政治過程論第1回

政治過程論
序章 1 今という時代
①今までの仕組み
戦後日本というシステム
・長期安定雇用
就職=人生の安定
・国土の均衡ある発展と一極集中
東京で国のビジョンを描く、金を稼ぐ
・部分的最適化と短期的合理性
国益=省益1+省益2+・・・・・
すみ分け、談合社会
• 行政の仕事:ミニマムの確保
非競争的業界の保護
• ギルドと権威主義社会:専門職集団
• 所を得ることの安定と幸福
一所懸命という価値
場違いな者に対する抑圧と迫害
家族の仕組み
日本的4人家族という神話
・性的分業体制
男:Breadwinner 女:家計補助
税制と社会保障制度の後押し
・家族によるリスク処理
育児 介護
教育システムの役割
教育の目的
・読み書き計算能力の育成
・組織人としての素養=協調性
・与えられた目標を達成するための根
気と持続性
・人材のふるい分け→大学という楽園
大学教育の悪循環
1989年という分水嶺
②何が変わったのか
A グローバル化
・賃金の大幅な値崩れ
→長期安定雇用の終焉
・市場開放と規制緩和による競争
→優勝劣敗の社会へ
B IT革命の衝撃
• 先進国の優位性の消滅
マニュアル化の徹底と生産拠点の拡散
もはや重荷と化した豊かさ
• 知識、熟練労働の陳腐化
組織のフラット化
• 雇用の構造変化
一部の知的労働と多数の単純労働
C バブルの崩壊と長期停滞
経済の長期停滞
→GDP世界第2位からの転落
人口減少の始まり
→未来の見えない時代
安心安定社会の崩壊
貧困と不平等の拡大
雇用の不安定化
地域間格差の拡大
D 生きづらさの構図
自己責任という呪文
=果てしなき椅子取りゲーム
目的手段関係の徹底
=次の段階に備えているうちに一生
が終わる?
正規従業員の比率(若年層)
非正規労働者の比率
年齢計
15~24歳層
男女計
男性
女性
男女計
男性
女性
1993年
20.7
9.3
38.3
1993年
23.2
22.5
23.6
1997
23.1
10.4
41.6
1997
32.2
29.7
34.8
2001
27.1
12.5
47.7
2001
43.5
42.1
45.2
2005
32.1
17.7
51.6
2005
48.1
44.6
51.1
2006
33.2
18.4
52.9
2006
48.5
45.4
51.5
大競争(mega-competition)時代
• 競争に勝ち抜く能力は何か
• 規格化、標準化の圧力
• 数量的評価の圧力
グローバル化と競争社会
• 求められる人材の変化
グローバル人材という妖怪
• 大学教育への影響
大学政策の右往左往
• 若者の疲弊
• Buzzwordにご用心
グローバル企業の光と影
出典
週刊東洋経済2013.3.9
名ばかり管理職の実態
序章 3:
大学で学ぶこと
①学問とは何か?
手段としての学問→自動車教習所型
目的としての学問=本来の大学
School←ヒマ
②学問の効用
学問における「有用」と「無用」
学問が役立つということはどういうこと?
金もうけに結びつく
政策形成への参加
今ここにある仕組みの中で役に立てばよいの
か?
専門家の「貢献」と言い訳
北海道新聞3月16日
北大教授(原子力工学)の談話
今回の事故は、地震というより想定を超えた高
い津波が原発の関連設備を壊し、安全を担
保するバックアップシステムが作動しなかった
ことで起きた。ポンプや発電機器などの周辺
機器が壊れていなければ、炉心溶融のような
予想外の事態は起きなかった。
専門家の言い訳2
1970年に始まった軽水炉による原子力発電では過
去40年間、今回のような大事故はなかった。一方
で、私たちの生活を豊かにしてきた車は、事故で年
間1万人の死者を出した時もあった。
「1000年に一度の津波に備えておくべきだった」とい
う考えもあるが、それが適当かどうか、私には判断
できない。原子力のような巨大技術は電力会社や
担当官庁だけに任せるのではなく、社会的な議論が
必要だ。
疑問
社会的議論を封じ込めてきたのは誰
だったのか?
日本の学問におけるムラ社会の構図
政官業学メディアの鉄の5角形
大学人の反省
2011年度立教大学卒業式における
吉岡知哉総長の演説
• 今回の事故では、原子力発電所の安全性の
神話が崩れただけでなく、原子力工学や放射
線医学など、現代科学の最先端領域の「専門
家」たちの事故後の発言が事態の混乱を深
めるばかりであったのは、記憶に新しいところ
です。
吉岡演説 続き
• 高度な研究を行っている専門家や、著名な大
学の出身者である政治家への不信が広がる
中で、大学という研究・教育機関への信頼が
失墜していったのは不思議ではありません。
いま私たちは、大学の存在根拠自体が問わ
れていることに自覚的であらねばならないの
です。
③存在拘束性ということ
人間は自分の立場、利害によって縛
られる
=自分の見たいものを見、
聞きたいことを聞く
=見たくないものは見ない
起きてほしくないことは起こらない
ことにしておこう
組織の中で人間は愚かになる
• 福島第一原発事故と放射能測定をめぐるエ
ピソード
1957年以来、気象庁気象研究所は大気中の放
射能を測定してきた
2011年3月31日 放射能観測担当の文科省か
ら予算差し止めの通知
なぜ、こんな大事な時に?
内省的知性の必要性
自分を見るもう一人の自分
社会的分業における内省
=学問という営為
大学という制度
④教育の商品化という野蛮
A 数量的優越の虚実
• そういった背景から、企業の選考においてTO
EICで高いスコアを保持していることは、就活に
おいて非常に有利と考えられています。
• しかし、入社後の実体を聞いてみると、TOEIC
のスコアは高いが英語でビジネスメールが書け
なかったり、英語圏の外国人との会話ができな
かったりするらしく、企業の人事担当者も頭を抱
えているそうです。
出典 SankeiBiz 2013/4/8
数量的優位の虚実 続き
• では、TOEICのスコアが高いにも関わらず、
この様なことが起きているのはなぜでしょうか。
『「捨てる」英語スクール』を運営している青木
百香氏に話を聞くと、「TOEICの攻略本の中
には、英語が全く話せなくても満点を取る方
法がある、と断言しているものもある」と言い
ます。要するに、TOEICというテストは、ある
程度の攻略方法をマスターすることで高得点
が狙える試験なのです。
言葉を学ぶこととは?
• 大学サイドから見ると、新入生の英語力は年々劣化を続
けていることは手に取るようにわかる。進学にも、就職にも、
英語力は絶対に必要であると官民あげてうるさくアナウン
スされているにもかかわらずその教育成果は上がらない。
なぜか。
• 事前に「獲得できる報償」が示されれば、子どもたちは「最
短距離」を探す。
だが、そうやって最短期間に最高効率で身につけた英語
力は、むかしの子どもが何年もかかって英語の小説を読
んだり、英語の映画を見たり、英語の音楽を歌ったりしな
がら、じわじわと身につけた英語力と比べたときに、その
厚みや深みにおいて比較にならない。「英語ができるとい
いことがある」というアナウンスが始まってから英語力が劇
的に低下したことの説明はこれでつく。 内田樹ブログより
B 教育という商品
• 目的―手段関係の明確化
• 最善のコストパフォーマンスの追求
商品スペックの具体化
成果に関する客観的評価 etc
• 消費者主権の徹底
道具主義的学問の限界
• 学ぶ前の人間は、学ぶことの効用を理解して
いるのか?
• 定量化、計測できない価値を無視することの
罪
• 30年の教師生活から感じること
C 教育の危機
• だから、まことに絶望的なことを申し上げなけ
ればならないのだが、今の日本では学校教
育を再生させるために打つ手はないのである。
教育改革をうるさく言い立てる政治家やメディ
ア知識人はいまだに「勉強すれば報償を与え、
しなければ処罰する」という「人参と鞭」戦術
で子どもたちの学びを動機づけられると信じ
ているようだが、それがもう破綻していること
にいい加減に気づいたらどうかと思う。
吉岡演説
• では、大学の存在根拠とはなにか。
一言で言えばそれは、「考えること」ではないかと思
います。
• 大学とは考えるところである。もう少し丁寧に言うと、
人間社会が大学の存在を認めてきたのは、大学が
物事を徹底的に考えるところであるからだと思うの
です。だからこそ、大学での学びについて、単なる
知識の獲得ではなく、考え方、思考法を身につける
ことが大切だ、と言われ続けてきたのでしょう。
•
既存の価値や思考方法自体を疑い、それを
変え、時には壊していくことが「考える」という
ことであるならば、考えるためには既存の価
値や思考方法に拘束されていてはならない。
•
言葉を換えると、大学は社会から「考える」
という人間の営みを「信託」されているという
ことになると思います。
序章4 新しい時代をどう作るか
大前提
• グローバル化、情報革命に背を向けること
はできない
• 社会の維持のためには、生物多様性の概
念が必要=価値の多元化
• 力量のある人間になる(を育てる)
A 異論、対立の重要性
内省の難しさ
→他者を通して自らを省みる
多様な意見と対立の必要性
日本の同調主義、画一化という伝統
先駆者の思想
ああ、時俗の論ほど恃むに足らざるものはなし。
眼前の賞ほど墓なきものはなし。
世の子弟、及び年少の人に告ぐ、勉めて大志を
立て、おのおのその才の近きところに従い、
一学科、一芸術に専心勉強し、時俗の毀誉を
顧みず、自己の品行を砥礪し、一世を裨益す
る人となるを期すべし。
中村正直 賞罰毀誉論 明治8年(1875年)
B なぜ政治学か?
問題:構造的課題と主体の不在
失われた20年=皆さんの人生
何をなすべきだったのか
生きる、働く環境の転換
部分的最適化からの決別
それこそが政治の役割だったはず
政治は何をしていたのか
改革の時代:変わったのは外形だけ
政治改革=選挙制度改革と政党再編
行政改革=成功体験への固執と官僚
の引きこもり
C どこに出口があるのか?
人間が作り出した問題は、人間が解
決できるという信念
政治の力こそ必要
世の中の仕組みを作るのが政治と
いう作業
世の中を見るためのリテラシー
• 世の中の動きを理解することの難しさ
• 論理的に物を考えることの難しさ
• わざわざ自殺的意思決定をすることが
頻繁に起こる
だから政治学的発想が必要
第1部 政治学の基礎概念
1 政府とは何か
1-0 政治という活動
大前提
人間の弱さと脆さ
←人間を脅かす様々な危険(Risk)
個人、家族の能力の限界
他人の困難を自らのものと考える
1-1 政治という活動の起源
人間の相互依存という本質
=役割分担によって人間は豊かに
なった
複数の人間が共存する時に、何が必
要か
1つの決まり、1つの方針を共有する
道路のどちら側を通るか
右に行くか、左に行くか
=同じ船に乗り合わせるというイ
メージ
ルールを決め、その履行を確保する
好き勝手を許していては、みんなが沈
没する
嫌でも従ってもらう=強制と権
力
1-2 人間とは何か 2つの見方
1 利己的動物としての人間
→ホッブズ的世界
万人の万人に対する闘争
権力による統制
2 利他的動物としての人間
→自然発生的秩序
災害ユートピアの意義と限界
• 意義
人間には自発的に利他的行為をする能力
がある
=権力がなくても相互扶助の秩序を作れ
る
• 限界
しかし、それは人間の欲求が単純な状況
に限られる?
1-3 問題解決の3つの方法
・自由な交換
市場
・無償の助け合い
・権力による(再)分配
共同体
政府
社会を構成する3つの部分
市場という仕組み
自発性の世界=自由な選択
有償性の世界=お金がなければ欲しい
ものは手に入らない
競争の世界=優勝劣敗、適者生存
淘汰による資源の効率的活用
共同体という仕組み
自発性の世界=自ずから湧き出る感
情
無償の世界=美しい助け合い
しかし長続きするか?
共生と協力=人間の利他性
しかし我欲とぶつかる
政府という仕組み
共生と協力=弱い者、貧しい者も抱え
込む
有償性の世界=大きなお金で大きな
仕事
しかし、個人の選択に対応しない
強制の世界=時に力ずく
1-4 政府の長所と短所
人はなぜ政府を嫌うか
共同体との対比:冷たい 威張る
福沢諭吉『文明論之概略』(1875年)
政府の吏人が平民に対して威を振るう趣を見ればこ
そ、権あるに似たれども、この吏人が政府中にあり
て上級の者に対する時は、その抑圧を受くること、
平民が吏人に対するよりなお甚だしきものあり。
甲は乙に圧せられ、乙は丙に制せられ、強圧抑制の
循環窮極あることなし。また奇観というべし。
市場との対比
自由な選択ができない
払っている税金と政府のサービス
の対応関係が不明
=だからよいこと、だから困ること
強者から弱者への再分配
• アメリカにおける富裕層の反乱と自治体の分
裂
• 富裕層が考える政府の非効率
• 共同体からの離脱の自由をどこまで認める
か
なぜ政府は必要か
自発的に頑張ることの限界
介護の苦労 子育ての悩み・・・
=共同体から政治の世界へ引っ張り出す
お金による取引の限界
「お金がなければ手に入らない」ではすまない
問題もある
=市場原理を遮断する必要
シティズンシップ
• 人間の尊厳は万人に保障されるべき
• 人間の尊厳を確保するために不可欠なサー
ビスは市場だけでは提供できない
• 負担能力に関係なく平等に提供すべきサー
ビスが存在する
政府の領域
偶発的
不幸
政府・協力
相互扶助
自己責任
選択の結果
市場・自由
競争
政府の役割範囲をどう決めるか
• 債務は債務者の責任で弁済せよ
=民法の大原則
• 安定した収入のない若者に自己責任という名
の下に、弁済義務を負わせてよいのか?
自己責任と政府による支援の境界をどう考える
か? それこそが政治のテーマ
2 参加と民主主義
2-1 何が欲しいかを伝える方法
市場: 消費者の選択
=売れなければ自動的に消滅する
退出(exit)という武器により悪いものを
除去
政府: 民の声(voice)
人々はどのようにして声を出してきた
か
声を聞かない、出させない為政者
の存在
支配を安定、永続化する方法
世の中の仕組みを自然なものと人々
に思わせる
当たり前には逆らえない
2-2 自然のルールとは何か
何が自然の理法か?
=何が人為的な構築物か?
自明性や根拠をめぐる争い
近代:自然から作為へ
マーティン・ルーサー・キング
ネルソン・マンデラ
I have a dream!
私には夢がある。
今、差別と抑圧の熱がうずまくミシシッピー州で
さえ、自由と正義のオアシスに生まれ変わり
得る日が来るという夢が。
私には夢がある。私の四人の小さい子ども達
が、肌の色ではなく内なる人格で評価される
国に住める日がいつか来るという夢が。
2-3 民主主義の起源
当たり前を疑い、
なぜを考えることから民主主義は広
がった
当たり前の背後にある利害や力関係
に注目するのが政治学
2-4 誰が何のためにルールを作るか
よいルールとはどんなもの?
みんなの生活に役立つ
悪いルールとはどんなもの?
みんなにとって不便なもの
しかし、評価は常に一致するのか?
禁酒法(1920年代のアメリカ)
ルールと損得勘定
万人のためになるルール
=絶対的ルール
秩序の基本
誰かのためになるルール
=誰かにとっては損になるルール
年越し派遣村2009年1月
なぜたくさんの人が失業したか
近因: 2008年秋のリーマンショック
遠因: 労働の規制緩和
1985年
1996年
2000年
2003年
労働者派遣法制定
派遣対象業種を26に拡大
派遣業による職業紹介を可能に
製造業への派遣解禁
正規従業員の比率(若年層)
非正規労働者の比率
年齢計
1993
年
1997
2001
2005
2006
15~24歳層
男女
計
男性
女
性
20.7
9.3
38.3
23.1
27.1
10.4 41.6
12.5 47.7
1993
年
1997
2001
32.1
33.2
17.7 51.6
18.4 52.9
2005
2006
男女
計
男性 女性
23.2
22.5 23.6
32.2
43.5
29.7 34.8
42.1 45.2
48.1
48.5
44.6 51.1
45.4 51.5
ルールは公平か?
労働規制において
規制緩和は雇用主に利益をもたらす
労働者に不利益をもたらす
所詮ルールは利害関係の反映
2-5 公共の利益と私益
ルール(秩序)とは、より多くの人の役
に立つべき
しかし、実際にルールの形成に参加
する人は自分の利益(自分が公共
利益だと思うこと)を追求している
経済財政諮問会議
規制改革の我田引水
• 市販薬(一般用医薬品)のインターネット販売
を一部制限する政府方針に、全面解禁を主
張してきた楽天の三木谷浩史会長兼社長は
6日、「科学的な議論もなく一律規制するのは
憲法違反」と強く反発した。政府の産業競争
力会議の議員を辞任する見通しだ。6日夕方
にも記者会見して発表する。
•
東京都内で記者団の質問に答えた。三木
谷氏は1月に発足した産業競争力会議でネッ
ト販売への規制に反対する主張を続けてきた
ほか、経済団体「新経済連盟」の代表理事と
しても政府に申し入れるなどしてきた。三木谷
氏は政府方針に基づいて新たなルールがつ
くられれば、「断固として反対し、司法の場で
あらそう」と明言した。
朝日新聞2013年11月6日
ルールにおける相対主義
今あるルールが公共の利益に役立っ
ているとは限らない
誰もが自分の考えや要求を主張する
ことで、ルールはより公共の利益に
近づく
2-6 民主主義でルールを作る
ルールの実行と権力
=ルールを実行するためには強制力
も必要 警察 税務署 etc
しかし、強制力だけでルールを守らせ
ることはできない
エジプト革命
秩序をなぜ守るのか
世の中の仕組みを私たちが受け入れ
る根拠=正統性(legitimacy)
カリスマ性
伝統
合法性
2-6 なぜ民主主義か
自己決定と自発的服従
革命の制度化
=街頭へ出て秩序を転覆するよりも、
日常的に自分たちで決まりを作る
民主主義の要諦 by Lincoln
Government
of the people, (人民を)
by the people, (人民によって)
for the people, (人民のために)
shall not perish from the earth.
Abraham Lincoln, Gettysburg Address,
November 19, 1863
民主主義の悩み
「人民によって」と「人民のために」は、
いつも両立するか?
人民は自分のためにならない
ことを進んで選んできた
しかし、為政者は人民のため
にと称して勝手なことをした
それでも民主主義がよい
誰が決めるのが正しいのか?
家柄の正しい人?
頭のいい人?
みんなで?
どうせ間違うならば、たくさんの知恵を集
めた方がよい
2-7 どのようにして決めるか
決めることの必要性
多数決原理=多数を全体とみなす
=少数に決定権を与えない
多数意思と決定
• 便法としての多数決
=多数を全体とみなすという擬制
• 多数意見は正しいのか?
多数の専制という危惧
多数者が好きこのんで自殺的意思決
定をする
多数意見は正しいのか?
多数決の限界:
1 それでも地球は回る
=事実誤認
2 価値観の食い違いと
少数者の迫害
多数の専制という問題
多数は必ずしも正しくない
しかし、少数限定政治に戻れない
いかにして多数をチェックするか
ナチスによる焚書
ナチス党大会
2-7 多数意思に対する歯止め
• 多数決で決めてはならない領域の設定
• 民主主義以外の原理による権力の抑制
=司法権の独立と違憲審査
• 政治的権利の優遇
多数を抑制する方法
① 立憲主義と法の支配
多数者の決定よりも上位に規範を
据える=憲法
多数者から独立した司法がこれを
解釈する=ある種のエリート主義
憲法規範の安定性
憲法96条の意味
• なぜ憲法改正発議に両院の3分の2が必要
か
• 2分の1の多数派による日常の統治
• 政治の基本原理は、真に国民の総意がある
時だけ行う
ゆえに3分の2が必要
② 多数派と少数派の入れ替わり
民主主義と政権交代
誤った多数派は選挙で交代させる
2-8 多数とは誰のことか?
• 多数者の共通項は何か?
• 多数者という認識の枠組みは多様
経済的階層 民族 宗教・・・
• 多数者の線引きをめぐる戦い
アメリカの所得分布(千ドル)
アメリカの所得シェア
アメリカ経済の矛盾
ウォール街占拠
99対1という逆説
• ウォールストリート占拠
• 99対1というスローガン
• 99は力になるのか?
日本では1億円対百万円?
朝日新聞2013年4月23日より
労働者は多数派か
• 弱い立場の人間も数をまとめれば勝てるは
ず
• 同じ立場だという認識を持つことのむずかし
さ
• 同じ立場と思わせないための言説という武器
99の中に打ち込む様々な亀裂
• 世代間対立
年金受給者vs若者
• 雇用形態 正社員vs非正規労働者
• 官民対立
• ジェンダー
女性優遇は逆差別?