9)禁煙支援技術を導入しやすい歯科

シンポジウム 禁煙保険診療の拡大
~歯科での実施を考える~
歯科医院での歯科治療への
喫煙の影響と禁煙の効果
平成20年2月10日(日)17:05~18:00
横浜市開港記念館
第17回日本禁煙医師歯科医師連盟総会
埴岡 隆 福岡歯科大学
禁
煙
は
愛
で
す
医療技術の評価・再評価
関係学会提案 (681件) 重複をカウントすると812件
一次評価
引き続き評価することが適当
(233件)
その他
(345件)
基本診療
料、指導
管理等、
在宅医療
に係る
(103件)
二次評価
優先度が その他の
高い新規 新規技術
(69件)
技術
(42件)
再評価の その他の
優先度が 既存技術
(55件)
高い既存
技術
(62件)
先進医療からの保
険導入等の議論
(5件)
禁
煙
は
愛
で
す
医師による禁煙指導(外来患者対象)
ニコチン依存症管理料の給付
ニコチン依存症の条件
①直ちに禁煙しようと考えている
②ニコチン依存症のスクリーニングテスト
③ブリンクマン指数
④禁煙治療を受けることを文書により同意
• 初診、禁煙開始2, 4, 8, 12 週間後の再診
• ニコチンパッチは保険給付の適用、ニコチン
ガムは保険給付の適用としていない。
• 施設基準が満たされる医療機関
ニコチン依存症管理料の給付が認められた
禁
煙
は
愛
で
す
40歳の女性。下顎右側前歯部の歯肉腫脹を主
歯科医師による禁煙指導はある
訴として来院した。初診時の口腔内写真(No5)
のか?給付は認められるのか?
を別に示す。医療面接結果の一部を表に示す。
ブラッシング:3回/日、毎回約3分
補助的清掃具:使用せず
使用歯磨剤:NaFとクロルヘキシジン配合歯磨剤
喫 煙:20本/日
まず行う指導はどれか。2つ選べ。
a 禁 煙
b 歯磨剤の変更
c 歯間ブラシの使用
d ブラッシング回数の増加
e 抗炎症薬の服用
禁
煙
は
愛
で
す
06年国試に出題禁煙指導は既存の歯科技術
シンポジウム 喫煙問題 up to date
歯科・口腔外科の立場から
①ガムタバコの「その後」
②2004米公衆衛生総監報告システマチックレビュー
③規制条約第14条の禁煙治療とカウンセリング
埴岡 隆 福岡歯科大学
平成17年2月26日(土) 2:30~4:00
東京都三鷹市 杏林大学大学院講堂
第14回日本禁煙医師歯科医師連盟総会,禁煙学会
禁
煙
は
愛
で
す
Smokeless TobaccoはHarm Reductionに役立つ
か?それとも「たばこ:どんな形や装いでも命取り」
(WHO, 厚生労働省訳)か?
第72回日本循環器学会総会・学術総会
第7回禁煙推進セミナー・08/3/29(土)福岡
座長: 高橋 裕子(奈良女子大学保健管理センター)
1. たばこ政策として:吉見 逸郎(国立保健医療科学院研究情
禁
報センターたばこ政策情報室長)
煙
2. 循環器の立場から:松岡 宏(愛媛県立今治病院循環器科)は
3. 呼吸器・がん診療の立場から:山口 昭彦(鹿児島大学循 愛
で
環・呼吸・代謝内科学)
4. 歯科の立場から:埴岡 隆(福岡歯科大学口腔健康科学分 す
野口腔保健学講座)
5. ディスカッション
2004年
米国公衆衛生総監報告
28度目の報告(能動喫煙)
40年前(1964年)以来の総括
「原因」の位置づけ
歯科は3つの章(がん、次世代、歯科)
歯周病とう蝕が新しく加わった
禁
煙
は
愛
で
す
根拠の強固さに基づく因果関係の
ランク付け(人口寄与危険も考慮)
A) 因果関係の根拠は十分である
B) 因果関係が示唆されるが、根拠
は十分でない
C) 因果関係の存在を知るための根
拠が十分でない
D) 因果関係がないと示唆される
禁
煙
は
愛
で
す
口腔がん
白板症
歯周炎
2015/10/1
A)因果関係の根拠は十分である
埴岡 隆
禁
煙
は
愛
で
す
9
口唇口蓋裂
(妊婦の喫煙) 根面う蝕の増加
歯が抜ける
治療後
B)因果関係が示唆されるが根拠は不十分
埴岡 隆
2015/10/1
禁
煙
は
愛
で
す
10
歯科疾患の因果関係のランク
A)因果関係の根拠は 歯周炎
十分である
口腔のがん
B)因果関係が示唆さ 歯根面のう蝕
れるが、根拠は十分
口唇裂・口蓋裂
でない
C)因果関係の存在を
知るための根拠が十 歯冠部のう蝕
分でない
禁
煙
は
愛
で
す
歯科医師による禁煙指導の対象疾患範囲
禁
煙
は
愛
で
す
疾病予防が目的の禁煙指導は保険適用外
禁
煙
は
愛
で
す
治療効果確保目的の禁煙指導は保険適用?
タバコ規制枠組み条約
タバコ対策の国内能力の向上
第14条(たばこ依存)
たばこの使用の中止及びたばこへの依存
禁
の適切な治療を促進する
煙
は
ニコチン依存は中枢性医科疾患
愛
で
たばこ依存は口で使う歯科疾患ジャンす
ニコチン依存症とたばこ依存症の違いは?
歯科禁煙治療
維持期
準備期
無関心期
関心無
企図期
実行期
(行動期)
関 心
企図期
診断→説明と選択→指導と投薬→フォロー
無関心期
関心無企図期
関心企図期
準備期
実行期
維持期
禁
煙
は
愛
で
す
たばこ依存治療のために、禁煙導入、禁煙支援
歯科禁煙指導の範囲はどこか?
喫煙未経験
禁煙者
長期的禁煙成功
前熟考期
歯科患者
歯科患者
歯科患者
熟考期
短期的禁煙成功
準備期
禁煙支援
医師禁煙
指導範囲
禁
煙
歯科患者 は
愛
で
す
禁煙導入
歯科医師と歯科衛生士でたばこ依存を治療する
禁煙導入と禁煙支援の効果
10
8
6
4
40
禁煙の
1年間の
実行が 30
禁煙継続
2.8倍に
36.4 が2.8倍に
9.1% なった 20
% なった
2
0
あり
3.3%
10
なし
0
禁煙導入
13.0
%
あり
なし
禁煙支援
禁
煙
は
愛
で
す
歯科では効果的に禁煙を導入し、禁煙を支援する
17
医療技術評価申請の項目
技術申請項目
既存技術の再評価
技術の概要・対象疾患名
○
保険収載の必要性のポイント(データ使用)
再評価の理由
有効性、学会のガイドライン、エビデンスレベル
△
の明確化(Ⅰ~Ⅵ・論文添付)メタアナリシス・RCT
安全性(副作用)
△
普及性(患者数、実施回数等、学会のデータ)
○普及性の変化
技術の成熟度(専門性、難易度、施設基準等)
△
倫理性・社会的妥当性
△
医療費への影響(根拠、費用-効果分析)
○
診療報酬区分、代替既存技術
△
先進医療としての取り扱い
医薬品・医療機器の薬事法承認
△
禁
煙
は
愛
で
す
保険適用には、いくつかのハードル
要点の整理が必要
前提:歯科医師は効果的に長期の禁煙指導、
管理(再喫煙への対応)ができる
①対象疾患は「たばこ依存症」か「治療効果
の改善を図る歯科疾患」が対象疾患か?
③歯科医師の禁煙指導の範囲との関係と医
科歯科連携のパスを確立できるか?
④ニコチン製剤の使用に関しての薬事法、医
師法上の制限の問題を解決できるか?
禁
煙
は
愛
で
す
医療側、支払側、公益代表委員が納得するもの
たばこ依存症(ニコチン・シンドロー
ム)指導料の給付
• 対象疾患新設:歯周病をはじめ、喫煙者の
口腔に特徴的に出現する疾患・症状の総称
で歯槽骨吸収、歯根膜の破壊等を含み、歯
の喪失により歯科治療効果を失う
• 主にニコチンの長期の持続的な口腔への曝
露により引き起こされるが、喫煙者はたばこ
依存のために禁煙することができない
直接の禁煙指導技術を評価する
禁煙により症状が改善、治療効果が確保
長所:禁煙をアウトカムとするのは医科と同じ
禁
煙
は
愛
で
す
歯科治療効果改善のための禁煙
指導料の給付
• 対象疾患は既存の歯科疾患:喫煙者の歯
の喪失阻止による歯科治療効果の持続・改
善を期待して行う、歯の喪失により効果が
低下する歯科疾患(歯科治療)が対象
• 喫煙者はたばこ依存のために禁煙すること
ができない
間接的に禁煙指導技術を評価する
禁煙により症状が改善する
長所:対象となる疾患=対象者が広い
禁
煙
は
愛
で
す
難治性の歯周病治療のための禁
煙指導料の給付
• 対象疾患は既存の歯科疾患:通常の歯周
病治療を行っても改善せず、喫煙による治
癒障害が疑われる
• 繰り返しの歯周病治療を行い検査の結果、
改善が認められない喫煙者が対象、喫煙者 禁
煙
はたばこ依存のために禁煙することができ は
愛
ない
で
す
間接的に禁煙指導技術を評価する
禁煙により症状が改善する
長所:対象となる疾患と禁煙の理由が明確
まとめ
解剖学的な特徴からニコチンの長期の持続
的な曝露がある
歯科治療効果に短期的・長期的に悪影響を
及ぼし、禁煙により改善する
禁煙指導の効果は医科も歯科も同様である
禁
問題点
煙
は
• 歯科医療側の意識、教育体制
愛
• ニコチン依存症治療の優先順位
で
す
• 無煙たばこの禁煙利用推奨の禁止
歯学会主導のガイドライン・手順書の作成急務