テクスト意味空間分析法プレゼンテーション 総合政策学部3年舟橋美和子 環境情報学部3年佐治伸郎 研究主旨 様々な場面で使用される「夢」という言葉 は、人々の間にどのような言説空間を構成 しているか分析する 同様に「現実」の言説空間を分析すること により、「現実」と「夢」がどのように関連し あって認識されるかを明らかにし、またそ れが人々の社会行動にどのような影響を 及ぼすか考察する 研究手法 データソースを朝日新聞DNAに指定、ターゲット 語を含む係り受けを抽出し、考察を加える 「夢」に類似した係り受け構造を持つ「希望」(類義 語で無い)を比較分析することにより「夢」の特徴を 明確化する。 「夢」「希望」「現実」を以上のような方法で分析した 後、それぞれの認知的な関係について考察を加え る 夢 希望 現実に関する辞書的意味 夢・・ 実際に有りそうにも思えないが、万一実現すればいいな あと思っている事柄 希望・・ 自分がこうなりたい、人にこうしてもらいたいとよりよい状 態を期待し、をの実現を願うこと。 またその事柄 現実・・ 現在当面していて、それを無視することが出来ない事柄 「三省堂新明解国語辞典」より 夢 希望 現実に関するキャッチフレーズ 夢は魔法のエンジン 夢は人生のナビゲーター 希望の光 飛躍の風 星に託そう夢と希望とぬくもりを 現実を受け入れろ嫌なら現実を変えるために 努力をしろ 夢はもう現実だ 夢 希望「が」 ~どのように変化するか どのような状態であるか~ 夢・・叶う(叶わない)、実現する、等の動詞が多い →実現可能性に言及する傾向 希望・・持てる(持てない)、湧く、出る、見える等 出現、存在に関わる動詞が多い →存在の有無に言及する傾向 希望・・見出す、見える等の動詞と相性が良い →発見の可、不可に言及 希望・・(○○に)希望を持てる(持てない) →対象を明確に規定 夢 希望「を」 ~どのように扱うか どのように受け止められるか~ 夢・・追う、追いかける等の動詞と相性がよい →実現不可能性(「夢に過ぎない」「夢であったら いいのに」)、実現へのアプローチに向かう傾向 夢・・膨らませる、描く →夢自体が変化 ⇔希望の場合は。。? 夢 希望「に」 ~どのように扱われるか どのような行動の対象となるか~ 夢・・夢にまで見た○○、夢に向かう →切望、実現可能性へ言及 夢・・夢のまた夢になる →実現不可能性(「夢であったらいいのに)」 希望・・希望に胸を膨らませる、希望に満ちる、満つ →量的変動(「希望が残る」)、枠の存在? 希望・・希望に応える、応じる →(個別のテーマに対し)人間が、対応可能 夢 希望「の」 ~希望の持てる○○ 夢のある○○~ 希望の持てる・・ →希望は自分に帰属・・ 夢のある・・ →夢は対象に帰属・・ 世界、国、病気など、未 来に向けよい方向に進む ことが望まれる対象が多 い →現状(マイナス)に対し て、未来へ希望を求める (見出す) プレゼント、言葉など、時 系列では変化しづらい対 象が多い →時間軸は判断の尺度 には入っていない 夢 希望「と」 ~どのような語が共起されるか~ 「希望と勇気を与え る」「希望と不安で胸 をいっぱいにする」 「夢と感動を与える」 「夢とロマンを与える」 →感動、ロマン →勇気⇔不安 より自分にリスクが自分 に強く関わってくる・・ (「夢」の場合「現実」 と の共起がより強い ので、 より深い考察 は後ほ ど・・) 「夢」「希望」に関する考察 人々が「夢」について語る場合、それが叶うか叶わ ないかを問題の焦点に据える傾向がある 夢の実現に対して人々は強い働きかけを行うが、同 時に夢は実現不可能性が前提として語られることが 多い 人々が「希望」について語る場合、それがあるのか ないのか存在の有無を問題の焦点に据える傾向があ る またその存在はより強く自分自身に帰属する 希望は現状のマイナスを前提として語られ、現状以 外(主に未来)のプラスを示唆している 希望には連続的な尺度を与えることができ、増減の 変化が可能になる(縦への広がり) 現実「は」 ~現実に対して人々はどのような認知・知覚をするか~ 厳しい 甘くない 難しい。。 「現実」は程遠い、そうではない、違う、直し ていく必要がある →人々の考えとのギャップ 現実「が」 ~どのように存在しうるか~ ○○という現実がある →対象を指定せず、全体的に存在(⇔希望) (願いと現実、夢と現実が)入り混じる、か け離れる →相反する動作であるが、いずれも問題視される傾向 現実「を」 ~どのように扱うか~ 現実を直視する、受け止める、見つめる (しなくてはならない、して欲しい)、無視す る →意図的に目を向ける必要性(⇔夢「見る」希望「見え る」) (厳しい、悲惨な現実を)目のあたりにする →「見えた」時の現実 常にマイナス 現実「に」 ~どのように変化するか 人々はどのように反応するか~ (まさかのこと、心配事)が現実になる →現実になるのは不都合なこと(都合のいいこと→夢の ような・・) 現実に○○とする、○○である →人々の現実に対する反応・・常に予想外 現実に屈する →向き合うことで人間に負荷をかける(現実と戦う) 現実「から」 ~現実を基点とした行動~ 統一性のある動詞 →現実からの脱却を試みる動き 逃避逃避逃避! 「現実」に関する考察 目の前に顕在するものであっても、人々が 望むものは「現実」にはならない 現実は人々の行動とは無関係に常に無機 的に、全体的に存在する 人々の作り上げる理念的な対象と、「現 実」との間には常に望まれる距離が存在 する 人々は常に現実からの脱却を試みつつ、 同時に現実に踏みとどまることを求められ る 希望×夢 「夢と希望」を与える、溢れる、「夢も希望」も無い (全体の9割程度) →「夢」「希望」は同じようなものとして扱われるが、動詞 の使用傾向は「希望」の方に近い 「夢を見つけようという希望」 「夢を持ちながら希望と不安で胸をいっぱいに」 →希望はより主体に近い位置に帰属している 夢×現実 「夢と現実」の壁、ギャップ、狭間、溝、 →夢と現実の間には大きな隔たりがあることが前提とな る 夢と現実は別次元に存在 「夢が現実になる」 →それぞれ個別の言語使用に照らし合わせると極めて 例外的に定着・・それ故に強いキャッチフレーズ的説得 力(※悪夢が現実になる) →また、この変化を見る限り人為的というより自然的変化 の傾向が強い(⇔夢を現実にする) 「夢から現実に引き戻される」 →主体が夢に向かう力、現実の引き戻す力 希望×現実 「夢」と比べて格段に共起度は低い 現実○→希望× 希望○→×(現実) 現実○→希望○ →現実を舞台とした希望の有無に言及 現実に出会うと希望はその姿を隠すが、現実を踏 まえた希望も存在可能 夢×希望×現実 夢(大方+) 主 体 の 志 向 壁 主 体 現 実 の 引 力 希望 ? ? ? ? ギャップ 一方向的 不人為的に 対象指定、発見 (+) (+) 現実(常に-) 上ばかり見て歩いているの図 完
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