節して増幅率
と光電子数を分けて測定する.
1時間に一度 20000 イベント 測定
増幅率
10 Hz 100 Hz
200 kHz
10 Hz
500 kHz
10 Hz
200 kHz
500 kHz
10 Hz
events
20%
20%
平均光電子数
10 Hz
100 Hz
200 kHz
10 Hz
10 Hz
200 kHz
10 Hz
500 kHz
500 kHz
ADC counts
200 kHzでの測定では、レファレンス光電子増倍管2本共、入射光
量が減少していることがわかり、出力電荷の補正を行った。
200 kHZ での出力電荷の補正
測定された光量
光量の測定により、 200 kHz では光量
自体が変動していることがわかった。
10 Hz
200 kHz
200 kHz
10 Hz
10 Hz
光量の変動を、変動を補正して光
電子増倍管の出力変動を調べる。
CDFと同等の条件
光電子数=1000 , 増幅率=105 補正前
10 Hz
10 Hz
10 Hz
200 kHz
Corrected charge (pC)
200 kHz
補正後
10 Hz
200 kHz
200 kHz
10 Hz
10 Hz
現在のCDF実験から予想される 200 kHzの入射頻度では、
高入射頻度での 10 % 程度の出力減少が見られるものの、
その後安定に動作することが解った。
TOF測定器用光電子増倍管 出力電荷 1
光電面のダメージ
CDFと同等の条件
CDFの条件に対して
光量10 倍 増幅率1/10倍
光電子数=1000 , 増幅率=105
10 Hz 100 Hz
200 kHz
10 Hz
500 kHz
10 Hz
200 kHz
10 Hz
500 kHz
•同条件で測定した2本とも、同じ様な変動を示した.
•高頻度 0.5MHz では出力が 30%程度
出力が減少する.
•その減少は低頻度の測定で回復する.
予想原因
•ダイノード間の台座への帯電が起
Corrected charge (pC)
Corrected charge (pC)
光電子数=10000 , 増幅率=104
10 Hz
100 Hz
10 Hz
200 kHz
10 Hz
10 Hz
200 kHz
500 kHz
500 kHz
•同条件で測定した2本とも、同じ様な変動を示した.
•高頻度 0.5MHz では出力が 70%程度
出力が減少する.
•その減少は低頻度の測定でも元の出力ま
では回復しない.
予想原因
こり、加速電場が歪められる.
•ダイノード間の台座への帯電が起こり、
TOF検出器では 30 %の出力の減
少に対して 7 %分解能が落ちる.
•光電面などのダメージ.
加速電場が歪められる.
TOF測定器用光電子増倍管 出力電荷 2
陽極電流が小さい時
CDFの条件に対して
光量1/10 倍 増幅率10倍
CDFの条件に対して
光量1/2倍 増幅率1/2倍
光電子数=100 , 増幅率=106
光電子数=500 , 増幅率=5x104
10 Hz 100 Hz
200 kHz
10 Hz
500 kHz
10 Hz
200 kHz
500 kHz
10 Hz
•同条件の2本で、減少率が違った. 500 kHzで
40 %の減少のものと、20%程度の減少が見られた.
Corrected charge (pC)
Corrected charge (pC)
ダイノードのダメージ
10 Hz 100 Hz
200 kHz
10 Hz
500 kHz
10 Hz
200 kHz
500 kHz
10 Hz
•高頻度での出力減少と低頻度での回復はみ
られるものの、その変動率は小さい.
•CDFと同等の条件での測定と同じ様な出力
変動する。
•ダイノードのダメージとして大き
な変動は見られなかった.
•陽極電流を小さくしても、高頻度
の出力減少がみられる.
まとめ
•10ヶ月に渡りTOF測定器に用いられる光電子増倍管の長期安定性を測定した。
•その結果,低頻度10 Hzでは安定に動作していたものが,一年後のCDFの条件
である0.5 MHzでは30 %程度の出力の減少がみられ,その後の低頻度の測定で
出力の回復が確認できた.
•現在のCDFの条件である0.2 MHzでは,15 %程度の出力の減少し,その後一
定な出力が得られた.
•実際のCDF実験では時間タイミングと共に出力電荷も測定しているので, 30 %
程度の出力減少には対応できるが,もっと大きな光電子増倍管の出力減少が
起きた場合は印加電圧の調節などを行う.
今後の予定
•今後 出力減少の原因の解明などを行っていく.
レファレンス用光電子増倍管
Ref-1
増幅率
光電子数
光電子数
Ref-1 / Ref-2
Ref-2
光量
1/10倍
増幅率
10倍
Corrected charge (pC)
Corrected charge (pC)
増幅率
1/10倍
光量
1/2倍
増幅率
1/2倍
Corrected charge (pC)
光量
10倍
Corrected charge (pC)
Corrected charge (pC)
同等の
条件
Corrected charge (pC)
CDFと
Corrected charge (pC)
TOF用光電子増倍管
PEM用光電子増倍管
CDFと
同等の
条件
N.p.e =100
Gain=105
光量
10倍
増幅率
1倍
N.p.e =700
Gain=105
200 kHzでの光量減少(光減衰器)
光減衰器 あり
光量1
光減衰器 なし
光量1
光量2
光量2
CDF での TOF の安定性
07/2002 - 07/2003/
30 % 減少
(レート依存性のある Background や Preamplifier の baseline shift 込み)
分解能 7 % 減
ビーム輝度 2x1031
4x1031