確率・統計Ⅰ 第10回 i.i.d.の和と大数の法則 ここです! 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 9. 10. 11. 12. 13. 確率論とは 確率変数、確率分布 確率変数の独立性 / 確率変数の平均 確率変数の平均(続き)、確率変数の分散 確率変数の共分散、チェビシェフの不等式 ベルヌイ試行と二項分布 二項分布(続き)、幾何分布など 二項分布の近似、ポアソン分布、正規分布 正規分布とその性質 i.i.d.の和と大数の法則 中心極限定理 統計学の基礎1(母集団と標本、確率論との関係) 統計学の基礎2(正規分布を用いた推定・検定) i.i.d.の和と大数の法則 1. i.i.d.の和 2.大数の法則 i.i.d.とその和 互いに独立で、同じ分布をもつ確率 変数の列を i.i.d. と呼ぶ。 X1, X2, …, Xn を i.i.d. とし、 どんな分布でもよい (連続分布でもよい) X = X1 + X2 + … + Xn とおく。 [ 各 Xi が確率 p で値1, 確率 q =1-p で値0をと るときの X の分布が二項分布である。] i.i.d.の和として見た 二項分布の平均と分散 i.i.d.の和が二項分布になるのは、Xi の分布が Xi 確率 0 q 1 p という特別の場合。 このとき、 一致(結果的に) E( X i ) 1 p 0 q p V ( X i ) (1 p) p (0 p) q pq 2 だから、和 X については…: 2 i.i.d.の和として見た 二項分布の平均と分散 E (X ) E( X1 ) E( X 2 ) E( X n ) p p p np V (X ) V ( X1 ) V ( X 2 ) V ( X n ) pq pq pq npq i.i.d.の和の平均と分散 一般には、 E(Xi) =μ, V(Xi) =σ2 とするとき、 E ( X ) n V ( X ) n 2 i.i.d.の和の平均と分散のまとめ X = X1 +…+ Xn E(X) = nμ V(X) = nσ2 E(Xi) =μ, V(Xi) =σ2 特に 二項分布 q p 0 X = X1 +…+ Xn 1 E(Xi) = p, V(Xi) = pq E(X)=np, V(X)=npq i.i.d.の和と大数の法則 1. i.i.d.の和 2.大数の法則 大数の法則 問題: n→∞のとき X はどうなるか? たとえば X が二項分布の場合 0.45 0.4 0.35 n →∞ 0.3 平均 np → ∞ (どんどん右へ) 0.25 0.2 0.15 分散 npq → ∞ (広がっていく) 0.1 0.05 0 0 5 10 一般の場合も平均 nμ, 分散 nσ2 だから同様に発散。 では n で割って X / n を考えたら? 15 20 X / n の平均と分散 X = X / n = (X1+…+Xn) / n とおくとき、 (ただし、X1, …, Xn はi.i.d.で、E(Xi)=μ, V(Xi)=σ2 ) 1 1 E ( X ) E ( X ) n n n 1 1 2 V ( X ) 2 V ( X ) 2 n n n n 2 大数の法則 n→∞のとき E(X ) は変化なし 2 V (X ) / n 0 これは次のことを意味する: (「大数の法則」) X の分布が、μ= E(Xi) に“近づく” 大数の法則 ●特に X が二項分布の場合 X は成功度数だから X = X / n の意味は 「相対度数」 (確率 p の事象が起きた回数の割合) だから、「大数の法則」は次のことを意味する: 一回の成功確率が p の試行を繰り返して いくと、成功の相対度数が p に “近づく” 大数の法則(例) p=0.5 n=50 の二項分布の相対度数 X のグラフ P(X/n = r’) 0.1 0.08 0.06 0.04 0.02 0.2 0.4 0.6 0.8 1 大数の法則(例) p=0.5 n=200 の二項分布の相対度数 X のグラフ P(X/n = r’) 0.05 0.04 0.03 0.02 0.01 0.2 0.4 0.6 0.8 1 大数の法則(例) p=0.5 n=2000 の二項分布の相対度数 X のグラフ P(X/n = r’) 0.0175 0.015 0.0125 0.01 0.0075 0.005 0.0025 0.2 0.4 0.6 0.8 1 正確な大数の法則 厳密な数学の定理としては、 大数の弱法則 (ベルヌーイの大数の法則) 大数の強法則 の2つがある。 大数の弱法則 X1, …, Xn を i.i.d. とし、 X = X1 + … + Xn , X = X / n = (X1 + … + Xn) / n とおくと、 次の事実が成り立つ: 任意のε>0 に対して lim P X 1 n ここで μ=E(Xi) . 大数の強法則 X1, …, Xn を i.i.d. とし、 X = X1 + … + Xn , X = X / n = (X1 + … + Xn) / n とおくと、 次の事実が成り立つ: P lim X 1 n ここで μ=E(Xi) . また、V(Xi) は有限とする。 大数の強法則(例) p=0.5 の二項分布の相対度数 X の n=102~104 における実験値 0.575 0.55 0.525 0.5 0.475 0.45 0.425 2.25 2.5 2.75 3 3.25 3.5 3.75 4 対数目盛り 103=1000 104=10000 大数の強法則(例) p=0.5 の二項分布の相対度数 X の n=102~105 における実験値 0.575 0.55 0.525 0.5 0.475 0.45 0.425 対数目盛り 2.5 3 3.5 103=1000 4 4.5 104=10000 5 105=100000 メニューに戻る メニューへ
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