資料3 21世紀経済産業政策の課題と展望(概要) 1999年11月19日 通 商 産 業 省 1 目次; ・(論点11) 技術革新の方向性如何 ・(論点12) 技術革新による社会の変貌如何 ・(論点13) 技術革新の現状と課題如何 ・(論点14) 新しい技術革新システムの方向性如何 ・(論点15) 技術革新に関する政策課題如何 2 (論点11) 技術革新の方向性如何。 ●技術革新の歴史的変遷 キーワード 18~19世紀 20世紀前半 工業技術の始まり 動力源の獲得 工業技術の実用化 大量生産 化学反応 (大衆への普及) 内燃機関 化学 (人力の代替) 蒸気機関 主たる対象 実用化・普及技術 紡績機・織機 製鋼法 鉄道 蒸気船 電話 20世紀後半 第3四半世紀 第4四半世紀 工業製品の普及・充足 生産の自動化 先端産業化 ロボット化 省エネルギー (効率性の追求) (高機能化) 耐久消費財 エレクトロニクス 新素材 バイオ 自動車 テレビ・冷蔵庫 集積回路 航空機 トランジスタ パーソナルコンピュータ ラジオ コンピュータ(メインフレーム) インターネット 電機モーター 工作機械 レーザー ナイロン・ポリエチレン 原子力発電 DNA解析 21世紀 第1四半世紀 知的価値重視 融合化 社会的課題 個への対応 環境 ネットワーク 生命 社会システム 新エネルギー ●技術革新への期待 ○活力ある経済発展の原動力と産業の競争力の源泉。 ○エネルギー・環境問題等の地球的課題、少子高齢化への対応等の社会的課題の解決ツール。 ○知性・感性や精神的豊かさを求める価値観等、これまで対象として来なかった分野での技術的対応。 ◎諸外国の認識 ○米国:経済競争力の強化と雇用の創出-国益のための技術-(1996年NSTC報告書) ○独国:世界経済の競争激化への対応(1996年研究技術白書) ○英国:技術は英国産業の国際競争力強化に貢献しなければならない(1993年科学技術白書) ○仏国:将来の経済競争力はイノベーション・発明、創造等知能の戦いにある(1997年ジョスパン首相国会演説) ○EU:科学技術基盤を強化して欧州産業の競争力の発展と欧州市民の生活の質の向上に貢献する(1994年第4次フレームワーク計画) →競争力と雇用創出の原動力としての期待 3 (論点12) 技術革新による社会の変貌如何。 ●時代・環境の変化 ・我が国における高度経済成 長の終焉 ・世界に先駆ける少子高齢化 の進展 ・今世紀の工業化の進展によ り、長期的環境問題、エネ ルギー・資源の制約等、地 球的規模の限界性が露呈 ・地球的規模での市場の一体 化と多極的国際システム時 代の到来 ・異分野の融合化等技術革新 がダイナミックに展開 (技術への要請) ・高付加価値化した新サービ ス、新商品の開発による内 需及び国際市場の開拓 ・安心・安全な生活の実現 ・社会的な課題の解決 未来技術の重要課題 ●求められる重要技術 「サードウェア技術(知的付加価値化製造技術)」 1.安心・安全 ・自然災害の防止 ・疾病の克服 ・先端技術の社会的ガバナンス(原子力、バイオ等) 多くの製品やその製造工程にマイコンが搭載され、知的付 加価値の創造による差別化が、ハードウェアを制御するプロ グラム(ソフトウェア)やネットワークの活用に依存。カス タム化、システム化、融合化等により多様化したニーズに対 する価値創造を達成。 「高齢社会対応技術」 2.環境問題の解決 ・環境負荷の低減(廃棄物、温室効果ガス、有害物 質の排出抑制・管理等) ・環境の浄化・修復(砂漠化対策、海洋汚染除去等) 3.エネルギー・食糧の確保 ・省エネ・新エネルギーの活用 ・エネルギー利用システムの変革 ・食糧の確保 4.産業の革新 ・ヒューマンインターフェースの革新 ・ネットワークの高度化 ・物流システムの高度化 ・宇宙等のフロンティア開発 加齢に伴い個人の嗜好、健康状態、経済状態等に広がりが 増し、高齢社会は多様性が高くなる。医療福祉、介護に限ら ず、新たに、安全管理、家事代行サービス等、多様な生活保 全型サービスへの需要が拡大。バイオ技術を活用してカスタ マイズされた医薬品・健康食品、視力低下に対応した家電製 品、聞き易い通信機器、身体機能の低下を補う設備の設置を 含めライフサイクルに応じて改装が容易な長寿命の住宅、介 護用ロボット等、技術的対応ニーズはきわめて高い。 「循環型経済社会システム技術」 20世紀型と特徴付けられる資源・エネルギーの大量消費、 廃棄物の大量排出を伴う経済社会システムから次世紀におい ては、環境と経済発展を調和させるためのリサイクル、リデ ュース、リユースを達成するための各種技術への期待。 「感性対応技術」 消費者のニーズの高度化・多様化の中で、感性に訴えるも のの重要性は増大。コンテンツ・ビジネス、ファッション、 デザイン、アミューズメント、インテリア等を支える、バー チャルリアリティのような先端情報技術、人間生活工学等の 進展が重要。 「複雑系技術」 超大型システムの管理では、中央で一括制御・管理せず、 生態系におけるホメオスタシス(恒常性)機能等を組み込み、 自律分散型の制御管理をしつつ、全体としては平衡を保つ技 術が重要。地球環境問題や金融・経済問題等の様々なパラメ ータが複雑に絡み合う課題を解決していくうえで、スーパー コンピュータを駆使したシミュレーション技術や、生体機能 の応用技術等の複雑系技術が効力を発揮。 4 ●経済・社会・産業の変貌 日常生活 ・地球的規模で相互に情報と知識がマルチメディアでリアルタイムに交流。機械翻訳の発達にも助けられ、情報と知識に関する限り国境は消滅。 ・個人の情報発信機能の高まりによって、価値ある知恵や新しい情報知識が広く社会に発信可能。知恵と能力があれば、それを実現する手段は外 部から調達可能となり、個の能力が飛躍的に拡大。 ・デジタル化の普及により、情報の感知、発受信、記録、加工処理等が統合化。詳細かつ大量の情報から、有用な情報を容易に見つけ出すこと が可能。知的能力が人工的に拡張(従来の科学技術は人間の体力の拡張に貢献)。 ・先端情報技術と高度情報通信システムの創造的活用により、社会サービスの質、経済活動の効率や柔軟性、生活の質と安全性は著しく向上。 医療・健康 ・個人毎の遺伝子データ管理により、副作用のないカスタマイズされた医薬品を開発。 ・脳、神経系、免疫系の働きがかなり解明され、幅広く治療に応用。 ・ガンの完治率は大幅に向上し、成人病、免疫疾患や遺伝子由来の難病の治療法も確立。個人ごとに病気の予知、診断が可能になり、長寿命化。 ・臓器移植、人工臓器や人工補助器材の普及によって、人体の機能低下を抑制。 オープンかつ知識集約的な産業活動 ・高度な知的専門能力、コンセプト能力、エンジニアリング能力を持つ者が高く優遇される。 ・製造業においても、ソフト・サービスの比重が高まり、デザイン力、文化性、感性が顧客満足度の重要な鍵。 ・加速する市場速度に即応するために、研究開発/生産/流通の過程が劇的に変化し、多くの製品は受注生産に近い形態。 環境と調和した社会 ・バイオ技術を活用した新しい環境浄化・保全技術の普及。 ・循環型社会システムの定着による廃棄物の回収、再使用の普及。 ・人工衛星とセンシング技術などの進歩にともなう環境汚染監視の著しい精度向上による的確な汚染対策の実施。 ・日本は環境技術の開発と実績で世界を先導し、工業化と人口増加が進む発展途上国の環境対策に積極的な支援を展開。 エネルギー自活型社会 ・太陽・風力エネルギー、燃料電池等新エネルギーの開発・普及、水力、地熱等自然エネルギーの開発・利用、省エネルギー技術の進歩、原子力 の開発・利用の促進により石油、石炭への依存度が低下。 ・熱の高効率利用等省エネルギー技術の開発・普及及びセンシング技術、エネルギー変換技術、情報技術、情報通信ネットワークの進歩とそれら の総合的活用によって経済活動・社会生活のエネルギー利用の効率が著しく高まった省エネルギー社会の実現。 安心、安全な暮らし ・有用生物の有効利用によって食料の生産性向上し、食料自給率が改善。 ・ロボットや遠隔制御システムによる防災体制の完備。 ・材料の高性能化・耐久性向上、材料劣化の予知、診断技術の進歩による構築物の安全性の著しい向上。 ・情報技術、情報通信ネットワーク、材料技術、センサーと制御技術に支えられた快適で利便性と安全性の高い交通システム、生活空間の実現。 5 ・人工衛星やセンサー技術による精緻な観測により、気候変動や自然災害の予知精度が向上。 (論点13) 技術革新の現状と課題如何。 現状 (キャッチアップ時代技術革新システムの限界) ○基本技術・アイデアを欧米からの導入に頼った改良研究が中心の「キャッチ アップ型技術革新」では、需要や製品イメージは明確で開発リスクも小さか った。しかし、技術導入がコスト面で困難性を増すとともに、近年の知的所 有権保護の強化に伴って改良研究では基本特許に対抗できない時代が到来。 ・画期的製品38品目のうち、日本が発明→ゼロ、日本が新製品化→2品目 ・国内特許では、改良特許が7割以上を占有 ・特許の独創性認識:米国4割、日本2割 ・技術貿易:ソフトウェア、ノウハウも含めた統計では赤字 ・米国産業界の競争力を強化したプロ・パテント政策が国際的に拡大 (次世代発展の基盤整備に弱さ) ○次世代技術革新の基盤となる基本的技術を創出する役割を負っている、大学 等の基礎研究を担う機関での成果創出能力、産業界への技術移転姿勢が弱い ○今後の付加価値化の鍵となるソフトウェアにおける開発力強化の遅れ。 ○技術革新の基礎体力となる知的基盤整備に遅れ。 ・国内研究開発費の8割を産業界が負担 ・大学における特許出願:米国5591件、日本206件 ・海外からの新規技術導入:ハードウェア→減少、ソフトウェア→増加 ・計量標準・標準物質整備:米国500件、日本111件 ・DNAデータベース登録数:米国393万件、日本51万件 (製造面での優位性劣化) ○国際的に比肩するものがないとの評価であった製造技術力においても、その 優位性は縮まりつつある。 ・我が国製造業の技術力が米国以上と認識:現在32%、3年後予測18% (工業化社会の成熟化) ○モノに対する充足感が広がるとともに国民意識が多様化し、市場での価値評 価に不確実性が増している。 ○環境問題、エネルギー・資源利用、食料生産等において地球規模の限界に到 達しつつある。 (科学技術への不信感の高まり) ○専門家に依存した技術ガバナンスに対する国民の信頼感に揺らぎ。 課題 (フロントランナー時代に合致したシステムへの変革) ○将来に向けて革新的なプロセスや新たなコンセプトのベースとなり得る、 他者の物真似でない独創性のある基本的技術の創出を指向し、多様なチャレ ンジを可能とするシステムの確立。 ○技術革新マインドの転換。 (国民の期待に応える技術革新・事業化への取り組み) ○【内需創造】多様化し不確実性を増した市場ニーズに応えるための技術革新 ○【社会的課題の解消】エネルギー等地球的な制約問題、国民生活に安心・安 全をもたらす技術革新。 (技術に対する不安感の解消) ○技術の受容性の高い社会の形成。 ○技術革新マインドの比較 (キャッチアップ型) → (フロントランナー型) ①基本技術・ 欧米からの導入が主体 独創的創造 アイデア ②産業化 需要や製品イメージに明確さ 不確実性 ③事業リスク 小 大 ④研究開発 改良技術中心 得意分野重点型・基盤的技術 ⑤対象技術 広範な技術 優位性や将来性のある分野への 特化 ⑥企業行動 大量生産・価格競争力による収益 高付加価値化による利益重視 ⑦知的所有権 防衛的利用が主 先行者利益の確保や取引先開拓 のために戦略的に活用 ⑧姿勢 横並び意識 チャレンジ精神 6 (論点14) 新しい技術革新システムの方向性如何。 従来型システム (キャッチアップ時代の技術革新) コストダウンのための大量生産に適 合した、改良研究を中心とした技術革 新では、企業、大学、政府がそれぞれ の役割を果たせば有効な成果が得られ た。 ●企業 ・組織内で研究開発資源(人材,設備, 資金)をフルセット化して自己完結 ・低い組織間人材流動性に基づいた社 内教育により人材を育成 ・研究課題は欧米諸国から導入、又は 同業他社と横並び ●大学 ・専門家としての基礎学力に欠け横並 び意識の人材を送り出す教育 ・社会ニーズと乖離した研究及び教育 課程 ・基礎的研究成果の活用意識低し ・内部改革を進めることができないマ ネジメント欠如 ●政府 ・研究開発政策はプロジェクト方式が 中心 ・連携のための環境整備が不十分 ・知的基盤等の創造的技術革新環境の 整備に遅れ ・起業環境も整備途上 新しいシステム 変革の方向 ○個の創造性の発揮 ○独創的知的価値の 確保 ○融合化等ダイナミ ックな技術展開へ の適応 ○多様な価値観へ対 応した内需創造と 国際的展開 (フロントランナー時代の技術革新) 革新的なプロセスや新たなコンセプトのベースとなり得る基本的技 術創出から事業化までを実現するためには、組織の垣根を越えて海外 も含めた連携を積極的に図り、あらゆる研究開発資源の可能性を引き 出し、有機的に統合していくことが必要である。 ●開放・連携(オープン、タイアップ)型技術革新システム 技術革新の中核となる企業や個人が、他企業や大学、個人(SOHO)等 との連携を、オープン(研究分野や事業フェーズ毎に組み合わせ変更 可能)なタイアップ(共同研究やアウトソーシングにより事業を進め ていく)によって、当該技術革新課題の解決に最適な研究開発資源を 集中して、独創的成果を獲得 ○基礎的研究と成果の移転 ・独創的成果につながる基礎的な研究に取り組むとともに、成果 を外部に移転、また研究者のスピンオフ元となるのは、大学及 び独立行政法人(国立研究機関)が中心 ○事業化を視野に入れた技術革新の中核 ・迅速な意志決定と他に例を見ない独創的テーマに携わる小回り が可能となる、構成員がフラットな関係を持つベンチャー企業 等が中心。大企業による分社化、社内ベンチャーも想定 ○成果の事業化 ・自社製造、他社との製造委託等により事業化を行う。知的資産 の大企業等への売却も選択肢のひとつ ○投資リスクに対するインセンティブ付与 ・高い投資リスク回収を可能とするため、成果に対して迅速に国 際的に調和した知的所有権を供与することによりインセンティ ブを向上 ○人材 ・マネジメントも可能な研究人材供給元として大学への期待大 ・研究環境活性化等のための外国人専門家の積極的受け入れ ○環境整備 7 ・起業環境、研究支援産業充実、知的基盤等の環境整備は必須 オープン・タイアップ型技術革新システムのイメージ 研究開発フェーズ 政策的支援 政府 大学・独立行政法人 共同研究 制度整備 技術革新方向性 の提示等 スピンアウト 技術移転 調達による 市場開拓 スピンアウト 大企業 個人もしくは 少人数グループ (SOHO等) アウトソーシング、調達 中核企業又は個人 ベンチャー企業 中小企業等 知的資産の実施許諾 /売却 買収を受けて内部化 事業化フェーズ 他企業 (研究支援産業を含む) 共同研究、 アウトソーシング 提携 製造委託 他企業 販売会社 (特徴) ・開放(オープン)=研究分野・フェーズ毎に組み合わせ変更可能 ・連携(タイアップ)=海外も含めた他者との共同研究やアウトソーシングにより事業を進める 8 イノベーションを活用した国家イニシアティブの実現 政府 政府ミッションに基づいた国家目標の設定 基礎的研究 ○国家目標に沿った競争的資金配分 大学・独立行政法人 公平かつ透明性のある評価 ・研究開発目的等に対応した評価 共同研究 技術移転 ・評価者と被評価者の隔絶 ・評価パラメータの明示 情報交換の場 ・評価者やその評価結果の公表 ・評価者を評価するメカニズム確立 地域の知的・もの づくり集積の活用 等 ○成果を活用し、目指すべき社会の実現 連携先 事業化に向けた技術革新 民間の技術革新支援策(税制、連携促進等) インセンティブと判断 と責任が明確な組織 制度改善(人材流動化、研究環境の活性化等) (ベンチャー、中小企業等) 他企業 個人 共同研究 アウトソーシング 海外も含めた 人材の流動化 製造委託 販売提携 知的資産の 実 施許諾/売却 9 (論点15) 技術革新に関する政策課題如何。 政策の基本的方向性 政府の役割 (1)民間による技術革新の環境整備(知的財産権制度、知的基盤の 整備、民間による研究開発促進等) (2)目指すべき社会を実現するミッションにおける技術革新の活用 (3)創造性を評価し、技術革新を受け入れる社会の構築 ●産業技術政策の戦略的展開【役割(1)、(2)】 (産学官による「重点化会議」での合意形成と継続的見直し) ○目指すべき経済社会の構築に向け、技術政策上の重点分野に諸資源を結 集する国家イニシャティブの実行 ・社会的要請・制約に基づいた国家目標の選定(例:高齢社会技術、環 境関連技術) ・重点分野における産業技術に対する要請の個別具体化 ・国家目標に基づいて政府ミッションを遂行するため、独創的成果充実 に係る基礎的研究の強化(大学への競争的研究グラント拡充、民間か らの寄付制度の改善、中小企業の活用等) ・調達等により技術革新成果を活用して望ましい社会を実現 ○技術革新の方向性を明確化にすることにより民間の技術革新を活性化 ・最先端科学技術の進展による技術の方向性の明示 ・分野別ロードマップの策定 等 ●民間による研究開発・企業化の支援、環境整備【役割(1)】 (開放・連携型技術革新システムの確立) ○資金調達環境の整備(技術実用化のための官民連携、政府調達による初 期需要創出、個人投資家向け税制改善等) ○オープンなタイアップを促進するための連携・組織化の支援(地域内外 での異業種交流促進、大学等の共同研究規定柔軟化等) ○大学、公的研究機関からの円滑な技術移転の促進(兼業規定・休業規定 の弾力化、TLO拡充や技術ブローカー(目利き)による支援等) ○事業化支援措置の整備(特許取得・経営管理等のコンサルティング・支 援に係る機関育成、大企業等の未利用特許情報提供等) ○知的所有権制度、知的基盤整備、標準化政策等の戦略的運用 等 ●技術革新を担う人材の確保【役割(1)】 ○我が国にとって競争力を維持していく上で唯一の資源ともいうべき人材に関し て、これまで十分に活用してこなかったのは、1)企業に埋もれた技術者、2)大 学の研究者、3)海外の専門家 ○研究者・技術者の能力を最大限発揮させる措置 ・人材流動化のための措置(年金のポータビリティ確保等) ・競争的研究グラントの拡充 ・教育課程での技術革新能力の向上(研究マネージメント、エンジニアリング 能力の付与等) ○海外人材の積極的登用 ・魅力的な研究環境実現 ・滞在許可要件の緩和 等 ●独創的成果を生み出す環境の実現【役割(3)】 ○公的研究組織の研究マネジメント改革 ・研究リーダーへの海外人材の登用 ・生え抜き構成員の制限(純血主義からの決別) ○研究開発資源配分に係る評価システムの確立 ・技術革新に係る施策、組織等を評価するための体制・予算の充実(外部機関 での専門家情報・技術情報の収集・蓄積、事業費定率での評価予算確保等) ・評価の公平性・透明性を確保(研究開発目的等に対応した評価、海外専門家 を活用した厳正な評価、評価尺度の明示、評価者や評価結果の公表、評価者 を評価するメカニズム確立等) ・評価結果を査定部署が資源配分、組織体制へ反映 ○独創性の価値を認める社会の実現 ・他と異質な考え方に価値を感じる姿勢を涵養する教育 ・既存の価値体系に捕らわれない柔軟な思考ができる人材教育 ●技術ガバナンスの必要性【役割(3)】 ○技術を理解し、受入れ、育む社会の実現 ○21世紀にふさわしい「技術ガバナンス」の強化 ・技術専門家、社会・文化の研究者、一般市民も同席した「場」の設定による 合意形成 ・国民の理解を得るための技術教育、情報開示、広報活動の充実(技術革新の 早い段階からの安全性情報の開示等) ・Regulatory Researchの充実、評価手法の策定やデータベース整備等による 10 リスクの適切な評価・管理
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