原子炉耐震設計指針の策定・ 見直し過程と課題 小山研究室 3021-6021 塚本可奈子 1 研究目的 原子力安全委員会では、2001年に耐震指針検 討分科会を設置し、原子力施設の安全性や耐震性 を規定した耐震設計審査指針等の見直し作業に着 手した。 東海地震が注目されている今、御前崎市の浜岡 原発は耐震性の見直しが重要である。 この研究では、耐震設計指針の策定・見直し過程 と課題について考える。 2 研究方法 原子力安全委員会のWebサイトにある耐震指 針検討分科会のこれまでの30回分の会議の資 料(およそ60MB)を整理する。 整理した審議の見直し過程などを検討し、問題 点や課題について考える。 3 原子力安全委員会について 内閣 経済財政諮問会議 内閣府 総合科学技術会議 原子力安全委員会 中央防災会議 男女共同参画会議 文部科学省・経済産業省 等の行政庁からの独立・ 中立性が保たれるよう、 内閣府に置かれている。 迎賓館 4 原子力安全委員会の主な活動内容 原子炉の設置許可などに関する安全審査を行い、 安全性の確認を行う。 原子力施設の設置許可の後に規制行政庁が行う 「後続規制」活動を監視・監査し、不断の改善・向上 を促すことを目的とした「規制調査」を実施。 原子力安全に関する指針類の整備 原子力施設に関する事故などへの対応 5 組織と体制 原子力安全委員会 専門部会 原子力安全基準・指針専門部会 原子炉安全専門委員会 沸騰遷移後燃料 健全性評価分科会 核燃料安全委員会 緊急事態応急対策調査委員会 耐震指針検討分科会 基本WG 事務局 施設WG 地震・地震動WG 6 耐震指針検討分科会について 設置目的 「発電用原子炉施設の耐震設計審査指針」及び 「原子力発電所の地質、地盤に関する安全審査の手引き」 について、最新の知見等を反映し、より適切な指針とする ために審議・調査を行う。 審議事項 (1)指針へ反映すべき最新の知見の抽出・整理 (2)検討の結果、必要に応じて、新指針の作成 7 分科会の検討の内容 第1段階 第2段階 第3段階 詳細に検討すべき課題の抽出 現行の指針と最新の知見の状況等を比較し、検 討すべき課題を抽出・整理する。 個別検討課題の調査審議 個別の検討課題について、指針への反映の可 否、現行指針に改訂が必要な場合の、方向性に ついて整理する。 指針改訂案の作成 改訂の必要がある場合に、その改訂案について 検討を行う。 8 耐震設計指針改訂の案 「タービン建屋は破壊されてもよい」という手抜きの耐震設計をやめ ること すべての活断層を耐震設計で考慮すること いつどこで起きても不思議でないM7.2の直下地震を考慮すること 活断層による地震だけでなく、現行指針では考慮されていないスラ ブ内地震やプレート境界地震を考慮すること 活断層による地震動の過小評価を改めること 原発の老朽化を考慮した耐震設計にする 軟弱地盤への原発立地を認めないこと 地震による津波の影響を評価するための具体的な指針を明記する こと 現行指針で用いられている「工学的判断」という定性的で曖昧な表 現を廃止し、科学的でわかりやすい定量的な表現に改めること 9 項目 検討すべき項目 改訂の案から、検討 すべき内容を23項 目に分けて整理 3つのワーキンググ ループ(WG)を設置 し、それぞれの項目 を対応させた 基本 地震時安全確保の考え方 ○ 考慮すべき事故の考え方 ○ 耐震設計の枠組み ○ 確率論的手法と決定論的手法との関係 ○ 基準地震動の考え方 ○ 設計用地震力の考え方 施設 地震 ○ ○ ○ 基準地震動の算定法 ○ 設計用地震の区分と想定すべき地震 ○ 地震発生の確率論的評価 ○ 地震動の確率論的評価 ○ 地質調査に関する基本的要求事項 ○ 耐震重要度分類の基本的考え方 ○ ○ 荷重の組合せの基本的要求事項 ○ 許容限界の基本的要求事項 ○ 応答解析の基本的要求事項 ○ 応力解析の基本的要求事項 ○ 構造信頼性の確率論的評価 ○ 確率論的安全評価 ○ 第四紀層地盤立地 ○ ○ 免震構造・制震構造 ○ ○ 地震随伴事象 ○ ○ 新立地様式 ○ 運転管理に係る考慮事項 ○ 10 指針改訂に関する主要論点 1. 2. 3. 4. 5. 6. 安全確保の基本的考え方 確率論的安全評価について 耐震設計上の重要度分類について 耐震設計に考慮する地震動の策定について 耐震設計方針 その他 既設の原子炉施設の扱い →この指針は新設の原子炉施設に適用されると明記するべき 本課題の性質は改正指針の内容とは異なるものであるの で、耐震設計指針とは別の形で取り扱うのがよい 11 考察と今後の課題 既設の原子炉施設についても、耐震性を見直す 検討が必要に感じられる。 第3段階の「指針改定案の作成」に関する会議 の内容をまとめる。 12
© Copyright 2024 ExpyDoc