リーガルメソッド(第2回) 2 法的判断と法適用

法とコンピュータ07 (第3回)
2 a法適用—法の発見
慶大法学部(三田校舎教室)
2008/4/22
吉野一
既に学んだこと
法的正当化の推論と法的三段論法

法的判断は出来事に法を適用することによってなされる。
法適用における正当化の推論は、法的三段論法の構
造を示す。
何が適用される法であるか、
何が事実であるか、
そして何を結論とすべきかが重要である。

何が適用される法であるかを確定する方法




今日の目的
1.
2.
法の適用のために法の発見する方法を学
ぶ
そのための手段としての(法)情報技術を学
ぶ
法的三段論法
法
• 大前提:法
• 小前提:事実
• ⇒
• 結論:法的判断
法
的
正
当
化
の
推
論
事実
法的判断
法的三段論法(伝統的説明)
法規
• 大前提:法規
• 小前提:認定事実
• ⇒
• 結論:法的判断
法
的
正
当
化
の
推
論
認定事実
法的判断
法的三段論法(伝統的説明):例:論理式
刑法第204条:
∀X{十年以下の懲役又は三十万円
以下の罰金若しくは科料に処する(X) ←
人の身体を傷害した者(X)}
• 大前提:法規
• 小前提:認定事実
• ⇒
• 結論:法的判断
法
的
正
当
化
の
推
論
人の身体を傷害した者である(安藤昇)
十年以下の懲役
又は三十万円以下の罰金
若しくは科料に処する(安藤昇)
正しく理解された法的三段論法:原理
• 大前提:法
法規
– 法規
– 具体化(判例・解釈)
– 事例用解釈
• 小前提:認定事実
– 事実の記述
– 事実の資料
• ⇒
• 結論:法的判断
法
的
正
当
化
の
推
論
判例・学説における具体化解釈
事件向きの解釈
認定事実
事実の記述
法的判断
事実の記述の例
• 安藤昇は横井秀樹を殴り倒し、胸を足蹴りに
した結果、横井の胸部に10日間の疼痛を生
じせしめた。
正しく理解された法的三段論法:例:論理式

大前提:法






法規
具体化(判例・解釈)
事例用解釈
小前提:認定事実


刑法第204条:
∀X{人の身体を傷害した者(X)→
十年以下の懲役又は三十万円
以下の罰金若しくは科料に処する(X)}
事実の記述
事実の資料
⇒
結論:法的判断
法
的
正
当
化
の
推
論
∀X{人の身体を傷害した者(X)←
身体の生理機能に障害を与えた(X)}
∀X{身体の生理機能に障害を与えた(X)←
胸部に十日間疼痛を与えた(X)}
人の身体を傷害した者である(安藤昇)
胸部に十日間疼痛を与えた(安藤昇)
十年以下の懲役又は三十万円以下の
罰金若しくは科料に処する(安藤昇)
4.法的正当化の推論に法発見の推論

大前提:法






法規
具体化(判例・解釈)
事例用解釈
小前提:認定事実


刑法第204条:
∀X{人の身体を傷害した者(X)→
十年以下の懲役又は三十万円
以下の罰金若しくは科料に処する(X)}
事実の記述
事実の資料
⇒
結論:法的判断
法
的
正
当
化
の
推
論
∀X{人の身体を傷害した者(X)←
身体の生理機能に障害を与えた(X)}
∀X{身体の生理機能に障害を与えた(X)←
胸部に十日間疼痛を与えた(X)}
人の身体を傷害した者である(安藤昇)
胸部に十日間疼痛を与えた(安藤昇)
出来事に関する資料
十年以下の懲役又は三十万円以下の
罰金若しくは科料に処する(安藤昇)
課題

目的



適用法条を確定する。
その法の適用結果の正当化のために適用可能な判
例を見つける。
課題


そのための法情報検索技術の基礎を学びなさい
その技術を適用して上記の判決例を見つけなさい。