因果関係3原則

因果関係3原則
2006年10月30日(月曜日)
社会理論と調査法
苅谷剛彦1997『知的複眼思考法』
126-145
先週の課題
•
•
•
•
•
架空の調査
情報システム学科の4年生:全数調査
アルバイト経験(期間・変更回数)
内定時期
アルバイト経験が豊富な人は内定時期が早
い(相関関係)
上記の結果から、アルバイト経験が
豊富だと(原因)、内定時期が早まる
(結果)と結論付けてよいか。
第一条件:原因の時間的先行性
原因がまずあって、それが結果を引き起こして
いるのであって、その逆ではない。
アルバイト経験
内定
逆はあるか?
理論的にはあり得る。
4年までバイトほとんどしない。
内定とって、ヒマができてバイト。
おそらく、情報システム学科ではほとんどいないであろう。
条件1は、満たしていると、判断。
第二条件:共変関係
• 原因と見なされている現象も、結果と見なさ
れている現象も、ともに変化している。
相関関係が確認
これは調査で確認しやすい。
第三条件:他の条件の同一性
• 原因以外に重要と思われるほかの要因が影
響していない。
受験に熱心な親がより多く住む
都会の方が通塾率が高い!
教育熱心さ
経済的な
豊かさ
中学生の
通塾率
都会ほど、塾に通わせること
ができる裕福な家庭も多いか
ら通塾率が高い!
先週の課題【第三条件】
に対する皆さんの回答
•
•
•
•
•
•
•
•
•
•
就職内定時期に影響するほかの要因
成績要因
企業分析力
資格取得
性格:積極性・愛嬌(?)
エントリー数
部活動によるコミュニケーション力・協調性アップ
性別
コミュニケーション能力
面接遅れる(遅れないで!)
自己分析
もっとも影響する要因
・皆さんの上げてくださった要因、基本的にすべ
て同一にする必要あり(遅刻は誤差として
扱わざる得ないか)
・その他決定的な要因
業種によって、募集時期が
大きく異なる!
疑似相関を見破る
• ほかに重要と思われ、かつ同時に変化してい
る要因の影響を取り除く。
すでに起きている、複数の事柄を比べる
(または実験をする…今回のケースは無理)
通塾率
年収800
万円以上
同
一
性
年収800
万円未満
熱心な家庭での
通塾率
熱心な家庭での
通塾率
熱心でない家庭
での通塾率
熱心でない家庭
での通塾率
分析の工夫
• 条件の同一 800万円以上/未満の2分類で
いいか? 1億円と800万円が同一? 300万
分布を確認(別の回)
円と750万円を同一?
• 先ほどの我々の要因:ものすごくたくさん!
11個の要因 それぞれ2つに分けても
2の11乗=2048分類! わからん
多変量解析! 例:重回帰分析
2分類でなく、線形で同一化(別の回)
卒業論文の評価のポイント
• 独創性(着眼点、改善点、提案に独創的なものがあ
る)
• 論理性(論理に矛盾はないか、体系的にまとめられ
ているか)
• 計数性(裏づけデータは事実と合致するか、その精
度と収集方法は適切か)
• 応用力(授業で習得した知識などが活用されている
か)
• 発表力(適切な内容で、聞き手にわかりやすいもの
であったか)
独創性(青字:本講義関連)
既存の研究に対して新しい点(問い・仮説・方法・結論)
新しい問いの発見
実態を問う(どうなっている)→因果関係(なぜ?)
新しい仮説=疑似相関を見破る!
+既存の研究での知見:情報検索(研究の
検索方法)・各種専門分野講義
「覚える」ためではなく、「新しい問い・仮説」
発見するためのもの(応用力)
問いの立て方と意義
情報検索の方法
問いの立て方と意義
この間を
どのように
埋めるか
新しい問い
の発見
例:大学生における
恋人間のヤマアラシ
ジレンマの研究
他人の頭を借りる!
論理性・計数性
• 基本観察→仮説 論理
的矛盾はない
• 検証方法 論理的整合
性(疑似相関を見破る)
• →仮説は肯定できな
い! 現在のパラダイム
で考えうる仮説を体系化
• ~データより最も尤もら
しい仮説を特定
発表力と聞く力(基礎
演習・卒業研究1~3
そしてグループワーク)
仮説の立て方
こ
の
間
真
理
表
各種統計系の
講義
計数性の収集方法と精度
• 信頼性と妥当性
• 問いと「調査方法・調査対象・サンプリング方
法、標本調査」
• 仮説と「ワーディング・選択肢・サブクエスチョ
ン」の関連