CaF2障壁・p型駆動トンネルダ イオードに関する基礎研究 背景・目的 素子構造・動作原理 素子作製・測定 結果・考察・結論 まとめ 研究背景 2015/2/17 • 既存CMOSの性能を超える論理演算回路 – 共鳴トンネルダイオード(RTD)をベースとし構成 – RTDとは 量子効果応用デバイス 超高速動作且つ低消費電力を実現可能 状態の保持が可能(不揮発) – p型駆動のRTD(p-RTD)に関しては未検証 p-RTDの設計の前段階が本研究となる VDD p-RTD…未検証 Vin 相補型RTD のNot回路図 Vout n-RTD…動作確認済み 2 2015/2/17 研究目的 • p-RTD設計にあたって 3 V.L. – 障壁材料の選択:CaF2 RTDの作製に積層結晶成長が必要 価電子帯不連続ΔEV=8~9eV(バルク値) ⇒原子層レベル薄膜のデータは無い 1.71eV 4.05eV Ec 2.3eV 1.12eV Ev Si – 薄膜化のメリット:ホール電流の確保 トンネル確率上昇 価電子帯準位差(ΔEV)低下 CaF2層膜厚(tCaF2)と明白な相関関係が期待さ れており,高速・低消費電力志向設計との 整合性を検証したい CaF2 Ec 12.1eV ΔEV 使用材料の バンドプロ ファイル Ev CaF2薄膜1層のトンネルダイオードを作製し,J-V 特性から価電子帯における障壁高さを推定する 2015/2/17 素子構造と動作原理 4 • 素子構造は右図 – CaF2層厚tCaF2=1~5MLで作製 (1ML~0.31nm) • ホール電流を観測 – 逆方向バイアスで測定 順方向バイアス ゼロバイアス 逆方向バイアス 2015/2/17 素子作製方法 5 • 酸化膜形成 – 950℃,30分のWet酸化(約100nm) • 酸化膜エッチング – フォトリソでパターン形成後 BHFでSiO2をエッチング Au – 保護酸化膜形成 Al CaF2 p-Si Sub. SiO2 SiO2 SiO2 • 結晶成長(MBE) – 保護酸化膜除去後CaF2を基板温 度80~650℃で結晶成長 • 金属蒸着 – フォトリソでパターン形成後 Al(40nm),Au(100nm)を蒸着 2015/2/17 測定方法 • 測定系は下図 – 測定機器:Agilent4155c – 回路図上における逆方向バイアスの測定結果を 考察対象とする 6 2015/2/17 結果と考察:例①(tCaF2=3ML) • 0.7V~1.4Vの領域で測定結果がΔEV=4eVの理 論曲線上に乗ることが観察される – この場合ΔEV=4eVと推定される tCaF2=3ML @RT tCaF2=3ML ΔEV 7 2015/2/17 結果と考察:例②(tCaF2=4ML) • 1.0V以降の領域で測定結果がΔEV=3eVの理論 曲線上に乗ることが観察される – この場合ΔEV=3eVと推定される tCaF2=4ML @RT tCaF2=4ML ΔEV 8 2015/2/17 結論:tCaF2=4ML測定結果まとめ 9 • セルによる測定結果のばらつきが大きいた め,平均を取りΔEVを推定⇒3eV程度 – 2V印加時で比較 tCaF2=4ML 電流値のばらつき:tCaF2±1MLに対応 @RT =2V ΔEV V=2V 今後の方針 2015/2/17 • 電流密度を確保するためにはtCaF2=1~3MLで 安定動作する素子作製プロセスの探索が必要 予想される電流値 10 2015/2/17 まとめ 11 研究の目的 p型動作をするRTDを設計するため,CaF2のホールに対する価電子帯障壁高 さを推定すること 結論 p型駆動・CaF2障壁トンネルダイオードの素子作製及び電流電圧特性の観測 に成功 障壁膜厚tCaF2=4MLで作製した場合,障壁高さΔEVはバルク値の半分程度の 3~4eV程度と推定される 今後の方針 薄膜の膜厚と障壁高さの相関関係を調査するため,より多くの素子を作 製・測定することで精度の高い推定を行う 考察: V=0~0.5Vにおける理論と実験の乖離につい 12 2015/2/17 て • 界面準位等によるp-Si側バンド曲がりの見積もり誤差 ゼロバイアス時(V=0V)におけるバンドプロファイル 当初想定 実際(予想①) 実際(予想②) V<0.5Vでは電流値の見積もり誤差大だが, V>1V ではあまり影響を受けない 先行研究:n型駆動RTD 2015/2/17 13 • 高速のスイッチング特性と,電流電圧特性 に微分負性抵抗が現れるという特徴を持つ ① 印加電圧が小さいうちは,井戸内の量子準位と一致するエネルギーに存在するn-Si側の電子が少ないため電流が流れにくい(Fig.12①). ② 電圧の印加に伴いバンドが傾き,量子準位と等しいエネルギーの電子が多くなるほど共鳴トンネル効果で流れる電流が大きくな り,電子濃度が最大になるときに電流値がピークとなる(Fig.1-2②). ③ さらに電圧を印加すると,量子準位がn-Siの伝導帯より低くなるのでトンネル効果は起こらなくなり,電流が再び流れにくくなる (Fig.1-2③). ① ② Electron 電子 Al n-Si EC Ec ② 準位 Level Resonant EEc C ③ ③ ① Ec E C Voltage Fig.1-1 I-V Characteristic Curve Fig.1-2 Band Structures of n-RTD 先行研究:状態記憶素子としての RTD 2015/2/17 14 • 井戸層(障壁に囲まれた部分)にトンネリング, 散乱による電荷蓄積が起こり,ポテンシャ ル形状が変化.高抵抗状態へ変遷 – 電荷引き抜きまで状態を保持可能 1.5 Current (mA) 1 0.5 Vpeak=0.67 V Jpeak=27.5 kA/cm2 Vreset= -0.93 V ON/OFF=10.4 @RT 0 -0.5 -1 -1.5 -1.5 -1 -0.5 0 0.5 1 1.5 Voltage (V) Ref: J.Denda, et al ., Jpn. J. Appl. Phys. 52 (2013) 素子構造 メモリ動作原理(nc-Siで閉じ込める場 合) 2015/2/17 I 15 [Ⅰ]書き込み 低抵抗状態 [Ⅰ]書き込み [Ⅲ]消去 read V Al nc-n-Si CaF2 Si CaF2 nc-Si p-Si p-Si [Ⅱ]保持 高抵抗状態 eAl nc-n-Si [Ⅱ]保持 IV特性 eSi nc-Si p-Si 準位と一致しトンネリング&蓄積 [Ⅲ]消去 eAl nc-n-Si Si 電荷蓄積状態 nc-Si p-Si eAl nc-n-Si Si 電荷放出 nc-Si p-Si 先行研究:薄膜化による障壁高さの 低減 2015/2/17 • n-Si基板(111)上に数分子層で結晶成長させた CaF2薄膜の伝導帯バンド不連続量(ΔEC)が, バルク値よりも低く見える – 明白な相関関係が存在するためCaF2薄膜の膜厚設計によりCaF2伝導 帯準位を制御できる可能性を示唆 the Relationship between Thickness of CaF2 and Conduction band discontinuity between CaF2 and Si Ref: K. Suda, el al.: Analysis of single- and double-barrier tunneling diode structures using ultrathin CaF2/CaF2/Si multilayered heterostructures grown on Si, Jpn. J. Appl. Phys., to be published 16 低温時測定結果 2015/2/17 • 低温(44K,77K,100K)での測定結果 – 理論解析で予想される値よりも大きな電流値を 観測 低温状態で界面に蓄積キャリアが存在か? tCaF2=3ML 19 2015/2/17 現段階での測定結果まとめ • 測定数が少なくtCaF2とΔEVとの相関関係を炙 り出すまでには至っていない @RT 20
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