水稲「きぬむすめ」、基幹奨励品種へ 【背景・目的・成果】 近年の夏季高温の影響から等級の低下が問題になっている「キヌヒカリ」の代替品種として、「き ぬむすめ」を2010年に認定品種に指定して、普及を図ってきた。 「キヌヒカリ」 が1等米比率を大幅 に低下した夏期高温年においても、「きぬむすめ」は1等米比率が大きく下がらず、作付面積も1,900 haまで拡大した。このことから、 「きぬむすめ」を基幹奨励品種として、さらなる面積増を図っていく。 栽培特性 「日本晴」と比べて, 出穂・成熟は3日程度遅い(「ヒノヒカリ」と比べて 成熟は10日程度早い). 倒伏に強く,収量性は「日本晴」と同程度. 栽培適地が広い. 品質特性 玄米は外観品質良好, 検査等級1等. 「キヌヒカリ」並みの良食味. 夏期高温年であった2010、2013年に おいても1等米比率が大きく低下する ことはなかった。 図1 「きぬむすめ」の玄米(中段2列) ha 2000 30 % % 100 きぬむすめ 1899 25 1600 80 キヌヒカリ 81.8 67.6 20 1200 1106 1300 きぬむすめ 18.5 15 800 10 400 きぬむすめ 44.2 40 20 11.2 6.8 0 0 2011 2012 2013 45.8 28.5 5 90 2010 58.7 54.3 49.7 キヌヒカリ 5.0 330 60 2014 0 2009 図2 きぬむすめの作付面積と全県作付面積に占める比率 2010 2011 2012 2013 2014 図3 きぬむすめとキヌヒカリの1等米比率の推移 【語句説明】 基幹奨励品種:広域適応性が広いため、県が普及を促進する必要があると認める品種。 1,500ha以上の作付けが見込める品種で、「コシヒカリ」「キヌヒカリ」「ヒノヒカリ」が該当する。 認定品種:品質・適応地域の範囲又は市場性に未確定の要素があるため、暫定的に県が普及する品種。 5年後に概ね300ha以上の作付が見込める品種。 【今後について】 「きぬむすめ」の普及拡大に伴い、水稲単作地帯から麦大豆輪作体系に組み込まれていくこと が考えられる。輪作体系における良食味安定生産技術を確立し、普及を進める上での指導指針 としたい。 兵庫県立農林水産技術総合センター 農業技術センター
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