経済原論IA 第10回 西村「ミクロ経済学入門」 第10章 不完全競争市場 京都大学経済学部 依田高典 1 1. 不完全競争市場 企業がプライステーカーではない市場 (ある程度は価格を操作しうる市場) 競争が不完全となる要因: (i) 同種類の製品を生産する企業数 (ii) 同種類の製品の差別化の程度 2 3 2. 独占 参入障壁 (1)政府による規制、(2)資源の独占、(3)規模の経済性 独占企業の需要曲線 右下がりの需要曲線(供給量増加→価格低下) 独占利潤の極大化 π(y)=p(y)y-c(y) ∂π(y)/∂y=(p’y+p)-c’=0 ∴ (p’y+p)=c’ (MR=MC) 4 5 6 3. 長期独占利潤の最大化 企業の参入退出が自由な完全競争企業 LACの最低点(最適規模)で生産 独占企業の利潤最大生産量は、最適規模とは限らない 収穫逓減のケース y*<最適規模 収穫一定のケース y*=最適規模 収穫逓増のケース y*>最適規模 7 8 4. 自然独占 規模に関する収穫逓増 需要曲線と長期限界費用曲線LMCの交点では社会的余剰 が最大化されるが、独占企業の利潤は負となる (1)平均費用価格設定 独占利潤ゼロ 次善 (2)価格差別化 (高い価格、限界費用価格) (3)二部料金制 基本料金(固定費用)+従量料金(限界費用) (4)限界費用価格形成 政府が赤字を補填 9 5. 価格の差別化 同一財に対する需要の価格弾力性が異なる市場 価格差別化: 弾力性の低い市場 → 高い価格 (p1’y1+p1)=c’ → p1=c’/(1-1/ed1) 弾力性の高い市場 → 低い価格 (p2’y2+p2)=c’ → p2=c’/(1-1/ed2) ∵ ed1<ed2 → p1> p2 10 6. 独占の厚生の損失 11 7. 寡占市場 寡占企業 競争企業の価格・生産量を考慮、自己の価格・生 産量に対する競争企業の反応を考慮 ナッシュ均衡 各人が相手の行動を予想して、自分の最適な行動を決定す る結果、互いに選んだ行動が予想した行動と一致している 場合 囚人のジレンマ もし学生が共に自白すれば、「不可」 一方が自白せず、他方が自白すれば、自白した学生は 「優」、自白しなかった学生は「退学」 12 13 8. クールノーモデル 逆需要曲線 企業Aの利潤極大化 企業Aの反応曲線 企業Bの利潤極大化 企業Bの反応曲線 クールノー均衡 p y - (yA yB ); A pyA yyA - yA - yA yB A / yA y - 2yA - yB 0; 2 B pyB yyB - yB - yA yB B / yB y - 2yB - yA 0; yA * yB * y / 3 2 14 15 9. シュタッケルベルグ均衡 企業Aの利潤極大化 企業Bの反応曲線 シュタッケルベルグ均衡 A pyA yyA - yA 2 - yA yB yyA - yA 2 - yA (( y - yA ) / 2) 2 yyA / 2 yA / 2 Q y - 2yB - yA 0 A / yA y / 2 yA 0 yA * y / 2, yB * y / 4 16 10. カルテル(独占均衡) A B p(yA yA ) yA yB 2yA yB ( A B ) / yA y 2( yA yB ) 0 ( A B ) / yB y 2( yA yB ) 0 yA * yB * y / 2 2 2 17 18
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