行動変容と理学療法 トランスセオレティカルモデルとその応用 名古屋大学医学系研究科 M1 萩原悠太 人の毎日の習慣は、医療全ての影響よりも、 病気にさせる原因との対応や、死ぬ時期を決めるのに深く関わっている Lester Breslow 遺伝、事故、etc 乱れた生活習慣 医療 医療 発症 再発 運動、食事、睡眠 ストレス、etc 健康的な生活習慣 健康 • 図 変容ステージ 無関心期 行動を変えようと思うつもりはない 関心期 これから6ヶ月以内には変えようと思っている 準備期 これから30日以内には実行にうつすつもりだ 具体的な方策を考えている、実施しているが望ましい水準には達していない 実行期 望ましい水準に達しているが、期間が短い 維持期 長期に渡って行動の変容を維持している 変容のプロセス 経験的プロセス ●意識の高揚 :現在の行動についての興味を示す ●ドラマティックリリーフ :問題行動に関する感情的な経験 ●自己再評価 :問題行動に関する情動的、および認知的な価値の再評価 ●環境的再評価 :問題行動が社会的な環境にどのような影響を与えているか再評価 ●社会的解放 :行動の変容を強化する社会的変化に気づくこと 行動的プロセス ●反射条件づけ :問題行動への代替行動 ●援助関係 :周囲の人たちの援助、ソーシャルサポート ●強化マネジメント :行動を変容、維持させるために自分自身を強化する ●自己解放 :公約に由来する拘束 ●刺激コントロール :健康な行動を行うためのきっかけとなる環境整備 意思のバランス 負担 恩恵 その行動をとることによる犠牲 時間、金銭面、体力面 その行動をとることによる利益 健康、社会的影響 このバランスが変容ステージに影響する セルフ・エフィカシー ある結果を生み出すために必要な行動を どの程度うまく行うことができるかという個人の確信 Bandura,1977 個人の選択や思考、情動的反応、行動的パフォーマンスに影響を及ぼす 個人が健康行動を変容させる場合、多様な影響下におかれても、逆戻りすることなく その行動を継続して行うことが出来る見込み感 セルフ・エフィカシ―は、行動変容のステージの移行に伴い直線的に増加する 無関心期 関心期 準備期 実行期 維持期 意識の高揚 社会的解放 自己再評価 ドラマティック リリーフ 意識の高揚 社会的解放 ドラマティック リリーフ 自己再評価 自己解放 自己解放 刺激コントロール 強化マネジメント 反射条件つけ 援助関係 刺激コントロール 強化マネジメント 反射条件つけ 援助関係 ◆プロセス 意識の高揚 援助関係 社会的解放 行動的 経験的 ◆意思決定のバランス 恩恵<<負担 恩恵<負担 恩恵≦負担 恩恵>負担 恩恵>負担 増加 より素早い増加 ピークは18ヶ月目 ◆セルフエフィカシー 低い 増加 TTMモデルの具体的アプローチ 運動を例にとって 無関心期 運動をすることに抵抗を示している 運動の必要性を感じていない 意思決定のバランス 恩恵<<負担 ◆適切なアプローチ • 自己発見を促す(意識の高揚) • 運動の恩恵について考える • 他人への影響を考える ◆不適切なアプローチ • 押しつけがましい態度をとる • 一方的に知識を提供する • 理屈っぽく議論や説得をする 無関心期の人の目標は、“関心期に移行すること”であって すぐに実行期に移行することではない 関心期 運動をすることの恩恵は自覚しているが、負担が大 きいと感じている 運動を実施する“意図がある” 意思決定のバランス ◆適切なアプローチ • 動機付けを高める(恩恵を重視させる) • 変化できるという能力への自信を高める ◆不適切なアプローチ • 運動を実施していないことに対して批判、非難する • 運動を行うことの負担を無視する 恩恵と負担が釣り合い始める時期 動機付け、セルフエフィカシーを高めることが重要 恩恵<負担 準備期 運動を行うことに意欲的であり、自分なりの行動 の変化がみられる 望ましい水準には達していない 意思決定のバランス 恩恵≦負担 ◆適切なアプローチ • セルフエフィカシーを高める • 行動の強化マネジメント(報酬を考える) • 目標をたてる、公約をする ◆不適切なアプローチ • 望ましい水準に達していない行動変容を過小評価する • 多くの課題を提供する 行動変容に向けて小さな前進を始めており、すでに考え方や 行動に変化が生じている。その変化を見逃さないことが重要 実行期 望ましい行動変容が生じている 運動は定着しておらず、逆戻りの危険性を孕む 意思決定のバランス 恩恵>負担 ◆適切なアプローチ • 自らの行動変容を自覚させる • ソーシャルサポートを得る • 行動の持続に対する障壁への対応策を考える ◆不適切なアプローチ • 望ましい水準に行動変容して安心してしまう • 次々と課題を提供する 逆戻りを予防し、新しくそしてより健康的な行動を 生活の中で習慣化させることが重要 維持期 運動を継続して実施している 運動による結果を自覚している 意思決定のバランス 恩恵>負担 ◆適切なアプローチ • 運動を実施を促す環境、また運動しやすい環境を整える • 運動の意義を再確認させる • 地域コミュニティーでの手本となる ◆不適切なアプローチ • 出来なかったことに対して、失望や叱責する 逆戻りへの対応策を確立させており、危険性は少ない また、行動変容による恩恵を自覚している 独り言 運動や食事、喫煙、体重管理様々な“行動”における応用が考えれれる 医療が関われるのは一部分であるということ 対象は患者だけではない 特に予防分野への応用が期待
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