付則 1-3 V-10/2013.04 測定機器の校正および点検 1994.06.14制 定 2013.04.01改訂8版 2013.04.01適用開始 〈まえがき〉 本付則は、VCCIの対象とする情報技術装置等からの妨害波の測定に使用する機器について、その校 正および点検について述べたものである。 測定機器の校正は、CISPR 16-1-1 Ed2.2:2007 第1-1部 無線妨害波及びイミュニティ測定装置特性および測定 法-無線妨害波およびイミュニティ測定装置を基準とするが、そのうち正確さに大きく関係するものをこの付 則で取り上げた。また一般的事項は、CISPR 16-1-1 Ed2.2:2007 第1-1部 無線妨害波及びイミュニティ 測定装置特性および測定法-無線妨害波およびイミュニティ測定装置を参照すること。 測定機器の校正及び点検については、一年以内の校正周期を推奨する。技術基準 5.1.3 「測定機器」 を 参照のこと。 1.対象の範囲 この付則は、以下に使用する測定機器を対象とする。 ①測定場所(サイト)の評価 ②供試装置(EUT)の測定 2.校正を必要とするもの 2.1 測定用アンテナ 2.1.1 測定場所の評価(正規化サイトアッテネーション測定)に使用するダイポールアンテナの校正 2.1.1.1 アンテナ係数決定の方法 正規化サイトアッテネーションの測定に使用するダイポールアンテナのアンテナ係数の決定は以下のい ずれかの方法をとることが出来る。 1) 国の標準研究機関に直接校正を依頼する。校正を依頼するとき2.1.1.2項に示されている条 件を指定すること。(地上高2mまたは3m等) 2) アンテナ校正を行っている校正機関に校正を依頼する。ただし、この校正機関の標準アンテナが国 校-1 の標準にトレーサブルであることが必要である。上記1)と同じく、校正を依頼するとき2.1.1. 2項に示されている条件を指定すること。(地上高2mまたは3m等) 3) 試験所自身で校正を行う場合は1)又は2)の方法で校正されたダイポールアンテナを基準アンテ ナとした置換法によって、校正対象のダイポールアンテナを校正する。(校正方法は2.1.1.4 項による) 4) ダイポールアンテナの寸法から計算によって求めたアンテナ利得に、実測によって得たバランの伝 送損失を加えた値をそのアンテナのアンテナ係数とする。(校正方法は2.1.1.5項による) 2.1.1.2 アンテナ係数の値付け条件 本項の条件は付則1の付属文書Ⅰ-3項の表の“アンテナ係数の値付け条件”を補足する。 1) アンテナの終端インピーダンスは50Ωに設定する。 2) 2.1.1.1項 1)、2)、3) に依る校正の場合 a. 被校正アンテナの地上高は2mまたは3mとする。 b. 送信アンテナは適切な距離のところに必要な電界の強さを発生できる直線偏波のアンテナを使用 すること。 c. アンテナの偏波面は水平偏波とする。 2.1.1.3 校正を要する周波数 30、 35、 40、 45、 50、 60、 70、 80、 90、 100、 120、 140、 160、 180、 200、 250、 300、 400、 500、 600、 700、 800、 900、 1000 MHz 2.1.1.4 試験所自身で行う置換法による校正の方法 1) 基準アンテナを用いた置換法によるアンテナ校正は図1に示す配置で行う。 2) 校正はCISPR 16-1-1 Ed2.2:2007 第1-1部 無線妨害波及びイミュニティ測定装置特性および測定法- 無線妨害波およびイミュニティ測定装置の「4項及び付属書A」に準じた場所において実施する。 3) アンテナ間距離 アンテナ間距離Dは10m以上の任意の距離とするが、 30MHz~50MHzの周波数帯域において送信 アンテナと受信アンテナの間の相互結合による影響を少なくするため、 適切な電界強度を得られる範囲 で、より長い距離での校正が望ましい。 4) 校正手順 a. 送信アンテナに接続したSSG(Standard Signal Generator:標準信号発生器)の発振周波数を校正 しようとする周波数に設定する。 b. 受信アンテナ位置に基準アンテナを設置する。 設置する高さはこの基準アンテナが校正されたとき の高さ(2m又は3m)とする。 c. 受信アンテナ位置での電界が必要な電界強度となるようSSGの出力レベルを調整する。この場合、 校-2 直接波と反射波が逆位相で受信点に到達するような波長と位置関係になっていて受信点の電界が 弱い場合は、 ・図2(a)送信アンテナの高さを変える。 ・図2(b)送受信間距離(10 m以上が必要)を変える。 のいずれかの方法で受信レベル(受信アンテナの出力)が必要な強さとなるように調整する。 d. 上記c.の設定が終わった後、受信レベルを測定する(受信機の読み:V REF ) e. 基準アンテナと被校正アンテナを置換する。 a.~c.の条件はアンテナを置き換えても変更しないこ と。この時の受信機の読みをV AUC とする。 5) 被校正アンテナのアンテナ係数の算出 上記の「校正手順」で得た値から被校正アンテナのアンテナ係数を次の計算式により算出する。 被校正アンテナのアンテナ係数: AFAUC = AFREF VREF (1/m) V AUC AF REF :基準アンテナのアンテナ係数 (1/m) V REF :基準アンテナの出力電圧 (V) V AUC :被校正アンテナの出力電圧 (V) (注)AF REF の値、及びV REF 、V AUC の測定値がdBで表されていれば AF AUC =AF REF +V REF -V AUC 〔dB (1/m) 〕 2.1.1.5 自由空間でのアンテナ係数の値付け 1)アンテナ係数の算出方法 アンテナ係数として自由空間における計算値を適用する。アンテナにバラン(平衡-不平衡変換回 路)やインピーダンス整合用減衰器がある場合にはそれらの損失も含めること。 2)バランの伝送損失測定 バランの伝送損失を測定するには、同一バランを2個用意し、図3のように各々のバランの平衡ラ イン側を接続して測定する。この場合、バラン1個当たりの伝送損失は、測定した伝送損失の1/2 とする。 校-3 基準アンテナ d 送信アンテナ 被校正アンテナ 2mまたは3m(固定) htx Ground Plane ローパス フィルタ 〔注〕 信号発生器 受信機 は6~10dBの抵抗減衰器であり、アンテナ出力端とケーブルの間に インピーダンス不整合が有る場合に、定在波を低減するために用いる。 図1 置換法によるアンテナ係数校正系統 d d 図2 大地面上でのアンテナ校正の配置 校-4 Balanced Z Balanced Unbalanced Unbalanced Z Z=50Ω 図3 バランの伝送特性測定 2.1.2 測定場所の評価(正規化サイトアッテネーション測定)に使用する広帯域アンテナの校正 (検討中) 2.1.3 供試装置(EUT)の測定に使用するアンテナの校正 (検討中) 校-5 2.2 擬似電源回路網 インピーダンスおよび挿入損失の周波数特性を校正する(0.15-30MHz)。 2.3 妨害波測定器および妨害波測定用スペクトラム・アナライザ 妨害波測定に使用する測定器はCISPR 16-1-1 Ed2.2 2007 第1-1部 無線妨害波及びイミュニティ測定 装置特性および測定法-無線妨害波およびイミュニティ測定装置に準拠し、少なくとも以下の項目に関 して校正を行うことを推奨する。 2.3.1 準尖頭値測定機能 ①正弦波電圧の精度 CISPR 16-1-1 Ed2.2:2007 第1-1部 無線妨害波及びイミュニティ測定装置特性および測定法-無線妨 害波およびイミュニティ測定装置の4.3項に従い、正弦波電圧の測定精度の評価を行う。 校正を行う周波数は以下のとおり。(ただし、5%の偏差を許容する) Band B(0.15~30MHz):0.15、1、10、30MHz Band C/D(30~1000MHz):30、100、300、1000MHz ②パルス応答特性 以下の周波数帯毎に、その帯域内の1周波数において、CISPR 16-1-1 Ed2.2:2007 第1-1部 無線妨害 波及びイミュニティ測定装置特性および測定法-無線妨害波およびイミュニティ測定装置の4.4項に 規定する。 (ア) 絶対値校正および (イ) 相対値校正を行う。 Band B(0.15~30MHz) Band C/D(30~1000MHz) ただし、(イ)相対値校正においては、CISPR 16-1-1 Ed2.2:2007 第1-1部 無線妨害波及びイミュニティ測 定装置特性および測定法-無線妨害波およびイミュニティ測定装置のTable3に記されている“繰り返し 周波数”1kHzの校正は行わない。また、孤立パルスに対する校正はBand Bの測定器のみに適用する。 (注)上記のパルス応答特性の校正には、CISPR 16-1-1 Ed2.2:2007 第1-1部 無線妨害波及びイミュニ ティ測定装置特性および測定法-無線妨害波およびイミュニティ測定装置のTable2に規定するパ ルスのほか、これと等価な“パルス変調正弦波(Pulsed RF signal)”を用いてもよい。ただし、 パルス面積S(μVs:開放端電圧)の直流パルスと等価な“パルス変調正弦波”の振幅A(μV r.m.s:50Ω負荷電圧)および幅τ(s)は以下の値を満足する。 τ≦0.1/Bm 2τ) A=S/(√ ただし、Bmは該当する周波数の測定器の-6dB帯域幅(Hz)である。 校-6 2.3.2 平均値測定機能 ①正弦波電圧の精度 CISPR 16-1-1 Ed2.2:2007 第1-1部 無線妨害波及びイミュニティ測定装置特性および測定法-無線妨 害波およびイミュニティ測定装置の6.3項に従い、正弦波電圧の測定精度の評価を行う。 校正を行う周波数は以下のとおり。(ただし、5%の偏差を許容する) Band B(0.15~30MHz):0.15、1、10、30MHz Band E(1~6GHz) :1、2、3、4、5、6GHz ②パルス応答特性 Band Bの周波数帯域内の任意の1周波数において、CISPR 16-1-1 Ed2.2:2007 第1-1部 無線妨害波及 びイミュニティ測定装置特性および測定法-無線妨害波およびイミュニティ測定装置の6.4項に規定 する絶対値校正を行う。 (注)なお、前記2.3.1②項に注意書きしたように、CISPRが規定するパルスのほか、これと等価な “パルス変調正弦波(Pulsed RF signal)”を用いてもよい。 1GHzを超える周波数のBand E(1GHz~6GHz)では、CISPR 16-1-1 Ed.2.2:2007 第1-1部 無線妨害波 及びイミュニティ測定装置特性および測定法-無線妨害波およびイミュニティ測定装置の5.2.1 項で規定する、1MHzの測定帯域幅(インパルス帯域幅Bimp )が±10%以内であることを確認する。 2.3.3 尖頭値測定機能 ①正弦波電圧の精度 CISPR 16-1-1 Ed2.2:2007 第1-1部 無線妨害波及びイミュニティ測定装置特性および測定法-無線妨 害波およびイミュニティ測定装置の5.3項に従い、正弦波電圧の測定精度の評価を行う。 校正を行う周波数は以下のとおり。(ただし、5%の偏差を許容する) Band B(0.15~30MHz):0.15、1、10、30MHz Band C/D(30~1000MHz):30、100、300、1000MHz Band E(1~6GHz) :1、2、3、4、5、6GHz ②パルス応答特性 以下の周波数帯毎に、その帯域内の1周波数において、CISPR 16-1-1 Ed2.2:2007 第1-1部 無線妨害 波及びイミュニティ測定装置特性および測定法-無線妨害波およびイミュニティ測定装置の5.4項に 規定する絶対値校正を行う。ただし、繰り返しパルスの繰り返し周波数は以下のとおり。 校-7 Band B(0.15~30MHz) :25Hz Band C/D(30~1000MHz):100Hz (注)なお、前記2.3.1②項に注意書きしたように、CISPRが規定するパルスのほか、これと等価な “パルス変調正弦波(Pulsed RF signal)”を用いてもよい。 1GHzを超える周波数のBand E(1GHz~6GHz)では、CISPR 16-1-1 Ed.2.2:2007 第 1-1 部 無線妨害 波及びイミュニティ測定装置特性および測定法-無線妨害波およびイミュニティ測定装置 5.2.1 項で規定する、1MHzの測定帯域幅(インパルス帯域幅B imp )が±10%以内であることを確認する。 2.4 擬似通信回路網 コモンモード終端インピーダンスおよび電圧変換係数の周波数特性を校正する(0.15-30MHz)。 2.5 電流プローブ 電流/電圧変換係数の周波数特性を校正する(0.15-30MHz)。 2.6 電圧プローブ 2.6.1 ハイインピーダンス電圧プローブ 50Ω系での挿入損失を 150kHz~30MHz で校正する。 2.6.2 容量性電圧プローブ 電圧変換係数の周波数特性を、CISPR16-1-2 Ed.1.2:2006 第 1-2 部 無線妨害波およびイミュニティの 測定装置特性および測定法-無線妨害波およびイミュニティの測定装置-付属機器-伝導妨害波の、付則 G にしたがって校正する。 また、容量性電圧プローブは外部電界に対する追加の遮蔽が必要となる場合がある。その場合は、 CISPR16-1-2 Ed.1.2:2006 第 1-2 部 無線妨害波およびイミュニティの測定装置特性および測定法-無線 妨害波およびイミュニティの測定装置-付属機器-伝導妨害波の、付則 G にしたがって、追加の遮蔽の必 要性を確認する。 2.7 その他の測定器 次のものを補助として使用する場合、校正が必要である。 2.7.1 標準信号発生器 ①出力電力 ②周波数特性 校-8 2.7.2 抵抗減衰器 ①減衰量の周波数特性 3.測定機器の点検 定期的な校正のほか、測定作業を始める前に行う日常的な点検事項として次の項目が挙げられる。 3.1 ケーブルおよびその接続点 放送波を受信するか、またはあらかじめ決めた周波数を信号発生器で発生させ、その受信レベルを前も って測定されたレベルと比較する。 3.2 妨害波測定器 妨害波測定器に付属している自己校正機能でチェックする。 校-9
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