キャパシタンス標準の 高周波化に対する今後の展開 計量標準総合センター 電気標準第1研究室 坂本 憲彦 NMIJにおけるキャパシタンス標準の整備状況 現在の整備領域 : 10 pF~1 mF@ 1 kHz 容量 C (F) 1m 1m 1n 高周波化の 必要性は? 1p 1k 10 k 100 k 1 M 周波数 f (Hz) 10 M 産業界における高周波キャパシタンス標準の需要 高 周 波 領 域 産業界には 需要がある! 1 MHz 8.7 % 100 kHz 3.7 % 10 kHz 4.9 % 1 kHz 51.9 % 50 – 400 Hz 30.9 % JCSS認定範囲 1 pF ~ 10 mF @ 1 kHz (予定も含む) 49 % 日電検の周波数別標準キャパシタ校正実績(H14-16年度)による 高周波化に伴う技術的問題点 Cm Lc Lp Hp Zm Hc r1 r5 r6 r4 l1 l5 r2 l6 l4 c1 r3 l2 C l3 c2 1 + r1 + jl1 + ・・・ jC 特に高周波では、 寄生インピーダンス の影響著しい C = Cm 寄生インピーダンスの高周波化への寄与 寄生インピーダンスが C 周波数特性を決める 寄生インピーダンスを 「評価する」必要がある f 1 kHz 評価には2つの方式がある 寄生インピーダンスの評価方法 等価回路方式 † Z行列方式 * 各々のインピーダンスを測 標準器内部をブラックボックス化 定により求め、等価回路計 V1 V2 V3 V4 算により値を推定 I 1 I2 I3 I4 V1 Z11 Z12 Z13 Z14 I1 V Z Z Z Z I 2 21 22 23 24 2 V3 Z 31 Z 32 Z 33 Z 34 I 3 V Z Z Z Z 4 41 42 43 44 I 4 方法 Z行列要素をネットワークアナライザで 測定後、 計算により値を推定 † R. N. Jones, NBS Technical Note 1024 (1980). * K. Suzuki, IEEE Trans. Instrum. & Meas. 40, 420 (1991). 標準器から校正器物への値付け 標準器 (S) 校正器物 (DUT) 周波数特性 : 既知 C 値付けには 校正装置が必要 1 kHz f 標準器から校正器物への値付け ブリッジによる比較法 S DUT 評価された標準器 1つ用意 0.1 mF LCRメータによる置換法 S DUT 評価された標準器 各公称値ごとに用意 ・・ 1 nF 1 nF 1 nF 1 nF ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ ・・ 1 pF 1 pF 1 pF 容量範囲拡張が可能 校正プロセスが簡易 測定原理 – ブリッジによる比較法 A. Awan et al., IEEE Trans. Instrum. & Meas. 50, 282 (2001). ZDUT (=1/jCDUT) 1-N D ZREF N (=1/jCREF) Z DUT : Z REF 1 N : N CDUT N CREF 1 N 分圧比 N が分かれば CDUT が求まる 高周波用誘導分圧器による分圧比の校正が必要 高周波用誘導分圧器の開発 • 開発のための工夫例 : 漂遊容量抑制のための特殊な巻線 VN VN-1 V1 V0 VN VN-0.5 VN-1 V1.5 V1 V0 V0.5 同軸ケーブル 外部導体 高周波化: 漂遊容量無視できなくなる 同軸ケーブル 内部導体 なるべく近い電位で巻線を覆う ⇒ 漂遊容量の抑制 NMIJにおける標準整備計画 標準項目 2008年 2009年 2010年 誘導分圧器 100 kHz キャパシタンス - 100 kHz 1 MHz 交流抵抗 - 100 kHz 1 MHz 1 MHz 初期目標 高周波用誘導分圧器の開発 寄生インピーダンス評価法の検討・確立 最終目標(2010年) ・ 高周波用ブリッジ回路を開発し、標準供給を開始したい まとめ • NMIJのキャパシタンス標準供給は、現在1 kHzに限定されているが、産業 界には1 kHz - 1 MHz領域にも需要がある。 • 高周波化を実現する技術として以下の手法が挙げられる。 周波数特性の評価方法 校正器物の校正方法 等価回路方式 Z行列方式 ブリッジによる比較法 LCRメータによる置換法 NMIJ 今後の方針 比較・検討 交流ブリッジ回路を構築する予定 • NMIJでは、 キャパシタンス標準高周波化を実現できる最適な諸技術を検 討・開発し、2010年までに1 MHzにおけるキャパシタンス標準供給を開始 する。
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